YouTubeがテレビになる日?
下記の記事が出ている。
YouTube bids for screen dominance
BBC: 8 July 2010
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8799114.stm
YouTubeが支配者になるかどうかは全く分からない。
しかし,確実に言えることがある。
それは,テレビの番組表というものが消滅するということだ。
コンテンツは全てオンデマンドで提供されるようになるだろう。つまり,普通のテレビ放送等は歴史的役割を終える。
もちろん,ニュースやスポーツ観戦などのようにリアルタイムで受信しないと意味のないコンテンツもある。けれども,よく考えてみると,新聞の記事を読んであとから(バッチ処理で)情報をまとめて入力するタイプの人はいくらでもいるわけで,そのような人にとっては,リアルタイムであることはあまり意味がない。
かくして,テレビ放送局主導で番組構成がなされ,予め決められた枠組み・順番で視聴者が番組を視聴することを強制されるという時代は終わる。
YouTubeの隆盛は,技術が面白いから可能になったことではない。一つは,コンテンツが豊富であり,面白いということ(逆から言うと,プロが製作したテレビコンテンツが少しも面白くないということ),そして,もう一つは,オンデマンドで好きなコンテンツだけを視聴することができること(逆から言うと,テレビ局が編成した番組表を消費者は本当は嫌っているということ)を実現できたからこそ,そのような結果となったのだろうと思う。
コンテンツの製作に関しては,かつてと異なり,巨大なスタジオも俳優も必要なくなってしまっている。プロでなくとも才能ある人は世の中に何万人もいるから,PCやデジタルカメラなどで使うことのできる各種ツールを駆使すれば,立派な映像作品を個人でいくらでも製作することが可能となっている。まさに技術革新の結果だと思う。
そして,インターネットは,電波と異なり,周波数帯の独占や分割といった面倒な作業が全く必要ない。このことから,乏しい電波資源をこまかく切り刻んで番組表というものを構築する必要が最初からないのだ。
加えて,インターネットの世界では,傲慢でありながら勉強不足だったり頭が悪かったりする評論家やニュースキャスターや解説者等の自分勝手でひとりよがりな私的見解を,あたかも正論や多数意見等であるかのようにして押し付けられることもない。インターネットでは,利用者の側で,必要とする「見解」を探し回るのであり,テレビ電波によって特定の見解を押し付けられることがないのだ。このことは,実に,非常に大きなことだろうと思う。
これからの時代は,真に実力があり,頭脳が冴えており,丁寧に事実を押さえ,熟慮・検討を重ね続けている専門家でなければ,誰もその意見を聞いてくれない時代になるだろう。評論家,ニュースキャスター,解説者等の職にあるから意見が通ると思い込むことがまかり通ってしまうような「自己満足の時代」は,一日でも早く終わらせなければならない。これまで,国民は,あまりにもひどく,そのような自己満足を押し付けられ続けてきた。文化的には,極めて悲惨な時代だったと思う。
かくして,やはり,テレビの時代は終わった。
そして,新たな映像コンテンツの時代が始まる。
なお,私の意見もまた,私が批判するメディア人等の意見と同様に自己満足の一種かもしれないし,その中には傲慢と思われるようなものも含まれているかもしれない。しかし,私は,他者に対して,自分の意見を受容するように強要しているわけではない。興味をもった人がこのブログに立ち寄って読み,つまらなければ二度と読みに来ない。ただそれだけのことだ。
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