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2010年1月 2日 (土曜日)

クラウドコンピュ-ティングサービスでは法的責任の所在もクラウディになる

コンピュ-ティングサービス(パブリッククラウド)では法的責任の所在もクラウディになる可能性があることは,このブログでも何度も指摘してきたとおりだ。その最大の原因は,ポリシーの衝突にある。利用者のポリシーは,サービス提供者のポリシーよりも常に劣後してしまうことになるため,利用者のポリシーがどんなに優れていても,(仮にサービス提供者のポリシーがずっと劣ったものであたとしても)サービス提供者のポリシーが優先的に適用されてしまい,かつ,利用者の側ではそれをコントロールすることが不可能なのだ。この問題は,全てのタイプのSaaSにおいて不可避的にかつ常に発生する可能性がある。

以上のようなことを書いても,賛同者はほとんどいない状況が続き,正直言ってさびしい思いをしていた。

しかし,やっと問題の本質が理解され始めたようだ。下記の記事をみつけた。若干不正確な部分があるし,法理論的に徹底を欠いている部分もある。そして,(おそらくクライアントの立場を考慮してのことだと思われるが)意図的に表現をぼかしてある部分もある。けれども,「ものごとの本質」を一応理解した上で書かれた記事として評価可能だ思う。

 Guest View: Insurance for the cloud
 SD Times: Jan 1, 2009
 http://www.sdtimes.com/GUEST_VIEW_INSURANCE_FOR_THE_CLOUD/By_SCOTT_GODES_AND_IDAN_IVRI/About_CLOUDCOMPUTING/34021

要するに,パブリッククラウドというビジネスモデルそれ自体に(法的観点からは)重大な欠陥があると言えるだろうと思う。

もし「そうでない!」と断言できる人がいるのであれば,是非とも直接お会いして意見交換をしてみたい。そして,どのような解決策を用意しているのか,是非ともご教示願いたい。

ちなみに,コモンクライテリアなるものが解決不可能な自己矛盾を含むものであり,この問題の解決策としては全く何の役にもたたないことは既に指摘したとおりだ。

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