総務省:政府クラウドに関する研究結果を公表
総務省の「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」は,今後の政府システムとして導入される(と一部の者から強く期待されている)クラウドコンピューティングに関する調査研究結果を,政府プラットフォーム研究の最終報告書という形式で公表した。
「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」最終報告書
総務省:2010年4月16日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/28038.html
「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」最終報告書~政府共通プラットフォームの構築に向けて~(平成22年4月)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000062730.pdf
この報告書の中では,「仮想コンピュータ」としてクラウドコンピュータの導入を強く推進する見解が述べられている。そこで描かれていることは,普通に読めばプライベートクラウドのようにも読める。
しかし,資金的な問題があるので,全面的にプライベートクラウドとすることは難しく,現実には,機密性の低い一般事務などは民間のパブリッククラウドを利用するというような政策が採用されることになるだろう。その場合,プライベートの部分とパブリックの部分のブリッジを介して政府システム全体が汚染されたり攻撃されたりする危険性は十分にある。一般に,経済性だけを優先すると,そういうことがしばしば起きるということは歴史上何度も証明されてきた。
だから,もし問題があるのであれば,電子処理をやめてマニュアル処理を継続すればよいのだ。長期的な視野からすれば,遅くても安全なほうがずっとマシということがいくらでもある。
また,電子化した場合,必ずしも早くはならない事務処理が数え切れないほど多数存在することも事実だし,電子化した結果として人員削減が発生し,そして,過重労働から過労死などの労災事件や信じられないような加護事例が多発していることも歴史的事実が証明するところだ。
要するに,世間というものは,最適解は必ずしも最適解なのではなく,一定の「ゆるみ」を保った解のほうが総合的には優れているということがいくらでもあるし,一般的には,ほとんどすべての事例についてそうだと言えると思う。
以下は,あくまでも一般論。
一般に,どの研究会や審議会等でもそうなのだが,当該研究会や審議会等の座長が研究や調査の対象となる事象について強力な推進派であることが最初から判明している場合,その研究会や審議会等の委員は座長の見解に反対の立場をとりにくい。これは人情というものだ。そして,結果的に,研究会や審議会が開始された当初に期待されたとおりの結論しか出ない。このことが日本政府の政策を大いに歪め,数え切れないほど多数の失敗と税金の無駄遣いを発生させてきたことは言うまでもない。
このことは,当該事項を所管する官庁の担当課長等がコントロールすることのできないほどかけ離れて有能な者を座長とすることを嫌うことがあるということにも起因しているのではないかと思う(←担当課長が非常に有能である場合には逆にそのような二流または三流の者が座長として選任されることは少ない。一般的には,無能な者が担当課長であればあるほど発生しやすい事象だと理解している。)。その結果,日本では,二流か三流に属する者が「第一人者」としてまかり通ってしまうという奇妙な現象が発生してしまいかねないことを否定できない(←過去の座長等のすべてが二流または三流だったという趣旨ではない。)。ちなみに,私自身は,一流~三流の外にいる存在なので,政府の研究会や審議会等の座長をつとめる機会は生涯ないだろうし,その責任の重さに悩むこともないだろうと楽観している。(笑)
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