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2010年4月12日 (月曜日)

総務省:利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会(第5回会合)配布資料等

総務省のサイトで,利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会(第5回会合)の配布資料等が公開されている。この中には,「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第二次提言(案)」が含まれている。

 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会(第5回会合)
 総務省:2010年4月9日
 http://www.soumu.go.jp/menu_sosiki/kenkyu/riyousya_ict/27773.html

 利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第二次提言(案)
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000061991.pdf

この「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会第二次提言(案)」は,「案」とされているので,まだ確定版ではないと推定されるが,一応読んでみた。問題となり得る箇所が何箇所かある。事実の把握と分析の正確性に問題があるために生じているのではないかと推定される。

他方で,マネジメントの手法を明確に意識していないために問題が発生し得る箇所もあった。例えば,54頁以下の部分にはDPI(ディープパケットインスペクション)についての検討結果が書かれており,原則として違法との結論になっているのは良いのだが,まとめとして「このように、DPI 技術を活用した行動ターゲティング広告の実施は、利用者の同意がなければ通信の秘密を侵害するものとして許されない。利用者の同意が明確かつ個別のものであることが必要なことは、前記②記載のとおりであるから、同意に当たっての判断材料を提供するという意味で、利用者に対してサービスの仕組みや運用について透明性が確保されるべきである。よって、DPI 技術を用いた行動ターゲティング広告については、各事業者は、透明性の確保に向けて運用に当たっての基準等を策定し、これを適用することが望ましい。」と書かれている。この「透明性」を確保するためのマネジメントの手法を明記する必要がある。一般的には,透明性を確保するためとして提示されている合意条件(←システム上の問題なので,DPIを実施する企業の側の義務となる部分がほとんどすべてになると理解する。)が確実に履行されているかどうかを利用者の側で任意に「検証」できるか否かが要件となるだろう。しかし,この点について,この「案」では明確にされていない。ちなみに,「検証」を可能とするようにシステム運営をした場合,企業の側での「うまみ」のようなものが乏しくなってしまうだろうと推測されるので,まともな運用をするという前提にたつ限り,DPIを企業が採用することには何のメリットもないという結論になりそうだ。逆に,DPIを採用している企業に対しては,疑いの目を向けるべきことになる。


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