フランス:ドイツ政府と歩調を合わせ,政府が国民に対しInternet Explorer以外のブラウザを利用するように勧告
ドイツ政府は,IEの脆弱性が重大であるとして,国民に対しIE以外のブラウザを利用するように勧告した。これを受け,フランス政府もドイツ政府に歩調を合わせることになったようだ。下記の記事が出ている。
France joins Germany warning against Internet Explorer
BBC: 18 January 2010
http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8465038.stm
今後,同様のことが他のアプリケーションでも起きる時代になったといえる。ドイツ政府とフランス政府の判断は,そのような時代の幕開けを象徴する出来事だと評価すべきだ。
ここで得られる教訓は,ごく「あたりまえ」のことだ。すなわち,「特定の機種や特定のアプリケーションに依存してはならない」ということに尽きる。
例えば,IEだけに依存し,IEの機能を借りたアプリケーションだけを利用するという環境を想定した場合,「IEが利用できなくなった」ということだけで,最悪の場合には,「何もできなくなる」という事態が発生してしまう。
このような悪夢は,(データストレージとして利用するだけの場合は別として)アプリケーションベースのパブリッククラウドの環境では究極的に現実化するおそれがある。パブリッククラウドの場合,「クラウドコンピューティングサービスプロバイダが提供するアプリケーション以外のアプリケーションを選択する余地」が全くないかもしれない。そして,そのアプリケーションに重大な脆弱性があり,政府によって「使用しないこと」が勧告されるとすれば,そのクラウドコンピューティングに依存している企業は,一貫の終わりということになってしまうかもしれない。
要するに,現在のコンピュータアーキテクチャの基本的な考え方は,「同一のハードウェアであっても異なるアプリケーションをその上で実行できる」ことを前提にしているのであり,その効用を最大限にひきあげることによってITビジネスは成長してきた。ところが,パブリッククラウドコンピューティングは,ある意味で,これに全く逆行するものだと言っても過言ではない。すなわち,IT産業の死を招くものであり得る。「自信過剰」は避けなければならない。
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http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-6756.html
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