学校裏サイトの数
「学校裏サイト」なるものが全国にどれだけの数存在するのか判らないが,三重県における公立中学及び高校の裏サイトに関する調査結果によると,何と6200件も存在したそうだ。もちろん暗数もあるから,実際にはもっと多数のサイトが存在するのだろう。
「学校裏サイト」6200件超 県内の公立中高
中日新聞: 2009年8月1日
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20090801/CK2009080102000017.html
とはいえ,現代社会では,井戸端会議をしにくい環境にある。井戸端会議では,当然,他人への悪口も連発されるわけで,他人を誹謗中傷することによってストレスを発散するタイプの人間が何万人も存在していることは間違いない。現代では,井戸端が存在しないから,裏サイトのようなところでそれがなされるのだろう。
さて,建前論としては,他人への悪口はよろしくない行為であると言わざるを得ない。しかし,本当に悪口を言うことを完全に禁止してしまったら,精神的に不安定になってしまう者が続出してしまうのではないかと思う。どちらのほうが健全な社会と言えるのかについては,冷静になってよく考えてみる必要がある。
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コメント
小倉秀夫先生 コメントありがとうございます。
確かに法律相談に来るまでのレベルになっている事案は,かなりひどいものが多いですね。それは私も常に実感しています。
ただ,すべての悪口を完全に抑止することは不可能だし,仮に実現できたとしても逆に社会に対しては致命的な不安定要素をもちこむことになると思っています。
ヒトは,生まれながらにして他の生物を攻撃し殺して食わなければ生きていけないという原罪を背負っているので,それに適したように進化した生物であるはずで,それゆえに,他者に対する攻撃性はヒトにとって本質的なものだと考えています。そのようにして互いに攻撃的ある者が共存しているのが社会の本質である以上,ある程度までのことは許容されないと社会それ自体が崩壊してしまうでしょう。
とはいえ,度を越した加害行為に対しては民事・刑事の対応を考るべきですし,単にネット上だけではなく現実世界での生活を破綻させてしまうような攻撃であれば,より一層厳しい対応が求められるべきことは当然だと思います。
それと同時に,人格的または精神的に問題のある加害者への対応というものも考えなければならないですね。これは非常に難しい課題の一つだと思っています。
投稿: 夏井高人 | 2009年8月 4日 (火曜日) 12時38分
執拗な誹謗中傷を受け続けて憔悴しきった被害者からの相談をいくつも受けていると(被害者が心労で入院してしまうというのは、もはや普通です。)、中傷者の精神を安定させるために、ネットを利用した中傷を法的に容認してあげようという気持ちには全然ならなくなります。まあ、中傷のレベルも、パソコン通信黎明期のような、議論が昂じて一線を踏み外して強すぎる言葉を投げてしまったという牧歌的なものではなく、「電凸」など組み合わせてターゲットの現実社会での生活をも確実に破綻させていこうという、より陰湿度の高いものに移ってきています。
投稿: 小倉秀夫 | 2009年8月 4日 (火曜日) 12時18分