パブリッククラウドの利用により山ほどの法律問題が出てくる可能性
下記の記事が出ている。
Is a legal challenge to cloud inevitable?
CNET: March 17, 2010
http://news.cnet.com/8301-19413_3-10469214-240.html
やっと理解されてきたようだ。遅すぎる感もあるが,私と同意見の人が誰もいない状態よりはかなりの進歩があると認める。
冷静に考えれば誰でもわかることなのに,「なぜ冷静に考えようとしないのか?」が,私にとっては理解できないことなのだが・・・
さて,今月末には,私の英語論文が出版される。昨年開催された情報ネットワーク法学会での研究報告をベースにして,更に深く原因を探求してみた論文だ。原理は非常に簡単で,要するに,「パブリッククラウドの利用者の統制が否定される」ということからすべての問題が発生している。これを「ベンダー側の情報セキュリティの問題」に摩り替えてしまうことは単なるごまかしに過ぎない。仮にベンダー側の情報セキュリティが完璧だったとしても,問題の本質は何一つ解決できていないからだ。
他方,この記事でも指摘されていることの一つなのだが,国際的裁判管轄権の問題は,技術によっては絶対に解決できない問題の一つだ。
これまでのIT社会は,おそらく技術者主導で拡張されてきた。しかし,技術者では絶対に解決できない問題が多数存在することを認めるべきだ。国際的裁判管轄権の問題は,法律家でも部分的にしか解決できない。これは,国際政治または国際経済の問題である部分や露骨な独占と実力による支配の問題に属する部分が多すぎるからだ。
正直に事実を直視すべきだろうと思う。
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-d36d.html
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