Nシステムによる車両番号の読み取りは,警察法2条1項に基づく犯罪捜査に必要な諸活動に含まれるから適法であるとした事例(東京高裁平成20年(ネ)700号)
Nシステムによる車両番号データ等の取得が自己情報コントロール権を侵害するものであるとして提起されていた国家賠償請求訴訟の控訴事件について,東京高裁は,平成21年1月29日,控訴人(原告)の請求を棄却した原審判決は正当であるとして控訴を棄却する判決をした。
判決文は,判例タイムズ1295号193頁に掲載されている。
日本国の個人情報保護法及び行政機関個人情報保護法が「自己情報コントロール権」の存在を承認するものではないことは当然の前提として(これらの法律は,行政機関や事業者が個人情報を含む情報についてそれを管理・処分する権利を承認するという形式をとっているので,むしろ自己情報コントロール権を主張する者の理解とは正反対の立法形式を採っていると解することもできる。),警察法2条1項だけで全部片付けてしまうことは,判決理由としてはいかにもラフすぎるという感を否めない。
なお,控訴人(原告)の訴訟代理人の調査・準備も不十分であったことが推測される。たとえば,Nシステムを導入する際の政府国会答弁などをきちんとトレースした上で主張を組み立てていれば,判決の結果がどうなったかは別として,少なくとも今回の判決理由とは全く異なる判決理由となっただろうということは十分に推測可能である。
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