ドイツ:個人データ保護官が,Googleストリートビューが全体としてプライバシー侵害的であるとして強い拒絶の姿勢を示す
下記の記事が出ている。
Google seeks to ease German opposition to Street View
DW-World: 05.03.2010
http://www.dw-world.de/dw/article/0,,5318954,00.html
この記事によれば,個人データ保護官とGoogleの担当者との間での交渉が継続されているようだ。しかし,その行方はかなりクラウディなものではないかと想像する。
[このブログ内の関連記事]
フィンランド:Googleストリートビューを違法であるとして,個人データ保護官と警察による調査が進められている
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/google-99e2.html
EU:Googleに対し,ストリートビュー画像を6ヶ月毎に全部消去するように要求
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/google6-d582.html
スウェーデン:Googleストリートビュー(の担当者)がプライバシーを侵害した罪で有罪となる可能性
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/google-f6d4.html
スイス:Googleのストリートビューがプライバシーを侵害しているとして訴訟へ
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/google-dc63.html
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コメント
キメイラさん こんにちは。
古代ギリシア・ローマ時代からの文化的蓄積のある欧州と,たかだか200年くらいしか歴史のない米国とでは「ものごとの先を読む目」のようなものにも自ずと差が出てくるんじゃないでしょうか?
また,「もしGoogleが米国の企業でなければ,事態は別の経過をたどっただろう」ということは言えると思います。一般論として,欧州の支配階級に属する人々の中には,米国の現代文化というものを尊敬できず,むしろ逆に軽蔑している人が多数います。だから,米国流を前面に押し出すビジネスモデルは,「内心ではブーイング」という状況を作り出しやすいのではないかと思います。
それはさておき,個人情報やプライバシーを守る法制だけを考えた場合,やはり欧州の個人データ保護指令及びそれに基づく各国の保護法制が世界的には一番厳しいものとなっているだろうと思います。そして,欧州の人々は法というツールによって社会を統制・管理すること,その統制・管理のための組織を機能させることに手馴れています。ですから,個人データの法的保護という面では,どうしても米国よりも厳しいものとなると思います(←米国の母国である英国だけは特殊例外的な存在です。)。
欧州各国の中でも,優れた法学者を多数輩出してきたドイツでとりわけそのような傾向が顕著になることもまた,十分に納得できることですね。
ちなみに,米国人が考える「プライバシー」と欧州人の理解している「プライバシー」とは少し異なるものかもしれません。米国企業がそこらへんの微妙な差異のようなものをちゃんと読み取り,理解し,そして,欧州の人々の思想やメンタリティを尊重することができるかどうかによって,その企業の運命が左右されてしまうことはあり得ることだろうと思います。
これらの点は,日本についても基本的には同じです。
投稿: 夏井高人 | 2010年3月 7日 (日曜日) 06時45分
体感では,英米(法)より欧州大陸(法)の方がプライバシーに敏感でうるさいみたいです。プライバシー問題については,英米より大陸に親近感を感じます。
投稿: キメイラ | 2010年3月 7日 (日曜日) 00時56分