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2010年5月20日 (木曜日)

大手ISPが児童ポルノのブロッキングの方向へ

下記の記事が出ている。

 児童ポルノ:ネット4社、遮断合意 今年度中に実施へ
 毎日jp: 2010年5月19日
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100519ddm002040204000c.html

基本的に反対する趣旨ではないのだが,下記の点には配慮してもらいたいと思う。

1) ブロッキングを徹底すると,(サイバーパトロールを含め)警察もアクセスできなくなってしまうことから,捜査の端緒を発見できなくなってしまう。また,違法サイトであるかどうかの判断もできなくなってしまう。なにしろ,アクセスできないので,サイトが本当は存在していてもインターネット上から消滅したように見えてしまう。その結果,特殊な回線を通じてアクセスすることを知っている者らが逆に安心して児童ポルノのやりとりをできるようになってしまう危険性がある。この場合において,警察だけはどのサイトにもアクセスできるようにすることは,国民の理解を得ることが非常に難しいだろうと思う。

2) ブロッキングの対象をIPアドレスとする場合,かなりう大規模なサイトが突如としてインターネット上から消えてしまうような事態の発生があり得る。例えば,大規模な写真サイトや動画サイトについて,IPアドレスでまるごとブロッキングしてしまうと,そのサイトのほとんどすべての写真や動画などが適法なものであったとしても,一切アクセスできない状態が発生することになる。したがって,何をブロッキングの対象にするのかについて十分に練った検討を要する。

3) ブロッキングが間違いであったような場合について,法的救済手段を予め検討しておくことがある。「何が児童ポルノであるのか?」という判断基準に関し,相対的で主観的な判断基準を適用せざるを得ない場合があり,この場合に,ISPの判断が常に正しいということなどは絶対にあり得ない。つまり,一定割合で常に間違いが発生する可能性があることを前提にマネジメントを構成しなければならない。

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