情報ネットワーク法学会に参加
12月5日に大阪大学で開催された情報ネットワーク法学会の研究大会に参加し,研究報告をしてきた。あまり良い天気ではなかったが,かなり多数の方が参集し,大いに議論が盛り上がったと思う。大成功と評価してよいのではないだろうか?
個別報告は3つの分科会に分かれており,また,パネルディスカッションは2つの分科会に分かれていたため,その全部に参加することが物理的に不可能だったのだが,予稿を読む限り,とても興味深い報告ばかりだったように思う。
私が参加した個別報告の分科会(第一会場)では,石井夏生利氏の「ライフログをめぐる法的諸問題の検討」という研究報告が一番印象に残った。この研究報告では,ライフログによる直接的なプライバシー侵害に重点が置かれていた。したがって,「特定のライフログが第三者に対して特定個人の評価を誤らせたり特定個人に関する誤った印象(とりわけマイナスの印象)を与えるようなものであった場合,プロッサーの4類型の中の3番目のものと同じような意味でのプライバシー侵害を構成することがあり得る」という点の考察が薄かった点が残念だったけれども,全体としてみると丁寧な研究成果だったと思う。
私の研究報告については,予想以上にたくさんの方が参加してくださり,とても嬉しかった。最後の結論が「日和見を決め込む」だったことには賛否両論があり得るだろう。(笑)
なお,私の研究報告の中で,root権限とアクセス権限の確保が「不可能」という点については,某氏から「コモンクライテリア認証(ISO/IEC 15408)」を受けるにより可能ではないかとのご指摘があった。私は,もともとこの認証制度それ自体について,解決不可能な自己矛盾があるのではないかと思っていたのだが,今朝,大阪から帰る電車の中で改めて読み返し考えてみた。結論として,この認証は,課題の解決のためには何の役にもたたないと
考える。
というわけで,研究報告で提示した私の意見を100パーセント維持することにする。
午後の分科会では,消費者保護の関係のディスカッションに参加した。とても勉強になるディスカッションだった。とりわけ,坂東俊矢先生と沢田登志子さんが光っていたように思う。心斎橋みや竹の宮武和広さんのコメントには感激してしまった。
黙って聞いていようと思っていたのだが,つい調子に乗って,2回も発言してしまった。一応古株の会員なので,もっと自重し,若い会員等が発言できるようにすべきだっと少し反省している。
というわけで,時間はあっと言う間に過ぎてしまう。
そして,研究会の後,公式の懇親会に参加し,更に主催者側で用意していた二次会に参加し,その後,M氏と二人でじっくりと飲むことになった。とても楽しかった。
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