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2009年12月10日 (木曜日)

犯罪行為等のためのパブリッククラウドコンピュータの悪用

高速な演算処理のためにクラウドコンピューティングサービスが用いられることがあり,その有用性が認められている。ところが,そのような有用性を,他人のパスワードの解析や暗号解読などのためにも用いることができることは当然のことだ。そのようなタイプの悪用の可能性が指摘されるようになった。下記の記事が出ている。

 セキュリティにクラウドの闇、Amazon EC2悪用の総当たり攻撃も
 Internet Watch: 2009/12/8
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091208_334134.html

なお,暗号の強度一般について付言すると,今後,既存の暗号方式は,著しい速度でその強度を低下させることになるだろうと推測している。とりわけ,「暗号解読のための計算時間が膨大になる」という要素を応用した暗号方式がそうだ。

それは,ナノテクノロジーの進歩によってICチップの性能が驚異的・飛躍的に向上していると同時に,大容量のメモリがかなり安価に製造されるようになったこと,そして,並列処理のための簡単な仕組みが開発され安価に利用できるようになったことによる。

かつて,スーパーコンピュータをフルに稼動しなければ計算できなかったような問題であっても,かなり短時間で処理してしまうようなパーソナルコンピュータが出現し,市場に出回るまでそんなに多くの時間を要しないだろう。つまり,誰もが小型で高性能のスーパーコンピュータを保有することができる時代が必ずやってくる。

そうなると,わざわざ足のつきやすいパブリッククラウドを利用して暗号解読などの処理をしなくても,オフラインでこっそりとPCを用いて解読処理等を実行することができるようになるだろう。

基本的な問題として,「技術の進歩(イノベーション)は,人類に対して本当に幸福をもたらすのか?」ということを再検討すべきだろうと思う。

[関連記事]

Hackers Find a Home in Amazon's EC2 Cloud
PC World: December 09, 2009
http://www.pcworld.com/businesscenter/article/184159/hackers_find_a_home_in_amazons_ec2_cloud.html


[追記:2009年12月11日]

関連記事を追加する。

 Harnessing the Cloud for Hacking
 Technology Review: December 10, 2009
 http://www.technologyreview.com/web/24127/?a=f

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