米国:拳銃所持者情報の公開はプライバシー侵害になるか?
米国オレゴン州の拳銃所持者の情報公開をめぐって,その情報の開示がプライバシー侵害となるかどうかが議論されているようだ。
Handgun license case may turn on privacy issue
Mail Tribune: December 05, 2009
http://www.mailtribune.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20091205/NEWS/912050309
米国では,銃砲の所持が合法とされているが,銃砲を所持しているという事実がプライバシーに属するのかどうかについての議論はあまり聞いたことがなかった(←私の勉強不足かもしれない。)。
日本では,特別の許可を得て所有する場合等を除き,拳銃を所持すれば銃砲刀剣類所持等取締法違反ということになる。猟銃等を保有する場合には登録が必要になるが,その情報に対する情報公開請求があったということを聞いたことがない。同様に,届出や許可を要する特別の薬物,麻薬,放射性物質その他の危険物質の保有の事実について情報公開請求があったということを聞いたこともない。おそらく,銃砲を所持しているという事実がプライバシーに属するかどうかも議論されてこなかったのではないかと思う(←これまた私の勉強不足かもしれない。)。
なお,これら銃砲や危険物の保有者情報を公開するとすれば,その保有者に対する危険が発生するかもしれないという点を考慮に入れる必要はあるだろうと思う。例えば,銃や劇薬を奪う目的で強盗殺人などが行われるかもしれないし,そのような物品の所有に反対する人々によって殺人や放火などが行われるかもしれない。他方で,身近に危険物が存在するかどうかという事実を近隣住民が「知る権利」を否定することもできないだろうと思う。
結果として,「軍隊と同じレベルでの武装したアタッカーを動員しなければ銃砲や危険物などを奪うことができない程度の最高度に厳重に管理する施設・設備と能力をもった組織にのみ,これらの物品の所有を許可する」といった行政指針が採用されるべきだということになるかもしれない。しかし,そのような行政指針が採用される見込みは皆無と判断してよい。
結局,国の「あり方」について国民の間にコンセンサスらしきものがほとんどなく,官民を問わず国防の意識が極めて希薄な状態のままなので,何をやっても何も解決できないかもしれない。
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