SXSW 2010におけるDanah BoydのOpening Remarksはプライバシーとパブリシティに関するものだった
日本では,会議やイベントの開始の際に「開会挨拶」というものをやるのが通例だ。しかし,その内容は型どおりのものが多く,少しも面白くない。開会挨拶で個性を出すことが許されない社会なのかもしれないと思うことが多い。他方,海外のconferenceに参加した経験によれば,Opening Remarksの中でいかに参加者の気持ちを集中させるかということに最大の工夫がなされているということがよく判る。要するに,Opening Remarksは,単なる開会挨拶なのではなく講演に近いものだし,それを担当するということは大きな名誉に属する。閉会の際のClosing Remarksもまた,単なる閉会挨拶なのではなく,その会議やイベントでなされた討議を集約し,次へつなげるという非常に重要な役割を果たしているので,これまた普通の人ではこなせない仕事だといつも思っていた。
さて,SXSW 2010というイベントが開催中だが,その開会の際のDanah BoydによるOpening Remarksは,プライバシーとパブリシティという法律問題に関するものだったようだ。芸術関係のイベントでこのような内容のスピーチがあるということそれ自体が,GoogleやFacebookなどに対する懐疑心の高まりを象徴しているのではないかと思われる。
danah boyd's Opening Remarks on Privacy and Publicity
sxsw.com: 03/14/2010
http://sxsw.com/node/4604
SXSW 2010: Google and Facebook failed on privacy, says Danah Boyd
Telegraph: March 14th, 2010
http://blogs.telegraph.co.uk/technology/shanerichmond/100004756/sxsw-2010-google-and-facebook-failed-on-privacy-says-danah-boyd/
How Technology Really Threatens Liberalism
First Thing: March 14, 2010
http://www.firstthings.com/blogs/postmodernconservative/2010/03/14/how-technology-really-threatens-liberalism/
One Analysis of the Google Buzz Mess
New York Times: March 13, 2010
http://bits.blogs.nytimes.com/2010/03/13/one-analysis-of-the-google-buzz-mess/
日本の芸術関係のイベントだと,「しらけさせる」との懸念から,この手のスピーチをする人は,開会挨拶はおろか講演者としても呼んでもらえないのが一般的だ。
しかし,本当に自分に自信があるなら批判めいた発言があってもぜんぜん気にならないはずだ。
「盛り上げること」ばかり考えていないで,もう少し大人に成長することを考えないと,日本は駄目になるのではないかと思う。
それにしても,今日もまたココログは不調だ。何度も奇妙なエラーメッセージが出て,アップロードに失敗してしまう。ほとんど使い物にならないレベルまでサービス品質が低下してしまっている。ただし,同じようなトラブルは他のブログサイトでも発生している。いずれも仮想コンピュータ技術を使っているところなので,同じタイプの脆弱性があるのだろうと推定している。仮想マシンをネットワーク経由でビジネスで使うことは著しく危険だ。
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