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2010年3月 5日 (金曜日)

NSAの前技術主任が,クラウドコンピューティングを信頼していないと語る

下記の記事が出ている。

 Former NSA tech chief: I don't trust the cloud
 Network World: March 04, 2010
 http://www.networkworld.com/news/2010/030410-rsa-cloud-security-warning.html

これは,パブリッククラウドを前提にした見解なのだが,さすがというか,物事の本質をよく理解している者としては当然の見解だろうと思う。

ちなみに,現在のNSAの担当者がどのような見解をもっているのかは不明だ。不明なのだが,米国連邦政府の吏員としてホームランドセキュリティに基づく探知を誠実に実施するとすれば,民間のクラウドの中で行われる通信もまた探知の対象としなければならないことになることは当然のことだろうと思う。この場合,「異なる物理システムをアトランダムに結合した普通のネットワークよりもはるかに容易に,パブリッククラウド内の仮想ネットワークを探知しまくることができる」ということは,小学生でも理解できる単純明快な原理に基づく。すなわち,同一のパブリッククラウドの中で採用されている物理的アーキテクチャは同一であり,そこで用いられているプロトコルも同一だからだ。これを異なる物理的アーキテクチャとプロトコルのコンプレックスとしてシステムを構築することは理論的にも技術的にも可能なのだが,「もしそういうことをすれば,パブリッククラウドの利点とされている要素の大半が失われてしまうこと」もまた誰にでも理解できる単純明瞭な結論なのではないかと思う。

なお,クラウドコンピューティングにおける通信もホームランドセキュリティ法に基づきNSAによって探知の対象とされていることは,常識に属することだと思う。しかし,それをあまり強調すると「何らかの政治的意図で書いているのではないか?」と曲解されることをおそれ,これまであまり明確には書いてこなかった。しかし,上記の記事の中では,NSAの前技術主任があっけらかんとそのことを述べているようなので,あまり気にすることもないことだと判断することにした。

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