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2010年3月 7日 (日曜日)

オーストラリア:児童が被害者となるサイバー犯罪などの事案に警察が対応できていないことに対する批判

オーストラリアの全ての警察がそうだという趣旨ではないと思われるが,児童が被害者となるサイバー犯罪についてビクトリア州警察が対応できない(その種の犯罪捜査のための訓練を受けていない)ために,サイバー犯罪が見過ごされてしまっているとして,厳しい批判が出ている。

 Cyber-crime cases ignored by untrained police
 The Age: March 7, 2010
 http://www.theage.com.au/victoria/cybercrime-cases-ignored-by-untrained-police-20100306-ppth.html

もちろん,世界中のどこの国の警察であっても,全ての警察官がサイバー犯罪に精通し,十分な訓練を受けているなどということはあり得ないことだ。このことは,検察官,弁護士,裁判,大学の法学部教授であっても全く同じことだ。神ではないので,万能の人間など存在するはずがない。

しかし,自分が不得意な分野または自分では処理することのできない案件であれば,それに対応可能な部署や人に案件を回すということは,どの組織でもやっていることだし,そうでなければ組織は機能しない。

要するに,事案の分類(仕分け)と,適切な担当部署への回付のための仕組みと訓練ができていないということになる。これは,「縦割りを強化せよ」という趣旨ではない。常に,分類基準は見直されなければならないし,見直された分類基準に柔軟に対応するためには硬直な縦割構造は不適切だと考える。にもかかわらず,やはり専門部署は必要であり,専門部署へ速やかに案件を回付するための手順が構築され,その回付のための訓練が繰り返しなされなければ,最前線の警察官だってどのように判断・行動してよいのかわからないことになることは当然の結果だろうと思う。

その意味で,この記事に書かれている主張は,半分は正しいのではないかと思う。

日本の警察は,サイバー犯罪捜査能力を高めている。しかし,普通の交番の警察官はそうであるはずがない。にもかかわらず,サイバー犯罪に属する被疑事件の相談や被害申告などは普通の交番で申し立てられることがあるかもしれない。その場合の対応について,十分な訓練がなされていないと,日本の警察についても同じような批判がなされることになるだろうと思う。

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