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2010年8月29日 (日曜日)

Android環境では,まともなアプリは利益をあげることができず,違法なコンテンツが野放しになるとの指摘

下記の記事が出ている。

 Porn and pirates hide Android's money maker
 Register: 27th August 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/08/27/android_market_devs_unhappy/

Android環境とこれまでのインターネットとでは環境が全く異なる。

インターネット環境は,無数のノードの協調によって成立してきた。そこでは,誰も支配者になることができないから,インターネット全体を統制できる者もいなかったことになる。したがって,インターネット環境では「best effort」以上のことを期待することが原理的に不可能であったということが可能だ。

しかし,Androidは異なる。Googleというたった1個の私企業がすべてを理念的には統制すべき環境だ。ここで「統制すべき環境」という表現を用いているのは,統制可能ということを意味しているわけではない。その規模があまりにも大きくなり過ぎると,Googleという1個の私企業の能力だけではもちろん統制不可能になる。このことは,いかなるインシデントに対しても責任をもつことができない企業が非常に広大な環境を統制していることを意味する。そこにおける統制は,実際にはからっぽだ。つまり,名ばかり統制になる。

統制できない者を統制者として位置づけることは,環境の崩壊を意味する。そして,その環境は,インターネット全体の中で非常に大きな部分を占めているから,インターネット全体の中で非常に危険な領域が大規模に発生しつつあることを意味することになるだろう。

これまで,独占の問題は,競争法の世界だけで理解され,検討されてきた。

しかし,本当は,支配の問題であり,政治の問題でもあるのだ。それは,単なる競争の問題ではない。

巨大すぎるパブリッククラウドが現実に世界の大きなシェアを奪うことに成功したとき,そこで何が起きるのかを示唆するのに十分な記事ではないかと思うので紹介する。

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