Cloud Application Architectures
Amazonに注文していた「Cloud Application Architectures」という本が届いたので,早速読んでみた。
Cloud Application Architectures (Theory in Practice (O'Reilly))
George Reese
Oreilly & Associates Inc (2009/4/17)
ISBN-13: 978-0596156367
内容は,主にAmazonのクラウドコンピューティングサービスであるAmazon S3とAmazon EC2を主体としつつ,クラウドコンピューティング一般に通じるシステム設計・構築,プライバシーやセキュリティの確保及び危機管理等について概説するもので,ストレージサービスとCRMを含むアプリケーションサービスがどのように提供され,運用されるのかについて非常に判りやすく説明されている。そんなに厚い本ではないので,かなり短時間の間に読破可能だ。
日本における類書と比較しつつこの本を読んで思うことは,日本のレベルの低さだ。日本の書籍では,あまりにも「売らんかな」という姿勢が濃厚すぎるものが多すぎる。
例えば,この本では,最初に定義がしっかりと記述されており,この書籍内ではそれぞれの用語がどのような意味で用いられているのかが明瞭に理解することができる。ところが,日本の書籍では(おそらく意図的に)定義がぼかされており,結局,何を言おうとしているのかが判らず,何となくムードや雰囲気だけという印象を受けるものが決して少なくない。
また,この本では,システムが破綻した場合の対応についてもちゃんと触れてある。日本の書籍の多くでは,どういうわけか自社の製品が破綻することを前提とする記述が滅多委にないか皆無に近い。破綻しないシステムなどこの世に存在するはずがないので,破綻した場合(←究極的には,事業者自身が戦争,テロ,暴動,天災,犯罪被害,破産または経営破綻等により消滅する可能性が常に一定確率で存在している。)の対応についても予めきちんと考えておかなければならないのに,日本のライターや経営者というものはあまりにも暢気すぎる(または自信過剰すぎる)のではないかと思う。
さて,この本を読んだ上で,Amazonのシステムを汚染したZeus Bot Net及びそれに対する対応等を振り返ってみると,いろいろと考えるべきことがあるように思った。
ともあれ,とても判りやすい本だし,書籍の構成が明瞭で参考になる本なので,一読をお勧めする。
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