« 米国:都市ガス会社がスマートメータを導入したことが合衆国憲法に定める人権侵害にあたるとするクラスアクション | トップページ | 中国:HPが不良品のノートPCを販売? »

2010年3月18日 (木曜日)

音楽コンテンツの製造・売上は減少傾向

社団法人日本レコード協会の統計によれば,2月の売上は1月よりも少し回復したようだが,昨年からの全体的な傾向を見ると,やはり現象傾向に歯止めがかかっていないように見える。2月の回復は有料配信の増加によるものであり,CDやテープなどの製造・販売の状況はどんどん悪化している。

 日本レコード協会:各種統計
 http://www.riaj.or.jp/data/index.html

その原因をどのようにとらえるかについては,各人の意見があるだろう。

私は,良い作品と良い演奏が枯渇していることと,人口の減少のためだと考える。

とにかく,天才的な作詞家や作曲家がいない。スターがいないところでは盛り上がるはずがない。もちろん,現在活躍しているアーチストの熱狂的なファンはいるだろう。しかし,私の審美眼で評価した場合に何百年でも残りそうな曲を書いていると判定可能なアーチストはゼロだ。ポップスに限定すると,どの曲も基本的なコード進行がほとんど同じであり,要するに替え歌の一種に過ぎないものが圧倒的多数を占めている。

人口の減少については特に述べることはないだろうと思うが,現時点で労働により収入を得ることのできる世代に資金的な余裕がないこともまた事実なので,音楽にまで支出するだけの余裕はない。

そして,確かに違法コピーされたコンテンツの流通という重大な問題があることは事実だ。ただし,何回も書いてきたとおり,もともと支出可能な収入のない人々が主に違法コピーを入手しようとするのだろうから,それを取り締まったところで音楽コンテンツ産業の収入が増加するとは到底考えられない(←違法コピーを黙認する趣旨ではない。)。

更に,音楽以外の娯楽が拡大している。ゲームにはまって廃人になってしまう人がいるくらいだから,音楽を愛する人口が全体として減ってしまうのも無理はない。

要するに,時代は変化してしまったのだ。

音楽産業界は,古いビジネスモデルのみで発想している限り,この状況から抜け出すことはできないだろうと思う。

現在のところ,音楽著作権管理団体はとてつもなく巨額の資金をもっているから,非常に有力な圧力団体となり得ている。それゆえ,世界各国とも,著作権強化の方向でのロビー活動により著作権法改正がなされてきたし,今後もなされることだろう。

しかし,そのように資金が潤沢にある状態がいつまで続くのかは,誰にもわからない。

|

« 米国:都市ガス会社がスマートメータを導入したことが合衆国憲法に定める人権侵害にあたるとするクラスアクション | トップページ | 中国:HPが不良品のノートPCを販売? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 米国:都市ガス会社がスマートメータを導入したことが合衆国憲法に定める人権侵害にあたるとするクラスアクション | トップページ | 中国:HPが不良品のノートPCを販売? »