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2009年10月31日 (土曜日)

江畑謙介『情報と戦争』

昨日,ちょっとした会議があった。会議のあとの懇親会までの間の時間,混信会場近くの書店をブラブラしていたら,10月10日に亡くなった江畑謙介さんの『情報と戦争』という本が書棚に並んでいた。普通のIT関係の書籍の中に埋もれていたので,うっかりしていると見落としてしまうところだった。

江畑謙介さんは,世界で軍事的緊張が高まるとコメンテータとしてテレビ出演していることが多かったので,その独特の風貌を今でも鮮明に思い出すことができる。しかし,江畑謙介さんと実際にお会いしたことは一度もないし,その著書を読んだこともなかった。そこで,「これも何かの縁だろう」と思って,その本を買ってみることにした。

 江畑謙介
 『情報と戦争』
 NTT出版 (2006/3/28)
 ISBN-13: 978-4757101791

そこに書かれていることは,古くからの戦争論を踏まえた情報論だった。個々の例証的事実については既知のものが少なくなかったけれど,根拠となる出典等が丁寧に記載されており,とても好感が持てる。生前はとても生真面目な性格の方だったのだろうと思う。

一般に,(とても当たり前のことではあるけれど)「戦争」は最新の科学技術の実験場としての意味合いを常にもっている。戦争という大義名分があれば湯水のごとく開発費等が計上され執行可能となる。それゆえ,軍事と戦争とに密接な関連を有する企業は決して珍しいものではなく,このことは日本の企業でも同じだ。

RFIDタグもその例で,この本の中では軍事物資を運搬するためのコンテナに付されたRFIDタグがその有用性を証明したという事実が例示として示されている。

私は,基本的に平和主義者なので,戦争を賞賛する気はないし積極的に推進する気もない。しかし,事実は事実として認めるべきだろうと思う。

その他本当に様々な分野の事柄について,とても興味深い記載が満載で,夢中になって読んでしまった。

江畑謙介さんのご冥福をお祈りする。

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