Daniel J. Solove & Paul M. Schwartz, Information Privacy Law (3rd ed.)
アマゾンに注文していたDaniel J. Solove と Paul M. Schwartzの『Information Privacy Law (3rd ed.)』が届いたので,早速読んでみた。ただし,1128頁もある書籍なので,その全部を精読することは不可能。目次をめくってから,興味のある部分を拾い読みしてみた。
Information Privacy Law (3rd ed.)
Daniel J. Solove, Paul M. Schwartz
Walters Kluwer (Nov. 7, 2008)
ISBN-13: 978-0735576414
プライバシーに関連する書籍は日本でも数え切れないほど多数出版されている。その大半は中身が薄い。とりわけ,情報社会やネット社会におけるプライバシー保護との関連に特化した書籍で,きちんと書かれているものは非常に少ないし,網羅的なものは1冊も存在しない。
そこで,やむを得ず,こうして外国の書籍を購入して読むことになる。
電子ブックの時代になってはいるが,やはり,物体としての書籍を丁寧に読んだほうがしっかり理解できるのは,私が既に化石人類になってしまっているからかもしれない。(笑)
それはさておき,国防及び諜報関係の事柄としての通信傍受(戦時の法)に関してはあまり詳しく書かれていないけれども,それ以外の「平時の法」に関しては実に丁寧に書かれており,日本における法的課題を検討する上でも資料的価値が非常に高いのではないかと思う。重要なケースがほとんど全部収録さえており,米国以外の国々のプライバシー法制に関する資料も充実しているので,これ1冊あれば,とりあえず足りるような気がする。
この書籍に書かれていない事項については,いくつかの書籍が刊行されてはいるが,そう多くないので,結局,丹念に専門論文を探し,かつ,論文ではないWeb上の論説を網羅的に読んだ上で自分の頭で構成しなおしてみるという作業を繰り返すしかないと思う。とりわけ,最新の課題については,書籍として出版できるまで議論が成熟していないので,書籍からまとまった知見を得ることは不可能なことだ。
というようなことを考えてみると,この書籍は,情報社会におけるプライバシー問題を考える際に,非常に有用なものの1つと評価することが可能だろうと思った。
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