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2009年12月16日 (水曜日)

米国のオンラインゲーム会社が,オーストラリア在住の英国人ブロガーに対し,名誉毀損を理由に,オーストラリアで訴訟を提起

オーストラリアではときどき面白い訴訟が提起され,面白い裁判がなされる。2002年のダウジョーンズ事件はその典型例で,オーストラリア連邦最高裁(High Court)は,本社及びサーバその他一切の施設・設備が米国にあることを理由に米国が国際的裁判管轄地であるとするダウジョーンズの主張に対し,「ネット上の不法行為の結果がオーストラリアにあるモニタの上に表示されている」という理由で,不法行為の結果発生地としてのオーストラリアに国際的裁判管轄権があるとの判決をした。

 Dow Jones & Company Inc v Gutnick
 [2002] HCA 56
 10 December 2002
 http://www.austlii.edu.au/au/cases/cth/HCA/2002/56.html

ちょっと調べものをしていたら,最近,似たような論点の事件が起きたようだ。この事件は,オーストラリアに居住する英国人のブロガーが,米国のオンラインゲーム会社の名誉を毀損したというもので,オーストラリアの裁判所は,この事件でもまたオーストラリアに国際的裁判管轄権があると判断したようだ。

 US games company sues British blogger
 Guardian: 11 December 2009
 http://www.guardian.co.uk/technology/2009/dec/11/evony-sues-british-blogger

契約責任の場合には,契約書の中で国際的裁判管轄,第一審裁判所及び準拠法を約定しておくのが普通なので,世界のどこで事件が起きても契約書に基づいて裁判管轄地が自動的に決定されることになる。ところが,不法行為の場合には,当事者間に予め何らの約定もないのが当然なので約定に基づいて裁判管轄地及び準拠法を定めることができない。結局,各国の法令の解釈に基づいて事件毎にそれが決定されることになる。

ともあれ,オーストラリアの裁判所は,問題となっている人が原告となる場合であれ被告となる場合であれ,とにかくオーストラリアを裁判管轄地と判断してしまう傾向があるのかもしれない。

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