タブレット型コンピュータの普及により,新たなリスクが発生するかもしれない
iPadの予約が好調のようだ。
iPad mania: hot presales, iBooks info, 3G model semipopular
ars technica: March 15, 2010
http://arstechnica.com/apple/news/2010/03/ipad-mania-hot-presales-ibooks-info-3g-model-semipopular.ars
今後,タブレット型のコンピュータの人気が上昇すると見込まれているが,その予測を裏付けるものだろうと思う。
ただし,画面が露出しており,蓋がない(←通常のノートPCなどでは蓋の裏側が画面になっており,蓋を開くと画面が露出するようになっている。)ために画面が破損しやすいという問題と,そして,画面上のタッチパネルで操作するために,画面の汚れや微細な破損などにより操作が不完全となることがあるという問題はあるので,今後ずっと人気が続くかどうかは判らない。
ここから先は,あくまでも一般論なのだが,このようなタブレット型コンピュータの普及により,新たなリスクが発生するかもしれないと考えた。
例えば,新たなタイプの公然わいせつ物陳列罪が出てくるかもしれないということが考えられる。
現在のワンセグ携帯でも電車に乗りながらエロ画像を見ることは可能だ。しかし,画面が小さいし,基本的にはそのワンセグ携帯を操作している本人にしか画像が見えない。
ところが,タブレット型コンピュータでは,画面が比較的大きく,おそらく膝の上に乗せて操作するようになるので,例えば,電車の座席に腰掛けてタブレット型コンピュータを操作し,無線通信で外国のエロサイトにアクセスして,日本では「わいせつ物」として違法とされるようなエロ画像やエロビデオを観ていると,基本的には他の乗客にもまる見え状態になってしまうことがあり得る。そのような場合,他の乗客は不特定多数ということが可能なので,「公然性」の要件を満たしてしまうことになる。しかも,本人は,他の乗客に見られる状態にあることを認識しつつ,あえてそのようにしていることになる。つまり,公然わいせつ物陳列罪が成立し得ることになる。
「理論上そうであっても,現実には検挙される可能性はないじゃないか」という反論はあり得るだろう。しかし,警察は,痴漢対策として電車の中に多数の私服警官を乗車させるようになっているから,電車の中でタブレット型コンピュータを用いてエロビデオなどを観ている者をみつけるようなことがあれば,もちろん現行犯として逮捕することになるだろう。
このようなタイプの犯罪として現行犯逮捕されてしまう可能性のある例はほかにも考えられないわけではないが,詳しいことは避ける。
もう一つ大きな問題があり得る。
それは,現在のノートPCでも理論的にはあり得ることなのだが,個人情報や営業秘密の漏洩の問題だ。
電車の中でPCを用いて仕事をしているビジネスマンは決して少なくない。たいていはノートPCを開いて仕事をしている。その画面は比較的大きい。それゆえ,他の乗客からまる見えなのだ。他の乗客の中にはどんな人が混ざっているかわからない。情報を盗んでやろうと考え尾行してくる者だってあり得る。
しかも,世の中には非常に記憶力の優れた人がいくらでもいる。彼らは,一瞥しただけでPCの画面上の情報を全部暗記してしまうかもしれない。
要するに,電車のような不特定多数の者に見られる可能性のある場所でPCの画面を露出することは,非常に危険なことだということを理解すべきだろう。
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