DARPAが映画Matrixさながらのサイバー戦争対応を検討
5,100万ドルの予算を検討しているらしい。映画『Matrix』に出てくるスミスのようなエージェントがサイバーゲリラを摘発し処分し続けることになるのだろうか?
DARPA Spends $51 Million On Matrix-Like Cyber War Firing Range
Popsci.com: 01.12.2010
http://www.popsci.com/technology/article/2010-01/darpa-spends-51-million-matrix-cyber-war-firing-range
現在のunixをベースにしたインターネットの基本構造の目に見えないところでは,様々なエージェントやデーモンが常に活動しており,それによってインターネットが機能している。ただ,それらは機能としての通信接続を成立させるための必要な要素なのであり,あくまでも技術の分野に属する出来事だ。
これに対し,サイバー戦争やサイバー犯罪対応という社会的な出来事に対する対応は少し異なる要素が含まれることになる。既知の明らかな攻撃手段に対しては技術的な対応が不可能ではないし現実には技術的な対応しか有効適切な手段がない。ところが,サイバー戦争では(純粋な表現行為としてのデマゴーグを含め)文脈理解というものなしにはそれが攻撃であるのか否かを判定できないような場合が決して少なくない。そこでは,純粋な技術的対応というよりは最も進んだ人工知能技術をもってしても自動処理が絶対不可能なタイプの課題が待ち受けており,それに対応できるのは人間の頭脳しかない。そうなると,結果的には,マンパワーの優劣ということで結果が異なってるような課題も存在し得ることになるから,かつてのような歩兵の数の多寡によって勝敗が決するようなタイプの戦争というものにも対応しなければならないことになるだろう。自動処理のために用意される電子的なエージェントは無数に複製を構築することが可能だが,生きた人間はそうではないというところに問題の本質がある。
ちなみに,映画『ターミネータ』に出てくるような戦闘用(殺人用)ロボットは必ずしも荒唐無稽のものではない。ただし,物体である以上,それを製造する工場が必要であり,工場に提供される各種部品の製造者が必要であり,部品の製造に必要な(希少金属類を含む)各種原料の調達が必要となることから,「電子的なエージェントと比較すると,まるで問題にならなくくらい少数のロボットしか製造できない」というところが映画と現実との相違ということになるだろう。この点では,人間の歩兵と全く同じ原理が機能することになる。
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