棚橋祐治監修『不正競争防止の法実務』
『不正競争防止の法実務』という新刊書の寄贈を受けたので,早速読んでみた。
不正競争防止の法実務
棚橋祐治監修
金井重彦,宍戸 充,菅原貴与志,松嶋隆弘編著
三協法規出版(2010/2/25)
ISBN-13: 978-4882602132
タイトルからすると不正競争防止法の解説本のような印象を受けるが,実際にはちょっと異なる。
日本における不正競争の類型を誤認行為,信用毀損,秘密漏洩及び競業行為という4つの類型に分類した上,それぞれについて,商法,会社法,不正競争防止法,民法,個人情報保護法など関連法令の相互関係を強く意識しながら,総合的に解説する書だった。
不正競争行為のこのようなとらえ方は極めて合理的だと思われる。不正競争防止法だけでは対応できていないように見える事象であっても,他の関連法令の適用によってコントロールされていることがあり,それらを総合的に理解することが重要だからだ。
事例についても最新のものの中から重要な判決例等が網羅されており,索引的な機能としても満足すべきレベルにあると思われる。
実用書としてだけではなく,理論的な考察のためにも多くの示唆を与える書だと評価できるので,紹介することにする。
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