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2010年7月12日 (月曜日)

英国:school waiting listに登録されているライバルの児童を蹴落として自分の子供を有利にするために,相手の児童の母親になりすましてリスト登録削除しようとした母親に対して捜査開始

日本でも同じような制度があるのかどうかは知らないが,英国では,児童が入学希望する学校についてschool waiting listというものに登録することができる制度になっているようだ。ところが,ライバルの児童を蹴落として自分の子供を有利にするため,相手の児童の母親になりすまし,相手の母親の名でGmailアカウントを作成した上で,child from school waiting listに登録されている相手の児童の名前を消去しようとした母親がいるそうだ。下記の記事が出ている。

 Mother faked ID to 'disappear' child from school waiting list
 Register: 11th July 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/07/11/school_id_fake_ruse/

何とも馬鹿な母親だと思うのだが,日本でも何人かは同じようなことをする母親が出現しそうなので怖い。世界中どこでも受験競争は厳しいだろうから,どの国においても同様の行為が実行される可能性はある。

ちなみに,メールサーバへの無権限アクセスも日本国の不正アクセス禁止法上の不正アクセス行為になる。しかし,Gmailのように誰でもアカウントを作成できるシステムでは,他人の名前でアカウントを作成したというだけでは,アクセス管理者が既に作成している他人の識別符号を用いたとはいえず,他人の名前であっても自分用のアカウントを作成しただけのことになるだろうと考えられる(ニックネームでのアカウントの作成が認められている場合,芸能人や有名人など他人の名前でアカウントを作成しても,直ちに違法とは言えない。現実に,そのようなニックネームは数え切れないほど多数存在する。)。それゆえ,この事件のようなタイプの行為が実行された場合,不正アクセス罪が成立しない可能性が高い。

強いて言えば,もしその学校が公立学校であるとすれば,公正証書原本電磁的記録不正作出罪(刑法157条)が成立すると考える程度かもしれない。私立学校の場合,私電磁的記録毀損罪(刑法259条)を考えるしかないが(既遂の場合),その成立はちょっと厳しいかもしれない。単なる予約や登録が権利義務に関する電磁的記録といえるかどうか疑問だからだ。

要するに,メールを使ったことが問題なのではなく,何らかの手段を使って,予約や登録等に該当するデータを消去させた場合,どのような罪が成立するかが問題なのだ。

日本の刑法では,ここらへんがちゃんとしていないことは明らかだ。

とはいえ,この関係で刑罰法令が整備される見込みは,ほぼ皆無なので,システム管理者としては,本人確認の方法を厳格化するという対処しかなさそうだ。ちなみに,この事件では,電話で確認をとったらしいのだが,その電話でも相手の児童の母親になりすましていたということだし,また,児童の名前,生年月日及び住所も正確に入力されていたらしいので,このような本人確認方法では全くぜんぜん駄目だということになりそうだ。

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