クラウドコンピューティングは,ビジネスをどのように変化させるか?
グローバルなクラウドコンピューティングサービス(パブリッククラウド)の利用が企業活動に対してどのような影響を与えるのかについては,未知数の部分が大きすぎるし,賛否両論様々な意見がある。実際にやってみなければ分からないことが多い。が,要するに,非常に巨大なデータセンターサービスとしてのとらえ方が次第に有力になってきているのではないかと思う。要するに,クラウドは特に変わった技術ではない。非常に大規模で,かつ,(顕在的または潜在的に敵対関係にあるかもしれない企業を含め)複数の企業が共同利用するデータセンターであり,Web上で利用可能なメインフレームだということになる。下記の記事が出ていた。
How Cloud Computing Changes IT Organizations
Information Weeks: Nov 28, 2009
http://www.informationweek.com/news/storage/virtualization/showArticle.jhtml?articleID=221901198
この記事では,現実に存在する主要なクラウドコンピューティングサービスプロバイダとして,Amazon, Google, Azureなどがあげられている。賢い経営者であれば,この点に注目するに違いない。
それは,これらのプロバイダはいずれも米国の企業だということだ。
その結果,もし日本の企業がこれらのプロバイダを利用した場合,何か問題が起きたときには国際的裁判管轄権及び準拠法がすべて米国及び米国法となり,しかも,米国で米国人弁護士を雇い巨額のコストを負担しなければ訴訟を起こすことも調停をすることもできない世界になる。
そして,それは,仮に物理装置が日本国内に存在しており,日本人のエンジニアが運用担当をしているシステムであったとして,利用契約上必ずそうなるということだ。
もしそうでなければ,クラウドコンピューティングサービスプロバイダ側でのマネジメント統制ができなくなってしまう。
もちろん,日本のデータセンターサービスやホスティングサービスもある。しかし,操作性の共通化や情報資源の共通化によるコスト削減だけに目を奪われると,結局,日本のプロバイダとではなく,上記のような国際的な巨大プロバイダと安易に契約を結んでしまうことになる。とりわけ,SNSその他のコミュニケーションツールを安易にビジネス利用しようとすると,国際的に最も市場占有率の高いサービスを提供しているところと契約することになる。
自分がまともな経営者であると自認するのであれば,ちょっと立ち止まって,少し先の未来を想像してみるべきだろうと思う。へたをすると,そこには自社の残骸すら残されていないかもしれないのだ。
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