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2010年1月29日 (金曜日)

社内での評価に不満をもったセキュリティ担当者が逆恨みし,会社のサーバに不正アクセスして約2万件のデータを消滅させ,逮捕

下記の記事が出ている。

 「仕事評価されず恨み」=勤務先データ2万件削除-元社員逮捕・警視庁
 時事通信: 2010/01/29
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010012900461

人事評価というものは非常に難しい。大概の場合,自分に対する自己評価と他人からの評価とは異なっているし,正反対であることもしばしばある。この事件を起こした男性がどのような人物であり,実際にはどのような仕事ぶりであり,社内でどのように評価されていたのかは全くわからないけれども,「やってよいこと」と「やってはいけないこと」の区別ができていない者であることを自分自身で証明してしまったことになるだろう。

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コメント

eisさん こんにちは。

人間は,不完全な存在ですが,それゆえに面白いのだと思います。

「完全な人間」って,テレビ映画の『スタートレック』に出てくるスポックのような感じの人なんでしょうか?お付き合いしたとしても,あまり面白い人じゃなさそうです。(笑)

そういうわけで,完璧を期そうとすると結局うまくいかなくなってしまうので,多少不満足でも次善の策をいろいろと考えながら試行錯誤を続けるしかないんでしょうね。

私のこのブログにしたって,いつでも試行錯誤のかたまりのようなものです。^^

投稿: 夏井高人 | 2010年1月30日 (土曜日) 19時31分

夏井様
ご返答有難うございます。

みんなの不満や負の連鎖を完全にとめることは不可能とは思いますが、低減させることはできると思いますので、その努力は続けたいと思います。

また、功利主義について初めて知りました。目の前の快楽を求め、後で大きな苦痛を受けるのは結果は損をしているとの理解が、多くの人に伝わればよいなと思いました。有難うございました。

投稿: eis | 2010年1月30日 (土曜日) 19時03分

キメイラさん こんにちは。

ご意見はよく理解できます。

世の中には,非常に高潔で清く正しい方もおられますが,私を含め普通の人間は普通に欲得と打算で生きているわけですので,その打算に訴えかけるのが抑止効果(予防効果)としては最も高いと思います。法学者は,このあまりにも当たり前のことをひどく格好良く説明しすぎる傾向があるので,ちょっとおかしくなってしまうんでしょうね。

よく考えてみると,諸子百家の時代から「徳」や「仁」や「義」などが説かれておりますが,そのことは逆に,現実の社会では「徳」や「仁」や「義」がいかに乏しいかを証明していることにもなるんじゃないかと考えます。つまり,理想と現実をごっちゃにしてはならないし,理想を唱えても何の解決にもならないことが多いということを意味していると思います。

私の場合,社会と関係のある事柄については,基本的に,功利主義のような考え方のほうが実態に合っていると理解しています。

ですから,企業内における非違行為の抑止の方法としても,従業員に対して損得勘定を働かせるようにすることが比較的効果的なのでしょう。

それと同時に,監視が必要な場合もありますね。

なお,個人的な「深い恨み」による場合には,損得勘定抜きで,監視があってもそれをものともせず犯行に至ることがあります。この場合,事前の策としては,やはり「良い経営」を考えることが大事だし,また,事後の措置としては必罰を考慮すべきだと考えています。ただし,「逆ギレ」や逆恨みによる「お礼返し」もあり得るので,そこらへんのことも十分に検討した上で,最も妥当と考える対応策を考えることになるんでしょうね。

これ以上のこととなると,公開のブログではちょっと書きにくいので・・・^^;

投稿: 夏井高人 | 2010年1月30日 (土曜日) 09時25分

 前に勤めていた会社では,派遣やバイトまでを入れると一時は70人の部下を抱えていました。これだけ部下がいるとそのセクションでは5年に1回は統計上で重大な不祥事(犯罪)が生じて私が管理責任を問われるリスクを負いました。
 通り一遍の指導や訓戒では効果がありません。そこは専門家に依頼していました。いま現在のネット情報で参考になるのは次のものでしょうか。

>★大橋先生はよく、「損するから悪い事はやめなさい」といったアプローチでお話をされていますね。
>―捕まったらどうなるか、ということを話すのが一番効果があると思うんです。刑務所に入らなくて済んだからって、民事で訴えられた時の損害賠償金を一生背負うことになるんだぞ、と。だいたいサラリーマンになるとわかるんですが、毎月10万の住宅ローンってきついですよね。しかも1年返したって、120万にしかならない。だいたい500万から一千万の損害賠償だったとしても、最低5年はかかるんですよ。(中略)
>★後々の人生で損をすることになる、と。下手に倫理観に訴えるより、割に合わない、といった方が、説得力がありますね。
>―説得の3要素がありまして「理性に訴える」「感情に訴える」「利害得失に訴える」というのがあります。犯罪について言えば、まず、理性に訴えて通じるような人は犯罪を犯しません。感情に訴えて通じる人は、逆に激怒したらどうなるかわからない。最後の利害得失。これが一番効果があると思います。
http://blog.hitachi-system.co.jp/04/1172.html

投稿: キメイラ | 2010年1月30日 (土曜日) 02時11分

eisさん コメントありがとうございます。

世の中,理不尽なことがいっぱいありますね。私自身もいろんな嫌な経験をしてきました。ときにはひどい喧嘩寸前の心情になったことさえあります。けれど,「子供達が巣立つまでは我慢するしかない」と思い,とにかく我慢してきました。どんなに理不尽であっても,それが現実というものなので,受け入れるしかない場合って結構多いと思います。

冷静になって考えてみると,やけを起こしても何の解決にもならないばかりか,自分が損をすると同時に,周囲に対して多大の迷惑をかけてしまうことになるのが普通ですよね。それを常識というのかどうかは判りませんが,昔から「短気は損気」といわれていることは本当だと思います。

今回の事件のような事態を防止するために,会社として取り組まなければならないことは決して少なくないだろうと思います。

しかし,事業の規模や業務内容などが会社によって全然異なりますので,マニュアル本やハウツー本などに書いてあるような「とおりいっぺんのこと」をやってみても問題の解決はできないのではないでしょうか?

そういうことなどを考えていると,経営者という仕事は,本当はとても大変な仕事なんだろうと思ってしまいます。

企業に限らず,社会のどの組織にも不満をもつ人は必ずいます。その不満を完全に解消する方法なるものは存在し得ないと思います。

しかし,不満から事故につながるプロセスを遮断・抑制したり,仮に事故が発生したとしても復旧を容易にするための手段・方法は発見可能だろうと思います。

これは,次善の策に過ぎないかもしれません。しかし,間は神ではないし過ち多い生き物なので,そういうことで対処するしかないでしょう。少なくとも,そういうことを考えながら日々の仕事をするしかないのでしょうね。

投稿: 夏井高人 | 2010年1月29日 (金曜日) 18時36分

以前、企業のデータセンターに勤務していた際、私には理不尽に感じた出来事(上司と喧嘩)がありました。
その時は、センターのコンソールやサーバーを投げ飛ばして喧嘩したいと思いましたが、そんなことしたら自分が社会から制裁を受けてしまうと思って涙ながら我慢しました。

「やってはいけないこと」をすると、どのような結果がでるか、それらは社員教育できっちりすべきではないかと思いました。当たり前・常識と思われますが、意図的な情報漏えいや本件のようなことがあると、本人の常識に任せてはならない時代ではないかと思う本事件でした。

投稿: eis | 2010年1月29日 (金曜日) 17時44分

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