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2010年2月17日 (水曜日)

カナダ:現在の政府ITシステムのコスト負担が重すぎるとして,クラウドの導入も検討か?

クラウドコンピューティングの最大の「売り文句」はコスト削減ということになっている。どの国の政府も電子政府化を進めた結果,システムの維持管理に莫大な税金を投入することとなってしまった。本来であればコスト削減のためのIT化であったはずなのに,結果はそのようにはなっていない。ITシステムの導入と合わせて公務員の大幅削減をしなければ単純にコストが積み増しされるだけなので当然の結果と言えよう。カナダでも同じような問題があるらしく,カナダ政府は,コスト削減のためにクラウドの導入を検討しているようだ。下記の記事が出ている。

 Canada clears up its cloud strategy
 IT World Canada: 16 Feb 2010
 http://www.itworldcanada.com/news/canada-clears-up-its-cloud-strategy/139989

しかし,よく考えてみてほしい。システムを切り替えても,それだけではコスト削減にはならない。かと言って,システム要員を削減すると,自前で情報セキュリティのレベルを維持することができなくなる(=政府が,システムサービスを提供する企業の奴隷のような存在,または,そのような企業の言いなりにならざるを得ないような状況となってしまう。)。

要するに,どうやってもコストは削減できないのだ。

このことは,「コスト削減」を「売り文句」にしていることそれ自体が,どこか問題があるということを示唆している。

ちなみに,政府が自前でシステムを管理することができない場合,システム上の問題で国民に損害が発生すると「注意義務違反がある」と裁判所に判断されてしまうような状況を意図的につくり出しているのと同じことになる(←少なくとも,結果回避措置を講じていないことになるし,また,情報セキュリティ上の問題点を検出する要員を削減すれば,予見義務違反ということにもなる。)。その結果として,かなり莫大な額にのぼる国家賠償責任を負い続けることになる危険性がある。つまり,損害賠償金の支払いのための大規模な歳出が増加し続ける危険性がある。もちろん,システムサービスを提供する企業は「大丈夫」というだろうが,それは誰でもそういうのであって,「大丈夫」という言葉を「絶対に信用してはならない」というのが情報セキュリティの基本であるということを忘れてはならない。

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