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2010年2月12日 (金曜日)

英国:政府が,携帯電話の窃盗防止策を強く要請

携帯電話の窃盗は世界中どこにでもあることで,日本でも結構多数の携帯電話が盗まれているのではないかと思う。このことは英国でも同じ。ところが,英国政府は,携帯電話のシリアルナンバーが様々なサイトへアクセスしたりサービスを受けたりするためのキー(シリアルキー)として機能することがあることから,携帯電話を盗んだ犯罪者がそのシリアルナンバーを解読し,詐欺や無権限アクセスなど他の犯罪のために用いる危険性があるとし,「携帯電話会社は,費用を惜しまず,窃盗を防止するために努力すべき義務がある」として,その対応策を強く求めているようだ。下記の記事が出ている。

 Government calls for action on mobile phone crime
 BBC: 11 February 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8509299.stm

日本の携帯電話会社は,いずれも携帯電話のシリアルキーが高度に保護されており,たとえ携帯電話が盗まれても解読されることはないと説明してきた。私は,絶対確実な保護策など存在しないと考えるタイプの人間なので,信じていない。そして,窃盗を完全に防止する方策もない。たとえ携帯電話を身体内にインプラントしたとしても,犯罪者は,インプラントされている身体を破壊し(=その者を殺し),インプラントされた携帯電話を奪おうとするだろう。そのような情景は,ウイリアム・ギブソンの小説で随分昔に表現されていることであり,誰にでも想定可能な事態だ。

結局,次善の策を考えるしかない。

ヒントは,クレジットカードにあるように思われる。クレジットカードも盗まれることがあることを前提にした存在した。そして,その保有者から「盗まれた」または「紛失した」等の連絡があれば,そのクレジットカード番号を一時的または恒常的に無効にしてしまうための組織的な仕組みができあがっている。もちろん,このようなやり方も完全なものではなく,いわば時間との競争のような部分はある。しかし,既に盗まれてしまったものについて盗難防止を考えてみても全く意味がないので,逆に盗まれてしまうかもしれないことを前提にした対策を充実しておいたほうが賢明だと考えるのだ。

というわけで,「もし携帯電話が盗まれた場合またはそれを紛失した場合には,その携帯電話のシリアルナンバーを一時的または恒常的に無効にしてしまうための組織的な取り組みをする」というのが最も妥当な解ということになりそうだ。

なお,携帯電話会社との関係で携帯電話のシリアルナンバーを無効にしても,それだけでは意味がないことがあるということにも留意すべきだろう。というのは,クレジットカードの場合には,クレジット決済をする際に,その都度,当該クレジットカードの有効性に関する照会と認証のトランザクションが実行されるようになっているが,携帯電話でアクセス可能なサイトやサービスの中にはそのような仕組みになっていないものがあるからだ。携帯電話が盗まれた後に当該携帯電話のシリアルナンバーを無効とする方策を採用した場合であっても,サービスまたはサイトへのアクセスの度に当該シリアルナンバーの有効性の照会・認証がなされるような場合に限り,この方策は有効だという限界がある。

なお,以上に述べたことは,携帯電話のシリアルナンバーに限らず,(RFIDタグや個人認証用のICカードなどを含め)全てのタイプの個体識別キーについて当てはまることだ。

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