ITCが,Samsungから申し立てられたSharpによるLCD特許侵害の件について調査を開始
SamsungとSharpとの間のLCDの特許紛争に関し,米国のITCが調査を開始したというニュースが出ている。なお,この関連の訴訟において,オランダの裁判所は,Sharpを勝訴させる判決をしており,その関係でSamsungの製品の販売,輸出入等ができなくなっているという背景事情がある。
US trade agency to probe Samsung-Sharp spat
ZD Net UK: 31 Dec 2009
http://news.zdnet.co.uk/itmanagement/0,1000000308,39961669,00.htm
Report: US court steps into Samsung-Sharp spat
ZD Net Asia: December 31, 2009
http://www.zdnetasia.com/news/hardware/0,39042972,62060242,00.htm
あくまでも一般論だが,日本企業は,法務部門の強化について真剣に検討すべきだ。また,新製品や新サービスの開発段階から,積極的に知財関係の調査と検討をし,将来の紛争や訴訟に耐えられるようにするという組織体制を確立する必要がある。
従来は,ともすると,「法務は開発や営業に口出しするな」といった雰囲気のようなものが全くないではなかった。しかし,そのような古いやり方では今後絶対にもたない。Microsoftのような超巨大企業でさえ特許侵害訴訟で痛い敗北を味わうことが増えてしまってきている。
一般に,IT関係の特許は,かなり微妙なものがあり,本当は最初から無効ではないかと思われるものも少なくないが,それならそれで最初から無効審判等の申し立てを積極的に行って,後の憂いの種を事前に潰しておくべきだろう。
特許を多数取得することが知財戦略の重要な部分を占めていることは否定しない。しかし,きちんと調査・検討し,無効な特許については事前に徹底的に潰しまくることもまたかなり効果的な知財戦略の一部であることは,否定しようがない。
従来主流であった「知財戦略」のあり方のようなものは,その意味で,既に時代遅れで錆付いたものとなっているというべきだろう。
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