Oracle対Googleの紛争をどう見るか
下記の記事が出ている。
Google ditches JavaOne over Oracle's Android suit
Register: 27 August 2010
http://www.theregister.co.uk/2010/08/27/google_back_out_of_java_one/
かつてXMLとXHTMLとの関係でもめごとが生じたことがあるが,あくまでも法律論としてみた場合,著作権法のレベルでは表現が異なれば権利侵害はないという方向で考えざるを得ないことになるのに対し,特許法のレベルでは表現が異なっていても実質的に特許侵害があり得ることもあるのでその方向で考えることになることから(均等論),いずれ問題になりそうだと思っていたら,現にMicrosoft Wordの関係の特許訴訟でMicrosoftが敗訴判決を受ける結果ということになった。Javaの場合にも特許紛争があり得る。
また,オープンソースには著作権や特許権がないわけではなく,一定のライセンス条件を守っている限りオープンであるという場合がある。パテントプールに含まれている特許などでも基本的にはそういう構造になっているので,完全に自由なリソースというわけではないし,現実には完全に自由なリソースは存在しないという前提でものごとを考えたほうが良い。したがって,Googleが「Javaはオープンソースだ」と主張してみたとて,それだけでは何らの法的根拠にもならないかもしれないということを理解すべきだ。
以上のことは,日本のすべてのIT企業も正確に理解すべき事柄だ。いずれも常識に属する事柄ばかりなのだが,意外と誤解している者が多いし,その中には自称著作権法専門家または自称特許法専門家も含まれる。
なお,著作物または特許発明それ自体の中にはもちろんライセンス条件等が記載されているわけではないので,別途調査をしなければならない。この場合,特許であればまだ調べようがあるけれども,著作物の場合には一般的に無方式主義がとられており,調べようがないことがあるから厄介だ。
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