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2010年6月21日 (月曜日)

顔認証システムを使った商業宣伝広告実験を複数の駅で開始

今朝のNHKニュースを視ていたら,六本木駅などに小型カメラと顔認証システムを組み込んだ画面表示型商業宣伝装置を設置し,その商業宣伝広告を見た人の性別と年齢を自動的に検出して集計する実験が開始されるそうだ。

顔の画像データは保存されないようになっているからプライバシー侵害はないとの見解に基づく実験とのことだ。

問題点は次のとおり。

1)経営陣に対しては画像データの保存をしないと説明して決済を受けているかもしれないが,本当に画像データが保存されていないかどうかは分からない。技術者がこっそりと画像を外部のデータセンターに無線または有線で伝送し蓄積してしまうような仕組みを組み込んでしまっているかもしれない。また,リモートによりリアルタイムで画像の状態をチェックできる仕組みになっている場合,そのチェックをするための端末装置のほうでは画像データの蓄積をすることが可能だ。システム全体の安全性及び信頼性について,外部の監査機関による徹底した検査をすべきだろう(なお,主務大臣は個人情報保護に関して全く無知・無能なのが普通なので,この問題について個人情報保護法に基づく行政監督が機能する可能性は著しく低い,または,皆無に近い。)。

2)カメラが設置されていることを明確に表示する仕組みが用意されていない。この装置は,セキュリティの目的その他公共的観点から正当業務行為として是認されるものではなく,単なる私企業の商業活動の一部に過ぎない。関係のない人間がそのような私企業の商業活動の一部としてのデータ収集に協力すべき義務はない。したがって,その装置によってデータを収集されたくない人間がその場所を避けて通ることができるように,カメラがあることの表示とカメラの撮影可能範囲を示す表示を設置すべきだろう。この表示は,できるだけ大きく,かつ,明瞭なものでなければならない。そして,カメラが撮影可能な範囲内にある場所を通らなければ通行できないような場所には,この装置を設置してはならない。社会的には危険物の一種として扱うのが正しい。

3)オプトアウトの仕組みがない。「何だろう?」と思って画像表示される商業宣伝広告を視た通行人が,あとからデータをカウントされていることに気づいた場合,自分のデータを消去できるスイッチを設置すべきだろう。商業宣伝広告をする会社が,一方的にデータを収集する権利を有するという見解は,極めて偏っている。

4)反論の機会がない。このようなデータ収集をすることに反対する者があっても,その意見が反映される仕組みになっていない。このままでは,怒って破壊行為に及ぶ者が出てきてしまっても何ら不思議ではない(←日本は比較的平和なので実際に破壊行為が発生するかどうかは不明だが,もしこれが海外で実行されるとすれば,直ちに破壊されてしまう危険性が十分にある。)。

5)データの信頼性が全くない。画像データが蓄積されていない場合,プログラムによる自動的な(性別及び年齢の)推論とデータ化が正しく行われたかどうかを検証することができない(検証できるように画像データを保存しようとすれば上記1の問題が発生する。)。また,心理内容を計測することはできないから,例えば,真実は「くだらない」とか「才能ゼロだ」とか「わが社のものの盗作だ」とか「馬鹿な宣伝だ」とか「やめてしまえ」とか「企画したやつは馬鹿だ」とか「さっさと倒産してしまえ」とか「経営者は無能だ」とか「商業宣伝広告会社に騙されて哀れだ」等と思いながらその商業宣伝広告を視ている者が圧倒的多数だったとしても,それらの者が等しく「興味をもった者」としてカウントされてしまう。したがって,このシステムによって収集されたデータには,常に何らの客観性も合理性も信頼性もない。お金の無駄遣いだ。

なお,以上のように書くと,「それではデータ収集が難しくなってしまうではないか?」との批判が出てくるかもしれない。賢い読者であれば,そのような批判を口にする者があれば,「やはり馬脚を現したな」ということを即座に認識・理解することができるだろう。建前論としては,「その商業宣伝広告に興味をもった人のデータを収集したい」ということになっているのだから,関係のない人のデータを収集できなくても,全く問題がないはずなのだ。(笑)

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