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2009年8月23日 (日曜日)

国会図書館による書籍閲覧利用料徴収の動き

下記の記事が出ている。

 国会図書館、書籍をネット配信へ--利用料は1冊数百円程度に
 CNET Japan: 2009/08/21
 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20398695,00.htm

いくつかの問題がある。

図書館内では無料とした上で,図書館外ではアクセス料金を課金するというのだが,例えば,図書館内においてモバイルを用いてインターネット経由でアクセスした場合,物理的には図書館内に所在しているのにアクセス料が課金されるという非常に奇妙な結果とならざるを得ない。

また,課金されたアクセス料金は出版社等に分配されるというが,現時点での電子コピー機の補償金制度でさえ著作者に分配されることはほとんどない。少なくとも私が何らかの分配を受けたことは一度もない。そのような制度設計にはなっていないからだ。このことは,国会図書館におけるアクセス料金の課金の場合でも,隣接権者その他の団体は潤うかもしれないが,真の権利者である著作権者には何の得にもならないかもしれないのに,そのようないびつな構造を法律制度として認めてしまうことになってしまいかねないということを意味している。

他方,もともと無料または非常に廉価な書籍については,他の書籍と同様のアクセス料金が課金されるとすれば,そのアクセス料金の課金の根拠について疑問が生ずることになるだろうと思われる。

そして,GoogleのBook Searchサービスをはじめ,無料の書籍情報検索サービスが大量に提供されるようになってしまった場合,国会図書館のサービスがどれだけ利用されることになるのか不透明な状態が生ずることを意識しておく必要がある。このことは,国会図書館による情報の収集と記録・保存が無意味だということを言っているのではない。Googleのサービスについて言えば,Googleがどんなに大きな企業であっても,営利企業の一つに過ぎない以上,倒産と消滅という可能性は常にあるので,税金でまかなわれる公的機関である国会図書館が資料を記録・収集し続けることには大きな意味がある。ただ,その場合に,「Googleなどの商用サービスが充実しており,そのほうが便利だから国会図書館の資料収集等のために税金を投入するのは誤りだ」といった類の短絡的な批判が出てくる可能性はある。そのような種類の批判は,全く当を得ないものであると考えるけれども,理論と現実の政治とは全く異なるものであることを認識・理解しておく必要があるだろう。

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