IPA:「クラウド・コンピューティング社会の基盤に関する研究会報告書(案)」に対する意見(パブリック・コメント)の募集
IPAのサイトで,下記の報告書(案)に対するパブリックコメントの募集が開始されている。意見募集期間は,平成22年3月4日(木)~3月17日(水)18:00までとのこと。
「クラウド・コンピューティング社会の基盤に関する研究会報告書(案)」に対する意見(パブリック・コメント)の募集について
IPA: 2010年3月4日
http://www.ipa.go.jp/about/pubcomme/201003/index.html
さて,あくまでも一般論だが,パブリックコメントという仕組みには良い面と悪い面とがある。
良い面としては,報告書を独善的なものとしないということだ。ただし,体裁だけパブリックコメントを募集しておいて,実際にはただの1文字も反映させることのなかった例や反映させる気が最初からなかった例などが山ほどあるので,あくまでも建前論としてはそういうことがいえるというのに過ぎない。現実問題として,責任のない外部の者の意見をそうそうたやすく反映させるわけがないから,その意味では虚構の一つであることは当然のことかもしれない。
悪い面としては,もしまともな意見が提出されたとすれば,そのような意見を書ける人はその分野におけるそれなりの専門家であることが多いはずだし,まともな意見である以上,そのような意見文書の作成には本来であれば相応の報酬が支払われるべきものだということだ。つまり,報酬を払わずに専門家の意見書をかき集めるためのシステムとして悪用されているのと同じ結果を生じさせることになる。
また,もう一つの悪い面としては,寄せられた意見を採用しようと採用しまいと関係なく,「一般公衆から意見を求めた」という事実が免罪符のような役割を果たしてしまうということだ。
さらに,パブリックコメントを記載した文書もまた「著作物」の一つであるはずなのだが,その意見を最終版に反映させる場合の著作権処理のルールが存在しないかまたは非常に不適切である。結果的に,著作権侵害となるパクリを合法なものと見せかけるような機能を果たしてしまっている。
解決策については,次のように考える。
① 「パブリックコメントを募集したか否かによって当該文書の信頼性や優劣等を評価してはらない」ということを情報倫理の基本として徹底・普及する。
② パブリックコメントとして送られた文書については,完全な情報公開を実施する。
③ パブリックコメントを反映させるための期間が短すぎるし,たいていの場合,どのように反映させるべきかについての会合は開催されずに事務局だけの勝手な判断で最終版が作成されてしまうのが普通であるので(仮に,電子メールによる持ち回りのものを含め,何らかの会合を開催したとしても,予定された正規の委員会以外の臨時開催となり,かつ,予算がないので無報酬の仕事という極めて常識はずれの結果を招くことになる。),これらの点に関して弊害を除去するように現行の予算制度を根本から改める。
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