経済産業省:「クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会 報告書(案)」に対するパブリックコメントの募集
下記のパブリックコメントの募集が開始されている。
「クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会 報告書(案)」に対する意見公募
経済産業省: 2010年06月22日
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595210017&Mode=0
競争という観点では,パブリッククラウドが極端な寡占を必然的に発生させることは疑うべき余地が全くないので,国際競争力という幼稚なレベルで議論しても意味がないのではないかと思う。
例えば,日本政府が単一のクラウドシステムを導入し,各省庁が仮想マシンを利用するとした場合,それまで各省庁で個別に導入していたシステムは全部廃棄(契約終了)となり,1社だけが生き残ることになる。つまり,パブリッククラウドの大規模導入は,IT企業のジェノサイドのような状況を必然的に発生させることになる。そして,その結果として,それぞれのIT企業から依頼を受けて仕事をしている監査法人や顧問弁護士等にも大量絶滅の危機が訪れる。つまり,産業界の大破壊が発生し,恐慌へと突入する危険性が極めて高い。このことは,どの国でも同じ。
他方,日本国政府の方針を決める会議及びその報告書の作成に外国の企業の人間が混じっているという点がどうしても理解できない。一般に,ある国の基本政策は,国家主権と国防問題を含み得るものである以上,自国の人間だけで構成された委員会等で審議され決定されるべきだ。米国連邦議会の委員会でも,外国企業の人間が査問(公聴会)で質問を受けるために出席することはあるが,意思決定に加わることはあり得ない。これは,国というものの本質を考えた場合,当然すぎるくらい当然のことだ。
なお,民間団体等において外国企業も参加して調査検討を行い,必要な提言をまとめることは,もちろん自由だし,有意義なことだと思う。ビジネスのチャンスは外国企業にも広く提供されていなければならない。しかし,国家政策の策定は,全く異なる次元に属するものだということを自覚しなければならない。このような意見は,例えば,米国の全ての連邦議会議員の信念とも一致するものだ。日本国の国会議員及び公務員もそのように考えなければならない。
このようなメリハリというものを考えないで国政が運営されている事態を深く憂慮する。
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