英国:デジタルエコノミー法は,EUの電子商取引指令に違反している?
BTなどの主要ISPは,著作権侵害的なコンテンツを配信するサイトの遮断を定めているデジタルエコノミー法が,EUの電子商取引指令に反するとして,訴訟を提起する模様だ。下記の記事が出ている。
BT and TalkTalk challenge Digital Economy Act
BBC: 8 July 2010
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/10542400.stm
日本では,抽象的違憲審査権が認められないとするのが最高裁の公式見解(判例)なので,英国におけるような訴訟を提起することがそもそもできない。仮にそのような訴訟を提起することができたとしても,現在の裁判所の構成からすると,憲法違反として無効との判断をする可能性は皆無に等しいだろうと思う。
ただ,この問題は,英国の問題だけではないということに留意する必要がある。
日本は,欧州各国と経済的に非常に緊密な関係にある。したがって,日本国が,相手方である欧州諸国において規範として通用しているルールに極端に反するような政策をとった場合,何らかのぎくしゃくした関係が発生する可能性はある。日本国は,電子商取引が国境とは無関係にインターネット上でなされること,欧州の企業等との間での電子商取引でもそのことには何ら変わりがないということを考慮しなければならないのだ。
英国での結論がどうなるのかは分からない。おそらく,英国の裁判所ではBT側の敗訴になるだろうと予想されるので,最終的にはEUの裁判所で争われることになるだろうと思う。
その動向には注目し続けなければならない。
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