英国:政府のクラウドコンピュータ上でソフトウェアが販売されるようになるかもしれない
英国政府のクラウドコンピュータは,多数のデータセンター等を相互に接続した複合体として構成されており,その中には私企業のパブリッククラウドも含まれている。その結果,政府のクラウドでありながら,その中で政府や地方自治体や私企業のソフトウェアが販売されるといったような事態が発生することになるかもしれないとの報道がある。
G Cloud will have an app store
ZD Net UK: 03 Dec 2009
http://news.zdnet.co.uk/itmanagement/0,1000000308,39920920,00.htm
これは,法的には許されるものではないし,独占禁止法上の問題や民業圧迫の懸念だけではなく,国際的な貿易摩擦に直結するものだと言える。保護主義といえるかもしれない。
日本政府の場合,日本の企業のデータセンターだけではなく,日本以外の外国のデータセンターをも利用していることは周知の事実だ。これは,「保護主義ではない」という意味では自由貿易主義に資するものかもしれないが,国防という観点からはかなり問題のあることだ。もちろん,その外国のデータセンターに記録されそこで処理されるデータの中には国民の個人情報が含まれることがあり得るし,その場合,日本国の法的統制が全く及ばない(当該データセンターを保有・運用しているのが外国の企業であるがゆえに,日本国の裁判所において紛争処理をし,日本国の法令に基づく強制執行等ができない,日本国の官庁や大臣の行政命令権限が全く及ばない)という意味で,行政機関個人情報保護法違反の事態が既に発生している可能性がないとはいえない。
米国連邦政府(特に軍関係)であれば,米国以外の企業のデータセンターを利用することは絶対にないだろうと思うし,それが保護主義だと考える米国連邦政府担当者はただの一人もいないだろう(ただし,米国の国防上の必要性・重要性という観点から,米国以外の国に対し,米国の機関が監視可能な米国のデータセンターの利用を要請することはあり得る。)。
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