総務省:自治体クラウド開発実証事業
総務省では,「総合行政ネットワーク(LGWAN)に接続された都道府県域データセンターとASP・SaaS事業者のサービスを組み合わせて共同利用用途の各種業務システム等を構築し、地方公共団体が当該業務システムを低廉かつ効率的に利用できる環境「自治体クラウド」の整備を推進することとしており、自治体クラウドの開発実証について、都道府県を応募対象として平成21年7月17日付けで提案を募集」していた。この募集により5つの自治体が参加することに決定されていたが,その後,追加決定があり,結局,北海道,京都府,佐賀県,大分県,宮崎県及び徳島県の6自治体が参加することになったようだ。
自治体クラウド開発実証事業の委託に関する開発実証団体の決定
総務省: 平成21年8月20日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02gyosei07_000016.html
自治体クラウド開発実証事業の委託に関する開発実証団体の追加決定
総務省: 平成21年10月26日
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02gyosei07_000017.html
一般論として,財政基盤が非常に貧弱な自治体や情報処理能力が著しく劣っている自治体などでは,このようなアウトソースによる情報処理に頼らざるを得ない面があることは否定できない。今回この実証事業に参加する自治体の財政基盤や情報処理能力がどの程度であるのかについては全然知らないが,何らかの理由で実証事業に参加することになったのだろうと思われる。
なお,新政権に政権交代となり,科研費を含めありとあらゆる予算が削られてしまっているという現実がある。この実証事業が次年度も続けられるかどうかは予断を許さない。もし実証事業が何年か続いた後,事業の続行が中止となってしまったような場合,あるいは,サイバー攻撃により政府システムが崩壊してしまったような場合,その時点では既に自前で情報システムを構築・運用する能力を失ってしまい,自前で自治体事務処理のためのデータのバックアップを持つこともなく,自治体クラウドシステムに完全に依存して事務処理をするしかないような状況となってしまっている自治体はどういうことになるのかについて,今から研究しておく価値はありそうだ。
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