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2010年1月31日 (日曜日)

英国:通信傍受が更に拡大する可能性

英国では,様々な理由により通信傍受がなされており,政府もそれを推進している。ネット上だけではなく,現実世界においてもいたるところに監視カメラが設置されている。つまり,英国は,個人の秘密を守ることがほとんどできないくらいのレベルの監視社会になりつつあるようだ。この傾向がますます加速されるらしい。下記の記事が出ている。

 Home Office presses ahead with web interception
 ZDNet UK: 29 Jan 2010
 http://news.zdnet.co.uk/security/0,1000000189,40012777,00.htm

英国のこうした動きは,EU政府の目から見れば問題とされている。しかし,英国は方針を変えることがないだろう。英国は,EU加盟国の中では非常に独特の存在だ。第二次世界大戦において,ドーバー海峡という天然の障壁を越えてナチスドイツ軍による爆撃やロケット攻撃がなされたり,Uボートによる攻撃がなされたりしたことが現在の英国の姿勢を形成してきたのかもしれない。

また,日本人は,一般に,欧州というと「一体として存在している」という具合に,やや漠然と理解しがちだが,本当はそうではない。欧州では過去何千年かの間に非常に広大な領土を有する帝国(王国)ができたこともあるが,他方では非常に長い期間にわたって戦争にあけくれる歴史もあったわけだし,その動因となる要素は現在でも存在し続けている。

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2010年1月30日 (土曜日)

2010年には更に強力なサイバー攻撃用ツールが開発され,防御が間に合わなくなってしまうかもしれない

一般に,防御側よりも攻撃側のほうが一方的に優位にたってしまうという原則が存在し,過去の幾多の戦闘においてそのことが証明されてきたのだが,ネット上のサイバー攻撃に関してはその脅威が何倍にも拡張されてしまう危険性がある。

このことと関連して,2010年にはこれまで以上に強力なサイバー攻撃用ツールが開発され,それによるボットの構築やDDoS攻撃が激化し,防御が間に合わなくなってしまうかもしれないということを指摘する報告が出ている。

 Report: Layer 7 Increasingly Under DDoS Gun
 CSO: January 27, 2010
 http://www.csoonline.com/article/526263/Report_Layer_7_Increasingly_Under_DDoS_Gun

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自分の娘の裸体写真を撮影して売る親が児童ポルノ罪で逮捕される事例が増えている

下記の記事が出ている。

 児童ポルノ 母が『供給元』 『誰にも迷惑かけてない』罪悪感希薄
 東京新聞: 2010年1月29日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010012902000217.html

不景気で家計が厳しいからかもしれない。小さな子供の写真が児童ポルノに該当するとは理解できなかったのかもしれない。

だが,法は法だ。

また,その子供の裸体写真は永久にネット上で流通し続けるかもしれないし,その子が大人になったときに恐喝の種に使われてしまうかもしれない。

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Firefoxの脆弱性を悪用した攻撃

MicrosoftのWindowsやIEの脆弱性を悪用した攻撃が問題とされているが,Firefoxにも問題がないわけではないようだ。下記の記事が出ている。

 Firefox-based attack wreaks havoc on IRC users
 Register: 30th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/30/firefox_interprotocol_attack/

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Googleの中国における問題は,クラウドコンピューティングが失敗したことを意味するか?

下記の記事が出ている。

 Dark clouds gather over online security
 Computer World: January 29, 2010
 http://www.computerworld.com/s/article/9150038/Dark_clouds_gather_over_online_security

パブリッククラウドにおける問題点はこれまで何度も書いてきたから繰り返さない。

要点は,もしパブリッククラウドがハックされると,そのシステムを利用している利用者全員がハックされたのと同じことになる可能性があるということだ。このことは,現在普通に提供されているWebメールサービスについても言えることだろう。

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携帯電話の着うた配信制限は独占禁止法違反との判決

下記の記事が出ている。

 「着うた」新規参入妨害認定=大手4社審決取り消し請求棄却-東京高裁
 時事通信: 2010/01/29
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010012901234

世間には,身内だけでやってよい商売とやってはいけない商売とがある。著作物については,世界的にみても最強といってよいほどの非常に強い法的保護を与えているのだから,逆に隣接権者などによる「身内だけの商売」を許さない方向で考えないと,法秩序全体におけるバランスがとれなくなってしまうだろう。犯罪目的であることが明らかである場合などの特段の事情がない限り,原則として,求めがあれば誰に対しても許諾するという運用でなければならない。

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2010年1月29日 (金曜日)

EU:「個人データ保護の日」においてプライバシーの危機を訴えるキーノートスピーチ

1月28日はEUの「個人データ保護の日(Data Protection Day)」とされているようだ。日本には「個人情報保護の日」はないのでイメージしにくいかもしれないが,個人データ保護(←プライバシー保護,個人情報保護を含む。)のための各種イベントが開催された模様だ。EU政府としての正式のキーノートスピーチでは,空港における全身透視検査やネットにおけるディープパケットインスペクションなどがプライバシーに対する脅威としてとりあげられている。日本でこの問題について議論する際には,必ず参照すべきスピーチの一つになるだろうと思われる。

 Viviane Reding Member of the European Commission responsible for Information Society and Media Privacy: the challenges ahead for the European Union Keynote Speech at the Data Protection Day 28 January 2010, European Parliament, Brussels
 Europa: 28/01/2010
 http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=SPEECH/10/16&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en

 EU damns scanners, Facebook, MySpace and Phorm
 Register: 29th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/29/privacy_laws_europe/

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英国:違法なP2Pファイルシェアリングの利用者の自動検出をめぐる議論

P2Pファイルシェアリングのための通信かどうかを自動的に検出することは可能だ。また,その通信の発信地を示すIPアドレスを自動的に探知することも技術的には可能だ。しかし,そのIPアドレスを用いて「ファイルシェアリングをしているのが誰なのか」を自動的に特定することが常に可能かというとそうではない。IPアドレスとその利用者とのリンクはネットの外にある現実世界にのみ存在しており,自動的にそのリンクをたどって検出するための方法は存在しない。英国では,この点に関して厳しい議論が発生しているようだ。下記の記事が出ている。

 Law firm's piracy hunt condemned
 BBC: 29 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8483482.stm

音楽著作権団体の顧問弁護士事務所としては,IPアドレスが検出された以上,そのIPアドレスの保有者(←特に携帯電話のアドレスの場合など)が当該P2Pファイルシェアリングの利用者だと推定すべきだと考えるかもしれない。それは,法理論上では「事実上の一応の推定」として考えるといういことを意味することになる。

しかし,そのような推定ルールは本当に正しいのだろうか?

また,仮にそのような推定をすることが肯定されるとした場合,論理的には,携帯電話やPCの保有者(=基本的には資産家ではなく法律家でもない普通の一般市民)に対して「アリバイ立証」のようなことをさせることになるはずだが,そのようにさせることが政策論として本当に正しいことなのだろうか?

よく考えてみなければならない問題の一つだと思う。

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社内での評価に不満をもったセキュリティ担当者が逆恨みし,会社のサーバに不正アクセスして約2万件のデータを消滅させ,逮捕

下記の記事が出ている。

 「仕事評価されず恨み」=勤務先データ2万件削除-元社員逮捕・警視庁
 時事通信: 2010/01/29
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010012900461

人事評価というものは非常に難しい。大概の場合,自分に対する自己評価と他人からの評価とは異なっているし,正反対であることもしばしばある。この事件を起こした男性がどのような人物であり,実際にはどのような仕事ぶりであり,社内でどのように評価されていたのかは全くわからないけれども,「やってよいこと」と「やってはいけないこと」の区別ができていない者であることを自分自身で証明してしまったことになるだろう。

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法務省:法制審議会刑事法(公訴時効関係)部会第4回会議配布資料等

法務省では,刑事事件の公訴時効制度の改正に向けた検討が進められている。いくつかの案が提案されているようだ。第4回会議の配布資料等が公開されている。

 法制審議会刑事法(公訴時効関係)部会第4回会議(平成21年12月21日開催)
 法務省:2010年1月27日
 http://www.moj.go.jp/SHINGI2/091221-1.html

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ネットオークションで虚偽の落札をした行為が業務妨害罪に該当するとして24歳の女が逮捕

下記の記事が出ている。法律論としては,「業務妨害の故意」の存否が一応問題となり得るが,この報道では「認めている」ように書かれている。

 ネットオークションで落札妨害、24歳女逮捕 群馬
 産経ニュース: 2010.1.29
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/gunma/100129/gnm1001290230000-n1.htm

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2010年1月28日 (木曜日)

Appleタブレットの登場で電子出版は盛んになりそうだが・・・

下記の記事が出ている。もっともだと思う。

 Appleタブレットは出版業界を救えない――アナリスト
 IT Media (REUTERS): 2010年01月27日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/27/news055.html

 Few events can steal the thunder from an Apple Inc (AAPL.O) quarterly earnings day -- an Apple product launch is one of them.
 REUTERS: Jan 26, 2010
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE60P6AX20100126

日本の場合,一般に,電子ブック等で流通しているコンテンツの数がかなり限定されているという問題もあるが,そもそも「紙媒体」に対する愛着が強い国民性をもっているかもしれない。書籍は「コンテンツ」という部分だけではなく,書籍の装丁や質感などを含めて全体的なものとして存在している一つの芸術作品だという理解の仕方がそこにはある。このような「とらえ方」または「感性」のようなものは,もしかすると世界の孤児となりつつあるかもしれない。

しかし,私は,あえて再び強調したい。すなわち,「電気がなくなればすべて消え去ってしまうようなものは文化ではない!」と。同じことは,危機管理という面でもいうことができる。例えば,停電になるとすべての機能が停止してしまうような政府機能(←国防,警察,消防,緊急医療などを含む。)など,お笑い以外のなにものでもない。

紙の書籍であれば,たとえ世界中が停電になってしまったとしても,蛍雪によってそれを読み続けることができるのだ。

いずれ何年かすれば,「紙への回帰」のような現象が始まるだろう。世界の出版業界はそれまで持ちこたえることはできない。日本の出版社も大部分はそうならざるを得ないだろう。

現在,出版点数の中でも最も大きな部分を占めている「消費されるタイプの出版物」は電子出版でよい。どうせ短期間で消費され,消えてしまうものなのだから。それが歴史に残ることはない。

けれども,電気なしで長期保存する価値のある出版物も多数存在する。そのような価値ある出版物の販売量が大きく落ち込んでいるというところに最大の問題がある。出版社は,どうしても,(仮にその内容が低劣であったとしても)売上額の大きそうな書籍の出版に賭けることになってしまう。国民の多くが硬派の書籍に興味を示そうとしなくなってしまっているという現状では,この傾向が変化することはちょっと見込めないだろう(←インターネットで調べれば専門的なことでも何でもすぐに分かるという錯覚がそれを促進しているという面はある。本当に理解している人であれば,それが単なる俗説に過ぎず,インターネット上には真に価値のある情報がほとんどないという無残な事実を即座に理解することができる。お金をかけないで,真に価値のある情報を入手することは基本的に不可能なことだ。)。

したがって,真に価値ある学術系出版物等については,何らかのかたちでの出版資金援助のような仕組みを構築していくことがとても大事になっていくのではないだろうか?

しかし,そのような状況にもかかわらず,何社かの日本の出版社は,書籍出版社として生き残ることができるかもしれない。これが「日本」という特殊な場所の本当の意味での「真価」であり「底力」であり「伝統」のようなものなのではないかと思っている。

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ファイル共有ソフト「パーフェクトダーク」にアニメコンテンツを流していた37歳の男が逮捕

P2Pソフトには様々な種類のものがあり,軍事目的,ビジネス目的,研究目的などに特化して用いられているものもある。例えば,Googleのビジネスを考えてみると,それ自体としてとてつもなく巨大なファイルシェアリングであり,クライアントの識別機能を実行している仕組み,あるいは,ファイルの格納場所を分散・並列処理し,仮想サーバだけが表面に出るようにしている仕組みなどを抽象化して考察してみると,(規模としては誰一人として全体像を把握することができないくらい肥大化してしまっているけれども)全体としてP2Pの一種であると理解することも全く不可能ではない。要するに,「P2Pソフトだ」というだけで「違法だ」と決めるつけてしまうようなタイプの論理は最初から破綻している(または,極度の無知もしくは事実誤認の部類に属する。または,そのように考える者には,平均値未満のパフォーマンスしか発揮できない脳細胞が実装されていると推定される。)。

しかし,一般に利用されているP2Pソフトなるものの多くは,どちらかというと著作権侵害を伴うファイル共有のために利用されることが多い。そのため,世間的には「P2Pソフト」というだけで目の敵にされてしまうことが少なくない。

そのような悪用例がまた一つ追加されたようだ。「パーフェクトダーク」を用いたファイルシェアリングの逮捕例としては初の事例ということだ。下記の記事が出ている。

 ファイル共有ソフト「パーフェクトダーク」初摘発 アニメ公開男を逮捕
 産経ニュース: 2010.1.27
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100127/crm1001272026035-n1.htm

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英国:違法なファイルシェアリングをソフトウェアで検知することがプライバシー侵害になるとの議論

違法なファイルシェアリングを自動的に検出するソフトウェアの使用がプライバシー侵害となるかどうかが議論となっている。従来からのディープパケットインスペクションに関する議論も一緒になっているようだ。下記の記事が出ている。

 EU to assess piracy detection software
 BBC: 26 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8480699.stm

プライバシー保護団体の主張によれば,そのような行為は明らかに英国のプライバシー保護法に反するとのこと。

では,プライバシーを侵害しない方法で違法なファイルシェアリングを自動検出することは可能なのだろうか?

私は技術的に可能だと考える。問題は,そのコストを誰が負担するかだけのように思う。

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2010年1月27日 (水曜日)

英国:2009年中におけるネット詐欺による商人の損失額は平均で40万ポンド

下記の記事が出ている。

 Merchants lose £400k a year to online fraud
 ZDNet UK: 26 Jan 2010
 http://news.zdnet.co.uk/internet/0,1000000097,40005875,00.htm

さて,日本の場合はどれくらいなのだろうか?

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国立国会図書館:携帯電話用サイトを開設

国立国会図書館は,新たに携帯電話用サイトを開設し,携帯電話からでも利用案内などを参照できるようにしたようだ。

 携帯電話向けサイトを開設しました
 国立国会図書館: 2010年1月27日
 http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2009/1188629_1393.html

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英国:秘かに進められてきた政府のクラウドコンピューティング導入計画が明らかにされる

米国政府に続き,英国政府でも内部用システムとしてクラウドコンピューティングの導入が計画されており,そのために莫大な予算が投入されるようだ。下記の記事が出ている。

 Government to set up own cloud computing system
 Guardian: 27 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/27/cloud-computing-government-uk

米国及び英国のいずれの場合でも,政府内部用のシステムなので,クラウドコンピューティングサービスの分類としては,ローカルなクラウドコンピューティング(プライベートクラウド)に分類されるべきだろう。

この場合,アウトソーシングではないので,システム全体のroot権限を政府が握り続けることになる。つまり,政府はシステム全体の統制を維持することができる。パブリッククラウドでは,原理的に無理なことだ。

また,この文脈においては,クラウドコンピューティングが優勢だと理解してはいけない。要するに,「かつてのメインフレーム(汎用仮想マシン)が,グリッドコンピューティングという並列処理技術の応用によって,より高性能なものとして再登場したのだ」と理解すべきだろう。したがって,主要各国政府がクラウドコンピューティングを導入し,または,その導入を計画しているということは,直ちにパブリッククラウドの需要があることを意味していると理解してはならない。

今後,銀行を含む大企業が相次いでクラウドコンピューティングの導入を決定することになるだろう。しかし,それは,あくまでも現代版のメインフレームとして利用(プライベートクラウド)なのであって,アウトソースとしてのパブリッククラウドの利用ではない。そうでなければ,システム全体の統制を維持することができない。そして,そのようにするのでなければ,現在主流となっている情報セキュリティの基本概念を変更することなく当該システムの安全な運用を確保することができないと理解している。

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韓国:時差を悪用した米国留学試験問題の不正入手事件が発覚

韓国における大学受験競争の過熱ぶりは日本のマスコミでもしばしばとりあげられることがある。それが加熱し過ぎて,携帯電話を用いて外部の者から試験問題に対する解答を入手するという不正行為が行われたという報道が何年か前にあった。最近,韓国と米国との間の時差を利用し,予め試験問題を入手してこれをリークするという手法により不正に受験する者があるということが発覚したようだ。下記の記事が出ている。

 韓国の米大学進学試験で不正 警察が本格捜査
 共同通信: 2010/01/26
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012601000222.html

 米進学試験問題漏えい:対策塾100カ所を調査へ
 朝鮮日報: 2010/01/26
 http://www.chosunonline.com/news/20100126000036

ずるいことをして入学できたとしても,その後の人生は,「答えのない世界」で,自分で問題を発見し,自分の仮説を信じて生きるしかないわけだから,そのような力を身につけることなく,努力もしないでうまく通り抜けてきたということが結局は負の資産として自分の人生を大きくゆがめてしまうことになるだろう。このことは,日本人を含め,どの学生についても同様に言えることだ。

ただし,現実の社会では,日本でも韓国でも中国でも「コネと金」がハバをきかせることがあることは否定できない事実だし,また,現実に終生ずるいことをやり遂げて社会の成功者のような感じになってしまっている者だってある。実力主義とは程遠いというのが本当のところだ。そのような社会の「あり方」それ自体が修正されない限り,今後も同じようなことが発生し続けることになるだろうと思う。

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法科大学院での「サイバー法」の授業

私が法科大学院という制度そのものに対して批判的であり,可能jな限り速やかにこれを廃止して旧制度に戻すべきだと主張しているということは周知のところであり,このブログでも何度か書いたことがある。しかし,現実に法科大学院が存在しており,そこで熱心に勉学をする真面目な学生が大勢いることもまた事実であるので,明治大学法科大学院発足当時,納屋教授(現学長)からの強い求めに応じて法科大学院での講義を担当することにした。以来,ずっと「サイバー法」と「法情報調査」の科目を担当している。

明治大学法科大学院において「サイバー法」という科目は,もちろん必修科目ではなく任意選択科目だ。これは当然のことだろうと思う。また,法科大学院の学生は,基本的な法律科目(特に民法)をしっかりと習得しないと,試験に合格できないことは当然として,合格後も法曹としてちゃんと仕事をしていくことができないので(←民法に精通していない「法律家」など,概念矛盾そのものであり,「法律家」と自称することは許されないことだと信じている。),サイバー法の受講学生に対してもそのように説明し,かつ,民法をはじめ基本的な法律に精通した後になって初めてサイバー法に習熟することができるのである以上,私の講義を受けただけでサイバー法を理解することはできないと説明し,そして,余裕のある学生だけ受講するように勧めている。それでも毎年熱心な学生が受講してくれるので,私なりに工夫して最新の内容で講義を実施するようにしてきた。おそらく,日本だけではなく世界的にみても最先端の内容を含む講義となっているだろうと自負する。

ところで,一般に,サイバー法の世界は,これまでに増して非常に難しい状況の下にある。

それは,(1)当初のインターネットのような技術的要素だけではなく,より抽象的なモデリング能力のある者にしか理解できないような技術的要素を含む事柄が増えてきてしまっていること,(2)従来の伝統的な法概念だけでは説明できない現象が増えており,仮に伝統的な概念で説明しようとするとその定義の組み換えが必要となることがしばしばあること,(3)非常に重要な判決例が世界規模でどんどん出されるようになってきているけれども,それを理解する(=学生に理解させる)ためには,その国の法制度全般について(日本の法制度との相違点を正確に認識し,文化的・歴史的背景を踏まえながら)きちんと把握する必要があり,その分量が非常に膨大となってきていること,(4)平時の法と戦時の法との混在を明確に認識しながら課題を理解し,現実的な解決策を考え出さなければならないことなどのことに起因している。

法学者は,原則として,理屈をこねるのが仕事だ。

しかし,サイバー法の領域では,単に理屈をこねるだけではなく,現実的な解決策も提案できるのでなければ全く役にたたない。しかも,伝統的かつ古典的で苔むした法学説や発想方法などがびっしりと敷き詰められている場所でそれをしなければならないという苦しさがある。

当然,悪口や批判も耳にすることになる。もちろん,受講学生も耳にしているだろうし,積極的に悪口や批判をする学生もあるだろう。

私は,(私に対するものである限り)悪口や誹謗中傷したりすることも「表現の自由」の一部として法的保護するつもりなので,一切反論しない(←私以外の者に対する誹謗中傷については,本人がそれを受容または宥恕しているのでない限り,名誉毀損その他の違法行為を構成することとなるので,求めがあれば処罰や損害賠償請求のために最大限の尽力をしてきた。)。これは,私自身が「表現の自由」を強く求める人間であるので,言行一致を貫くために決定したひとつの態度だ。

ところで,その悪口や誹謗中傷等は,現実の社会の中では,より巧妙に別の目的で用いられることもある。法科大学院の学生諸君は若いので,そういう微妙なことを知らないことが多い。世間には,頭脳の優秀さや氏素性のようなものとは無関係に,腹黒い人間や基本的に自己の利益のことしか考えない人間が多数存在している。

さて,昨日は,2009年度における「サイバー法」の講義最終日だった。

そこで,受講学生諸君が「司法試験に合格し,将来立派な法律家として大成してもらいたいものだ」と心から切望するがゆえに,上記のようなことも含め,今後考えなければならないことなどを含めて講義をした。

2010年にも同じ科目の講義を担当する。私がどのように主張しようとも法科大学院制度は定着してしまうのだろうから,定年までずっと担当することになるかもしれないし,途中で別のもっとよい講師と交代することになるかもしれない。だが,毎年受講を希望してやってくる学生にとっては,私との教室でのお付き合いは一生に一度のことであり,もう二度とめぐってくることのないことなのだ。したがって,毎期の講義の最終日は,その期の受講学生にとっては,常に,私の最終講義のようなものとして位置づけられることになる。

だから,今後も,どの科目においても,最後の講義日には,それを受講する若い人たちがこれからの世界で生きていく上でちょっとでも役立つかもしれない「何か」を伝えることができるような授業を続けたいものだと思っている。

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ビルゲイツ氏がGoogleの対中国姿勢を批判

Googleは中国政府によるネット監視を批判し,中国からのビジネス撤退を示唆している。これに対し,ビルゲイツ氏は,Googleの姿勢を批判する発言をしたようだ。その趣旨は,要するに,「米国企業といえども他国では他国の法律に従わなければならない」ということに尽きる。

 Web censorship in China? Not a problem, says Bill Gates
 Guardian: 25 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/25/bill-gates-web-censorship-china

論理そのものとしては,ビルゲイツ氏の意見は明らかに正しい。同様に,中国企業もまた,米国内では米国政府による(ホームランドセキュリティ法に基づく)ほぼ完璧なネット監視に服従しなければならない。このことは,日本企業でも全く同じだ。要するに,ビルゲイツ氏は,中国を擁護しているわけではなく,「どの国においても,企業は,その国の国家主権に服することになるし,その国の法律に従わなければならない」という当たり前のことを述べているのに過ぎないと理解する。このことは,「ネットに国境がない」という技術上の事実を踏まえても何ら変わることはない。

さて,ここで考えなければならないことは,日本企業は,「日本以外の国では,基本的に,すべての通信が政府によって合法的かつ完全に傍受されていることがある」ということをデフォルトとしてとらえた上で経営戦略を策定しなければならないということだ。日本国における状況だけを前提にして自社のビジネスの世界展開を考えることほど馬鹿げたことはない。どんなことにつけ,日本でしか通用しない「日本の常識」のようなものがあまりにも多すぎる。それを知らなければならない。ただし,「そのような日本の常識が世界的には通用しない」と主張すると,何となく「世間」から押しつぶされてしまいがちだというのもまた日本の常識の一つだろう。

日本は,どんなことについても,常に「ぬるま湯」状態だと思う。

ちなみに,サイバー法やインターネット法の領域では様々な書籍が出版されているけれども,この問題についてきちんと書かれているものは意外と少ない。そうした中で,このような問題についてもきちんと書かれている書籍として,Cris Reed, Internet Law - Text and Matrialsがある。私自身は,この本のことをとても良い本だと思っており,過去数年間,明治大学の大学院法学研究科での演習科目において教材として使ってきた。一読をお勧めする。

  Internet Law: Text and Materials
  Cris Reed
  Cambridge University Press; 2 edition (7 Oct 2004)
  ISBN-13: 978-0521605229

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米国:IT業界は景気回復傾向

下記の記事が出ている。

 EMC Net Income Up 58%
 New York Times: January 26, 2010
 http://www.nytimes.com/aponline/2010/01/26/technology/AP-US-Earns-EMC.html

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2010年1月26日 (火曜日)

産業スパイを目的とするサイバー攻撃

下記の記事が出ている。

 グーグルにとどまらないスパイ事件--サイバー攻撃と産業スパイ活動の現状
 CNET Japan: 2010/01/22
 http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20407011,00.htm

日本国の法制においては,産業スパイそのものを処罰対象とする法令は存在しない。

たしかに,営業秘密については不正競争防止法が適用されるし,いわゆる産業スパイ行為の中には不正競争行為となるものもあるだろう。しかし,不正競争行為に対して何らかの法的抑制や差止命令を出してみたところで,その加害者が国外にある場合には何の意味もない。

サイバー法制は,これまでの伝統的な概念枠組みだけでは対応できないところにきている。

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Adobe Illustrator 10日本語版の海賊版をネットオークションで販売していた69歳の男が逮捕される

下記の記事が出ている。

 ネットオークションで海賊版を販売、無職男性を逮捕-ACCS が報告
 japan.internet.com: 2010年1月26日
 http://japan.internet.com/busnews/20100126/5.html

著作権侵害となる犯罪行為に年齢の差(年齢や世代によるデジタル格差)はあまり関係がないようだ。

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米国:連邦政府及び軍がサイバー戦争に対応するための新システムを構築

下記の記事が出ている。

 In Digital Combat, U.S. Finds No Easy Deterrent
 New York Times: January 25, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/26/world/26cyber.html

軍事機密が含まれるため,この記事に書いてあること以上の詳細は判らない。

しかし,平時の規範と戦時の規範とが常に共存しなければならない新たな時代に突入してしまったことだけは明らかだ。

日本国の政府及び政府機関だけではなく,民間のISPもまた発想の転換と新たな対応を迫られている。


[関連記事]

 対サイバー攻撃で日米連携 来月、実務者会合開催
 共同通信: 2010/01/25
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012501000124.html

 オバマ政権初の国防戦略を公表へ テロやサイバー攻撃対応も
 共同通信: 2010/01/26
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012601000464.html

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ジャーナリズム崩壊

通勤電車の中でこの本を読んだ。おもしろかった。

 ジャーナリズム崩壊
 上杉 隆 著
 幻冬舎新書(2008/07/30)
 ISBN-13: 978-4344980884

私が奉職する明治大学で特認教授をしているらしいので,機会があったらお会いしてみようかと思う。

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PS3の著作権保護機能がハックされた

iPhoneをハックした米国人が,今度はソニーのプレイステーション3をハックしてしまったようだ。下記の記事が出ている。

 PlayStation 3 'hacked' by iPhone cracker
 BBC: 25 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8478764.stm

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英国:医療機関において個人情報関連の事故が発生した場合の対応

日本でも,毎月のように,病院等の医療機関において大量の個人情報が紛失した流出したりする事故が発生している。もう慣れっこになってしまったのか,お決まりの「責任者による謝罪記者会見」さえ報道されなくなってしまうくらい頻発している。にもかかわらず,何らかの厳しい行政処分が実施されたという報道を目にすることはほとんどない。それくらい,日本では,「建前と実際」とが大きく乖離しており,「個人情報保護法は事実上空文化している」と考えたくなってしまうくらいだ。まことに情けない。

さて,同じような事故は世界各国にある。このことは英国でも米国でも同じ。人間のやることだから,故意によるものと過失によるものを含め,事故の発生を完全に阻止する方法は一切存在しない。未来永劫,常に一定確率で事故が発生し続ける。このことは,すべてのタイプの情報セキュリティについて妥当する。

問題は,事故が発生した場合の対応ということになる。国レベルでは,同じことが繰り返されないためにどのような方策が講ぜられたのか,その効果が検証されているのかといった事柄に着目しなければならない。

英国における事例をたまたま見つけた。下記の記事が出ている。

 Hospital Trust Criticised Over Data Record Theft
 eWeek: January 25, 2010
 http://www.eweekeurope.co.uk/news/hospital-trust-criticised-over-data-record-theft-3131

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国立情報学研究所:平成22年度共同研究の公募

下記の公募が開始されている。申請の締切は2010年2月26日とのこと。

 平成22年度共同研究の公募について
 国立情報学研究所: 10/01/19
 http://www.nii.ac.jp/kenkyou/b_1234_2koubo_h21.html

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IPA:2009年度下期 「未踏IT人材発掘・育成事業」 採択プロジェクトの公表

IPAで採択されたプロジェクトの概要が公表されている。

 2009年度 下期 「未踏IT人材発掘・育成事業」 採択プロジェクトの決定について
 IPA: 2010年1月25日
 http://www.ipa.go.jp/about/press/20100125.html

今後も同様のプロジェクト(予算)の公募があるかもしれないので,希望する人は読んでおくべきだろう。

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総務省:情報通信審議会情報通信技術分科会産学官連携強化委員会重点課題WG(第5回)配布資料

総務省のサイトで,下記の会議資料が公開されている。

 情報通信審議会 情報通信技術分科会 産学官連携強化委員会 重点課題WG(第5回)配布資料
 総務省:2010年1月26日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/sangakukan/24032.html


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米国:空港における全身透視検査の適法性に関する議論

テロ対策のため,新型の全身透視装置が空港に設置されるようになり,これがプライバシー侵害になるのではないかとの議論が世界各国にある(←ただし,日本では議論そのものが存在していないのではないかと疑われるくらい低調。)。米国での議論が最も激しいかもしれない。これまで,連邦裁判所で関連する論点について判断がなされてきたけれども,連邦最高裁の判断が出されたことはない。「もしかすると,この問題についての判断が示されることになるのではないか」との期待が高まっているようだ。

 U.S. Supreme Court: Showing the naughty bits at the airport?
 UPI: Jan. 24, 2010
 http://www.upi.com/Top_News/US/2010/01/24/US-Supreme-Court-Showing-the-naughty-bits-at-the-airport/UPI-98371264321800/


[このブログ内の関連記事]

 EU:空港での全身透視検査の導入を検討
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-bc30.html

 PETs(Privacy Enhancing Technologies)
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/prtsprivacy-enh.html

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2010年1月25日 (月曜日)

iTunesで不正請求詐欺多発

下記の記事が出ている。警察は1日でも早く加害者を検挙してもらいたいものだ。

 iTunesで不正請求被害 アップル社、ID流出否定
 asahi.com: 2010年1月25日
 http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201001250186.html

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中国:Googleなどに対する組織的攻撃への関与について,中国政府が全面否定

中国政府としては,当然,全面否定する。それ以外の選択肢はあり得ない。下記の記事が出ている。

 China denies role in cyber attacks on Google
 The Register: 25th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/25/china_denies_google_cyber_attack_claims/


[関連記事]

 Clinton warns of 'information curtain'
 ZDNet UK: 22 Jan 2010
 http://news.zdnet.co.uk/communications/0,1000000085,40002141,00.htm

中国政府の関与があったかどうかは別として,今後,同様の組織的かつ大規模な攻撃が行われる機会が非常に多くなるだろうと予測される。

日本のサーバ運営者は,そのような事態の発生を認識・想定し,情報セキュリティの強化につとめなければならない。とりわけ,SaaSやパブリッククラウド等では,サーバが陥落すると全ての利用者に対して直ちに悪影響が発生するという致命的な脆弱性が常に存在しているので,(もしそのビジネスを継続したいと考えるのであれば)情報セキュリティの確保に関し,とにかく可能な限り多くの予算を調達し投入し続けなければならないと考える。

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微生物研究が電子技術開発の活路となる

コンピュータ法やサイバー法の領域での研究に取り組み始めから早いもので既に20年以上を経過してしまった。しかし,10年ほど前から閉塞感のようなものを感じ始めていた。新たに開発される技術等がほとんどすべて予測の範囲内のものばかりになってしまったからだ。この閉塞感のようなものが次第に募り,学問研究を継続するための心理的危機状態に陥ったころ,(それが原因だったのかもしれないし,仕事上のストレスの蓄積が原因だったのかもしれないが)体調を崩した。

リハビリのために散歩をはじめた。単に散歩するだけだと飽きてしまうので,道端で見つける雑草の写真を撮るようになった。そして,写真を撮った雑草の名前を調べるために図鑑を読んだり,植物学の文献を漁ったり,データベース検索をしたりしている間に,いくつかの重要な事実を発見した。その重要な事実の中には,世界の国々の新たな産業戦略のようなものも含まれていた。当時,日本国でそのことに気付くことができたのは私しかいなかっただろうと思う。そして,そのような状況にあることは現時点でもそんなに変わらない。

そのような孤立した状況の中で,同僚や先輩から馬鹿にされながらも,コツコツと研究を進めた。あまりにも突飛な発想だったので,当然,予算もつかない。本当に苦労して資金を調達し,研究のために支出してきた。

私の見立ては間違っていなかったと確信する。

過去の努力の蓄積を具体的な成果として結実しつつあるし,非常に多くの副産物のようなものを得ることもできた。

目下のところ,研究用資料として蓄積したデータの中でネット上で公開しているものは世界最大規模のものとなっている。ただし,本当に重要なものは全く公開していない。私を正当に評価し信頼してくれたクライアントに対してのみその産物を提供している。

このように,私は日本国の中では類例のない非常に孤立した研究スタイルをもつ研究者となってしまったのだが,世界には似たようなことを考える研究者がいないわけではない。というよりも,そのような研究者が存在することを数年前に察知したからこそ,日本国と日本人の子孫の将来のため,私が「ばか者」よばわりをされる「マッドサイエンティスト」として,他人からの悪口や酷評などはすべて笑い飛ばしながら孤独に研究をするしかないと決意したのだった。

ところで,本当に大事な研究成果を公表することがないことは私だけではなく世界の研究者もまた同じだ。とはいっても,その一部が全く別の分野の事柄のような顔をして部分的に公表されることがあることも同じといってよい。世の中には,同じように発想する人が結構いるものだとつくづく感心する。

例えば,下記の記事が出ていた。

 Engineers 'can learn from slime'
 BBC: 22 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8473316.stm

この記事で紹介されている粘菌のような菌類の研究はとても重要だ。高等植物の中にもラン科植物のように菌類から栄養分を奪いながら生きているいわば肉食性の植物が数多く存在し,その生態には本当に驚かされることが多い。そして,そのような不思議な植物の活動を含め,普通の人の目には見えない土中の出来事を認識し,理解することは,コンピュータ科学や情報セキュリティの分野においても,上記のような閉塞感を打ち破るための重要な鍵の一つとなると理解している。

しかも,その研究のためには,これまでの常識をすべて根本から疑ってかかるという姿勢が必須であり,既存の論文や図鑑の記載を暗記するだけでは逆に真理に到達できないという重要なポイントがある。

今後,この分野では,菌類や植物などの優れた栽培家であり,偏見なく事実に対する観察結果に基づく仮説をどんどんたてることができる者だけが生き残ることができる世界になると確信している。

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古代中国の虚像と実像

親戚に不幸があったので郷里まで帰ってきた。最も速い新幹線に乗ったのだけれど,それでも片道2時間以上かかる。というわけで,新幹線の車内で読もうと思い,上野駅構内の書店で最近の本を漁っていたら,『古代中国の虚像と実像』という新書を見つけ,購入してポケットに入れた。

 古代中国の虚像と実像
 落合淳思 著
 講談社現代新書(2009/10/16)
 ISBN-13: 978-4062880183

読んでみると,いわゆる受験西洋史の常識なるものがいかに根拠のないものであるかを淡々と解説する書籍で,とても興味深いことが書いてあった。丁寧に精読したつもりだったが,約1時間半ほどで完全に読了し,要点を全て暗記することができた。飛ばし読みなら数分もあれば足りるだろうから,内容が豊富である割合には非常にコンパクトにまとまっている書籍だということができる。ただし,批判の対象になっている四書五経や史記などの記述について予め熟知していないと,理解しにくい部分があるかもしれない。

ここに書かれている歴史的対象は,どれも千年以上前のことなので,そもそも明確にわかっていることが少ないのは当然のことであり,推測や想像で書かれた歴史に満ち溢れていることも十分に理解できる。確実そうだといえるような事実はとても少ない。

一般論だが,歴史だけではなく裁判においても同じようなことが常にある。ほんの数ヶ月または数年前に発生した事件であっても,「何が起きたのか?」を確実に証明することのできる証拠を発見することは,現実にはかなり難しいことであり,たいていは憶測や推測によって「事実認定」がなされざるを得ない。要するに,事実そのものに対する認識ではなく,乏しい資料を根拠とする推論の一種に過ぎない。それゆえ,一定確率で誤認や誤解が発生することは必然的なことであるわけだし,今後も一定確率で冤罪事件が発生し続けることになるだろう。

さて,日本人だけではなく韓国の人々にとっても,古代中国史は興味を惹かれる対象であるらしい。下記の記事が出ていた。中国と韓国との間の激しい歴史・文化論争が再燃しそうだ。

 「始皇帝は女真」漢族の通説に挑戦
 中央日報: 2010.01.20
 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=125344

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2010年1月24日 (日曜日)

総務省:「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」取りまとめ(案)に対するパブリックコメントの募集

下記のパブリックコメントの募集が開始されている。

 「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会」取りまとめ(案)に対する意見の募集
 総務省: 平成22年1月22日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/23780.html

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2010年1月23日 (土曜日)

クラウドコンピューティングにおけるコンプライアンス

下記の記事が出ている。

 CLOUD DEVELOPMENT: Understanding cloud compliance issues
 SearchCloudComputing.com: 01.21.2010
 http://searchcloudcomputing.techtarget.com/tip/0,289483,sid201_gci1379316,00.html

今後,米国各州で関連法制が整備されていくことになるだろうと思う。連邦法のレベルでもその動きがある。

「現に法制度が存在する以上,企業はそれに従うことを条件としてのみ製品やサービスを開発し,運用することができる」というあまりにも当然のことを理解していないと,あとで大変な思いをすることになるかもしれない。

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NIST:スマートグリッドのインターオペラビリティのための標準が公開される

NISTの下記の文書が公開されている。

 NIST Framework and Roadmap for Smart Grid Interoperability Standards, Release 1.0
 January 2010
 http://www.nist.gov/public_affairs/releases/smartgrid_interoperability_final.pdf

米国は,こういうことが基本的に早い。日本はとても遅い。だから,気付いたときには既にどうにもならないくらい外堀も内堀も埋められてしまっていることが多い。

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趣味で集めた男児の裸体写真をネット上で公開した者が児童ポルノ罪の容疑で逮捕

下記の記事が出ている。

 「他の愛好家にも…」と男児の裸写真公開 専門学校生を逮捕
 産経ニュース: 2010.1.22
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100122/crm1001221138009-n1.htm

容疑者は,専門学校の学生のようだ。「そんなことやってる暇があったら,もっと勉強しないさい!」と言いたい。

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アダルトサイトの閲覧者に対し架空請求をした容疑で,サイト運営者と料金徴収会社の者が逮捕

有料のアダルトサイトのコンテンツを利用していないのに料金の徴収が来るといったタイプの架空請求事件は数年前から存在する。社会問題の一種のような様相を呈したこともあったけれども,架空請求詐欺事件として全容が解明され逮捕者が出るまでに至ったことはあまりなかったのではないかと思われる。下記の記事が出ていた。

 サイト運営社員を容疑で逮捕
 中国新聞: '10/1/24
 http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201001240020.html

警察は,この種の詐欺事件にもいよいよ本腰を入れて取り組み始めたということかもしれない。今後もしっかりと捜査を遂げ,架空請求をする犯罪者を着実に検挙してほしいものだと思う。

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EU:空港での全身透視検査の導入を検討

下記の記事が出ている。

 EU considers full body screening in airports
 EDRI: 13 January, 2010
 http://www.edri.org/edrigram/number8.1/airport-body-scanners-europe

空港での全身透視検査の導入に関してはプライバシー保護団体等から強い批判がある。しかし,現下のテロ情勢などを考えると,空を飛ぶ運搬装置であり逃げ場のない環境である「飛行機」に搭乗する者の検査を厳格化することはある程度までやむを得ないことではないかとも考えられる。

ちなみに,私自身にとってはどうかというと,全身透視されても特に困ることは全く何もない。これまでも人間ドックで身体の隅々まで調べられたことが何度もあるが,仮にそのデータが外部に漏れたとしても困る要素は全然ないことをそのたびに確認している。マスコミなどは,面白半分で,美容整形(豊胸手術など)を受けている女性や,ボディピアスをつけている人などが困るのではないかと書いているけれど,(本人ではないので本当のことは判らないが)それを知られても困る人は意外と少ないのではないかというような気もする。そもそもへそ出しの服装で,ボディピアスを見せびらかせながら闊歩している女性をいくらでも見かけるし,自分の胸部をファッションの一種として理解し人工的に加工して楽しんでいる女性もいくらでもいるではないか。そのようなタイプの女性にとっては困ることは別にないだろう。そもそも最初から他人に見せている。
問題は,そのことを隠したいと思っている人々だ。隠したいことが検査装置の画面上では明らかになってしまう。そして,検査官は必ずその画像を目にすることになる。
そこで,画面を監視する検査官を隔離した場所に配置し,その検査装置を通過する人間の実際の「容姿」や「個人識別情報」等とのリンクができないようにすることができる適正な運用体制を確立すことによってこの問題を乗り切るしかないだろうと思う。また,画像を監視する検査官に対する検査も厳重なものとし,事前の身辺調査を徹底することは当然のこととして,画像装置が配置された部屋への入退室の管理を厳格化し,携帯電話やスマートフォンなどを含め,画像表示装置上の画像を撮影可能な装置を一切持ち込ませないようにするような工夫も必要だし,守秘義務に関しては最も厳格な対応をすべきことになるだろうと思う。そうしなければ,テロ対策のための要請と,個人の秘匿したい事実を保護すべき要請との間の適正なバランスを保つことができない。

とはいっても,この検査を受けることが(心情的には)あまり気持ちのよいことでないことは否定することのできない事実だと思う。私としては,今後は,どうしても必要な場合を除き,飛行機を使って旅をする機会をぎりぎりまで少なくすることになるだろうと思う。腰が多少痛くなっても,電車での長旅を楽しむことにしよう。

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IPA:総務担当理事の公募

IPAで,総務担当理事1名の公募が開始されている。

 独立行政法人情報処理推進機構の理事の公募について
 IPA: 2010年1月22日
 http://www.ipa.go.jp/about/yakuinrecruit2/index.html

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Microsoftが検索エンジンBingのプライバシーポリシーを変更

下記の記事が出ている。

 Microsoft Bing Will Follow Yahoo Privacy Policy in Search Deal
 eWeek: 2010-01-20
 http://www.eweek.com/c/a/Windows/Microsoft-Bing-Will-Follow-Yahoo-Privacy-Policy-In-Search-Deal-548011/

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求職者を狙うネット詐欺

ネット詐欺には様々な手段があり,それを実現するための電子技術を選ばない。Webサイト上のフィッシングサイトで個人情報を入手してそれを悪用する例もあるし,Twitterで誘いをかける例などもある。ターゲットとなる人々のカテゴリーも様々なのだが,最近は,不景気の下で休職中の失業者を狙ったスパムメールのような詐欺メールが増加しているようだ。下記の記事が出ている。

 Online job scams rise with unemployment
 San Francisco Chronicle: January 18, 2010
 http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2010/01/17/BUP71BJ2RJ.DTL&type=business

 Net scams profit from desperate jobseekers
 BBC: 8 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/click_online/8448966.stm

 New Spam Campaign Targets Unemployed;Exploits Twitter
 All Spammed Up: November 23, 2009
 http://www.allspammedup.com/2009/11/new-spam-campaign-targets-unemployedexploits-twitter/

この記事は海外での例なのだが,日本でも同じような詐欺目的でのスパムメールがかなりたくさんある。詐欺メールではないが迷惑なスパムメールと詐欺メールとを分けて考えた上で,(受信者の選択により)これらのメールを自動的に消去したり,あるいは,詐欺メールについては自動的に捜査機関に情報が収集されるような仕組みが構築されても良いのではないかと思う。

ちなみに,日本では,生活保護者等に宿泊施設を提供している者が生活保護費をピンはねして巨額の利益を得ているような事例がある。この場合,手段としては電子的なものを使っているわけではないが,ギリギリの収入しかない者から更に搾り取る行為という点では失業者を狙ったネット詐欺と同じ類型に属するといえるのではないだろうか。このようなタイプの詐欺類型を「搾取詐欺」とでも名づけたらよいだろうと思う。

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2010年1月22日 (金曜日)

クラウドコピューティングサービスの環境ではサイバー犯罪の捜査ができない?

クラウドコンピューティングの環境では,従来の電子的捜査手法を前提とする限りComputer forensics(電子犯罪捜査)が実行できないかもしれないという疑問がある。少し古い記事だが,このことを指摘する記事がある。今後,米国と同様にクラウドコンピューティングにおける機密情報の保護が法的にも強化されるとなると,その副作用として,この問題が表面化する可能性はあると思われる。

 Red Tape: Will Current Legislation Isolate Cloud Computing Data From The Forensic Gaze?
 DFI News: July 14, 2009
 http://www.dfinews.com/articles.php?pid=499

さて,この問題を日本国の法制に基づいて考えてみると,日本国の裁判官は,クラウドコンピュータのアーキテクチャを理解することがほとんどできないだろうから,通常の捜索・差押令状を発布しようとするし,現にそうするだろう。しかし,物理的な捜索・押収の場所をどのようにして特定したらよいのか,当のサーバの運営者・管理者でさえ正確に答えることはできないのだから,裁判官にも検察官にも特定できるはずがない。弁護人もまた同じ。そうなると,仮装サーバ上の相対アドレスを基準として仮装データを差し押さえるということしかできないようになると思われる。その場合,「そのような仮装データによる事実の認定が妥当なものといえるかどうか」といういうことが刑事訴訟法上の検討課題ということになる。ところが,日本国の標準的な刑事訴訟法学者が仮装コンピュータというものを正確に理解することができるかどうかは全くもって不明だ。

法律家は時代の変化に追いつかなければならない。実務法曹も法学研究者も,今後何年かにわたり一日の時間の圧倒的大部分を割いて新技術(←最新の電子工学,量子工学,遺伝子工学,行動科学等を含む。)を理解するための勉強を死にものぐるいでやってもらいたいものだと思う。

正確に事実を踏まえ,時間をかけて検討した上でなければ,どんなに頭のよい人であっても,そう簡単に正しい解決策を考え出せるわけがない。

目に見え手で触れることのできる物体の世界に対する認識・理解のみでもって「世界を理解している」とうぬぼれているような者は,法律家として適切ではないと思う。


[このブログ内の関連記事]

 米国:クラウドコンピューティングにおけるプライバシー保護と情報セキュリティ確保のための立法の動き
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-634a.html

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IPA:ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況 [2009年第4四半期(10月~12月)]

IPAのサイトで,下記の届出状況が公表されている。

 ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況 [2009年第4四半期(10月~12月)]
 IPA: 2010年1月21日
 http://www.ipa.go.jp/security/vuln/report/vuln2009q4.html

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カナダ:オンライントラッキングなどによる新たなプライバシー侵害に対応すべく,プライバシーコミッショナーがpublic consultation(公共審議会)を設置

下記の記事が出ている。

 Privacy Commissioner launches public consultations on emerging technologies
 CNW Group: Jan. 18, 2010
 http://www.newswire.ca/en/releases/archive/January2010/18/c9546.html

プライバシーコミッショナー制度が存在する国であればどこでもこのように迅速な対応がなされるというわけではない。そのポストにある人の資質・能力によるところが大きいし,また,ブレーンとなっている人が誰なのかによっても異なってくるだろう。

さて,わが国はというと・・・

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中国にはハッキングの歴史がある?

下記の記事が出ている。少し過激な気もする。

 China has a history of hacking computers
 Economic Times: 14 Jan 2010
 http://economictimes.indiatimes.com/infotech/internet/China-has-a-history-of-hacking-computers/articleshow/5442099.cms

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Windowsに1993年から未修正のままの脆弱性が存在

下記の記事が出ている。

 1993年から未修正のWindowsの脆弱性が明るみに--「Windows 7」も対象に
 CNET Japan: 2010/01/21
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20407085,00.htm


[このブログ内の関連記事]

 Windowsに重大な障害(死のブラックスクリーン)が発生
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/windows-f833.html

 フランス:ドイツ政府と歩調を合わせ,政府が国民に対しInternet Explorer以外のブラウザを利用するように勧告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/internet-explor.html

 ドイツ:政府が国民に対しIE以外のブラウザを利用するように勧告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-6756.html

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2010年1月21日 (木曜日)

米国:クラウドコンピューティングにおけるプライバシー保護と情報セキュリティ確保のための立法の動き

下記の記事が出ている。

 マイクロソフト、クラウドへの信頼強化策を政府に提案
 CNET Japan: 2010/01/21
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20407081,00.htm

 Microsoft Calls for Cloud Computing Transparency
 PC World: Jan 21, 2010
 http://www.pcworld.com/article/187294/microsoft_calls_for_cloud_computing_transparency.html

 Proposed legislation looks to build confidence in cloud computing
 CivSource: January 21, 2010
 http://civsourceonline.com/2010/01/21/proposed-legislation-looks-to-build-confidence-in-cloud-computing/

なお,この動向の背景事情を正確に理解するためには,下記の文書が必読。

 Complaint and Request for Injunction, Request for Investigation and for Other Relief
 EPIC: March 17, 2009
 http://epic.org/privacy/cloudcomputing/google/ftc031709.pdf


[このブログ内の関連記事]

 EU:ENISAがクラウドコンピューティングの利用におけるリスクを警告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/enisa-341a.html

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IPv6とDNSSECの脆弱性に関する懸念

下記の記事が出ている。なるほどと思う。

 Security architects fear savvy botnet attacks, IPv6 security issues
 SearchSecurity.com: 20 Jan 2010
 http://searchsecurity.techtarget.com/news/article/0,289142,sid14_gci1379186,00.html


[追記:2010年1月23日]

関連記事を追加する。

 80% of fed sites miss DNS Security deadline
 The Register: 23rd January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/23/dnssec_deadline_failure/

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安全基準を満たさないレーザーポインタを販売した業者が逮捕

レーザー光線を用いた電子機器類には非常に多くの種類がある。プレゼンテーションの際に用いるレーザーポインタもその一つだ。授業で使用している大学教授もいるかもしれない。ところが,レーザー光線は,使用方法を誤ると人間の視力等に悪影響を与える場合があるとされており,そのために各種安全基準が設けられている。この安全基準を満たす製品であれば,一応安全ということになるだろう。しかし,世間にはその安全基準を満たさない製品もまた大量に売られているというのも偽らざる現実であり,特に安価な輸入製品の中にそのようなものが含まれている場合がしばしばある。そのような安全基準を満たさない製品を販売していた者が逮捕されたようだ。

 レーザーポインターを無届け販売=輸入業者ら2人逮捕-大阪府警
 時事通信: 2010/01/18
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010011800693

今後は,安全を保証するRSCマークを偽造したり,偽造したRSCマークを付した製品を販売する悪質業者が出てくるだろうから,警察にはこの分野での取り締まりを更に強化してもらいたいものだと思う。何しろ,安全でない製品の場合,人間の身体に重大な損傷を発生させる危険性がないとはいえない。


[追記:2010年3月10日]

関連記事を追加する。

 風船が一瞬で破裂する、違法「レーザーポインター」とは
 IT Media: 2010年03月09日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news017.html

[追記:2014年1月16日]

関連記事を追加する。

 Laser thugs target mercy flights: Planes carrying injured troops back from Afghanistan among more than 250 military aircraft targeted by dazzling beams
 Daily Mail: 16 January, 2014
 http://www.dailymail.co.uk/news/article-2540307/Laser-thugs-target-mercy-flights-Planes-carrying-injured-troops-Afghanistan-250-military-aircraft-targeted-dazzling-beams.html

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盗んだ腕時計をネットオークションに出品して犯行が発覚し,逮捕

下記の記事が出ている。

 ネットオークションに盗難腕時計 出品の男、窃盗容疑で逮捕 水戸
 産経ニュース: 2010.1.19
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100119/crm1001192317050-n1.htm

ネットオークションにも古物営業法が適用されるが,ネットオークションの主催者が出品される物品が盗品であるかどうかを確実に検査するための方法がまだ確立していないので,現実には盗品がネットオークション上で取引されることがしばしばあるらしい。

全ての物品についてそのようにすることは無理だし妥当でもないが,例えば,高価品については,「当該物品に付されているシリアルナンバーなどを表示しなければ出品することができないようにする」といったような運用上の工夫は可能ではないかと思われる。このようにすれば,仮にオークションの主催者がシリアルナンバーから盗品であるか否かの判定をすることができなくても,盗難被害者はシリアルナンバーをネット検索し続けていれば,それがネットオークションに出品されているかどうかを知ることが可能となる。偽のシリアルナンバーを表示して出品した場合には,それだけで詐欺未遂罪として対処することが可能となる。イミテーションが出品されているような場合には,そのオークションに出品されている物品の固有のものとして表示されているシリアルナンバーが偽物ということになるので,著作権法その他別の法令によって処罰することも可能となる。

ビジネスの世界では,とかく金儲けができるという嘘に幻惑されて顧客を識別特定しターゲットマーケティングのために顧客の監視と追跡をやりたがる傾向があり,そのために日々膨大な量の個人データが奪われ続けている。しかし,そんなものは本当はあまり役にたっていない。儲かっているのはターゲットマーケティングを推奨するコンサルタント(コンサルティング会社)だけだ。本当にやるべきことは,個人の識別管理ではなく,個々の商品(物品)の識別管理のほうだろうと思う。

普通の商店やスーパーマーケット等では「顧客の氏名などがわからなくても,ちゃんと商売が成立している」という当たり前の情景を思い浮かべれば,そのことはすぐに理解できるだろう。もちろん,販売促進要員による売り込みによって売上をあげることのできる場合もある。だが,その人件費を考えると,本当に利益に結びついているのかどうか,はなはだ疑わしい。また,テレビショッピングなどは,特定の顧客をターゲットとした商売ではない。とにかく日本中に商業宣伝広告の放送を垂れ流しているだけだ。それでも利益はあがっている。特定の個人に的を絞ったマーケティングをするためのコスト(顧客予備軍となる人々の個人情報の収集・管理・分析に要するコストを含む。)を削減すれば利益が極大化するという最も良い例ではないかと思う。

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eBayの業績が回復基調

IT業界全体がまだ景気回復を感じさせるものとはいえない状況にあるが,eBayの業績は回復しているようだ。下記の記事が出ている。

 eBay marketplace reverses revenue shrinkage
 Register: 20th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/20/ebay_q4_numbers/

景気が良くなれば解決できる問題が非常に多い。そして,景気が悪ければどんなに努力しても絶対に解決できない問題が非常に多い。

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2010年1月20日 (水曜日)

ポルノウイルス(トロイの木馬ダイヤラー)がスマートフォンで復活

かつてPCの世界でポルノサイトを悪用したウイルスが流行ったことがある。今でもそのようなものがあるけれど,インターネットの利用者も馬鹿ではないし学習するので,次第にその手にはひっからなくなってきていたのではないかと思う。ところが,この古典的なやり口がスマートフォンで復活してきているらしい。例えば,スマートフォンを利用してポルノサイトにアクセスすると,秘かに国際電話としての通話に切り替えてしまうトロイの木馬ダイヤラーがしかけられるという事例が増えているようだ。利用者としては国内通話を利用していると信じているので,あとになって高額の国際通話料金が課金されてびっくりということになる。同じようなことは何年か前にPCを使ったインターネット上のポルノサイトのアクセスで発生したことがあり,社会問題のようになりかけた記憶がある。

 Cybercriminals revive old scams to target smartphones
 BBC: 15 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8459898.stm

一般論だが,iPhoneを含め,スマートフォンは単純な携帯用小型電話装置ではなく小型のPCという要素が多いので,当然のことながら,PCで可能なことはスマートフォンでも可能ということになってくるのではないかと思う。ところが,スマートフォンは携帯電話の一種なのでPCに感染するウイルスなどとは無関係な存在だと勝手に思い込んでしまう利用者が少なくない。同じようなことは,今後,日本でも発生する可能性がある。


[このブログ内の関連記事]

 iPhone OSの脆弱性
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/iphone-os-dba7.html

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米国:Doe v. Reed事件-情報公開請求とプライバシー保護との対立

情報公開請求の権利と公開される個人のプライバシーの利益とはしばしば衝突することがある。このことは日本でも米国でも同じだ。この関連で注目されているDoe v. Reed事件について,米国連邦最高裁で口頭弁論が重ねられているが,そう遠くない時期に判決がなされる見込みとなってきたようだ。

 Justices to hear case on disclosure of names on a petition
 Washington Post: January 16, 2010
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/15/AR2010011503764.html

 Supreme Court to Decide if Anti-Gay Petition Signers Can be Named
 Opposing Views: Jan 19, 2009
 http://www.opposingviews.com/articles/news-supreme-court-to-decide-if-anti-gay-petition-signers-can-be-named-r-1263929891

 At issue: privacy vs. openness in ballot petitions
 First Amendment Center: 01.19.10
 http://www.firstamendmentcenter.org/commentary.aspx?id=22509

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IPA:弱性対策情報データベースJVN iPediaへのアクセス数が月間100万件を突破

IPAが運営している弱性対策情報データベースJVN iPediaへのデータ登録件数が急増し,アクセス数も月間100万件を突破しているようだ。サービス提供内容も順次拡張されているとのこと。

 脆弱性対策情報データベースJVN iPediaの登録状況[2009年第4四半期(10月~12月)]
 IPA: 2010年1月19日
 http://www.ipa.go.jp/security/vuln/report/JVNiPedia2009q4.html


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Microsoftの製品・サービスの重大な脆弱性に対する批判

Microsoftの製品及びサービスにある(あった)脆弱性が原因となって様々な問題を発生させている。このことに対する批判が高まっているようだ。下記の記事が出ている。

 10 Security, Quality Issues Microsoft Must Address Quickly
 eWeek: 2010-01-19
 http://www.eweek.com/c/a/Security/10-Security-Quality-Issues-Microsoft-Must-Address-Quickly-714807/

なお,Microsoftは,現在判明している脆弱性について問題を解決した修正パッチを緊急に提供する準備を進めているとのことだ。

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Googleが中国における携帯サービスの提供を延期

Googleの中国からのビジネス撤退の動きがますます濃厚になってきた。携帯サービスの提供も延期になったようだ。下記の記事が出ている。

 Google puts off launch of mobile phone in China
 Guardian: 19 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/19/google-nexus-one-phone-china

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2010年1月19日 (火曜日)

「セロデイ攻撃」の意味

最近,「ゼロデイ攻撃」という用語を目にすることが多くなった。情報セキュリティの専門家または情報セキュリティの業務に携わっている人であれば特に説明のない概念かもしれない。しかし,それ以外の人々にとっては「何のこっちゃ?」というのが正直な気持ちかもしれない。さりとて「他人に教えてもらうのは恥ずかしいし・・・」とついつい思ってしまうのは,ある程度年齢がいった人にときどきある悪癖のようなものだ。そういうことを考えてはどうかは知らないが,IPAのサイトでは,「ゼロデイ攻撃」の意味とその対応策について判りやすく解説している。

 修正プログラム提供前の脆弱性を悪用したゼロデイ攻撃について
 IPA: 2010年 1月18日
 http://www.ipa.go.jp/security/virus/zda.html

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IPA:「情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメール」の相談窓口

IPAでは,最近増加しているといわれる「情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメール」の相談窓口を設けている。

 情報詐取を目的として特定の組織に送られる不審なメールの相談窓口「不審メール110番」
 IPA: 2010年 1月18日
 http://www.ipa.go.jp/security/virus/fushin110.html

これはこれで非常に重要な仕事であり,IPAはこの相談窓口の運営をしっかりとやってほしい。

それとは別に,やはり刑法の抜本改正が必要だと思われる。刑法学者等の中には私見に反対の人が多いということは明らかな事実だが,そのような反対説は現実を無視し絶対に実現することのない空想の理想状態を前提にする見解(空理空論)に過ぎないと思っている。

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フランス:ドイツ政府と歩調を合わせ,政府が国民に対しInternet Explorer以外のブラウザを利用するように勧告

ドイツ政府は,IEの脆弱性が重大であるとして,国民に対しIE以外のブラウザを利用するように勧告した。これを受け,フランス政府もドイツ政府に歩調を合わせることになったようだ。下記の記事が出ている。

 France joins Germany warning against Internet Explorer
 BBC: 18 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8465038.stm

今後,同様のことが他のアプリケーションでも起きる時代になったといえる。ドイツ政府とフランス政府の判断は,そのような時代の幕開けを象徴する出来事だと評価すべきだ。

ここで得られる教訓は,ごく「あたりまえ」のことだ。すなわち,「特定の機種や特定のアプリケーションに依存してはならない」ということに尽きる。

例えば,IEだけに依存し,IEの機能を借りたアプリケーションだけを利用するという環境を想定した場合,「IEが利用できなくなった」ということだけで,最悪の場合には,「何もできなくなる」という事態が発生してしまう。

このような悪夢は,(データストレージとして利用するだけの場合は別として)アプリケーションベースのパブリッククラウドの環境では究極的に現実化するおそれがある。パブリッククラウドの場合,「クラウドコンピューティングサービスプロバイダが提供するアプリケーション以外のアプリケーションを選択する余地」が全くないかもしれない。そして,そのアプリケーションに重大な脆弱性があり,政府によって「使用しないこと」が勧告されるとすれば,そのクラウドコンピューティングに依存している企業は,一貫の終わりということになってしまうかもしれない。

要するに,現在のコンピュータアーキテクチャの基本的な考え方は,「同一のハードウェアであっても異なるアプリケーションをその上で実行できる」ことを前提にしているのであり,その効用を最大限にひきあげることによってITビジネスは成長してきた。ところが,パブリッククラウドコンピューティングは,ある意味で,これに全く逆行するものだと言っても過言ではない。すなわち,IT産業の死を招くものであり得る。「自信過剰」は避けなければならない。


[このブログ内の関連記事]

 ドイツ:政府が国民に対しIE以外のブラウザを利用するように勧告
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-6756.html

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インターネットの技術は共通でも異なる文化と規範によってバラバラに規制されている

Googleが中国政府による検閲に抗議する趣旨で中国からの撤退を考慮しているようだし,これと関連して様々な動きがある。一見すると中国政府だけが厳しい態度をとっているかのように見えるけれども,冷静に観察すれば,それは中国だけの出来事ではない。世界各国にそれぞれの異なる文化と法制度がある。ネットの技術が共通だからといって現実のビジネスという局面において米国流のやり方だけで押し通そうとすると,非常に多くの困難が待ち構えている。下記の記事が出ている。

 In War Against the Internet, China Is Just a Skirmish
 New York Times: January 17, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/18/technology/internet/18global.html

はやい話が,結局のところ,「各国の文化と法制度をきちんと調査研究していないと,想定外の事態がいつ起きても不思議ではない」というのが現実の世界なのだ。より正確に言えば,事前に入念な調査研究がなされていなかったので想定できなかったというべきなのかもしれないが・・・


[このブログ内の関連記事]

 G-Mail暗号化の背景事情
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/g-mail-a743.html

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2010年1月18日 (月曜日)

Flash cookieのプライバシー問題

Flash cookieはプライバシー侵害を発生させるという懸念がある。これは,昨年あたりから問題とされるようになっていたのだが,その認識がだいぶ広まってきているようだ。下記の記事が出ている。

 Editorial Feature: BPA commissions white paper on Flash cookie privacy
 Earth Times: 14 Jan 2010
 http://www.earthtimes.org/articles/show/editorial-feature-bpa-commissions-white-paper-on-flash-cookie-privacy,1120477.shtml

 Flash Cookies Could Become Hot-Button Privacy Issue
 MediaPost: January 14, 2010
 http://www.mediapost.com/publications/?fa=Articles.showArticle&art_aid=120673

 Web analytics expert warns against 'risky' use of Flash cookies
 research-live.com: 15 January 2010
 http://www.research-live.com/news/analytics/web-analytics-expert-warns-against-risky-use-of-flash-cookies/4001861.article

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クラウドコンピューティングにおける機密情報の保護

下記の記事が出ている。参考になる。

 Information Security Clauses and Certifications - Part 1
 Informationlaw Group: January 17, 2010
 http://www.infolawgroup.com/2010/01/articles/information-security/information-security-clauses-and-certifications-part-1/

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警察庁:翻訳等担当専門職員(事務官)の募集

警察庁のサイトで,翻訳等担当専門職員(事務官)の募集が開始されている。

 翻訳等担当専門職員(事務官)募集要項
 警察庁: 2010.01.15
 http://www.npa.go.jp/saiyou/saiyou.pdf

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総務省:グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース「過去の競争政策のレビュー部会」(第5回)

平成22年2月1日(月)に下記の会議が開催される。この会議は一般の人も傍聴可能で,申込の締切は平成22年1月25日(月)17時00分とのこと。

 グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース「過去の競争政策のレビュー部会」(第5回)開催案内
 総務省: 2009年1月18日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/23542.html


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ACLU:米国連邦政府税関及び国境警備隊による旅行者のPC検査が令状に基づかない犯罪捜査でありプライバシー侵害に該当するとして強く抗議

下記の記事が出ている。

 ACLU challenges US laptop border searches
 Register: 16th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/16/laptop_border_search/

爆発物が仕組まれていないかどうかを調べるためのX線検査だけならまだしも,ハードディスクの中身まで調べられ,必要があればファイルを関連官庁に送信されてしまうというのでは,非難が起きるのは当然のことだろうと思う。

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ドイツ:政府が国民に対しIE以外のブラウザを利用するように勧告

Internet Explorerに情報セキュリティ上の重大な問題があり,それによってGoogleやAdbeなどのアプリケーションに対するクラックが発生したという事態を受け,ドイツ政府は,国民に対し,IE以外のブラウザを利用するように勧告したようだ。同様の動きは世界各国に拡大するかもしれない。下記の記事が出ている。

 German government warns against using MS Explorer
 BBC: 16 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8463516.stm


[このブログ内の関連記事]

 IEの脆弱性が現下の攻撃における最大のターゲット
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-942a.html

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2010年1月17日 (日曜日)

FTPアカウントの盗用

下記の記事が出ている。

 FTPアカウントの盗用による、ウェブ改ざん事例が急増--IPAが注意喚起
 CNET Japan: 2010/01/14
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20406606,00.htm

あくまでも机上の理屈に過ぎないので理論的な可能性の問題に過ぎず事実であるというわけではないが,フリーウェア等として流通しているFTPソフトウェアの中には,最初から利用者のアカウント情報を盗み出すことを目的として,IDやパスワードなどの情報を誰かに転送してしまう機能がこっそりと埋め込まれたもの(スパイウェア)があり得るのではないかと考えている。

そんなものは存在しないというのであれば単なる杞憂だ。しかし,このような問題に関する公式の調査結果は存在しない。

利用される頻度の高いソフトについて,ちゃんとした調査が実施されるべきではないかと思われる。


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中国:非中国系IT企業はしばしば失敗する

下記の記事が出ている。

 China, Where U.S. Internet Companies Often Fail
 New York Times: January 15, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/16/technology/16failure.html


[このブログ内の関連記事]

 G-Mail暗号化の背景事情
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/g-mail-a743.html

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2010年1月16日 (土曜日)

Amazonは出版業も営むようになる?

Amazonはネット上の書籍販売業者として成長してきた。そして,現在では電子書籍の閲覧用装置であるKindleの提供者として知られており,そのシェアを世界規模で拡大しつつある。更に,このKindleをプラットフォームとして電子出版をする出版社へと発展しつつあるようだ。下記の記事が出ている。

 Amazon takes Kindle self publishing global
 Register: 15th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/15/amazon_digital_text_platform_global/

私的な推測に過ぎないが,電子出版に関する限り,電子ブックが一定程度以上普及すると,確かに電子ブックをプラットフォームとする電子出版社が現実のものとなってくる可能性がある。同じことは新聞でも言えるだろう。

今後,世界規模で出版業界及び新聞業界の再編が始まるかもしれない。

なお,電子ブックがいかに普及しようとも紙の出版社がすべて消え去ることはないだろうと思う。問題は,「どのような条件を充足すれば紙の出版社が生き残ることができるか?」に集約されることになるのではないかと思う。

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米国:連邦政府が使用するためNASAの中にAmazon風のクラウドコンピュータシステムが構築中

下記の記事が出ている。この記事を読む限り,たしかにAmazon風の感じがする。私が実際に使ってみる機会はないだろうと思うので,あくまでも推測の域を出ないのだが・・・

 NASA Nebula - Obama's own private cloud?
 Register: 16th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/16/nasa_nebula/


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サイバー犯罪により盗み出した他人のクレジットカード情報などを取引する闇市場の主催者が暴かれる

FBIなどの捜査活動によってようやく判明したようだ。犯人はRenukanth Subramaniamという33歳の男性らしい。下記の記事が出ている。

 Welcome to DarkMarket – global one-stop shop for cybercrime and banking fraud
 Guardian: 14 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/14/darkmarket-online-fraud-trial-wembley

サイバー犯罪に対する最大の予防策は,「犯人(加害者)が確実に検挙されること」に尽きる。逃げおおせると思えば,誰でも犯罪者になる潜在的可能性がある。

日本の警察にも更に頑張ってサイバー犯罪に対する捜査を遂げてもらいたいし,その犯人に対する検挙率をあげて欲しい。

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英語発音の難しさ

昨日,あるところでネット上の「いじめ(bully)」について話題になった。このbullyの発音について,ほとんど辞書には「ブリー」のような発音だと書いてあるし,日本の英検などでもそのように扱っているらしいから,日本ではこれが「定説」なのだろう。

ところが,私の過去の経験によると,英国,オーストラリア及びニュージーランドにおけるこの分野の専門家は,全員「バリー」と発音していたし,それで会話が通じるので,これまでずっとそのように用いてきた。もしかすると,どこかの方言的な発音なのかもしれないが,よく判らない。

似たような例はいくらでもある。

英語の発音は1種類に固定されているわけではなく,世界的にみれば非常に大きなバラエティーと曖昧さがある。したがって,日本国において「正確」とされている発音を覚えていても全然役にたたないどころか有害である場合さえあるというのが実感だ。

実践的には,その場その場で,相手に合わせて発音の傾向の集合のようなものを即座に理解し,直ちに語彙を吸収し,自分のほうで柔軟にシフトさせる能力がないと会話することができない。

このことは,例えば,鹿児島に行けばその土地にあわせて薩摩弁で語り,青森を訪問すれば土地の言葉に敬意を表して津軽弁でしゃべるのと全く異ならないことだ。結局,どこに行っても標準日本語語しか話すことができない人というのは,言語能力的にはかなり低レベルの人だということになるだろう。

そういうわけで,大学入試センター試験におけるヒアリング試験の導入は(その導入決定前から現在に至るまで継続して)愚の骨頂の頂点のようなものだと信じてきたし,直ちに廃止すべきだと常に主張してきた。そもそも税金と貴重な人的リソースの無駄だ。ヒアリング試験対応のために無駄な時間を空費しているくらいなら,もっと別に学ぶべき大事なことがいくらでもあるから,より大事な事柄を学ぶために,かけがえのない二度とないとても大事な人生の時間を使うべきだと思う。繰り返して言うが,この試験は,直ちに全面廃止すべきだ。

ちなみに,入試センター試験の監督を担当する場合,事前にガイダンスのようなものを受けることになっており,その際にはヒアリング試験の解説ビデオを視聴することが義務となっている。私も(義務なので)それを視聴させられたことがある。ところが,そのビデオに出演していた人の声質が私にとってはとんでもなく嫌悪すべきタイプの声質であり,とても耐え難いもので,あやうく教室内で吐き出すろころだった(←人の声質に対する好き嫌いの問題は,精神的自由権として日本国憲法により保障されていると解する。このことは学生にとっても同じなので,基本的に,私は必修科目を担当しない。選択科目であれば,私のことを嫌う学生は私の担当科目を受講しなくても済む。語学能力や音楽的才能の豊かな者ほど私の意見に賛同してもらえるだろうと思う。(私の意見に対する納得や賛同や協調まで求めるつもりは毛頭ないが)私の意見の意味を理解できない者は,そもそも基本的な語学的才能がないか音痴であるかのいずれかであるかもしれないと思う。)。そのような低劣極まりないものの視聴を強制することは拷問的行為だと断言する。その内容もまた「人をこ馬鹿にする」ようなものであり,人間をここまで愚弄し,その尊厳を蹂躙するようなものはこれまで観たことがない。私は幼稚園の児童ではない。このように,この種ビデオの視聴を義務として強制することはとんでもない憲法違反行為だと信じているので,これまた即刻廃止し,そのビデオのDVDは全部焼却処分とべきだと思う(←それでは事故を防止できないという説明なのだが,このビデオを観れば事故を防止できるとは全く考えられない。もし万が一にも事故が発生したら,その担当者を懲戒処分をすればよいだけのことだと思う。懲戒処分があり得るとなれば,どんなビデオよりも強力な防止措置になるだろう。)。そして,このような阿呆なコンテンツをつくるために税金を支出することは,二度と許してはならない。

さて,一般に,語学能力は,本当に必要になればいつでも身につくものだ。

あくまでも一般論だが,語学に限らず,ほとんど全ての事柄について,「必要性」こそがすべての母であり,頭でっかちの理論に基づいて押し付けの教育をしてみたとしてもほとんど意味がないと思っている。

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Kodakが,その保有する特許の侵害にあたるとしてiPhoneとBlackberryに対して提訴

下記の記事が出ている。

 Kodak sues Apple and RIM over iPhone and Blackberry
 BBC: 15 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8460899.stm

似たような技術では必ず同様の訴訟が提起されることになる。現実問題として,この世にそれほど画期的な技術などあろうはずがなく,どれもこれも似たり寄ったりのものばかりだ。だから,権利者の側からすれば特許侵害があるとしか見えなくなってしまう。そもそも特許を乱発するのがいけないし,大学レベルでは特許の申請件数または保有研究を学者の業績評価の対象としたりするからこういう事態を招いてしまう。企業にとっては,訴訟対応のコストが馬鹿にならない。そのうち,「IT業界が特許訴訟の負担によって全面的に押しつぶされてしまうのではないか」と深く危惧する。特許だけではなく著作権等も含め,世界的な規模で知的財産権政策を大転換すべき時期が到来しているのではないかと思われる。

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セクスティング(Sexting)は児童ポルノか?

欧米の実成年者の間では裸体またはそれに近い写真などを友人と交感するセクスティング(Sexting)なるものが,SNSやモバイル通信などを通じて流行っているらしい。米国の多くの州では,そうした描写を含む写真や文章などを「児童ポルノ」として扱い処罰(少年の場合には補導または矯正・保護措置)の対象としている。おそらく,日本国の児童買春児童ポルノ法の解釈上でも同じようなことになるだろう。他方で,そのような表現行為は犯罪行為ではないという考え方もあり,なかなか難しい問題を含んでいる。とりわけ,未成年者であっても婚姻適例に達している者については,「性的情報を全く有しない純粋無垢な処女・童貞のままでなければ結婚してはならない」とのとんでもなく現実離れした価値観を一方的に押し付けることにもなりかねず,かなり面倒な社会問題を含むことになるだろう。もちろん,成人については各人の自由ということになるので(←ただし,日本国の刑法の適用を前提にすると,たとえSNSの中であったとしても公衆送信に該当するような行為は公然わいせつ物陳列罪となり得ることに注意しなければならない。),セクスティングそれ自体が違法ということにはならない。しかし,仲が良い間はよいが,喧嘩別れした後にそのような写真やメッセージなどがばら撒かれるとった事例もないわけではなく,あまり迂闊なことはしないほうが身のためであることは言うまでもない。

 'Sexting' Between Non-Adults Is Not Child Porn, Walters Says
 XBIZ: Jan 15 2010
 http://www.xbiznewswire.com/view.php?id=116529


[このブログ内の関連記事]

 オーストラリア:児童によるSextingをハラスメントの一種として排除の方向へ
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/sexting-979f.html

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IEの脆弱性が現下の攻撃における最大のターゲット

IEで新たに発見された脆弱性が最近のアタックの最大の要因になっているようだ。下記の記事が出ている。

 New IE hole exploited in attacks on U.S. firms
 CNET: January 14, 2010
 http://news.cnet.com/8301-27080_3-10435232-245.html

 Microsoft admits Explorer used in Google China hack
 BBC: 15 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8460819.stm


[追記:2010年1月17日]

関連記事を追加する。

 IEに脆弱性--米国企業へのターゲット型攻撃に悪用される
 CNET Japan: 2010/01/15
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20406703,00.htm

 Exploit code for potent IE zero-day bug goes wild
 'Fairly reliable'
 Register: 15th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/15/ie_zero_day_exploit_goes_wild/

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オーストラリア:サイバー戦争に対応すべく新たな組織が構築される

下記の記事が出ている。

 Defence on a cyber war footing after 2400 attacks
 heralds.co.au: January 16, 2010
 http://www.heraldsun.com.au/news/national/defence-on-a-cyber-war-footing-after-2400-attacks/story-e6frf7l6-1225820291162

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英国:サイバー戦争に対応すべく新たな組織が構築される

下記の記事が出ている。

 Conservatives pledge greater defence against cyberwar attacks
 Telegraph: 15 Jan 2010
 http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/6997116/Conservatives-pledge-greater-defence-against-cyberwar-attacks.html


[追記:2010年1月22日]

関連記事を追加する。

 Army chief embraces historic shift to new kind of war
 politics.co.uk: 19, Jan 2010
 http://www.politics.co.uk/news/foreign-policy/army-chief-embraces-historic-shift-to-new-kind-of-war-$1354296.htm

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個人情報の盗難,紛失,漏洩,流出が続く

内規に反してUSBメモリなどを持ち出し,それを紛失した者に対する処分がやや厳しくなってきたようだ。良いことだと思う。それでもなお事故は続く。「自分は絶対事故を起こさない」と確信していたのかもしれないが,もしそうだとすれば,なぜそこまで自己過信になれるのかが理解し難い。また,そもそも問題点に気付いていなかった(あたは気付く能力を有していなかった)とすれば全くもって論外だ。使用者としては,個人情報保護に関する基本的な法規や規則の制定趣旨やその重要性などについて理解することのできる能力を有しない従業員に関しては,個人情報を一切取り扱わない業務に就かせるようにすべきだろう。それでは事業遂行ができなくなるというのであれば,何らかの改善策を考え,職場における改善・工夫を実行していくべきなのであり,それが使用者としての義務の一つだと言うべきだろう。

 三井生命が顧客情報を保存したPC11台を紛失、外部漏えいは未確認
 IT Media: 2010年01月15日
 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1001/15/news070.html

 信金職員のバッグ盗まれる 中に個人情報や690万円 佐賀・唐津
 産経ニュース: 2010.1.15
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100115/crm1001152347043-n1.htm

 個人情報:会津養護学校で情報入りのUSBを紛失 /福島
 毎日jp: 2010年1月15日
 http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20100115ddlk07040093000c.html

 NTT西日本:改善命令へ 顧客情報、代理店に不正提供
 毎日jp: 2010年1月15日
 http://mainichi.jp/select/biz/news/20100115dde001020028000c.html

 USBメモリ紛失で教諭を戒告  文書管理が不適切と京都府教委
 京都新聞: 2010年1月14日
 http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2010011400197&genre=C4&area=K00

 監査請求者名をHPで公表 福井県
 産経ニュース: 2010.1.14
 http://sankei.jp.msn.com/politics/local/100114/lcl1001141809005-n1.htm

 昨年9月に発生した顧客情報の紛失事故を公表 - 大東建託
 Security NEXT: 2010/01/14
 http://www.security-next.com/011813.html

 子供583人分の健診データ紛失 京都の小学校教諭を戒告処分
 産経ニュース: 2010.1.14
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100114/crm1001142124034-n1.htm

 個人情報漏出についてのお詫び
 信濃毎日新聞: 2010年1月13日
 http://www.shinshu-liveon.jp/www/mypage/liveon/blog/node_141148

 個人情報:生徒らの情報入ったメモリーが盗難に--筑後の特別支援学校教諭 /福岡
 毎日jp: 2010年1月13日
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20100113ddlk40040402000c.html

 書類の紛失や誤送付など3件の個人情報関連事故を公表 - 住宅金融支援機構
 Security NEXT: 2010/01/13
 http://www.security-next.com/011816.html

 4500人の顧客情報捨てた? 茨城・常陸太田郵便局
 産経ニュース: 2010.1.13
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/ibaraki/100113/ibr1001131841009-n1.htm

 個人情報:郵便事業名古屋中支店、豊橋市発送の年金書類106人分を紛失 /愛知
 毎日jp: 2010年1月9日
 http://mainichi.jp/area/aichi/news/20100109ddlk23040223000c.html

 個人情報:介護保険施設で紛失--北九州・八幡西 /福岡
 毎日jp: 2010年1月9日
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20100109ddlk40040336000c.html

 全校生徒の個人情報含むPCが盗難、帰省時に自宅へ空き巣 - 大阪市の中学校
 Security NEXT: 2010/01/08
 http://www.security-next.com/011792.html

 NHK、所在不明となっていた個人情報入り端末を回収 - 操作の形跡なし
 Security NEXT: 2010/01/08
 http://www.security-next.com/011797.html

 個人情報が記載された顧客開拓用リストを紛失 - 商品先物取引会社
 Security NEXT: 2010/01/07
 http://www.security-next.com/011775.html

 顧客情報約1600件含むATMジャーナルが所在不明 - ゆうちょ銀行
 Security NEXT: 2010/01/06
 http://www.security-next.com/011774.html

 ID流出:サイト「アメーバ」の芸能人ブログなど450件
 毎日jp: 2010年1月5日
 http://mainichi.jp/select/biz/news/20100105k0000e040055000c.html

 顧客情報が記載された手帳を紛失 - 八千代銀行
 Security NEXT: 2010/01/05
 http://www.security-next.com/011766.html

 特設売場でクレジットカードレシート控えの紛失が発生 - 高島屋大阪店
 Security NEXT: 2010/01/05
 http://www.security-next.com/011769.html

 東京都の委託調査で個人情報が流出 - 礼状の宛名から
 Security NEXT: 2010/01/05
 http://www.security-next.com/011772.html

 土地所有者リストを紛失、一部を回収 - 東建コーポレーション
 Security NEXT: 2010/01/05
 http://www.security-next.com/011768.html

 新規ID登録希望者が他人の登録済みIDでログインできる不具合 - ヤフー
 Security NEXT: 2009/12/29
 http://www.security-next.com/011763.html

 約1万3000件分の個人情報含むATMジャーナル75本を紛失 - 尾西信金
 Security NEXT: 2009/12/29
 http://www.security-next.com/011762.html

 振込時に用いた伝票控約2700人分を紛失 - 御殿場市の簡易郵便局
 Security NEXT: 2009/12/29
 http://www.security-next.com/011758.html

 当直明け医師が帰宅時に個人情報入りPCを置き忘れ - 東京医科大学病院
 Security NEXT: 2009/12/29
 http://www.security-next.com/011760.html

 車上荒らしで個人情報入りFDを一時紛失 - UR都市機構委託先
 Security NEXT: 2009/12/29
 http://www.security-next.com/011759.html

 県:「県民の声」一部が流出 /宮崎
 毎日jp: 2009年12月28日
 http://mainichi.jp/area/miyazaki/news/20091228ddlk45010273000c.html

 個人情報含む業務書類を飲食店に置き忘れて紛失 - トーエネック
 Security NEXT: 2009/12/28
 http://www.security-next.com/011752.html

 県立高実習助手が生徒情報入りUSBメモリーを紛失 北九州
 産経ニュース: 2009.12.28
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091228/crm0912281803023-n1.htm

 案内メール誤配信で顧客のアドレス382件を流出 - 紀文
 Security NEXT: 2009/12/28
 http://www.security-next.com/011751.html

 個人情報198人分をホームページに誤掲載/横須賀市
 カナロコ: 2009年12月28日
 http://news.kanaloco.jp/localnews/article/0912280012/

 個人情報:観覧当選者アドレス、テレ東から流出
 毎日jp: 2009年12月27日
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091227ddm041040089000c.html

 笠岡郵便局:営業記録簿を紛失 1940人分の個人情報記載 /岡山
 毎日jp: 2009年12月26日
 http://mainichi.jp/area/okayama/news/20091226ddlk33040617000c.html

 約1090人分の顧客情報含む営業記録簿を紛失 - 北海道内の郵便局
 Security NEXT: 2009/12/25
 http://www.security-next.com/011746.html

 従業員名簿の持出による漏洩が2月に発生 - パナソニック関連会社
 Security NEXT: 2009/12/25
 http://www.security-next.com/011742.html

 元役員が会員の個人情報を持ち出し、他社への売却打診で判明 - 結婚情報サービス会社
 Security NEXT: 2009/12/24
 http://www.security-next.com/011735.html

 振込先口座明細表が所在不明 - 和歌山県信漁連
 Security NEXT: 2009/12/24
 http://www.security-next.com/011738.html

 個人情報:またUSB紛失 都立2学校、生徒記録 使用禁止の私物 /東京
 毎日jp: 2009年12月23日
 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20091223ddlk13040234000c.html

 横浜市大職員の盗難被害:個人情報持ち出し、課長を停職処分 /神奈川
 毎日jp: 2009年12月23日
 http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20091223ddlk14040278000c.html

 個人情報:4640人分の営業記録簿紛失--秋田の郵便局 /秋田
 毎日jp: 2009年12月23日
 http://mainichi.jp/area/akita/news/20091223ddlk05040011000c.html

 生徒の個人情報含むUSBメモリを校内で紛失 - 岐阜の県立高校
 Security NEXT: 2009/12/22
 http://www.security-next.com/011727.html

 岡崎の無料宿泊所:個人情報漏えい 市主幹らを処分 /愛知
 毎日jp: 2009年12月22日
 http://mainichi.jp/area/aichi/news/20091222ddlk23040269000c.html

 住民票の紛失や領収書の誤交付など個人情報関連の事故2件を公表 - 横須賀市
 Security NEXT: 2009/12/22
 http://www.security-next.com/011730.html

 「music.jp shop」でマイケルDVD BOX予約客の情報が閲覧可能に
 Security NEXT: 2009/12/21
 http://www.security-next.com/011718.html

 生徒の個人情報含むUSBメモリが校内で所在不明に - 東京障害者職業能力開発校
 Security NEXT: 2009/12/21
 http://www.security-next.com/011720.html

 自転車購入者の個人情報含む書類が所在不明に - 都内のホームセンター
 Security NEXT: 2009/12/21
 http://www.security-next.com/011717.html

 入居者情報含むリストを一時紛失、同日中に回収 - 不動産仲介会社
 Security NEXT: 2009/12/21
 http://www.security-next.com/011719.html

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2010年1月15日 (金曜日)

他人のIDを用いてネットオークションに参加した者が不正アクセス罪で逮捕

ネット上の中古車オークションに他人のIDを用いて参加した者が不正アクセス罪で逮捕されたようだ。下記の記事が出ている。

 不正アクセス禁止法違反:他人のパスワード使いネットで入札 容疑者逮捕 /千葉
 毎日jp: 2010年1月13日
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20100113ddlk12040149000c.html

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サクラだらけの「出遭えない系サイト」の運営者等が詐欺罪の容疑で逮捕

世に「出遭いサイト」なるものがどれだけの数存在するのかは知らないが,相当多数であることは事実だろうと思う。普通の結婚相手探しのためのサイトだけではなく,もっと別のタイプのサイトもあり,また,本当は誰とも出遭えないサイトもある。随分以前だが,横浜方面でそのような出遭えないサイトの経営者が逮捕されたことがあった。しかし,それからしばらくの間,この手の詐欺的サイトは野放し状態に近かったのではないかと思う。やっと警察も詐欺であることを認識し,捜査をするようになったようだ。これはよいことだと思う。

 全国初摘発!サクラばかりの出会い系サイト 詐欺容疑で11人逮捕 mixi使って勧誘 警視庁
 産経ニュース: 2010.1.15
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100115/crm1001151206020-n1.htm

ちなみに,この手のサイトは,いわゆる「テレクラ」のネット版発展形とでもいうべきものと考えられる。元テレクラで女性のフリをしてサクラをするバイトをしていたと自称する某氏の言によれば,電話を使ったテレクラにも男性のサクラしかいないものが結構たくさんあったのだそうだ。どうしてそんなものにひっかかるのか理解しにくい部分があるけれども,まあひっかかるときはひっかかるものだろうと思う。

いずれにせよ,顧客を騙してお金を取ることを目的としているサイトである限り,詐欺罪の成立は免れないだろう。

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クラウドコンピューティングに関する論文

今日,三省堂本店に立ち寄り,久しぶりに法律雑誌を立ち読みしていたら,面白い論文などが掲載されているものを何冊か見つけたので購入した。その中に,クラウドコンピューティングに関するものがあった。

 濱野敏彦
 クラウド・コンピューティングの概念整理(2)
 NBL 919号(2009年12月15日号)58-63頁

店頭でもざっと読んだが,帰宅途中の電車の中で精読してみた。

とりたてて新しい法律論を展開する論文ではなく,論点を綺麗に整理したといった感じのものだが,どんな論点があり得るかを知りたい人にとっては,思考の整理のために役にたつのではないかと思う。

[追記:2010年2月6日]

この論文の続きがNBLに掲載されていたので読んでみた。

 濱野敏彦
 クラウド・コンピューティングの概念整理(3)
 NBL 921号(2010年1月15日号)62-65頁

 濱野敏彦
 クラウド・コンピューティングの概念整理(4)
 NBL 922号(2010年2月1日号)64-74頁

しかし,この論文は,問題の本質を隠蔽し,真に検討すべき課題から目をそらせる結果を招くようなタイプの論文であり,今後,徹底的に批判の対象とすべき論文だと判断した。とりわけ,情報セキュリティとの関係では,「誰の」統制について書いているのかよく判らない。おそらく,論者自身が思考の整理ができていないか,ある目的で意図的にそうしているかのどちらかだろうと推測したくなるようなものだ。この論文に興味を持つ人は,「クラウドの利用者自身のセキュリティポリシーがクラウド環境では無視され,または,劣後的に扱われてしまう」という問題に全く触れられていないということに留意しながら読むことをお勧めする。この論文では,クラウド側の情報セキュリティについてのみ書かれており,その意味で,法律論文としての新味な部分は何もない。単に普通の情報を集めて整理しただけのものに過ぎない。なお,Googleにおける3重のバックアップ体制についても触れられているが,クラウドのアーキテクチャでは,そのバックアップが相互に完全にミラーとして機能するようになっていなければならず,そのために普通のコンピュータシステムとは異なる非常に困った問題が発生するという点についても全く触れることがない。おそらく,クラウドのアーキテクチャの基本とそこに伏在する本質的問題を理解していないのだろうと想像する。

結論として,私は,この論文(連載)をプラスの方向で評価することはできない。

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空港での透視装置導入に対する批判

航空機に対する爆破テロ未遂事件後,米国,オランダ,英国などの主要飛行場に高性能透視装置が配備されまたは配備される予定となっている。これに対しては,人間を丸裸にしてしまう装置であり,プライバシー侵害になるとの批判が強い。このことは,日本のメディアでも既に何度も伝えられているが,下記の記事には皮肉たっぷりの諷刺画が添えられている。

 Attack of the Nudatrons
 Computer Weekly: January 14, 2010
 http://www.computerweekly.com/blogs/the-data-trust-blog/2010/01/attack-of-the-nudatrons.html

日本の空港では,まだ高性能透視装置が配置されていない。その代わり,ボディタッチによる検査が強化されたようだ。果たしてどちらのほうがプライバシー侵害の度合いが大きいのかは判断が分かれるところだろうと思う。

ちなみに,私自身としては,知らない人に身体を触られまくるよりは,透視装置によってシルエットを観られてしまうほうがまだ我慢できるような気がする。私の身体のシルエットを見られても特に困ることはないと思っているし・・・(笑)

それはともかく,こういう事態となると,飛行機の利用者が減少することは避けられないだろうと思う。JALの再建はますますもって困難を極める。

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G-Mail暗号化の背景事情

Googleは,中国においてメールサービスに対して組織的な攻撃がなされていることを踏まえ,全てのG-mailメッセージを暗号化することになった。その背景には,中国における民主化運動家のメールアドレスを暴こうとする攻撃が日常的に続いているということがあるようだ。下記の記事が出ている。

 Security experts say Google cyber-attack was routine
 BBC: 14 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8458150.stm

[関連記事]

 チャイナ・シンドローム―Google、中国のハッカー攻撃を機にGmailのセキュリティーを引き締める
 TechCrunch: 2010年1月14日
 http://jp.techcrunch.com/archives/20100113china-hacking-gmail-secure/

 グーグルが自主規制を解除?、中国語サイトでタブー画像が検索可に
 産経ニュース: 2010.1.14
 http://sankei.jp.msn.com/economy/it/100114/its1001141755008-n1.htm

[追記:2010年1月16日]

関連記事を追加する。

 個人情報への不正アクセス非難=グーグル問題で米ヤフー
 時事通信: 2010/01/14
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010011400052

 Adobeもサイバー攻撃の標的に、ネットワークに組織的な攻撃か
 IT Media: 2010年01月14日
 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1001/14/news020.html

 The little-known Microsoft connection in the Google-China cyberwar
 Computer World: January 14, 2010
 http://blogs.computerworld.com/15406/the_little_known_microsoft_connection_in_the_google_china_cyberwar

 Accounts invaded, computers infected – human rights activists tell of cyber attacks
 Guardian: 14 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/world/2010/jan/14/china-human-rights-activists-cyber-attack


[追記:2010年1月19日]

関連記事を追加する。

 Foreign Journalists in Beijing Hit by E-Mail Hackers
 New York Times: January 18, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/19/technology/companies/19google.html


[このブログ内の関連記事]

 Googleが中国市場から撤退か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/google-f9b8.html

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ロサンゼルスにある法律事務所が,中国からサイバー攻撃を受けたとして,中国政府及び中国企業を相手に巨額の損害賠償請求訴訟を提起

ロサンゼルスにある法律事務所がサイバー攻撃を受けて損失を被ったという事件について,攻撃の発信地が中国にあると特定した上で,中国政府及び中国企業を相手に巨額の損害賠償請求訴訟を提起した模様だ。

 L.A. Law Firm Reports Cyber Attacks
 Wall Street Journal: January 14, 2010
 http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704363504575002301498625456.html

この訴訟でも,仮に原告である法律事務所が勝訴判決を得たとしてもその判決に基づいて強制執行をすることは不可能と思われる。したがって,この訴訟は,多分に政治的意味合いの強いものだろうと推測している。


[このブログ内の関連記事]

 フィルタリングソフトGreen Damを通じて莫大な量のソフトウェアのコードを盗み著作権を侵害したとして,米国企業が中国政府と中国企業に対し提訴
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/green-dam-9de9.html

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パブリッククラウドのセキュリティに対する信頼は失われた

下記の記事が出ている。そのとおりだと思う。

 Cloud warning
 FT.com: January 14 2010
 http://www.ft.com/cms/s/0/d022420a-00ad-11df-ae8d-00144feabdc0.html

ちなみに,ネット上の記事を集めたり評論してばかりいてもしょうがないので,私は,昨年暮に開催された情報ネットワーク法学会の研究会において,この関連の研究報告をした。また,2010年中に少なくとも2本以上の関連論文を公表する予定だ。

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米国:サイバー攻撃に関し,米国は中国を警戒

下記の記事が出ている。Googleの件の影響は計り知れない。

 U.S., eyeing rising China, to bolster Asia links
 REUTERS: January 13, 2010
 http://www.reuters.com/article/idUSTRE60C56I20100113


[関連記事]

 Cyber Operations: The New Balance
 by Stephen W. Korns
 JFQ issue 54, 3d quarter 2009
 http://www.ndu.edu/inss/Press/jfq_pages/editions/i54/24.pdf

 National Cyber Range (NCR)
 http://www.darpa.mil/sto/ia/ncr.html

 Pentagon computer-network defense command delayed by congressional concerns
 Washington Post: January 3, 2010
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/01/02/AR2010010201903.html


[このブログの中の関連記事]

 Googleが中国市場から撤退か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/google-f9b8.html

 DARPAが映画Matrixさながらのサイバー戦争対応を検討
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/darpamatrix-0f1.html

 米国:サイバー戦争における優位
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-9f90.html

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2010年1月14日 (木曜日)

FBIがハイチ地震復興募金詐欺を警告

昔から火事場泥棒というものがあるが,災害の際には募金詐欺のようなものが横行する傾向がある。現実には,災害のときだけではなく,比較的日常的に,都内の駅前などで募金を装った詐欺が横行している。本物の募金活動も存在するけれども,都民の多くは,駅前での募金という行為に対して疑いの目をもっているというのが本音ではないかと思う。しかし,本当に大災害が発生すると,そのように冷静に疑う目が濁ってしまうことがある。だから,詐欺にひっかかる。

FBIは,ハイチでの大規模地震の復興支援詐欺のようなものが横行するだろうと予測し,その警告を出している。

 FBI warns of Haiti relief fraud
 AFP: January 13, 2010
 http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jJJ3pLdOQjCzZp-4ZyompHIMDTkA

日本でも,もし何らかの大災害が発生すれば,ネット上でも駅前でも同様に募金詐欺が横行することになるだろう。

普通の人の感覚からすれば,「なんで人の善意につけこんでそんなあくどいことをするんだ?」と思ってしまうけれども,常習的な詐欺犯の感性は普通の人とは全く異なった構造をしていることが多いというのが実情だ。常習的詐欺犯に対しては,同じ人間だとは思わないほうが賢い対応だと言える。

ちなみに,特定の国際機関などが行う救援募金についても不明朗な部分が全くないわけではない。その収支報告がきちんとなされ,募金者が納得できるのであれば,募金をどのように支出してもかまわないと思うのだが,現実にはよく判らないことが多い。そして,善意の募金の中から何億円もがその組織の「理事」などの高額報酬に消えてしまい,被災者の手には全く届かないというような場合においては,社会問題となり得る。仮に結果的にそうなってしまったとしても,事前に「理事報酬の総額及びその他の人件費の内訳等が事前に募金者に告知されており,その金額を差し引いた残額から必要経費を更に控除した残額のみが被災者または被災者を支援する組織にわたる」という明細的な事項が明示されていれば問題が少ないかもしれない。しかし,もしそうでないとすれば,詐欺とはいわないにしても募金者を愚弄する行為であることだけは間違いない。

私は,一般に,特定の組織の理事がその立場に相応の報酬をもらうことそれ自体は間違ったことだとは思っていない。本当に真剣に仕事に打ち込んでいるというのであれば,その仕事に見合った相当の報酬が支払われて当然だとも思うし,仕事の遂行に必要な経費の支出も認められるべきだろうと思う。しかし,募金に限定すると,募金という行為の本質からして,その募金を取り扱う特定の組織の理事等の報酬は必要以上に高額であってはならないし,まして,名目だけの理事であって実質的には何も仕事らしい仕事をしていないといった場合には,基本的に報酬を与えるべきではないという社会規範のようなものがあるのではないかと思っている。

募金者は,そのような組織の「理事」等に贅沢をさせるために募金するのではない。1円でも多くのお金が被災者の復興支援に役立ってほしいと願って募金するのだ。

なお,日本の警察は,最初から詐欺目的でなされる募金行為に対する対応もまた非常に甘いのではないかと思っている。

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アイルランド:犯罪捜査資料を得る目的で国民全てのDNAをデータベース化する法律

アイルランドでは,警察機関が,犯罪捜査の目的で,遺留された毛髪などのDNAとマッチングさせ容疑者を特定することができるようにするために,国民のDNAデータを登録するデータベースを設置・運用するための法律を公布する見込みのようだ。下記の記事が出ている。

 An Irish law for a DNA Database
 EDRI: 13 January, 2010
 http://www.edri.org/edrigram/number8.1/irish-law-dna-database

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英国はEUのプライバシー保護基準を満たさない

英国のISPでPhormを用いたディープパケットインスペクション(Deep Packet Inspection)が実行されていることがこれまでずっと問題視され,EU政府からも違法であるとの指摘を受けていたにもかかわらず,英国政府は何らの行動も起こさないでいる。おそらく,英国政府がこの方針を改めることはないだろう。

 UK Government Misses Crucial EU Legal Deadline on Internet Privacy
 ISP Review: 13 January, 2010
 http://www.ispreview.co.uk/story/2010/01/13/uk-government-misses-crucial-eu-legal-deadline-on-internet-privacy.html

このDeep Packet Inspectionは商業宣伝広告の目的だけで実行されているのではなく,本当は中国政府がやっているのと同じような意味で政府(警察)による通信の監視のためにも使われているのではないかという疑惑がずっと前からあった。どうもそんな気がしてこないわけでもない。

とにもかくにも,英国は欧州各国の中ではやや異端の国であり,基本的にプライバシーをあまり尊重しようとしない国の一つだと言える。街中いたるところに監視用モニタカメラが設置されており,24時間監視されている。日本人がビジネスまたは観光の目的で英国を訪問する場合には,そのことをよく理解してから渡航すべきだろうと思う。

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英国:ネット上の詐欺情報をオンラインで連絡するサイトを4月に運用開始

世間には日常的に詐欺があふれている。しかし,日本の警察では「民事不介入」と言って被害届の受理さえ断られてしまうケースがかなり多数ある。その結果,投資詐欺などの犯罪捜査が後手後手にまわり,相当多数の被害者が発生した後になってからやっと犯罪捜査が始まるといったことが繰り返されてきたことは否定することのできない事実だ。詐欺犯に対する日本の警察の極めて消極的な態度は,結果的に詐欺行為の横行を積極的に助長している面があることは否定できない。民事ではなく,あくまでも刑事事件であるし,犯罪捜査をするのが警察の権限でありかつ公務員としての義務だということを深く自覚して欲しい。

さて,ネット上でも詐欺行為はいくらでもあるが,刑法上の詐欺罪に該当するかどうかは別として,何らかのかたちで「騙され」それによって「財産的な被害を受けた」という場合において,誰にどのように相談したらよいか判らないというのが実情かもしれない。このことは世界各国どこでも同じだ。

英国では,警察のサイトの中に連絡センター(National Fraud Reporting Centre (NFRC))のようなものが設置され,2010年4月から運用開始となるようだ。

 Online-fraud reporting hotline going live nationwide from April
 silicon.com: 12 January 2010
 http://www.silicon.com/technology/security/2010/01/12/online-fraud-reporting-hotline-going-live-nationwide-from-april-39745312/

日本における似たような仕組みとしては,「***ホットラン」のようなものが幾つかある。

日本では,伝統的に交番で市民の被害相談を受けるということがなされてきたけれども,ネット詐欺を含むサイバー犯罪についてまで小さな交番に駐在する警察官が対応しろというのは,現実的には無理または非常に困難なことでもあるので,警察庁のサイトの中に英国と同様のオンラインによる連絡センターや相談センターのようなものを設置すべきではないかと思う。

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フィッシングメールにより取得したクレジットカード情報を用いて詐欺を実行した者が逮捕される

フィッシングにより何らかのデータを取得しても,現行の刑法上では詐欺罪を構成しない。このことが日本国の法制上の重大欠陥の一つであることはこれまで何度も書いてきた。しかし,取得した情報をクレジットカード偽造のために用いたりすれば刑法に定める支払用カード偽造罪に該当することがあるし,また,取得した情報を用いて物品や金銭などを詐取した場合には普通の詐欺罪が成立する。とはいえ,そのような者を検挙することは必ずしも簡単なことではない。そのような詐欺犯の一人が逮捕されたようだ。

 フィッシング詐欺グループを逮捕、約2700人分の情報を不正入手
 Internet Watch: 2010/1/12
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100112_341913.html


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中国:インターネット鎖国

中国では国家的な規模でのファイアウォールが存在しており,中国政府の方針と合致しない外国サイトへの接続ができないようになっているし,そのような外国のネットサービスを利用できないようになっている。自由な情報流通を禁止することによって政府批判を阻止するという目的があるのだろうが,むしろ,中国の情報が外国に漏れるのを防ぐ(または外国による諜報活動を阻止する)という目的もあるかもしれない。要するに,中国政府の方針に合わないサイトは,中国にとってすべて「有害情報」だということになるのだろうし,それゆえにそのような有害サイトをブロックすることは当然の権利だということにもなるのだろう。

 China's internet crackdown forced Google retreat
 BBC: 13 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/13/google-retreat-china-crackdown-censorship

 Foreign Companies Resent China’s Rules
 New York times: January 13, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/14/business/global/14western.html

さて,日本には,GoogleやYouTubeやFacebookなどを「ビジネスに活用しよう!」と持ち上げている人々がいる。しかし,これらのサービスは,中国ではブロックされ,または,完全に公安当局の監視下にある。つまり,これらのサービスを中国で利用してはならない。

ネット上の何らかのサービスをビジネスで利用したい(または,させたい)と考える場合,日本との間の産業上のつながりが強い国でもそれを利用することができるかどうかを丁寧に調査した上で判断しないと,結局,自らのビジネス上の力を極度に弱めてしまうことになる危険性があるということを理解すべきだろう。それと同時に,常時監視下にあるネットワーク環境では,「その環境の中にある」ということだけで,企業秘密などの機密情報を「秘密のものとして」守ることが基本的に不可能だということも十分に理解すべきだ。

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2010年1月13日 (水曜日)

重要インフラ情報セキュリティフォーラム2010

下記のイベントが開催される。

 重要インフラ情報セキュリティフォーラム2010
 日 時:2010年1月25日(月)
 場 所:秋葉原コンベンションホール
 主 催:情報処理推進機構,JPCERT/CC
 参加費:無料
 http://www.ipa.go.jp/security/event/2009/infra-sem/index.html

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Googleが中国市場から撤退か?

下記の記事が出ている。

 グーグル:中国からの撤退の可能性に関する声明(英文)
 Wall Street Journal: 2010年 1月 13日
 http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_21747

うがった見方かもしれないが,「中国にはGoogleはいらない。百度があれば十分。」という趣旨で追い出しをくらってしまったのかもしれない。

追い出されるには追い出されるだけの理由があるのかもしれない・・・などと書くと,書き過ぎか?(笑)


[追記:2009年1月15日]

関連記事を追加する。

 グーグル中国、早くも撤退準備を開始か=一部社員には動揺広がる-中国
 Record China: 2010年1月14日
 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=38847

 グーグルが中国の検閲・サイバー攻撃に「NO」、撤退や閉鎖も示唆-中国メディア
 Record China: 2010年1月13日
 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=38821

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Microsoft Word 2007のXML特許侵害問題から考えるクラウドアプリケーションの問題点

MicrosoftのWordに用いられているXMLのプログラムにカナダの企業が保有する特許侵害があったとして差止命令が認められた。これにより,MicrosoftはWord 2007などの販売及びライセンス供与ができなくなってしまった。しかし,(特にスタンドアロンのPCで利用されているWordの場合にはそうだが)既に販売またはライセンス供与されているWordは,(その使用が特許侵害行為を構成するかどうかは別として)何の支障もなく依然として事実上使われ続けている。

ところが,クラウドコンピューティングサービスベースでアプリケーションが提供される場合,そうはならないということを銘記すべきだろう。

すなわち,クラウドコンピュータ上では,1個のアプリケーションのコピーが利用者の仮想コンピュータ上に再構成され,そのコピーであるアプリケーションを利用者が使用することになる。ところが,もし仮にそのアプリケーションに特許侵害や著作権侵害があって使用差止命令が出た場合,当該クラウドコンピューティングサービスプロバイダはその利用者の仮想コンピュータ上に当該アプリケーションを構成して利用させることが全面的に禁止されることになる。つまり,1個の禁止命令によってすべての利用者の利用が同時に禁止されることになる。この点は,クラウドコンピュータという環境と,従来型のパッケージによるアプリケーション販売及びライセンス供与との極端な相違点であるといえる。

果たして,クラウドコンピューティングサービスの利用者はそのような法的リスクに耐えられるだろうか?

実は,同じようなタイプのリスクは既に現実化している。それは裁判所の差止命令によるものではなく,クラウド内のアプリケーションが汚染されたことによるものだ。つまり,普通の情報セキュリティ上のリスクとインシデントのひとつに過ぎない。しかし,個別にパッケージで配布されるアプリケーションを個々別々のマシン上で利用するという伝統的なやり方と比較してみると,大元のアプリケーションが汚染されれば仮想コンピュータ上のすべてのアプリケーションも自動的に汚染されてしまう可能性があるという点で,上記の法的リスクの場合と同じような問題構造をもっているということを理解すべきだ。

要するに,パブリッククラウドはやはり危険だ。


[このブログ内の関連記事]

 Microsoftが特許侵害訴訟での敗訴判決を受け,Office 2007のサービス提供の一部を終了
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/microsoftoffice.html

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ノルウェー:セキュリティ目的で監視カメラを公衆浴場に設置したことがプライバシー侵害であるとして物議をかもす

日本の銭湯や温泉と同じような公衆浴場をもつ国は世界的には必ずしも多くはないが,北欧諸国では古くから似たような文化をもっていることで知られている。北欧の人々は,古くから(サウナを含め)温泉を楽しんできた。ところが,この温泉にもセキュリティの目的で監視用モニタカメラが設置されたらしく,このことがプライバシー侵害になるとして議論がわきおこっているようだ。下記の記事が出ている。

 A surveillance camera was found in a public bathroom in Norway
 UpperMichigansSource.com: January 12, 2010
 http://www.uppermichiganssource.com/news/story.aspx?id=400796

同じことを日本におきかえてみると,温泉ランドや銭湯などで浴室内に監視カメラが設置され,公衆浴場従業員または警察官または警備会社従業員または村役場職員などが常時入浴客の姿(裸体)を監視しているという構図を想像してみるとよい。

不勉強な者は,「公衆浴場内では自ら進んで裸体をさらしているのだからプライバシーは存在しない」と主張するかもしれない。しかし,そのような意見は,正しくない。この文脈では,浴場内においてのみ他人から裸体を見られることを了承しているのに過ぎず,浴場外から「鑑賞」されることまで許容しているのではない。

同じようなことは,(SNSを含め)ネット上の言動についても同様にあてはまるかもしれない。

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クラウドコンピューティングに対する関心は高いが、現実の需要は依然として低迷

ITビジネスや製造業者だけではなく,投資家からしてもクラウドコンピューティングサービスに対する関心と期待が非常に高いことは事実だと思われる。このブログは真理を伝えるブログなので(笑)世間の普通の「流れ」とは少し異なったことを書くことが多いけれども,世間の大半の企業はクラウドに浮かれている。しかし,クラウドに対する真の需要は,よほど無能で無力な中小企業でない限り,「可能な限り低コストのデータセンター」しかないと言っても過言ではないだろう。そして,クラウドベースであるにしろそうでないにしろ,データセンターサービスの提供がすでに大幅に供給過剰となっていることは既に何度も書いてきたことであるが,それゆえにこの分野における価格低下競争がますますもって熾烈なものとなることも明らかだろうと思われる。つまり,高収益をあげる可能性のあるビジネス分野ではない。いずれバブル的なものが崩壊するときがくることは間違いない。

このように考えていたら,世間にはまったく同じように考える人もいるのだということを発見し,少しだけ意を強くした(笑)。下記の記事が出ている。

 Cloud Computing Interest Outweighs Activity
 ChannelWeb: 1. 12, 2010
 http://www.crn.com/storage/222300558

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DARPAが映画Matrixさながらのサイバー戦争対応を検討

5,100万ドルの予算を検討しているらしい。映画『Matrix』に出てくるスミスのようなエージェントがサイバーゲリラを摘発し処分し続けることになるのだろうか?

 DARPA Spends $51 Million On Matrix-Like Cyber War Firing Range
 Popsci.com: 01.12.2010
 http://www.popsci.com/technology/article/2010-01/darpa-spends-51-million-matrix-cyber-war-firing-range

現在のunixをベースにしたインターネットの基本構造の目に見えないところでは,様々なエージェントやデーモンが常に活動しており,それによってインターネットが機能している。ただ,それらは機能としての通信接続を成立させるための必要な要素なのであり,あくまでも技術の分野に属する出来事だ。

これに対し,サイバー戦争やサイバー犯罪対応という社会的な出来事に対する対応は少し異なる要素が含まれることになる。既知の明らかな攻撃手段に対しては技術的な対応が不可能ではないし現実には技術的な対応しか有効適切な手段がない。ところが,サイバー戦争では(純粋な表現行為としてのデマゴーグを含め)文脈理解というものなしにはそれが攻撃であるのか否かを判定できないような場合が決して少なくない。そこでは,純粋な技術的対応というよりは最も進んだ人工知能技術をもってしても自動処理が絶対不可能なタイプの課題が待ち受けており,それに対応できるのは人間の頭脳しかない。そうなると,結果的には,マンパワーの優劣ということで結果が異なってるような課題も存在し得ることになるから,かつてのような歩兵の数の多寡によって勝敗が決するようなタイプの戦争というものにも対応しなければならないことになるだろう。自動処理のために用意される電子的なエージェントは無数に複製を構築することが可能だが,生きた人間はそうではないというところに問題の本質がある。

ちなみに,映画『ターミネータ』に出てくるような戦闘用(殺人用)ロボットは必ずしも荒唐無稽のものではない。ただし,物体である以上,それを製造する工場が必要であり,工場に提供される各種部品の製造者が必要であり,部品の製造に必要な(希少金属類を含む)各種原料の調達が必要となることから,「電子的なエージェントと比較すると,まるで問題にならなくくらい少数のロボットしか製造できない」というところが映画と現実との相違ということになるだろう。この点では,人間の歩兵と全く同じ原理が機能することになる。

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鉄腕アトム(アストロボーイ)のキャラクタを使ったゲーム

鉄腕アトムは,海外ではアストロボーイとして知られている。そのキャラクタを用いたゲームがあるようだ。はっきりいってやめてほしい。

 Game review: Astroboy
 Guardian: 12 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/gamesblog/2010/jan/12/astroboy-page-review-playstation-wii

私の理解によると,鉄腕アトムは単なる漫画ではない。漫画という表現方法を用いた哲学書のようなものだと考えている。哲学書だというのが大げさすぎるとしても,そのストーリーの中に含まれている様々な社会問題に対する視点や思想のようなものには随分と重要なものを含んでおり,そこに鉄腕アトムの本当の魅力と真価があるのではないかと思っている。そのような思想や文脈という要素を無視し,「かたち」だけを商業利用するのは,私としては賛成できない。

私は手塚治虫氏の崇拝者ではないし,鉄腕アトムオタクでもない。

大事なことは,その作品によって示されている思想は何かということに尽きる。そして,「その思想がそのような表現形式をとっていた」ということが文化史的または社会思想史的にはとても貴重なことなのだと理解している。

もちろん,もとの作品からキャラクタだけを切り離し,それだけを独立した商品として使いまわすということもまた一つの文化的な出来事であることはいうまでもない。しかし,そこにあるのは,あまりにも軽薄な商業主義だけだ。はっきり言って下品だ。

だから,やめてほしいのだ。

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法務省:法制審議会刑事法(公訴時効関係)部会第4回会議資料

法務省のサイトで,下記の会議の資料が公開されている。

 法制審議会刑事法(公訴時効関係)部会第4回会議(平成21年12月21日開催)
 法務省: 平成22年1月12日
 http://www.moj.go.jp/SHINGI2/091221-1.html

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総務省:グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(第5回)

下記の会議が開催される。一般の人も傍聴可能で,申込締切は平成22年1月18日(月)17時00分とのこと。

 グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」(第5回)開催案内
 総務省: 2010年1月12日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/global_ict/23533.html

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Iranian cyber armyの次のターゲットは百度

昨年,Twitterをハックしたことで有名になったIranian cyber armyだが,目下のターゲットは中国の百度(Baidu)のようだ。下記の記事が出ている。

 Baidu hacked by 'Iranian cyber army'
 BBC: 12 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8453718.stm

[このブログ内の関連記事]

 Twitterへのアタックが続いている
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/twitter-e327.html<.a>

サイバー法, 情報セキュリティ | | コメント (0)

2010年1月12日 (火曜日)

米国:有料衛星放送テレビを料金支払いなしで視聴することができるようにするソフトを配布した者に対し損害賠償を命ずる判決

全米で2位といわれるDish Networkの衛星放送を,その料金を支払わないで視聴することができるようにするソフトを配布した者に対し,DMCAに定める著作物のセキュリティ措置を回避する無権限アクセスであり違法であるとして,損害賠償を命ずる判決があったようだ。下記の記事が出ている。

 Judge awards Dish Network $51m from satellite pirate
 Register: 11th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/11/satellite_piracy_judgement/

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2010年1月11日 (月曜日)

Facebookの設立者が「SNSでは,プライバシーはもはや規範ではない」と言明

・・・だそうだ。

 Privacy no longer a social norm, says Facebook founder
 Guardian: 11 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/11/facebook-privacy

 How online life distorts privacy rights for all
 BBC: 8 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8446649.stm

まだ25歳なのだそうで,何も社会常識も身につけないまま有名人になってしまったので,こういう馬鹿な発言をすることになるのだろう。これだけわがままそうだと,顧問弁護士の言うことにも一切耳を傾けないタイプの経営者なのではないかと推測できる。

Facebookの未来は相当に暗い。いずれ巨額の損害賠償を求めるクラスアクションが多発し,経営が行き詰ってしまうことになるだろう。


[このブログ内の関連記事]

 SNSのプライバシー問題-多くのCIOが問題を意識していない
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/snscio-c957.html

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2010年1月10日 (日曜日)

Microsoftが特許侵害訴訟での敗訴判決を受け,Office 2007のサービス提供の一部を終了

下記の記事が出ている。理論的には,すべてのOffice 2007のライセンス供与が違法となるはずであり,もしかすると,そのライセンスを受けて利用しているユーザもまた特許侵害行為をしていることになるかもしれない。その場合,Microsoftは全ての利用者に対して損害賠償責任を負うことになるだろう。世界全体に対する影響は大きい。

 Microsoft ends Windows and Office 2007 rental restrictions
 Register: 9th January 2010
 http://www.channelregister.co.uk/2010/01/09/windows_office_2007_rental/


[このブログ内の関連記事]

 特許侵害訴訟の敗訴判決を受け,MicrosoftがWord 2007のコードを変更するとの声明
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/microsoftword-2.html

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英国:次世代ブロードバンドの完成のため,全世帯に課税

英国政府は,政府主導により次世代超高速ブロードバンドの導入と普及に努めている。しかし,どの国でも同じように,問題は予算だ。そこで,英国政府は,この次世代ブロードバンドの完成のため,全世帯に対し,課税をして費用をまかなうという方法を選択したようだ。

 Government launches consultation on next-generation broadband
 Guardian: 7 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/technology/2010/jan/07/broadband-digital-britain

 £6 broadband tax will be law next year
 silicon.com: 9 December 2009
 http://www.silicon.com/management/public-sector/2009/12/09/6-broadband-tax-will-be-law-next-year-39699385/

このようなタイプの課税についてはもちろん反対意見があるだろう。それはそれで適正な課税という観点からちゃんと議論すべきだ。

そのような議論とは全く別に,ある国が「何を重視するのか?」という観点からの考察も有用ではないかと思われる。

英国政府にとって,次世代ブロードバンドが国としての生死を分けるという程度にまで重要なものだと推測することは可能だ。そうでなければ,批判を受けることが必至な新たな課税をしてまで推進しようとはしない。

日本政府は,子供手当てを重視している。重要政策というよりも,選挙公約だからだという側面が強すぎるようにも思われるのだが,よく判らない。

私は,このようなタイプの問題を考えるときには,歴史をひもとくことが大事だと思っている。

日本国では,明治維新以来第二次世界大戦の終結に至るまで,日本の庶民が経済的に豊かだったことは一度もないかもしれない。現代のレベルと比較すると,極貧に近い状態がずっと続いた。そうした貧乏で子沢山の家の中から,ときどき非常に優れた人材が出てきて,経済の面でも学問の面でもその他の面でも大きな成果をあげてきた。そして,優秀な人材に対しては集中して国家予算を提供したり,民間の資産家が(場合によっては自分の養子として)資金援助することより,守り育ててきたのだ。そこには,未来の国家を担う優れた人材を育てるという強い国家意思または社会思想のようなものを感ずることができる。

現代社会では,すこぶる奇妙な平等主義がはびこっている。人間は,法的には平等に取り扱われなければならないが,現実に平等であるはずがないし,努力しているかしていないかの別を無視し,現実に生産的であるか非生産的であるかの別を無視して機械的に経済的平等を実現しようとすれば,本当は,努力している人間や生産性の高い人間を不当に差別するのと同じ結果をもたらすことになる。そのため,現代では,戦前のように乏しい予算を特定の分野や特定の人材だけに集中するというやり方が難しくなっているかもしれない。

また,明治維新以来100年以上もたつので,いわゆる「学閥」のようなものができてしまい,その身内だけで貴重な国家予算を分け合うような社会慣行もできてしまった。明治維新のころにはそれがなかったから,いまよりもずっと平等な社会だったに違いない(旧薩長の藩閥が支配していた旧日本軍でさえ,旧薩長出身ではないのに自らの実力によって相応の地位を得た人がたくさんいる。)。

さらによく考えてみると,根本的にものごとを改善しようとすると,安定した秩序の中での予定調和を期待して生きている人々を犠牲にしない限りどうにもならない部分が多すぎるようにも思う。

結局,何もできないという結論になってしまいそうだ。

こういうことは本当は誰でもうすうす感づいていることの一つだ。そこに社会全体の中にはびこる閉塞感のようなものの根本原因がある。

成熟した社会とはそういうものなのだろう。

成長過程にある社会には社会としての安定感はぜんぜんない。そこでは,明日の生活を誰も保証してくれないだけではなく,うっかりすると餓死が待っている。だから何もなくてもとにかく生きるために考えることになる。日本の戦後復興もまたそのような文脈の中から考えることができるのではないだろうか。

結局,活力とは,そのような不安定さの中からしか生まれてこないものかもしれない。その意味で,活力と安定とは相互に矛盾する要素であると理解するのが正しいのだろう。

そして,人間の活力の多寡には当然非常に大きな個人差があり,その大半は生まれたときから遺伝子によって決定されてしまっているので,結果としての経済的成功または経済的不成功もまた必然的に大きく分かれてしまうことになる。つまり,活力を重視する政策を採れば,当然の結果として,大きな貧富の差が生じる。現代の中国がまさにその見本というべきだろう。「貧富の差の発生を当然の結果であると承認した上で,経済的活力を最も重視するような経済政策」が圧倒的多数の国民からは結局支持されなくなってしまう理由はそこにある。
もちろん,そのような政策は,一時的には支持を得ることができることがあるかもしれない。「誰でも豊かになれる社会を築こう!」それが一般的に用いられるスローガンの一つだ。日本では「所得倍増論」がそれに相当するだろう。しかし,それは,「自分も成功するかもしれない」または「成功者から利益の分配を受けることができるかもしれない」または「成功者に寄生して生きていけるかもしれない」という期待感があるからだ。
ところが,金融商品の投資に頼る経済政策の場合,得られる利益は投資家だけにもたらされ,社会に広く配分されることがない。ここらへんが製造業中心の社会とは異なる。製造業が成功すれば,経営者が金持ちになれることは当然のことではあるが,そこに働く従業員も生活もまた安定を保証され,数多くの下請企業が栄える。しかし,投資だけによる場合,国家全体としては富が増えたようにみえる場合でさえ,現実には投資家しか利益を得ることができない。しかも,得られた利益は再び別の投資にまわされるのが普通であり,かつ,その投資は投資先の企業や個人を助けるという趣旨ではなく自分の利益獲得だけを目的とする短期的なものであるので,結果的に社会内を循環し社会全体を潤すことがない。
だから,日本の普通の庶民は貧しくなるだけの結果となって現在に至っている。そこにはごく一部の投資家を豊かにするという政策しかなかったから,庶民が豊かになる政策は何も残されてない。

政治とは本当に難しいものだと思う。

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2010年1月 9日 (土曜日)

IPA:「リスク認知と実行に関する調査」に係る一般競争入札

IPAのサイトで,下記の一般競争入札が開始されている。なお,入札期間は,2010年1月8日~2月2日とのこと。

 「リスク認知と実行に関する調査」に係る一般競争入札
 IPA: 2010年1月8日
 http://www.ipa.go.jp/security/kobo/21fy/risk/index.html

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フランス:ネット広告に課税の方針

フランスでは,Googleなどによるネット広告収入に対し課税する方針であることが明らかとなった。下記の記事が出ている。

 フランス政府が“Google税”提案 税収でコンテンツ業界を支援
 IT Media: 2010年01月08日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/08/news062.html

国際的なネット企業の場合,利益に対して何らの税金も支払っていないわけではなく,本社のある本国法に基づいて課税され税金を支払っているのが普通だ。また,ある営業部門だけが黒字でも会社全体としては赤字であり利益がない場合には課税されない。

ところが,本国ではない外国で特定の部門の利益に対してだけ課税された場合,もちろん本国でも総利益額に対しても課税されることから二重課税となってしまうことがあり得る。また,会社全体としては赤字の場合,もしかすると特定の部門だけの利益に対して課税している国に対して,総額では赤字であることを理由とする還付請求が認められないかもしれない。

これらのことは,それぞれの主権国家が独立した課税権をもっており,他国における課税の有無とは無関係に徴税できることから生ずることだ。この問題を解決するためには,多国間で税金の分配方法を決定するための国際的な仕組みを構築しなければならないのだが,仮にそのような国際機関ができたとしても,国によって税制が異なっているため同一のベースで税収の分配を決定することができないという問題がある。しかも,どの国でも1ドルでも多くの税金を獲得しようとする意欲において他国に負けるところはないという素朴に貪欲な世界なので,その利益分配の調整が簡単にできるとは想像し難い。

結果的に,「課税する」といわれれば納税しなければならず,課税されたくなければビジネスから撤退するしかないという究極の選択が待っていることになる。

世界規模でネットビジネスを展開すると自動的にこういう問題が発生する。

さて,クラウドコンピューティングサービスの場合,どの国がどのような理由で課税することが可能になるのだろうか?

なにしろ,仮想マシンと物理装置とが分離されているというだけではなく,物理装置は本社が所在する国以外の別の国に所在していることが少なくない。そうでありながら,仮想マシンは本当はその物理マシンを結合したネットワークの中に存在しており,当該物装置は仮想マシンの一部を構成しているとみることができるから,仮想マシンを提供するサービスによって得られた利益はその物理装置によって得られたものとして,当該物理マシンが物理的に所在する国によって独自に課税可能であると解釈する余地がある。もちろん,仮想マシンを使ってビジネスをしている企業についても類似の問題が発生し得る。これらの問題は,これまでずっと誰もが目をつぶってきた問題の一つだ。しかし,これだけ各国の税収が落ち込んでいる状況下では,「どんな屁理屈をつけでても徹底的に課税強化しよう」と考えるのは,どの政府でも全く同じだと考えるのが正しい。要するに,「背に腹はかえられない」というわけだ。

これまた(政府にとっても企業にとっても)ぞっとするような暗雲たれこめる「クラウディな世界」だと言わざるを得ない。


[追記:2009年1月11日]

関連記事を追加する。

 France considers tax for Google, Yahoo and Facebook
 BBC: 8 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8448389.stm

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Appleが新型タッチスクリーンを開発

Windows 7ではタッチパネル操作機能が強化されたし,他の企業のPCや電子ブックなどの電子デバイスでもタッチ操作方式がどんどん採用されている。かつて,シャープのザウルスが日本国だけでローカルにやっていたことが世界規模で大規模に展開されているという感じになってきた。そこで問題になるのは,タッチスクリーンの製造コストだ。これを安くしない限り,この分野での成長には限界がある。Appleは,この問題を解決するかもしれない新技術を開発したようだ。下記の記事が出ている。

 Apple Patent Application Could Presage Thinner Devices
 New York Times: Apple Patent Application Could Presage Thinner Devices
 http://bits.blogs.nytimes.com/2010/01/07/apple-patent-application-could-mean-thinner-devices/

私は,企業の全情報資産をパブリッククラウド内にある仮想コンピュータに入れてしまうことには大反対だ。しかし,これまではCD-ROMやDVDなどによって提供されてきたアプリケーションがネット経由で提供されるようになり,その提供のためのシステムとしてクラウドコンピューティングが用いられることそれ自体については特に反対しているわけではない。

ただし,情報セキュリティ上の問題はある。クラウドによる提供の場合,もともとのアプリケーションは1個だけなので,それがボットがウイルスに汚染されてしまった場合,あっという間にすべての利用者も連鎖的に汚染されてしまう危険性がある。日本でも米国でも既に大規模な実例があり,アプリケーションのネット提供に潜む危険性が誰の目にも明らかになりつつあると言える。現実問題として,当該アプリケーションの提供業務を担当しているのが零細で奴隷的な下請企業である場合,仕事に対するインセンティブがあがることはないし,意識の低下はもちろん情報セキュリティのレベルの低下に直結する。現実に起きた事故によってもそのことは証明されていると言えるだろう。

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Microsoftの戦略

CESにおけるバルマー会長の基調講演概要が日本語で紹介されていた。

 Apple対抗!? MS版「Slate」を披露──WindowsワールドをアピールするバルマーCEO
 IT Media: 2010年01月08日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1001/08/news019.html

この記事を読む限り,やはり「デバイスの進歩」と「豊富なコンテンツやアプリケーションのネット上での提供」という2つの要素の組み合わせがキーになっていると理解することができる。このことは,Microsoftだけではなく,GoogleやAmazonを含め,基本的にはどの企業も同じだろうと思う。新たなデバイスの開発だけでは食っていけない時代になる。

日本の場合,このような時代の変化に対して対応する際に最大の障害になるのは,現行の著作権法及びその行政解釈だろうと思う。これらの要因は,「豊富なコンテンツやアプリケーションのネット上での提供」に対する著しい阻害要因となることが明らかだ。

日本が孤立し,没落するのか,それとも,世界の趨勢に歩調を合わせることのできるだけの法制度の整理ができるのか,重大な岐路に立っているような気がする。

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Googleは資源取引企業をめざしている?

下記の記事が出ている。エネルギー企業になるかもしれないということだ。

 Google Applies to Become Power Marketer
 New York Times: January 7, 2010
 http://bits.blogs.nytimes.com/2010/01/07/google-applies-to-become-power-marketer/

 Google seeks to become energy trader
 The Register: 8th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/08/google_as_energy_trader/

Googleのプライベートネットワークを駆使して情報を集めていれば可能なことだろう。地理データや地質データは(公開されていないものを含め)ほとんど収集し尽くしていることだろうと想像する。企業データは当然全て把握している。そして,スマートグリッドを構築する能力もあるに違いない。

ネット上の情報は公開情報ばかりなので,ネット上の情報を使って取引の判断をしてもインサイダー取引にはならない。著作権処理がなされていない書籍データを収集しそれを利用している場合には著作権法上の問題は生じ得るし,現にフランスでは侵害が認定されて敗訴判決を受けているとはいえ,書籍・論文等のデータをほとんど全て集め終わっていることだろうから,Googleは,プライベートでありながらも世界最大規模のデジタル図書館を自社資産として運用していることになる。集積され集中管理される情報を駆使すれば,これまでとは異なるタイプの経営判断が可能となるかもしれない。普通の企業にはそれができない(←普通の企業経営者は,巨額の費用を支出して知識を収集・蓄積・応用するということをやらない。通常は無償または廉価でそれを奪い取ることだけ考えている。)。

なお,今後どのように進んでいくかにもよるけれども,場合によっては独占禁止法上の問題が発生してしまう可能性はないとは言えない。

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韓国の日本語・朝鮮語自動翻訳サイト

妙なアクセスがあったのでトレースしてみたら,何と韓国のネイバー(naver)というサービスプロバイダのサイトの中に,日本語のサイトをまるごと朝鮮語に自動翻訳するところがあり,私のブログ記事がそのまま朝鮮語に翻訳されたキャッシュが残されていることが判った(←このキャッシュがいつまで残されているのかは全く不明。)。

 http://j2k.naver.com/j2k.php/korean/cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-8593.html

ただし,この朝鮮語を日本語に自動翻訳するソフトで日本語に戻してみたら,かなりめちゃめちゃになっていたので,もしかすると自動翻訳された朝鮮語文の段階で既にめちゃめちゃになってしまっていたかもしれない。その自動翻訳文を読んだのは韓国人なのだろうと推測するが,本当に文の意味がつかめたのだろうか?(笑)

同様のことは,英文のサイトを自動翻訳サイトなどを用いてまるごと日本語に自動翻訳してみれば,誰にでも経験できることだ。

要するに,自動翻訳は,まだその程度の実力しかなくということに尽きる。人間の頭脳には到底及ばない。

なお,この朝鮮語自動翻訳システムは,このココログのシステム運用に対して若干の悪影響を与える可能性がある。

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2009年中に検知された新種マルウェアは2500万種

2009年中に検知されたワームなどの新種マルウェアは2500万種だそうだ。何とも恐ろしい数だ。下記の記事が出ている。

 2009年に検知した新種マルウェアが2500万種、過去20年分を上回る
 Internet Watch: 2010/1/8
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100108_341367.html

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2010年1月 8日 (金曜日)

韓国:対サイバー戦部隊を設置

米国では,サイバー戦争に対応するため,軍の中に対サイバー戦部隊が既に儲けられており,日本もこれに続こうとしている。韓国でも同様の動きがあったようだ。おそらく,中国とロシアは既にサイバー戦専用部隊を配置済みなのではないかと推測できる。

 S.Korea to launch cyber warfare command next week
 AFP: Jan 8, 2009
 http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5hBYw8a_xkRv0_qQZHz0tQxGolOQA

サイバー戦争は,従来の戦争とは異なり,平時の通常の生活の中で発生することがある。しかも,それがサイバー戦争であることが一般市民には全くわからないことさえある。何しろ1機の軍用機も1発のミサイルも飛んでくることはなく,ただの1人の兵隊さえやってこない電子戦なのだ。銃弾や砲弾が発射される音や爆弾の破裂する音など全くしない。煙も何も見えない。完全に無音のままで戦争が遂行される。

けれども,最悪の場合,瞬時にして社会全体を崩壊させるような結果を招くことが可能であるところに,サイバー戦というものがもつ真の意味での脅威がある。

日本の大学法学部教授の中でサイバー戦について真剣に考えている人がどれくらいいるのか全くわからない。しかし,個人的な感想としては,誰もその意味を理解していない(または,もしかすると理解する能力に欠けている)のではないかと疑いたくなる。

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非接触型クレジットカード

英国で,非接触型クレジットカードの運用が開始されたようだ。5メートル以内であれば電波で交信してクレジット決済をすることが可能なのだそうだ。

 Orange and Barclaycard launch contactless credit card
 Guardian: 8 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/money/2010/jan/08/orange-barclaycard-contactless-credit-card

日本では,ドコモの携帯電話に内蔵されたクレジットカード機能を既に利用することができるようになっているが,今後,携帯電話とは無関係に,電波による非接触型クレジットカードやデビットカードの開発が進む可能性がある。ただし,(当然のことではあるが)個人情報保護上及び情報セキュリティ上の懸念もまた大きくなるだろうと思われる。

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特許庁:重点8分野における特許出願状況統計

特許庁のサイトで,重点8分野における年間特許公開/公表件数が公表されている。

 重点8分野の特許出願状況
 特許庁: 2009年1月8日
 http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/toukei/1402-027.htm

この重点8分野とは,次の各分野のことを指す。

 (1) ライフサイエンス関連
 (2) 情報通信関連
 (3) 環境関連
 (4) ナノテクノロジー・材料関連
 (5) エネルギー関連
 (6) ものづくり技術(製造技術)関連
 (7) 社会基盤関連
 (8) フロンティア関連

統計の結果を見る限り,情報通信関連が圧倒的に多い。特許出願がすべてではなく,分野によっては公開されない営業秘密として保護されることが多い分野もあるのだろうが,日本国の産業分野の中でどの分野が最も活動的であるかを知るためのひとつの資料とはなるだろう。

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国立情報学研究所:有期事務員の募集

下記の事務員の募集が開始されている。申込期限は,2009年1月29日とのこと。

 情報・システム研究機構事務局有期雇用職員募集について
 国立情報学研究所: 2009年1月8日
 http://www.rois.ac.jp/pdf/yuukikoubo.pdf

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法務省:法制審議会民法(債権関係)部会第2回会議議事要旨

法務省のサイトで,下記の議事要旨等が公開されている。内容は,民法改正全体の考え方に関するものだ。これまで細かな論点について議論してきたのに,何となく振り出しに戻ったような感じがする。

 法制審議会民法(債権関係)部会第2回会議(平成21年12月22日開催)
 法務省: 2010年1月7日
 http://www.moj.go.jp/SHINGI/091222-2.html

なお,議事要旨を読んでいて気になった点が幾つかある。その中で,「わかりやすい条文」という点は冷静に考えたほうがよさそうだ。わかりやすくすればするほど論理性が欠如し,逆に多数の疑義を発生させてしまう危険性がある。また,細かく規定すればするほど際限なく法改正が必要な事態を招くことがある(←著作権法がその代表例であり,法改正の度に奇妙な条文がどんどん追加されている。)。

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EU:全欧を統括するサイバー犯罪対策庁の設立が提案される

政治的・経済的統合が更に推進されつつあるEUにおいても,サイバー犯罪に対する対応は各国の警察が担当している。現在あるのは,それぞれの国の警察の相互協力体制だけと言ってよい。そのような状況から一歩先に進めるため,EU政府内にサイバー犯罪対応専門の部局を儲けるべきだという提案がなされているようだ。

 Expert calls for Pan-European cybercrime response
 ZD Net UK: 6 January 2010
 http://community.zdnet.co.uk/blog/0,1000000567,10014777o-2000331828b,00.htm

現在の日本国の首相は,東アジア圏共同体というようなものを構想しているようなのだが,私見によれば,理念それ自体は非常に美しいのだけれど,現実には絵空事に近いのではないかと思われる。かつて,「源義経は,平泉での戦に破れた後,秘かに逃れ,北海道を経由して満州~蒙古に渡り,ジンギスカンになった」という奇妙な説がまことしやかに流布され,結構人気を集めたものだった。そのような説の背後にある,ある一種の思想的雰囲気のようなものと同じようなものを感じるのは私だけではないだろう。それは,空想冒険小説の世界だけで通用するものだ。

現実的なレベルで推測すると,中国は,「中国が絶対的な主導権を握ることができるのでなけば,国土面積,人口,GDPのいずれの面から見てもアジア第一の国家としての面子を汚されたことになる」と判断するだろう。

だから,中国と日本が対等の関係で,または,日本が主導権を握るようなかたちで,経済面または政治面での「東アジア共同体」のようなものを構想することは,最初から間違っているのではないかと考える。このことは,ASEAN諸国でも一緒だし,インドでも全く同じだ。

では,警察レベルでの連携はどうだろうか?

これまた,国家体制と国家哲学と民族意識のようなものが根本的に全く異なっているので,無理ではないかと思われる。強いて言えば,日本と同じような立場に置かれている韓国とだけはどうにか協調関係を保てるかもしれない。ただし,モノゴトの感じ方や考え方について相互に相当違う部分があるので,日本だけのペースでことを進めると,たちまち破綻することになるだろう。日本風の「話せばわかる」は,世界的には全く通用しないということをきちんと理解することが重要だ。

「世界は極めて即物的な要素だけで成立している」と考えたほうがずっと理解しやすい構造をもっている。

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電子ブックが大判化し競争激化

世界的にみるとAmazonのKindleが優勢な状況が進んでいるが,そのKindleが大判化することになったようだ。そして,他の企業からも大判の電子ブックが投入されるようであり,今後,この分野での競争が激化するものと思われる。

 Amazon to take large-screen Kindle global
 Sydney Morning Herald: January 7, 2010
 http://www.smh.com.au/digital-life/digital-life-news/amazon-to-take-largescreen-kindle-global-20100107-lvbg.html

 UK e-reader to challenge Kindle
 BBC: 7 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8446959.stm

 CES: Plastic Logic's Que E-Reader Revealed
 PC World: Jan 8, 2010
 http://www.pcworld.com/article/186224/ces_plastic_logics_que_ereader_revealed.html

 Slim, Large Screen E-Reader Skiff to Debut on Sprint
 Wired: January 4, 2010
 http://www.wired.com/gadgetlab/2010/01/e-reader-skiff-to-debut-on-sprint/

ちなみに,日本で大判の電子ブックが流行るかどうかは若干微妙なところがある。日本には岩波文庫以来の小型本を愛好する伝統(?)のようなものがあるからだ。文庫本や新書版の書籍は,混雑する通勤電車の中でも読むことができるし,ポケットに入れておいて喫茶店等で読むこともできる。狭い日本には適した方式ということができる。

日本の国土はとても狭い。物理的な面積がそうだというのではなく,この面積の国土に1億以上もの人々がひしめいて生きているのだ。ある学者の説によれば,江戸時代レベルの農業だけに頼って自給自足体制でやっていくとすれば,3000万人程度の人々しか生きていくことのできない国とのこと。このことは人間だけではなく,植物の世界でもそうで,何万年もかけて南方や北方からやってきて定着した非常に多くの植物達が日本国内には共存している。狭い国土の中で共存して生きていくために,矮性の個体しか生きられない。そのため,大陸では随分と大きくなるはずの植物でも日本に自生しているものは小さいことが多い。現代では,食物を輸入することができるし,人間の海を越えた移動も比較的自由になっている。だから,江戸時代と単純に比較することはできない。しかし,東京の現状を見る限り,あまりにも人が多すぎる。3分の1程度に人口を減少させないととても快適な生活環境であるとはいえない。とにかくめちゃくちゃ多くの人間がひしめき,いがみ合い,奪い合いながら生きている。そして,それぞれの個人にとっての自由なスペースと時間はあまりにも乏しい。だから,やはり文庫本的なものしか生き残れないのかもしれない。なお,自室に引きこもってしまうタイプの人々であれば,大判電子ブックの需要もあるかもしれない。

さて,近未来予測をするとすれば,いずれ大判電子ブックは,タブレットPCとしての機能をもつようになるだろう。電子ブックのほうは最初からコンテンツをもっていることになるので,単純にマシンだけ製造して販売する企業は不利な立場にたたされることになるかもしれない。これを挽回するためには,電子ブックのようにして映画を鑑賞したり漫画を読んだりすることのできる電子機器であり,かつ,タブレットPCの機能をもったようなもので対抗していくしかないかもしれない。幸いなことに,日本人の多くは英語の書籍を愛読しているわけではない(←ただし,日本語圏の顧客数を上限とするビジネスで甘んじることになる。このことは朝鮮語圏でも同じ。中国語だけは中華人民共和国の国土だけでも10億以上の規模の市場であり,この数は米国のおよそ4倍に相当する数なので,自足的に市場として成立可能ではないかと思われる。)。

というわけで,今後は,「無償または非常に廉価で多種多様なコンテンツを豊富に利用できること」がこれからの電子機器ビジネスの重要な要素になっていくのではないかと予想する。巨額投資によって新しいコンテンツを開発することが難しくなるので,低コストで古いコンテンツ(または,リメイクしたコンテンツもしくはデジタルリマスタリングしたコンテンツ)を使いまわす時代にならざるを得ない。

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2010年1月 7日 (木曜日)

フィルタリングソフトGreen Damを通じて莫大な量のソフトウェアのコードを盗み著作権を侵害したとして,米国企業が中国政府と中国企業に対し提訴

下記の記事が出ている。

 US company sues China for Green Dam 'code theft'
 BBC: 6 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8442771.stm

要するに,政府ぐるみで国家規模で著作権と企業秘密を侵害し続けているという主張になる。

訴訟はロスアンゼルスの裁判所に提起されたということなのだが,仮に原告勝訴の判決が出されたとしても中国政府の資産に対して強制執行できる可能性は絶無なので(←米国の判決に基づいて強制執行手続をするのは中国の裁判所及び執行機関なので,絶対に米国の判決の有効性を認めるわけがない。),例えば,「WTOなどの国際機関における交渉や紛議を米国に有利に進める」または「中国政府に対して何らかの政治的意図で牽制を加える」という別の目的があるとみたほうが良いかもしれない。

なお,中国政府がインストール強制を命じているフィルタリングソフトについて,「スパイウェアだ」という主張は以前からあった。

もしこの訴訟の原告の主張が正しいとすれば,中国で仕事をしている全ての日本企業が,このフィルタリングソフトを介して,その企業秘密や重要なデータ等を盗まれている可能性があることになる。

他方で,もしこの訴訟の原告の主張が正しいとすれば,「米国のエシュロンを含む様々な通信傍受システムでも同じようなことが起きているかもしれない」という当然の論理的帰結が導き出されることにもなり得る。

つまり,両刃の剣というわけだ。

訴訟は始まったばかりなので,原告の主張が認められるかどうかは判らないが,注目すべき事件だと思う。

なお,ネットを使っている限り,機密情報を機密情報として管理することは難しいのではないかと思う。機密情報は,電子化せず,純粋な記憶または何らかの物体という方式を採用することによって管理したほうがベターではないかと思われる。ただし,問題は,「記憶力の良い人間は,そんなに数多くは存在ない」ということ,仮に存在したとしても,特定の企業の企業秘密を暗記する担当者を殺せば当該企業を破滅させることが可能になるので,ライバル企業の手先による殺人が増えてしまうかもしれないということなのだが・・・・


[このブログ内の関連記事]

 中国政府のフィルタリングソフト強制政策はビジネスの上でも深刻な事態を招くとの懸念
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-be35.html

 米国:中国のファイルタリングソフト強制に対し訴訟の気配
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-8cf7.html

 中国のフィルタリング政策に非難の嵐
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-906a.html

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2010年1月 6日 (水曜日)

ドイツ:遅れてきたY2K-クレジットカードと銀行カードに2010年問題発生

2000年問題と同じような原理に基づき,2010年1月1日から大量のカードのチップが認識されなくなってしまったらしい。下記の記事が出ている。

 Year 2010 bug wreaks havoc on German payment cards
 Register: 6th January 2010
 http://www.theregister.co.uk/2010/01/06/year_2010_payment_card_bug/


(追記)

キメイラさんから中国でも2010年問題が発生していると教えていただいたので,記事を探してみた。見つけた記事を追加する。

 年越しの瞬間、タクシーのメーター「0元」に…中国でトラブル
 Searchina: 2010/010/02
 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0102&f=national_0102_004.shtml


[追記:2009年1月14日]

関連記事を追加する。

 IT 企業各社が Y2K10 問題に対応
 japan.internet.com: 2010年1月8日
 http://japan.internet.com/webtech/20100108/12.html

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ガンブラーウイルスによる被害が相次ぐ

ガンブラーというコンピュータウイルスによりWebサイトが改ざんされるという被害が相次いでいるようだ。これまで判明している主要な被害者としては,JR東日本,ホンダ,モロゾフなどがある。困ったものだ。

 企業HPの改ざん警戒を ウイルス「ガンブラー」
 共同通信: 2010/01/05
 http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010010501000968.html

 企業サイト改ざん急増 モロゾフなど、閲覧者感染相次ぐ
 Nikkei Net: 2010/01/05
 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20100105AT1G0503D05012010.html

 ウェブサイト管理者へ:ウェブサイト改ざんに関する注意喚起
 IPA: 2009年12月24日
 http://www.ipa.go.jp/security/topics/20091224.html


[追記:2009年1月9日]

関連記事を追加する。

 「Gumblar」はAdobeのゼロデイ脆弱性も使用、ユーザーは対策を
 Internet Watch: 2010/1/8
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100108_341331.html

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2010年1月 5日 (火曜日)

ハリウッドが時代の変化に対応したコンテンツ配信のスタンダードを模索

下記の記事が出ていた。

 Trying to Add Portability to Movie Files
 New York Times: January 4, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/04/technology/04video.html?ref=technology

日本では,利権構造が固定的になってしまっているので,改善の可能性は皆無に近い。

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ソフトウェア上の問題による死傷事故の責任

英国で1994年に発生した軍用ヘリコプター事故の原因をめぐり,議論が続いているようだ。この事故により多数の人々が死傷し,その結果,英国軍の諜報部門が大きな打撃を受けたとされている。その原因はパイロットの操縦ミスとされ,その法的責任が問われてきたが,それと同時に,ヘリコプターの操縦に用いられるコンピュータプログラムに問題があったことが原因ではないかということもずっと議論されてきた。下記の記事が出ている。

 Faulty computer software could have led to Chinook crash, report claims
 Guardian: 4 January 2010
 http://www.guardian.co.uk/uk/2010/jan/04/chinook-crash-computers

このヘリコプター事故と同様の議論を発生させ得るタイプの事故は,およそ人間を死傷させる可能性のある存在である限り,コンピュータによって制御される航空機,車両,船舶,ドローン,その他の機器類等のいずれにおいても発生し得る。

しかも,それは軍用品だけではなく,民生品の中にもあり得る。

今日,道路を走っている自動車の多くがコンピュータ制御されたものだ。もちろん,プログラムの設計ミスやバグは存在し得る。プログラムの設計ミスやバグにより,正常な制御ができず,その結果自動車事故が発生することは,可能性の問題としては常に一定確率で存在しており,そして,その確率は,当該車両がコンピュータ制御に依存する部分の割合と正比例するのではないかと一応考えられる。現に,そのようなタイプの事故事例は既に存在する。

問題は,何らかの事故が発生した場合でも,現場を取り調べる普通の警察官にとって,「それが製造上の欠陥を含むプログラム上の問題に起因するかもしれない」と疑うことはまずないと思われるし,その能力もないという点にあるのではないだろうか?現実問題として,普通の自治体警察は,プログラムや制御用電子機器の細部に至るまで捜査を遂げる能力を全く有しない。このことは,自動車メーカーにとっては好都合なことのようにも思われるかもしれないが,本当は,解明されるべき問題点の発見が随分と遅い時期になってしまうということに気付くべきだと思う。気付いた時点では,リコールの対象車が莫大な数になってしまっており,それによる損失額がとてつもない金額になってしまうことがあり得る。初期の段階で気付き,適切な対応をすれば,損失の発生をもっと減少させることができたかもしれない。このことは,(プログラム関係の事例ではないが)三菱自動車の欠陥車問題によって誰の目にも明らかになったことだろうと思う。同じことは,トヨタでも日産でもあり得ることだ。早期の発見とリコールが最も低コストの対応であることは疑いがない。

今後,何でもかんでもコンピュータ制御の方向へと向かってしまうかもしれない。

しかし,上記のような問題があることを忘れるべきではない。

また,そもそも「電気がないと何も作動しなくなるということ,それ自体が欠陥なのではないか?」という本質的な問題とも取り組むべき時期に来ているのではないかと思う。

例えば,パワーウインドウは非常に便利なものだ。しかし,電気系統がショートすると窓をあけることができなくなってしまう。その結果,例えば,間違って川や海に転落してしまった自動車から脱出しようとしても窓が開かず,溺死してしまうということが発生する。このタイプの事故はこれまで結構多数存在するにもかかわらず,そもそも「パワーウインドウしかなく,手動で操作できないことそれ自体が欠陥なのではないか?」という議論はあまりなされてこなかった。強いて言えば,幼児がパワーウインドウ式のドア窓に首をはさまれてもセンサーが適切に作動せず死亡事故を発生させてしまったという事故では,企業の側でも(明確に法的責任を認めたかどうかは忘れてしまったが)システムの改善を余儀なくされている。ただ,この事故は,パワーウインドウの機能の一つについて問題となったというだけのことであり,そもそもパワーウインドウというものそれ自体に問題はないかということはあまり議論されていない。ある自動車会社は,窓ガラスを破壊するためのハンマーなどを自動車内に常備することを推奨しているが,これはちょっと奇妙な対応なのではないだろうか。パワーウインドウをやめて,手回し式の開閉装置だけにするか,それとも,両方を併用するような仕様を採用するというのが正しい選択と判断なのではないかと思う。

いずれにしても,何でもかんでも完全にコンピュータ化してしまうと,そのこと自体が大きな脆弱性要素となってしまう可能性があるということを忘れてはならないと思う。

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MicrosoftがXPから7への切り替えを促す

私はWindowsの最初のバージョンからずっと使ってきた。その間,何年かすると新しいバージョンのWindowsが出てきた。マシンのほうもどんどん高機能のものが安く手に入るようになったので,マシンの更新にあわせて新しいバージョンのWindowsを購入することが普通だったかもしれない。このことは,おそらく非常に多くの人々が共通に経験してきたことだろう。実際,新しいバージョンのWindowsはそれなりに魅力があり,更新する意味があったと思う。ところが,XPに関しては,VISTAや7に更新せずに依然として使い続けるユーザが少なくないようだ。実は,私もXPマシンを使い続けている。Microsoftは,XPユーザが7に切り替えたいと考える購買心理を刺激するために,値下げなどの方策を検討しているらしい。

 Microsoft tosses Windows, Office discounts at XP holdouts
 Register: 4th January 2010
 http://www.channelregister.co.uk/2010/01/04/windows_7_xp_discount/

「XPを使い続けるユーザが何故VISTや7に切り替えないのか?」という問題に対する答えは,比較的簡単かもしれない。それは,絶対値として「XPが非常に優れている」という理由によるものではないと考える。

あくまでも一般論だが,今後,アプリケーションソフトウェアが「成熟の時代」を迎えると,バージョンアップによって利益をあげるというビジネスモデルは根本的な見直しを迫られることになるだろう。アプリケーションを提供する企業は,むしろ逆に,メンテナンス業務を維持するためのコストのほうが大きくなってしまうかもしれない。そのような状況が恒常的に発生した場合,そもそも「アプリケーションベンダーというビジネスそれ自体が成立可能か?」という問題と直面する時代がやってくるかもしれない。

物体である家電製品でも同じことは生じている。ただ,物体である家電製品の場合,現実に何年か使用すると当然に故障が起きるようになり,最後は壊れてしまうから,その時点ではいやがおうでも物理的に更新が必要になる。このことは,マシンとしてのPCでも同じだ。しかし,ソフトウェアの場合は,物体としての家電製品やPCとは異なる要素がある。

以上のことを総合的に考え類推してみると,そもそも「クラウドコンピューティングサービス(パブリッククラウド)というビジネスモデルは長期間にわたり継続的に利益をあげることのできるビジネスモデルとして成立可能か?」ということについても真剣に考えてみるべき必要性がある,という当たり前のことに思い至るのだ。

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2010年1月 4日 (月曜日)

中国:サイバー戦争に対する最大の防御は「消え去ること」

日本を除く世界の主要各国は,来るべき(または,現下の)サイバー戦争に対する対応を真剣に検討している。中国では,西欧と結ばれているインターネット回線を全て一斉に遮断することにより,西欧からの攻撃ができなくしてしまうという作戦をたてているらしい。この方法を用いれば,確かに通常の回線を通じてなされる攻撃は完全に不可能になる(←ただし,通常の回線を閉鎖したとしたとしても,理論的には,通常ではない攻撃方法が無数に存在し得る。また,中国から通常の回線を介して報復攻撃をすることもできなくなってしまう。)。下記の記事が出ていた。

 China will soon have the power to switch off the lights in the West
 Telegraph: 03 Jan 2010
 http://www.telegraph.co.uk/comment/6924710/China-will-soon-have-the-power-to-switch-off-the-lights-in-the-West.html

それにしても,日本は,本当にのどかだ。

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米国:サイバー戦争における優位

米国の国防省(ペンタゴン)は,サイバー戦争においても世界的に優位な立場を保持するため,立法等を含め様々なことを考えているようだ。ただし,議会の中には,軍に対して余りにも大きな権限を与えすぎることに対する危惧感もあるようであり,今後どのようになっていくのかは判らない。下記の記事が出ていた。

 Pentagon cyber-war plans stalled by US Congress
 Inquirer: 4 January 2010
 http://www.theinquirer.net/inquirer/news/1567087/pentagon-cyber-war-plans-stalled-us-congress

ちなみに,対テロということで全身を透視するタイプの検査機器を空港のセキュリティチェックに導入しようという動きに対してプライバシー保護団体から反対運動が起きたとたんに,今回の爆弾テロ未遂事件が発生し,反対運動は何となく押しつぶされてしまったような感じになってしまった。以前にも,FBIのカーニボーによるインターネット通信傍受に対してプライバシー保護団体による反対運動が高まりをみせたとたんに,ニューヨークの事件が起きてしまった。そして,対テロという大義名分の下で,徹底した通信傍受が恒常的になされるようになって現在に至っている。誰かが意図的にやったのだという陰謀説はある。真偽のほどは判らない。アルカイダが自分の判断でこれらの事件を起こしたのだとすれば,結果的に,「アルカイダは,世界中の一般市民の秘密とプライバシーを米国政府が徹底的に剥ぎ取るというという軍事上の諜報活動のための最大の協力者であった」ということになるだろう。

さて,このような政治的または軍事的ベクトルは今後も変化することなないだろうと思われる。

インターネット上では,常に平時と戦時が共存することになる。

そのような観点から考えてみると,日本は,明治維新前の幕藩体制下の日本と同じように世界から孤立し,みせかけの平和を享受していると思い込んでいる「まことに奇妙な国」という感を否めない。

この話題とは無関係かもしれないが,共和制から帝政に移行する時期の古代ローマの歴史を読み返してみたくなってきた。

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携帯電話はシンプル化の方向へ向かう?

iPhoneをはじめ,便利で高機能なモバイルデバイスがどんどん出てくるようになった。その結果,携帯電話の価値が相対的に低下してきているかもしれない。要するに,携帯電話機の売上は,頭打ちになっているかもしれない。そのような状況の中で,よりシンプルな携帯電話を開発・販売しようとする動きが出てきたようだ。デフォルトは単純な機能しかなく,利用者が必要とするアプリケーションをダウンロードにより追加するというのが基本コンセプトのようだ。下記の記事が出ている。

 Firms Selling Apps for Simple Phones
 New York Times: January 3, 2010
 http://www.nytimes.com/2010/01/04/technology/personaltech/04app.html

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タバコ原料アルコール

世界的に喫煙者に対する風当たりが強まっていることから,タバコ製造会社は存亡の危機に直面している・・・と思ったら,実は,タバコを原料としてアルコールを精製することができ,自動車を走らせることもでいるのだそうで,今後,タバコ製造会社はこの方面で生き残りをかけることになるのかもしれない。下記の記事が出ていた。

 Tobacco biofuel to solve energy/ environment crisis?
 Register: 31st December 2009
 http://www.theregister.co.uk/2009/12/31/tobacco_biofuel/

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2010年1月 3日 (日曜日)

ロシアのサイバー犯罪組織なるものは本当に存在するのか?

FBIがロシアのサイバー犯罪組織の脅威なるものを報告してから随分と時間がたった。その間,関連する書籍や論文等も出された。ところが,最近になって,そのサイバー犯罪組織の実像について,異なる意見も出始めているようだ。

 The Evil (Cyber) Empire
 Newsweek: 01/01/2010
 http://www.newsweek.com/id/228674

私見によれば,「その構成員が誰なのか」という点については不明であるにしても,確かにサイバー犯罪組織は存在し,活動し続けている。それらの組織は複数存在しており,中には専ら詐欺や金融犯罪に手を染めることに熱中している組織もあれば,サイバー攻撃(サイバー戦争)のための専門組織ではないかと疑われるものもある。しかも,それらの組織は,もしかすると相互に連携しているかもしれないという疑いもある。

とはいえ,何しろ闇の世界のことなので,本当のことはよく判らない。

にもかかわらず,攻撃を受ける側としては,その攻撃に対する防御を考えなければならないということにはいささかも変化はないし,警察としては,どうにかしてその組織の全容を解明し,犯人検挙につなげたいということに猛烈な意欲を持ち続けていることにも何らか変わりがない。

そして,サイバー戦争は,更に続くことになる。

おそらく,もっともっと激化することになるだろう。「民間による個々の情報セキュリティ対策だけでは到底もたないような事態がいずれ発生することになるだろう」というのが私の近未来予測だ。

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タッチパネル式インターネットラジオ

巷では「放送と通信の融合」なる議論を続けている石頭の学者もいないわけではないが,そのような議論が完全なまやかしであり,法理論としてはほとんど無意味なものであることはこれまで何度も書いてきたとおりだ。現実をみると,インターネットラジオやインターネットテレビは,いまや普通の存在になっている。「経路が何であるか?」はほとんど意味のないことだ。より多くの通信料をより少ないコストで送信することのできるチャネルと技術を通信会社は常に捜し求めている。ただそれだけのことだ。インターネットラジオやインターネットテレビは,その典型例の一つと言ってよいだろうと思う。

ところで,より良い通信経路が確保されているというだけではそれ以上の成長が見込めない分野であっても,受信用のデバイスの進化によって更に成長が可能になることがある。普通のインターネットラジオやインターネットテレビは,PCのモニタで視聴したりモバイルまたは携帯電話で視聴することが普通だろうと思う。それは,汎用の機器を用いた情報伝達というモデルとして理解することが可能だろうと思う。この受信デバイスについて,専用マシンによる受信というモデルを構想することはもちろん可能なことだし,これまでもいくつかの製品があったかもしれない。ただ,これまではあまりブレイクしなかったのじゃないかと思う。

今朝,Guardian(Web版)を読んでいたら,タッチパネル式のインターネットラジオなる製品が製造・販売されているという記事があることに気付いた。面白いアイデアだと思う。

 PURE Sensia touchscreen digital radio
 Guardian: 31 December 2009
 http://www.guardian.co.uk/technology/2009/dec/31/digital-music-and-audio-digital-radio

人間は,合理的な機能だけを追い求めて生きているわけではない。「緩み」や「遊び」の要素が全くない生活など耐えられない。ホイジンガではないけれど,人間は,「遊びの動物」なのだ。緊張と弛緩の間を行ったりきたりすること,それこそが,人間が「生きている」ということなのに違いない。その意味で,様々な面白さを加味した受信用デバイスの開発と製造・販売は,それはそれで(もしかするとニッチかもしれないけれど)一定程度のシェアを獲得できるビジネス分野かもしれないと思う。

おそらく,今後,中国あたりで似たような製品がどんどん開発され販売されることになるだろう。中国の企業にとってこの手の製品の開発はお手の物だろうと想像するからだ。ただし,特許を含む知的財産権関係の紛争もまた多発しそうな気がする。


[追記:2009年1月6日]

1月1日から改正著作権法が施行され,「著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であって,国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合」(改正著作権法30条1項3号)」には「私的使用のための複製」に該当しないこととなった。つまり,違法コピーされたコンテンツであると認識してダウンロードする行為は,違法行為となり,少なくとも損害賠償請求の対象となる。

私は,改正法のこの部分は,憲法違反であり,無効であると考えている。なぜなら,法律家ではない一般市民に対し,個々の音楽コンテンツについて,それが(ラジオ局等として既に権利処理されているかどうかを含め)違法コンテンツかどうかをいちいち確認させるのは事実上無理であるのに,それを強制するような結果となることは著しく正義に反し,国民の自由権に対する重大な侵害になると考えるからだ。従って,百歩譲るとしても,ダウンロードをした者が,個々の具体的なコンテンツについて,違法に複製されたコンテンツであることを予め明確に認識していた場合にのみ適用するのでなければ,憲法違反になると解する。

また,受信行為が複製権侵害として違法行為になるという条項が憲法違反ではないという前提を採る場合でも,(一時的なキャッシュを除き)複製物を記録として一切残さない完全なストリーミングコンテンツ視聴専用のインターネットラジオやインターネットテレビに関しては,そのマシン上では何も複製されていないし記録も残されないので,複製権の侵害というものを考えることはおかしい。要するに,複製権侵害という観点からすれば,そもそも法益が何も侵害されていないし,損害も発生しないので(←このような場合に,損害額の推定規定を適用することは憲法違反になると考える。),損害賠償請求権発生のための要件を充足しない。もし一時的なキャッシュも複製権の侵害になるのだというのであれば,一時的なキャッシュもすべて複製権の侵害となることになるが,もしそのように解するとすれば,ほとんど全てのPCやデジタルテレビ受像機は,違法行為を実行するためのマシンであることになってしまい,一切販売できないことになってしまうだろう。つまり,家電企業やPC製造企業は即時倒産に追い込まれることになる。要するに,そのような解釈は,理論上も実際上も採るわけにはいかない。ちなみに,演奏権の侵害になるという解釈を採るとすれば,普通のラジオやテレビもまた全て違法であるという法解釈を採るのでなければ一貫性がないことになる。つまり,そのようなタイプの解釈論は,そもそも根本的に間違っているのだ。

ちなみに,小倉先生がコメントでご指摘のように,文化庁の法解釈は,私見とは異なっているかもしれない。

また,世の中の「偉い」著作権法学者の多くは,私見に賛成することはないだろう(←の根拠は,公開のブログには書けない。)。

音楽は,国民に楽しみを与えるために存在しているのにもかかわらず,文化庁や「偉い」学者達のやっていることは一体なんなんだろうか?

権利保護を厳格にしたい気持ちは理解できないわけではない。しかし,そうすればそうするほど「国民の音楽離れ」がますます促進され,結果的に,作曲家や作詞家を含め,「音楽家が誰も飯を食っていけない時代がいずれやってくることになる」という誰が考えても当たり前のことを理解することができるくらいの知能は必要なんじゃないかと思う。

さて,私個人としては,今後どうするかというと,私見は私見として,文化庁や権利者団体からいちゃもんをつけられるとストレスがたまるので,合法なものであってもネット上の音楽コンテンツを一切利用しないことにする。これにより,有償コンテンツとして課金される場合には,それが高額であったとしてもちゃんと料金を支払って利用してきた優良利用者が一人失われたことになる。

自分が興味を持ったジャンルに属する音楽CDはほぼすべて入手してしまった。充実したコレクションであり,かなりの枚数になる。私にとってはそれを普通のCDプレーヤで聴き続ければ十分だ。

電車やバスの中でレシーバを用いて音楽を聞くのは,難聴の原因になるということが医学的に解明されているし,また,レシーバから漏れ出る雑音が他人に対する重大な迷惑行為ともなるので,もともと一切やっていない。

そして,最も正しい音楽鑑賞を重視することにする。すなわち,チケットがとれればコンサートホールに行って,室内楽や交響曲やオペラなどの実演奏を楽しむこととしたい。もしかすると,これ以上の贅沢はないかもしれない。その瞬間の音響は,まさにその場にいなければ絶対に体感できないものであり,かつ,どんな手段を使っても絶対に再現できないものだからだ。

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2010年1月 2日 (土曜日)

クラウドコンピュ-ティングサービスでは法的責任の所在もクラウディになる

コンピュ-ティングサービス(パブリッククラウド)では法的責任の所在もクラウディになる可能性があることは,このブログでも何度も指摘してきたとおりだ。その最大の原因は,ポリシーの衝突にある。利用者のポリシーは,サービス提供者のポリシーよりも常に劣後してしまうことになるため,利用者のポリシーがどんなに優れていても,(仮にサービス提供者のポリシーがずっと劣ったものであたとしても)サービス提供者のポリシーが優先的に適用されてしまい,かつ,利用者の側ではそれをコントロールすることが不可能なのだ。この問題は,全てのタイプのSaaSにおいて不可避的にかつ常に発生する可能性がある。

以上のようなことを書いても,賛同者はほとんどいない状況が続き,正直言ってさびしい思いをしていた。

しかし,やっと問題の本質が理解され始めたようだ。下記の記事をみつけた。若干不正確な部分があるし,法理論的に徹底を欠いている部分もある。そして,(おそらくクライアントの立場を考慮してのことだと思われるが)意図的に表現をぼかしてある部分もある。けれども,「ものごとの本質」を一応理解した上で書かれた記事として評価可能だ思う。

 Guest View: Insurance for the cloud
 SD Times: Jan 1, 2009
 http://www.sdtimes.com/GUEST_VIEW_INSURANCE_FOR_THE_CLOUD/By_SCOTT_GODES_AND_IDAN_IVRI/About_CLOUDCOMPUTING/34021

要するに,パブリッククラウドというビジネスモデルそれ自体に(法的観点からは)重大な欠陥があると言えるだろうと思う。

もし「そうでない!」と断言できる人がいるのであれば,是非とも直接お会いして意見交換をしてみたい。そして,どのような解決策を用意しているのか,是非ともご教示願いたい。

ちなみに,コモンクライテリアなるものが解決不可能な自己矛盾を含むものであり,この問題の解決策としては全く何の役にもたたないことは既に指摘したとおりだ。

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韓国:裁判所のサイバーコート化を促進

下記の記事が出ている。

 裁判が分かり易くなる 事件処理過程の電子化も本格化
 東亜日報: JANUARY 02, 2010
 http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2010010254128

なお,日本の裁判所における電子化やサイバーコートの将来は,かなり不透明。

そもそも日本では,裁判所に対する予算が圧倒的に不足しており,全然ないも同然の状態だ。つまり,何かやろうと思っても,現実には調査研究のための予算でさえ不十分という状態にある。ちょときついことを言わせてもらえば,第二次世界大戦後,日本国政府が一貫して裁判所に対する予算配分を徹底的に圧縮してきたツケがいよいよ回ってきたというべきだろう(←歴史的事実としては,戦後においては,GHQ占領下の時代において,裁判所における予算配分が最も高い状態だった。占領体制の解消と同時に,日本国政府は裁判所の弱体化を徹底して推進してきたと言えるだろうと思う。)。

ちなみに,日本で初めて「法情報学」の分野についても専門的な研究を行う学術団体として設立された「情報ネットワーク法学会」では,これまで,裁判及び裁判所の電子化についても様々な角度からの研究を重ねてきた。
しかし,その研究成果が日本国の政府及び裁判所によって積極的に採りいれられたとは言いがたい状況にある。
その研究成果が日本ではなかなかメインストリートに出れないでいるということは,非常に残念なことでもある。

ちなみに,サイバーコートの例としては,シンガポールの裁判所の例が有名だ。また,米国では,電子的な証拠の取調べに関して連邦証拠規則が改正され,電子証拠開示制度が設けられたことは周知のとおりだ。

ただし,訴訟運営を100パーセント電子化すると,それはそれで大きなリスクを抱えることになる。したがって,例えば,電子化の最大の弱点である「電気がなければ何も存在しなくなってしまう」という重大なリスクに対応するため,仮に完全に停電した状態であったとしても何ら支障なく法廷を開廷できるようにするためのフェイルセーフの仕組みを堅実に維持しつつ,電子化のメリットを十分に享受できるようにするための新しい仕組みを積極的に導入し,それらを合理的かつ調和的に運用できるようにするための物的・人的な統制の仕組み及び組織を確立することによって,より賢い制度設計を求めるための努力を継続すべきだというのが私見だ。

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ITCが,Samsungから申し立てられたSharpによるLCD特許侵害の件について調査を開始

SamsungとSharpとの間のLCDの特許紛争に関し,米国のITCが調査を開始したというニュースが出ている。なお,この関連の訴訟において,オランダの裁判所は,Sharpを勝訴させる判決をしており,その関係でSamsungの製品の販売,輸出入等ができなくなっているという背景事情がある。

 US trade agency to probe Samsung-Sharp spat
 ZD Net UK: 31 Dec 2009
 http://news.zdnet.co.uk/itmanagement/0,1000000308,39961669,00.htm

 Report: US court steps into Samsung-Sharp spat
 ZD Net Asia: December 31, 2009
 http://www.zdnetasia.com/news/hardware/0,39042972,62060242,00.htm

あくまでも一般論だが,日本企業は,法務部門の強化について真剣に検討すべきだ。また,新製品や新サービスの開発段階から,積極的に知財関係の調査と検討をし,将来の紛争や訴訟に耐えられるようにするという組織体制を確立する必要がある。

従来は,ともすると,「法務は開発や営業に口出しするな」といった雰囲気のようなものが全くないではなかった。しかし,そのような古いやり方では今後絶対にもたない。Microsoftのような超巨大企業でさえ特許侵害訴訟で痛い敗北を味わうことが増えてしまってきている。

一般に,IT関係の特許は,かなり微妙なものがあり,本当は最初から無効ではないかと思われるものも少なくないが,それならそれで最初から無効審判等の申し立てを積極的に行って,後の憂いの種を事前に潰しておくべきだろう。

特許を多数取得することが知財戦略の重要な部分を占めていることは否定しない。しかし,きちんと調査・検討し,無効な特許については事前に徹底的に潰しまくることもまたかなり効果的な知財戦略の一部であることは,否定しようがない。

従来主流であった「知財戦略」のあり方のようなものは,その意味で,既に時代遅れで錆付いたものとなっているというべきだろう。

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iPhoneUnlockUKがハックされ,利用者の個人データ等が奪われる

下記の記事が出ている。

 Hacker rattles 21,000 iPhone unlockers
 Register: 31st December 2009
 http://www.theregister.co.uk/2009/12/31/iphone_unlocking/

一見便利なサービスは,犯罪者にとって非常に便利ということになるのだろう。

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2010年,クラウドコンピューティングは減速する

下記の記事が出ている。基本的に同感だ。

 Raining on the cloud
 ZD Net UK: 1 January 2010
 http://community.zdnet.co.uk/blog/0,1000000567,10014742o-2000675210b,00.htm

クラウドコンピュータやグリッドコンピュータの技術は,それ自体としての有用性が否定されるべきものではない。ただ,複数の(場合によっては敵対関係にある)企業等がビジネスの目的でリソースをシェアするという形態でこのような技術が応用された場合,そのシステムの適法性を維持することは非常に難しいことがあり,そのためのコストを惜しむのであればシステム及びその運用それ自体が違法であり直ちに禁止されるべきものとなっていくことになる。

2009年には,この関連の記事を随分たくさん書いた。2010年は,更に楽しみだ。

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2010年は,海賊版との戦いが続く?

2009年には,世界中で海賊版対策の立法活動が盛んだった。日本国でも著作権法の改正がなされ,2010年1月1日から完全施行された。世界の中で最も注目されていたのは,もしかするとフランスだったかもしれない。厳しい批判と議論の末に新法が制定され施行された。また,訴訟でも重要な判決が相次いだ。

 New internet piracy law comes into effect in France
 BBC: 1 January 2010
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8436745.stm

さて,そのようにして2010年になったわけなのだが,この立法傾向は,これからも続くことになるだろう。特に世界最大の海賊版帝国である中国における状況が実質的にはあまり改善されていないようだということは,世界全体との関係の中で経済的・政治的に大きな悪影響を与え続けることになるのではないかと思う。政治問題なので,一朝一夕というわけにはいかないのだろうとは思うが・・・

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2010年1月 1日 (金曜日)

謹賀新年

本年もよろしくお願い申し上げます。

2010年 元旦

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