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2009年11月23日 (月曜日)

英国:東アングリア大学の気象変化調査チームの電子メールが傍受され無権限でインターネット上で公表される

下記の記事が出ている。

 Hackers target leading climate research unit
 BBC: 20 November 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8370282.stm

あまり明るみにならないだけのことで,電子メールの無権限傍受は比較的ありふれた出来事なのではないかと思う。外部の者による文字通りの傍受行為もあるし,電子メールを管理する企業や組織の内部者による権限濫用の場合もあるし,警察や諜報機関などによる捜査・諜報活動としてなされる場合もあるだろう。

大事なことは,例えば,Webメールなどのように電子メールがインターネット上のサーバに蓄積・保存される場合,それに対する傍受は,単に電子メールの転送処理だけを担当するメールサーバを利用している場合と比較して,相対的に容易になるということだ。自分のPCだけに電子メールが蓄積・保存されている場合,ネットとの接続を切り離してしまえば,少なくともリモートでの無権限アクセスはできなくなる(ただし,この場合でも,窃盗や強盗などによる物理的奪取,あるいは,テンペストのような他の電子的手段による傍受はあり得る。)。これに対し,仮想サーバ上に蓄積・保存されている電子メールは,その仮想サーバにアクセス可能な誰かによって傍受され得るという状態が常に持続していることになる。

このことは,理論的には,電子メール以外のすべてのドキュメント(ファイル)の場合でも同様に言えることだ。そして,それは,クラウドコンピューティングサービスによる場合を含め,仮想サーバというものが持つ本質的かつ改善不可能な脆弱性の一つなのではないかと考えている。

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