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2009年11月 6日 (金曜日)

EU:P2Pファイルシェアリングサイトの遮断のためには適正手続(fair and impartial procedure)を経ることを要する

EUにおける著作権管理のルールが改正され,違法コンテンツ流通の温床とされているP2Pファイルシェアリングサイトを遮断するためには「適正手続(fair and impartial procedure)を経ること」が要件とされることになった。

 EU offers hope to file-sharers
 BBC: 5 November 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8344174.stm

 European 'internet freedom' law agreed
 ZD Net UK: 05 Nov 2009
 http://news.zdnet.co.uk/communications/0,1000000085,39860587,00.htm

従来は,著作権管理団体からの苦情に基づき,ISPの判断で遮断ができるとする扱いの国もあったが,今後は,裁判所の審査を経てからでないと遮断することができなくなる。

日本国の場合,プロバイダ責任制限法第3条の解釈により,「他人の権利が侵害されているとき」には,問題となる通信の接続を遮断することができると解されているが,EUの動きに歩調を合わせるとすれば,P2Pファイルシェアリングに関する限り,裁判所による何らかの審査によって「権利侵害」があると判断された場合にのみ遮断できると解すべきことになる。

この点について,「他人の権利が侵害されていること」を誰が判定するかについてプロバイダ責任法の条文上ではISPが判断することと解釈すべきだろうが,その判断に際しては,「裁判所の何らかの判断に基づいてISPとして判断する場合でない限り,裁判所ではない民間事業者に過ぎないISPの独自の判断で他人の権利の侵害があると判断することはできない」と解することになろうかと思われる。

ただし,「たとえ世界の孤児となろうとも,日本国の法令及びその解釈は世界とは無関係に独立独歩で行くべきだ」という立場にたつとすれば,異なる解釈が可能だろう。


[このサイト内の関連記事]

 EU:P2Pファイルシェアリング遮断ルールの改正
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/eu-5516.html

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