クラウドコンピューティングはオートメーション
下記の記事が出ている。
The future cloud should fend for itself
CNET: August 22, 2010
http://news.cnet.com/8301-19413_3-20014354-240.html
要するに,全ての情報リソースについて,自動化と標準化を実現するための仕組みだという考え方だ。その通りだと思う。ただし,そこで明確にされていないのは,そのような自動化を実現するためには,パブリッククラウドベンダ側にのみ統制がなければならないという当然の事実だ。
このことは,次のような結果をもたらす。
1)国家主権の侵害
国際的裁判管轄権も準拠法も全てクラウドベンダに服従する。犯罪捜査権も同じ。
なお,国内的には地方自治権を完全に破壊する。
そして,民主主義も国民主権も消滅する。
2)情報セキュリティ標準の崩壊
利用者には統制がないので,個別に情報資産を洗い出し統制することがなくなる。
3)大量失業と大恐慌の発生
これまで何度も述べたので繰り返さない。
4)機密の消滅
クラウドベンダは神のような存在だ。何でもできる。
というわけで,統制という観点から考察すれば,必ず私見と同一の結果に到達するはずなのだが,どういうわけか世間では賛成してくれる人が多くないようだ。要するに,統制そのものを理解できないのだろうと思う。
イメージする能力のない企業経営者が決して少なくないようなので,あえてどぎつい比喩で説明すると,企業がパブリッククラウドの利用者になるということは,企業でなくなってしまい末端の奴隷的従属労働に服する労働者と同じ立場になるということを意味する。オートメーションとはそのような意味合いも含む。経済学や社会学をきちんと継続してやってこない経営者が少なくないし,為政者に至っては皆無に近いので,理解しにくいかもしれないが,要するにそういうことだ。理系の人間がトップに立ってはならないと言っているのではない。理系であろうと文系であろうと関係なく,どのような分野についても常に万能であり続けるための努力を惜しまない者でなければトップとしての資格がないと言っているのだ。そして,生きた個体としての人間ひとりの能力ではそんなことを実現できるはずがないので,結局,自らの非力を悟り,それぞれの分野の専門家の意見に謙虚に耳を傾ける人間でなければならないという常識的な結論に達する。この点において,自己認識・自己評価の甘すぎる経営者がいるから問題だということになる。
旧約聖書に出てくるロトの気持ちが何となくわかるような気がしてきた。
| 固定リンク
« 韓国:北朝鮮のTwitterアカウントを禁止 | トップページ | ハワイ在住のアメリカ人男性が,韓国企業が経営するゲームサイトに対し,ゲーム中毒になってしまい正常な日常生活ができなくしたのはゲームサイトのせいだとして損害賠償請求 »
コメント