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2009年11月24日 (火曜日)

戦闘型のゲームソフトは,戦争犯罪行為を含んでおり,違法行為を助長するとの批判

下記の記事が出ている。

 Games 'permit' virtual war crimes
 BBC: 23 November 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8373794.stm

「ゲームの世界のことなので,現実世界の法律は適用されない」とゲーム開発者は考えるだろう。

しかし,ゲームのプレイヤーは,現実世界に生きている人間であり,その中には多数の実成年者も含まれる。

違法行為を違法行為と思わないようなメンタリティを育ててしまう作用は否定できないだろうと思う。

このタイプの違法行為には,戦争犯罪(捕虜の虐待,裁判なしの処刑など)や国際条約違反行為だけではなく,様々なタイプのものが含まれ得る。例えば,ポルノ的要素を含むゲームソフトでは,児童ポルノ法違反や刑法上の暴行,傷害,監禁,殺人等を助長する機能を有するものがあるかもしれない。

そのような要素を含むゲームソフトは,果たして「公序良俗」に反するものだと言えるだろうか?

また,犯罪行為を助長する作用を有するゲームソフトの製造・頒布行為は,一般的に当該犯罪の教唆行為または幇助行為として理解することができるだろうか?

表現の自由の問題もあり,かなり難しい要素を含む法的課題の一つだということが言える。バーチャルなゲームだということだけに目を奪われることなく,「もしそれが書籍だったらどうか?」,「もしそれが映画だったらどうか?」という具合に,現実世界で既に判例等もありそうな問題に引きなおして考えてみる工夫も必要だろう。したがって,サイバー法の領域に属する研究者は,常に,既存の法体系に含まれる法的課題にも細心の注意を払い続けなければならないし,既存の法令に関しても適切に法解釈論を使いこなせる能力を涵養し続ける必要がある。

この分野における研究及び研究者の増加を期待したい。

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