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2009年12月 1日 (火曜日)

ファイルシェアリングソフトを用いたゲームソフトの違法配布が全国一斉摘発

下記の記事が出ている。

 ファイル無断配布、一斉摘発=Wiiソフトでは初-シェア利用の11人逮捕
 時事通信: 2009/12/01
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009113000907

無料ソフトを配布したければ,自作の面白いゲームソフトを開発して配布すべきだと思うのだが,かつて8ビットPCが普及し始めたころとは時代が異なり,個人でゲームソフトを開発することがほとんど不可能になってしまっている現状では無理なことかもしれない。しかし,新たなソフトを開発することができないのであれば,開発者としての喜びを味わうことができないのは当然のことだ。悔しければ,個人でも開発可能な全く新しいコンセプトのミニゲームを開発して無料配布すべきだろう。また,もし開発者としての喜び等とは全く無関係に,要するに盗んできて配ることに喜びを感じているというのであれば,立派な犯罪者なので,その償いをしなければならない。

ちなみに,かつて私はゲームが大好きだった。ファイナルファンタジーやドラゴンクエストのようなRPGが最も好きなジャンルで,何時間もゲームばかりしていたこともある。けれども,子供達が受験期の年齢まで成長してきてしまったので,親が自分ではゲームをしておりながら子供に対しては「ゲームなどしていないで勉強しなさい」と言うことはできないと思い。すっぱりとやめてしまった。(笑)

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コメント

キメイラさん こんにちは。

X1-Turboが欲しかったんですけど,当時,お金がなくて買えませんでした。(笑)

というわけで,まともにPCとお付き合いしたのは16ビット機(FM-16β,9801VM2)からです。それ以前は,タイムシェアリングでメインフレームの端末をいじったことがあるだけです。

でもまあ,このようなPC黎明期とお付き合いできたことは,私の人生にとって大きなことでした。それなしには今の自分はないですね。数学が苦手だった私にとって,2進数やら8進数やら16進数やらの世界は,「飛びぬけて異常な人」の世界としか見えなかったんですけど,現実に慣れてみればどうということはなく,「これは,幼稚園生でも判るはずのものだ」とすぐに理解しました。要するに,プロトコルの相違があるのに過ぎないんですよね。この経験は,今の私の法理論構築の手法にも大きな影響を与えています。「説明概念」とは,えてしてそういうものだと思います。だからこそ,人間が予めルールを設定し,その中でゲームのようにして繰り広げられる単なる説明概念を越えた「真理」という世界があることを信ずることができるし,それを求める気持ちが沸いてくるんです。

フリーソフトのゲームの世界が事実上分業になっているということはよく理解できます。パーツの組み合わせで構成可能なゲームであったとしても,一人の人間でその全部をやり遂げることには無理がある場合がありますね。特に大規模なゲームではそうです。それでも挑戦し続ける人々は立派だと思います。きっと何十年か後に,そうしたフリーソフトの中から世界的にブレイクする素晴らしいものが出てくるのでしょう。

大事なことは,「コンセプト」であり,その「表現形」ではないということだろうと思います。ここらへんが現在主流の知的財産権の考え方と基本的に異なるところかもしれません。でも,いいんです。そんなに遠くない将来,「知的財産権」という名の世界は消滅してしまうだろうと思っています。世界中に素晴らしい法律家が存在していますし,いずれ,別の視点から法の世界を構築し直してくれるでしょう。

目下,不況の影響で慢性的な予算不足の状態に陥り,現実に世界を旅してそのような素晴らしい法律家達と旧交を温め,真剣に意見交換をすることができない状態にある,ということが一番哀しいことです。本当に大事なことは,ネット上には書いてありませんからね。

投稿: 夏井高人 | 2009年12月 4日 (金曜日) 01時34分

夏井先生,過分なご応答に恐縮します。m(._.*)mペコッ
 私は8ビットワンボードマイコン時代からゲームを作っては仲間内で遊んでいて,今もゲーム専用のサイトとハンドルで自作ゲームを無償で公開しています(URLはナイショ)。
 当時から無償又はシェアウエアソフトにいそしんできた仲間は,仕事でファミコン~PSPのソフトを作る以外は,MS-DOSやWin環境でゲームを公開しています。
 PSPなどに代表されるゲームマシン用ソフトは高機能化と分業化が著しく,分業で背景グラフィックだけでも半年かかってへとへととなり,とても趣味で1人で作れるようなスペックではユーザが付いてきてくれないからです。
 そこには分業の共同作業があり,自由気ままにアイデアのままゲームを作ることはできず,そのストレスをツクールシリーズを用いて自由闊達に作ったりします。
 規制が厳しいマシンは,いずれ消滅するかBIOSリバースエンジニアリングの餌食になるかと思います……というかフリーソフト集団からしたら……そう思いたいですw

投稿: キメイラ | 2009年12月 3日 (木曜日) 18時10分

キメイラさん こんにちは。

記事の本文に書いたとおり,私自身はゲームをしなくなってしまいましたが,私の家族はときどきフリーソフトのゲームをダウンロードして楽しんでいるようです。たぶん,紹介していただいたサイトからもゲームソフトを入手しているのでしょう。

ゲームソフトを商品として開発するのではなく,自己表現として開発し公開する人々が存在することは知っています。随分昔になりますが,判例タイムズ誌にその関連の論文を書いたこともあります。そのようなゲームソフトを開発する人々は,自分の技術力を確かめたり,それを世間に知らせたりするためにゲームソフトを開発し,公開したりすることもあるでしょうし,自己顕示欲だけでそうしていることもあるのでしょうし,また,私には判らないその他諸々の動因があるのでしょうね。何を隠そう,この私も16ビットPCが出回り始めたころ,BASICとアセンブラで随分とたくさんのゲームソフトを造り,自分で楽しんでおりました。ただし,他人に公開するだけのレベルの高い作品は一つもないし,ひどいバグもあるだろうと思って公開しませんでした。(笑)

私の場合には,要するに「つくってみたいからゲームをつくってみた」ということのほかに,「ゲームソフトはどのようなプログラムによって動いているのか」を知りたかったという学問的興味がありました。当時,コンピュータ法に属する法学論文にはひどいものが少なくなく(←現在のサイバー法の領域に属する法学論文にもひどいのが少なくないのと同じです。),特に,非常に高名な法学教授が書いたものであるのに,「これは一度もコンピュータに触れたことがないのに,勝手に想像だけで書いているな」と確信を持てるようなデタラメ論文が最もレベルの高い法学専門雑誌に論文として掲載されているのを読んだときには,「そのようなデタラメ論文を一つ残らず徹底的に駆除し葬り去らない限り日本の将来はない!」と心の底から思いました。それゆえ,多忙な裁判官の仕事をこなしながらも徹夜を厭わずコンピュータやプログラムの勉強を重ね,今日に至っています。

とはいえ,現在では,「ゲームソフトの問題を含め,プログラムの著作物に関する問題の本質はほぼ解明し尽くしてしまった」と自分では思っているので,別のところに学問的興味が移ってしまっています。著作権法学者であれば,自分の研究の結果として得られた理解をもとに大規模な論文を書くのでしょうが,私にとっては「学問」とは自分の好奇心を満たすためにあるので,自分の理解を世間に示すことは2の次の問題です。自分があと何年生きることができ,あと何年学者として仕事をすることができるのかは全く分からないので,論文を執筆するために膨大な時間を消費するよりは,もっと重要な問題の解明のために残り少ない人生の時間を使いたいと思います。そのようにして新たに学問的興味の対象として選択した対象世界には,世界的なネットワーク上で大規模なサービスを提供する巨大なシステムがあります。それゆえ,そのメカニズムを勉強することには,それ自体としてかなり難しい面はあります。それでも,機会があれば現実にシステム設計,構築,運用に触れたりその仕事の一部を担当したりするようにしています。おそらく,理学部や工学部等の理系の学部出身の人であっても,部分や部品に関する知識の量及び質には相違があっても,システム全体を洞察し,そこにある問題を発見し,その問題を解決するための基本仕様を書く力に関しては私とそんなに変わるものではないだろうと確信できます。少なくとも,技術者は(超人的に優秀な例外的な人を除き,基本的には)技術的な解決方法しか提案できないわけで,それ以外の部分に関しては私のほうがずっと優位な部分があると思っています。そうやって,現実の「存在」とかけ離れた空想または夢想の法学論文にならないよう,可能な限りの努力を尽くしています。

ちなみに,上記のようなデタラメ論文は,今では参照されることはなくなってしまいました。その意味では,私の努力と苦労は報われたと思っています。しかし,そのような教授が世間から駆逐されることはありませんでした。何らかの理由で世間が必要としているためかもしれないし,そのような教授であればこその「需要」のようなものがどこかにあるのかもしれません。ただし,私はそれを「暗愚」と呼んでいます。

私は無名で平凡な一大学教授に過ぎませんし,世間から需要されているとも思いません。けれども,真理は真理なので,このまま地道に実証主義を重視した研究を続け積み重ねていきたいと思っています。

キメイラさんのコメントは,とても勉強になります。今後もコメントをよろしくお願いします。^^

投稿: 夏井高人 | 2009年12月 3日 (木曜日) 07時49分

 ちなみに,パソコンゲームでも,シェアウエアソフトは,あの手この手で,代金を払わないと一定限度(面や時間)でゲームが遊べないようになります。これは代金徴収を確実にして不正コピーを防ぐ機能もあるものもあります。
 市販のアプリケーションソフトも,キーやパスワードを入力した上で,ネット経由で正規ユーザと登録までしないと使えなくなるもの又はバージョンアップやパッチ当てができなくなるものもあります。
 こういう「仕掛け」が何故生まれたか,そしてフリーソフトが今だに開発と公開を何故続けているかも,併せて考察するといいと思います。

投稿: キメイラ | 2009年12月 2日 (水曜日) 23時18分

 P2Pファイルシェアリングソフトを使わなくても,WinでもMacでもUNIXでも,次のサイトでフリーソフトゲームが長年公開されています。ここで公開されているソフトは「仕掛け」を楽々とパスしていますから安心して使えます。私もここの無償ゲームで楽しんでいます。
http://www.vector.co.jp/vpack/filearea/win/game/
http://www.vector.co.jp/vpack/filearea/mac/game/
http://www.vector.co.jp/vpack/filearea/unix/game/

投稿: キメイラ | 2009年12月 2日 (水曜日) 22時55分

小倉先生 コメントありがとうございます。

OSや環境に依存しないゲームソフトを開発すればよいのでしょうけど,今と昔とではゲームの流行みたいなものが異なっているのでしょうから,結局,難しいことになるんでしょうね。特にグラフィックスを重視するソフトではそうかもしれません。

裁判所だけではなく,行政当局もまた,小倉先生がご指摘のような「仕掛け」をすることが独占禁止法違反行為となり得るとは考えない傾向があるし,御用学者達もそれをサポートするような論文しか書かないので,事態がますます暗い方向へと向かってしまうのでしょう。でも,このようなやり方は,行き詰ってしまうことが確実です。私の眼からすると,そのような強欲な企業等は,墓場に向かってがむしゃらに突っ走っているようにしか見えません。

例えば,かつての「テトリス」みたいに,OSや環境に依存せず,どのような環境でもアプリケーションを構築可能な単純で楽しめるゲームのコンセプトを考え出せるだけのクリエータはいないのでしょうか?

投稿: 夏井高人 | 2009年12月 2日 (水曜日) 08時51分

今でも自作のゲームソフトを開発して無償で公開するアマチュアプログラマーは少なくないです。

ただし,プラットフォームメーカーは,その種のソフトからは上納金が得られないので,その種のソフトを自プラットフォームで稼働させないように,工夫を凝らし,裁判所もそれをサポートしているというだけのことです。

投稿: 小倉秀夫 | 2009年12月 2日 (水曜日) 08時24分

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