米国:捜査令状なしに自動車のGPSデータ追跡装置を装着することを認めない判決
ワシントンDCの連邦裁判所は,捜査機関が,捜査令状なしに,自動車のGPSデータを追跡するための装置を自動車内に装着することを認めない判断を示したようだ。下記の記事が出ている。
Court Rejects Warrantless GPS Tracking
EFF: August 6th, 2010
http://www.eff.org/press/archives/2010/08/06-0
この判断は,自動車搭載のGPSだけではなく,インターネットのISPや携帯電話会社のサーバ内に特定個人のGPSデータ追跡装置を設置する場合にも適用されることになると思われる。
更に一般化・抽象化して考えると,現在しばしば実施されているようなネット上での位置情報の取得が捜査令状または本人の事前の同意なしになされた場合には,プライバシーの侵害として違法行為となる可能性を示していると思われる。
中には,「裁判所がそんな判断を示すからビジネスの可能性が阻害される」と憤る向きもあるかもしれない。しかし,私の目からすれば,そのような者は,園芸農家の果樹園で「監視しているから果実を盗めないじゃないか」と憤慨しているのと同じことのように見える。果実を採取して食べたければ,園芸農家から承諾をもらうか,購入するか,何らかの適法化の手段を講じなければならないのは当然のことだ。デフォルトは違法行為であり,違法性阻却事由の取得が必要なのだ。
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