携帯カメラの機能が向上すると,携帯カメラで撮った写真を利用できなくなる
今日の技術革新が著しいことは改めて言うまでもないことだが,それは,携帯カメラでも同じだ。驚くべき自動処理技術が開発され,携帯カメラの中に実装され続けている。
ところが,法的観点から考えた場合,困った問題がある。
それは,「撮影された写真の著作者は誰か?」という問題だ。
機能の種類にもよるが,中には,撮影ボタンを押した携帯利用者ではなく,写真合成機能プログラムを作成した者に属すると考えるしかないものが非常に多くなっていくのではないかと考えている。
それは,写真が「撮影」によって創作されるのではなく,予め組み込まれたソフトウェアによって自動修正・自動合成されて自動的に生成されることに起因するものだ。そこでは,撮影者の創意工夫などはほとんど無視されるので,これまで写真の著作物について説かれてきた創作性の要素の大半が消失してしまっている。つまり,撮影者が創作した産物であるとはいえない。
そのような場合,携帯カメラで撮影した写真をブログなどで公開するなどして利用することは,他人の著作物を複製ないし公衆送信する行為として,著作権侵害となり得る。
これではしょうがない。
携帯各社は,自動補正機能付携帯カメラに組み込まれているソフトウェアを機能させて自動的に生成させる写真について,仮に携帯利用者以外の者(そのソフトウェア開発者または携帯会社など)に著作権が帰属すると解する余地がある場合であっても,携帯利用者が安心して自動生成された写真を利用できるようにするため,予めきちんと権利処理をし,かつ,携帯に含まれるソフトウェアの使用許諾契約(約款)中で,当該ソフトウェアを利用して自動生成された写真については,その撮影者に帰属する(または,当該撮影された写真に関する一切の権利を行使しない)と明記すべきだろう。
時代は,利用者の主体性や個性を無視して,予めソフトウェアなどによって決定されているものに自らはめこまれて生きることを好むような哀れな消費者を大量生産する方向にどんどん動いている。この動きをとめることは誰にもできず,最終的には,一億総奴隷化まで進むだろう。要するに,全員が金太郎飴になる。可愛そうに。
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