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2010年5月 3日 (月曜日)

オンラインバックアップサービスの法的問題点

様々なところで「オンラインバックアップサービス」なるものが提供されている。無料のものも少なくない。基本的には,クラウドなどの余剰ディスクエリアを提供するものだろうと推測される。

幾つかのものについて検討してみたところ,問題のあるものがあることがわかった。これらは,すべて消費者保護関連の法令に抵触する可能性がある。

1)バックアップと言っても,データのバックアップだけであり,PCの復元ができるわけではないのに,紛らわしい表示をしているものがある。

2)「データのバックアップにより不慮のデータ消失に対応することができる」と表示しておりながら,バックアップサーバにおけるデータ消失があり得ることについては何も触れられていないか,または,バックアップサーバにおけるデータ消失があっても何らの責任も負わないと明示している。つまり,利用者側のデータ消失に対応できない場合があり得ることを明示していない。

3)サーバ側の原因でバックアップされているはずのデータが消失したり,外部に漏洩したり,第三者からアクセス可能となったり,利用できない状態になったりした場合でも,何らの損害賠償責任を負わないとする免責約款を有するものがあるが,明らかに法令違反であり無効である。

4)プライバシーポリシー及びセキュリティポリシーが明示されていない。

5)サービス提供者が日本国に所在しているかどうかが不明な場合がある。事業者としての表示がなされているとはいえない場合もある。

6)国際的な裁判管轄地が日本国以外の国にあり,準拠法も日本国法以外の法であると約款に定めている例がある。そして,その多くの場合において,「日本では裁判ができない」ということが消費者にとって簡単に理解できるように情報提供がなされていない。

7)オンラインバックアップサービスの利用を薦める商業宣伝広告等の表示を抑止する方法が提供されていない場合がある(PCのベンダがサービス提供である場合などには,商業宣伝広告表示機能が最初から当該PC内に組み込まれており,電子メールなどを介さないで商業宣伝広告がなされることがある。)。

以上のようにかなり問題が多いサービス提供である場合があるのに,安易にそれを利用する消費者は必ずしも少なくないだろうと推定される。

監督官庁は,詳細に調査を遂げた上で,厳しく行政指導するべきだろう。基本的には,「一切の責任を負わない」ようなサービス提供をする事業者に対しては,サービス提供を禁止する措置を講じた上で,処罰するという方向で検討を進めるべきだろう。

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