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2010年3月29日 (月曜日)

米国:医療保険の詐欺的利用を防止するためには,RFIDチップを身体に埋め込むことが必要になる?

下記の記事が出ている。

 National Healthcare Will Require National RFID Chips
 Right Side News: 27 March 2010
 http://www.rightsidenews.com/201003279260/editorial/national-healthcare-will-require-national-rfid-chips.html

個人識別のために電波チップを身体にインプラントする(埋め込む)というアイデアは随分古くからある。例えば,ウイリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』でも身体に埋め込まれたマイクロプロセッサによる識別と監視のことが描かれており,しかも,それを奪うための殺人まで描かれている。要するに,身体に埋め込まれた識別用機器類を奪って「成りすまし」をするために,殺人が増加する可能性が示唆されているのだ。

現時点における人間の同一性識別は,外部的要素としての符号列のマッチングによってなされている。生体認証といっても,それは外部から観察可能な要素を符号化し,データベースに登録されている符号列とのマッチングをしているのに過ぎないので,非常に複雑ではあっても,基本的にはIDとパスワードのマッチングと何も変わるところはない。つまり,識別要素を奪うために殺人が必須となるわけではない(←ただし,脳内に記憶されている符号列を強制的に自白させるために暴行や拷問などがなされ,その結果として,その暴行や拷問などを受けた者が死亡することはあり得る。)。これに対し,身体に埋め込まれる電子機器は,それを取り出すために,基本的に殺人が必要となることが多い。殺人まで至らなくても,例えば,腕にチップが埋め込まれている場合には,腕の切断が横行することが予想される。

かくして,理論上では「スマートな」同一性識別手段を導入することは,現実には「スマートでない」どころか非常にグロテスクな世界を到来させることになるだろう。

かつて画家ヒロニムス・ボッシュが描いた不思議な祭壇画を思い出してしまった。

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