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2009年6月29日 (月曜日)

マイケル・ジャクソンの死に便乗した攻撃

受信者がファイルを開かないと感染しないウイルスなどを用いた攻撃や,フィッシングサイトなどへの誘導と言った犯罪行為を効果的に実行するためには,受信者の興味を惹くようなネタが必要となる。通常,エロ系のネタや金儲け系のネタが使われるのが普通だ。これらは,いずれも人間の本性的な欲望を刺激するものなので,人類に欲望がある限り,将来ともなくなることはないだろう。それと同時に,そのときどきのトピックスを悪用した攻撃というパターンも典型的に存在する。有名人のスキャンダルなどに便乗したものがその例だ。先日亡くなったマイケル・ジャクソンの死に便乗した攻撃なるものも出てきたらしい。何ともはや,あきれ果てる。

 マイケル・ジャクソン氏の死に便乗するサイバー攻撃が横行
 IT Pro: 2009年06月29日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/29/news015.html

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総務省:電波政策懇談会(第8回)

2009年7月3日に虎ノ門パストラルで開催予定の電波政策懇談会(第8回)は,一般の人も傍聴できるようだ。申込期限は7月1日とのこと。詳細は,下記のとおり。

 電波政策懇談会(第8回)
 総務省:2009年6月29日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/denpa_seisaku/15524.html

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呪われた日本地図

おどろおどろしい名前の本が出版された。読んでみると,通勤の途中で時間つぶしするにはちょうどよい手軽な読み物を集めた本だった。実は,この本の出版には,私もほんのちょっとだけ関与している。どのように関与しているのかを知りたい人は,1冊購入して,隅から墨まで徹底的に読んでみると良い。(笑)

 怪奇ミステリー研究会 (編)
 『 呪われた日本地図』
 彩図社 (2009/07/27)
 ISBN-13: 978-4883926916
 定価550円

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2009年6月28日 (日曜日)

マイケル・ジャクソンの死去によるアクセス集中でAIMやTwitterがダウン

下記の記事が出ている。アクセス集中が原因だということは誰にでも理解できる。しかし,それにしても余りにも弱すぎるシステムだ。まるで個人サイトのようだ。もし万が一にもサイバー戦争が開始されたら,1分ともたないシステムということになるだろう。

 マイケル・ジャクソン死去でAIMやTwitterダウン ネットに大きな影響
 IT Pro: 2009年06月26日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/26/news060.html

ところで,マイケル・ジャクソンが死去したということで,過去のプロモーション・ビデオなどがTVで放映されていた。改めて「スリラー」のプロモーション・ビデオを観てみると,実によくできている。しかも,このビデオの中で表現されているものは,その後のダンスやポップに随分と強い影響を与えたらしく,これを乗り越えるようなものが全く出ていない。植物学で言えば,Synonymに相当するようなものしか見当たらず,新種と言えるようなものが全くないのだ。

現代の芸術の世界は非常に貧困であり,むしろ衰退期に入っているというべきなのだろう。

もしかすると,世界は,「中世」と同じような方向に向かっているのかもしれない。新しいものを生み出せないから,単純に「昔からあるもの」を繰り返すだけの世界となるのだ。そして,職業は世襲のみとなり,既存の文化や観念を破壊しとうとする者は「悪魔」として火あぶりの刑になってしまうような世界がやってくるかもしれないと想像したりする。

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2009年6月27日 (土曜日)

英国:電子文書に関する意識調査

英国での意識調査の結果,民と官との間では相当の温度差があるという結果が出たようだ。下記の記事が出ている。

 Public sector lags behind in electronic document management
 response source: 24 June 2009
 http://www.responsesource.com/releases/rel_display.php?relid=48645

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カナダの研究所が作成したモニタリング回避ソフトがイラン人によって大量にダウンロードされる

カナダの研究所が開発してインターネット上にダウンロード可能な形で公開していたモニタリング回避用ソフトウェアが,わずか10日の間に1万8,000人ものイラン人によってダウンロードされていたことが判明した。

 Canadian software helps Iranian dissidents connect
 Yahoo (AFP): Jun 27, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/afp/20090627/tc_afp/canadairanrightsinternettechnology

このカナダの研究所は,イランの民主化運動家を支援するためにこのソフトウェアを開発してあげたのだろうか?

ちなみに,インターネット上の通信は,世界中いたるところで傍受されており,日本もその例外ではないので,この種のソフトウェアは,(本当は)日本人にとっても必備品のようなものなのかもしれない。

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スウェーデン:Pirate Bayの関係者に対し,控訴審でも有罪判決

第一審を担当した裁判官が著作権保護団体と密接な関係を有する人物であったことから,裁判の公平性に疑問がもたれ議論を呼んでいたスウェーデンでの著作権法違反事件の控訴審で,やはり有罪の判決がなされたようだ。

 Pirate Bay retrial call rejected
 BBC: 26 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8121680.stm

訴訟の結果に影響を及ぼし得るような利害関係を有する組織・団体との関係を有する裁判官が裁判を担当してしまうことは理論的にも現実的にもあり得ることだ。裁判員となるともっとそうだ。

そのような場合があり得ることを想定して,訴訟法は,忌避や回避や除斥などの制度を準備しているのだが,忌避申立が認められる場合というのは内外ともほとんどない。また,利害関係を有している裁判官は,そうであればあるほど当該訴訟の担当を自ら回避するはずがない。強い利害関係を有する者については,モラルや自己規制といった心理が機能する余地はほとんどない。その意味で,訴訟制度は,人間の本性というものを全く理解しないて構築・運営されているということもできるだろう。

根本的なところから全く異なる訴訟制度設計をしないとどうにもならない問題の一つだろうと思う。

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2009年6月26日 (金曜日)

総務省:情報通信審議会 情報通信技術分科会(第67回)配付資料の公表

総務省のサイトで,下記の資料が公開されている。

 情報通信審議会 情報通信技術分科会(第67回)配付資料
 総務省:2009年6月26日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/bunkakai/15483.html

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PC製造各社は中国のフィルタリングソフトインストール強制対応でおおわらわ

どのPC製造企業も大変そうだ。下記の記事が出ている。

 PC makers race to comply with China's Web filter
 Yahoo (AFP): Jun 25 2009
 http://tech.yahoo.com/news/ap/20090625/ap_on_hi_te/as_tec_china_internet_pc_makers

ちなみに,中国向けに製造されたPCが日本や米国に輸入され販売されることがないとは言えない。そのような場合に備えて,世界各国は,インストール済みのフィルタリングソフト及び関連ツール等を完全消去するための除去ツールのようなものを準備しておく必要があるだろう。


[このサイト内の関連記事]

 中国:フィルタリングソフトのインストール強制を予定どおり実施
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-789e.html

 中国政府のフィルタリングソフト強制政策はビジネスの上でも深刻な事態を招くとの懸念
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-be35.html

 中国政府がインストールを義務付けたフィルタリングソフトに脆弱性
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-aa0e.html

 米国:中国のファイルタリングソフト強制に対し訴訟の気配
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-8cf7.html

 中国のフィルタリング政策に非難の嵐
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-906a.html


[追記:2009年6月27日]

関連記事を追加する。

 Companies appeal to China to drop Web filter plan
 Forbes (AFP): Jun 27, 2009
 http://www.forbes.com/feeds/ap/2009/06/27/ap6593988.html

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2009年6月25日 (木曜日)

英国:警察がサイバー犯罪スカッドを組織するらしい

英国では,サイバー犯罪スカッド(cybercrime squads)というものを組織することが検討されているようだ。詳細はよく判らないけれど,要するに,サイバー犯罪対策専門の対応部隊といった感じのような組織のようだ。日本では,各都道府県警察に組織・配置されている「サイバーポリス」がそれに相当すると考えてよいかもしれない。

 Police chiefs plan cybercrime squads
 Finantial Times: June 24 2009
 http://www.ft.com/cms/s/0/c6526108-6056-11de-a09b-00144feabdc0.html

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マイクロソフトが無償でアンチウイルスソフトを提供

マイクロソフトは,無償でアンチウイルスソフトの提供を開始したようだ。ただし,日本ではまだサポートされていない。

 Microsoft offers free anti-virus
 BBC: 24 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8116387.stm

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クラウドコンピューティング:その概念がますますクラウド化

クラウドコンピューティングについていろいろと書いてきたけれども,あまりにも曖昧な概念なので,そろそろ定義が必要になってきているかもしれない。特定の製品やサービスが「クラウドコンピューティング」の範疇に入るかどうかを判別することは不可能なことではない。しかし,「クラウドコンピューティング」それ自体を定義し,ある論理性を保った集合として位置付けることが難しいのだ。その背景には,もともとの科学技術上の概念を相当にはみだして,何でもかんでも「クラウドコンyプーティング」として製品化しサービス提供してしまおうとするIT業界のいい加減な姿勢もある。というわけで,良い定義はないものかと探し続けていたのだけれど,やはり「ない」ということが判った。

 Enterprise 2.0: EMC, Google, IBM On Cloud Computing
 Information Week: June 23, 2009
 http://www.informationweek.com/news/services/storage/showArticle.jhtml?articleID=218100872

結局,定義自体が「クラウディ」だと言わざるを得ない。そして,このことは,ビジネスという面だけではなく,消費者保護等の観点からしても相当問題な状況になってきているかもしれない。

というわけで,やむを得ないので,個々の製品やサービスのことを「クラウドコピューティング」だと自称しているものが存在すれば,一応それも「クラウドコンyプーティング」の一種であるとして,今後も考察を進めることにする。

ただし,その概念がますますもって「クラウド化」してしまうことは避けられないだろうと思っている。

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米国:ネットブックに関する意識調査結果

下記の記事が出ている。「なるほど,そうだろうな」と納得する。

 ネットブックをめぐる期待と現実のギャップ--米調査で明らかに
 CNET Japan: 2009/06/25
 http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20395573,00.htm

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総務省:デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会中間答申案

下記の中間答申案が公表されている。

 中間答申(骨子案)「エンフォースメント」に関する検討の概要
 平成21年6月23日
 情報通信審議会情報通信政策部会
 デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
 http://www.soumu.go.jp/main_content/000028405.pdf

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2009年6月24日 (水曜日)

米国:消費者の行動のトラッキングに対するFTCの措置命令をめぐる議論

米国のFTCは,Sears Holdings Management Co.が実施していた顧客のWeb上の行動のトラッキングを違法であるとして,収集したデータの破棄などを命ずる措置を実施した。この措置命令について,トラッキングやマイニングを利用したマーケティングに積極的な企業等の側からは批判が出ているようだ。

 Sears To Settle With FTC Over Online Tracking
 Maeketing Daily: Jun 23, 2009
 http://www.mediapost.com/publications/?fa=Articles.showArticle&art_aid=108420

この議論はなかなか難しい。

しかし,顧客の行動履歴等をマーケティングに利用して商業的利益をあげたのであれば,その利益の分け前を当該行動履歴の本人である個々の顧客に分配してもよさそうな気がする。(笑)

ただし,実際には,このような行動履歴情報の収集と分析という手法によって大きな利益をあげることは難しい。一般に,人間の「行動」というものは,行動科学者達が想定しているほどには単純ではないのだ。その結果,このような手法を用いたアプリケーションやサービスやコンサルティングなどを提供する特定の人々(だけ)があくどい利益をあげるといういつもながらの陳腐な現象が常に観察可能となっている。

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Facebookの脆弱性をついた不正アクセス

Facebookのプロフィールファイルの仕組みに脆弱性があり,それをついて不正アクセスが発生したらしい。この脆弱性は現在では解決されているとのこと。

 Facebookの非公開データに不正アクセス発生
 IT Pro: 2009年06月24日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/24/news024.html

この事件に限らず,SNS内での違法行為や犯罪行為などの実例はいくつかある。「SNSだから安全」ということは絶対にあり得ない。SNSの利用者がどのような人物であるのかは,お互いに知らないのが原則なわけだし,その中には犯罪者も当然に含まれる。SNSは「閉じた世界」ではあるけれども,その閉じた世界の中で犯罪が実行されるというわけだ。

というわけで,どのようば場にいたとしても,常に,「他人を絶対に信じない」という根源的な不信を基礎として行動しなければ,危ないということになる。そのストレスに耐えられない人は,インターネットから去るしかないのだろうと思う。

だからこそ,「インターネットからの自由」が法的権利としても非常に大事となる。インターネットを含むITの利用が国民に対して強制されてはならない。

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FacebookとGoogleの基本的な違い

FacebookとGoogleは,いずれもインターネットに基盤を置くビジネスでありながら,そのビジネス手法は全く異なっている。かたや閉鎖的な空間の中で自己完結させており,Googleの侵入を拒んでいる。他方,Googleは,世界中の全てのデータとの自動リンクの生成をめざしている。ここには大きなコンフリクトがある。下記の面白い記事をみつけた。

 Great Wall of Facebook: The Social Network's Plan to Dominate the Internet — and Keep Google Out
 Wired: 06.22.09
 http://www.wired.com/techbiz/it/magazine/17-07/ff_facebookwall

ちなみに,私自身は,このサイバー法ブログを含め公開しているブログ2つと公開しているホームページ3つと英語版の図鑑サイトを構築・運営しているほか,大学内の授業用ポータルサイトなどの半公開サイトを運営し,アクセス限定の幾つかのウェブサイトを管理し,加えて,公開のメールマガジンの編集作業を担当し,そして,その他幾つかのウェブサービスを管理・運営している。

それらのメンテナンスだけでも結構忙しいのだが,それはさておき,公開か非公開(メンバー限定)のどちらが良いのかという問題については,「事柄による」としか言いようがないのではないかと思っている。そのどちらか一方だけに偏ると,ろくなことがない。

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MySpaceが大規模人員削減

SNS大手のMySpaceが大規模な人員削減を実施するようだ。景気のせいだろうと思う。

 MySpace to cut 300 intl positions, close offices
 Yahoo (AP): Jun 23, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/ap/20090623/ap_on_hi_te/us_myspace_job_cuts

私自身はSNSの運営に関与したことがないので,あくまでも想像の域を出ないが,おそらくSNSというシステムを正常に運営するには相当の人員を確保しなければならないのだろうと思っている。ビジネスモデルそれ自体がそのことを求める原因となっている。

にもかかわらず,人員削減を実行しつつサービスの品質を維持しようとすれば,ビジネスの規模(利用者数)を大幅に削減するしかないだろう。サービスの品質の低下やむなしという前提で人員削減を実施した場合,当然,そのSNSは荒れることになり,結果的に,まともな利用者はその場を離れていくことなってしまい,ますますもって「あまり感心できない人々」ばかりが濃縮された場となる悪循環が積み重ねられることになるのに違いない。

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100円セキュリティチェックサービスに持ち込まれたPCの半数以上がウイルスやスパイウェアに感染

パステムセゾンが提供している100円セキュリティチェックサービスに持ち込まれたパソコンの半数以上からウイルスやスパイウェアなどが発見されたそうだ。

 持ち込まれたPCの半数以上がウイルス感染--パステムセゾンが公表
 CNET Japan: 2009/06/23
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20395436,00.htm

米国で実際された調査結果に示されている感染率と比較するとずっと低い感染率ということになるが,それでも驚くべき数字だ。

情報セキュリティを確保できない者については,PCの利用を禁止するような法律を制定しないと駄目なのではないかと短絡的に思いたくなるくらいだ。しかし,もし下手にそんなことをしたりすれば,きっと「弱者軽視」だとの批判が出てくるだろう。

この問題について真面目によく考えてみると,そもそもコンピュータ装置を本当に庶民のものにしてよいのかどうかという根本的なところから考え直すべき時代になっているのではないかと思う。そして,庶民のものとすべきではないという結論が正しいとすれば,大型汎用機の時代と同じような状況にすればよい。逆に,庶民のものとすべきだという結論が正しいとすれば,国レベルでそれなりに大きな資金を投入して抜本的な対策を講じなければならないという非常に当たり前の結論に行き着くことになる。

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インテルとノキアがモバイル分野で提携

インテルとノキアがモバイル分野で提携して新製品の開発を始めることになったようだ。下記の記事が出ている。

 Intel and Nokia band together
 BBC: 23 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8114059.stm

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パキスタン:米国製のロボット飛行機がタリバンをミサイル攻撃し多数を死傷させる

世界各国でロボット軍用機の開発と装備が進められている。パキスタンには既に多数のロボット兵器が配備されているのだが,ロボット攻撃機が搭載ミサイルでタリバンを攻撃し,多数を死傷させたらしい。

 'Dozens dead' in US drone strike
 BBC: 23 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/8115814.stm


[関連記事]

パキスタンなど各国が無人航空機部隊を拡大
Wired: 2008年11月13日
http://wiredvision.jp/news/200811/2008111321.html

日本では,無邪気に,高校生などの学生によるロボット対戦などの競技会が開催されているし,また,数多くの企業によって様々なロボット製品が開発されている。しかし,その技術及び製品の大半は軍事転用が可能であるし,現にそうなっている。日本は,その意味で,世界でも有数のロボット兵器またはその部品の製造拠点であるといういうことができる。そのことをちゃんと理解した上でロボットの開発にとりくんでいるのかどうかが重要で,ぜんぜん判らないでやっているとしたら,「常識ある社会人」としては完全に失格というべきだろう。

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2009年6月23日 (火曜日)

ロシア:昨年は,1万4000件もの電子犯罪?

下記の記事が出ている。本当かどうかは判らない。もしこの記事に書かれていることが本当だとすれば,凄い数だ。暗数を含めると,サイバー犯罪が日常化している国家であると推定できることになりかねない。

 Last year saw 14,000 cybercrimes in Russia
 SecuObs.com: 2009-06-22
 http://www.secuobs.com/revue/news/112125.shtml

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中国:フィルタリングソフトのインストール強制を予定どおり実施

下記の記事が出ている。「馬耳東風」ということなのだろう。

 Green Dam launch date 'unchanged'
 China Faily: 2009-06-23
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2009-06/23/content_8310398.htm


[追記:2009年6月25日]

関連記事を追加する。

 US urges China to drop Internet filter rule
 Yahoo (AFP): 25 June 2009
 http://news.yahoo.com/s/afp/20090625/pl_afp/uschinaitcomputerinternetcensor

 U.S. Presses China on Censorship
 Washington Post: June 25, 2009
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/24/AR2009062403452.html

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法務省:新オンライン登記申請システム骨子案に対するパブリックコメントの募集

法務省のサイトで,新オンライン登記申請システム骨子案に対するパブリックコメントの募集が実施されている。期限は2009年6月30日とのこと。

 新オンライン登記申請システム骨子案に対する意見募集について
 法務省:平成21年6月12日
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji183.html

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EU:ビデオゲームによる少数者被害に関する公聴会

EUでは,ビデオゲーム(テレビゲーム)によって少数者(minor)が何らかの被害を受けることが問題になっているようだ。この少数者の被害の中には,人種差別,生まれ,性別,社会的身分,職業などによる差別等が含まれる。このことに関して,娯楽のためのビデオゲームであっても社会的文脈を正しく認識・理解した上でビジネスを展開すべきだという主張がある。7月8日に,ブリュッセルで,このことと関連する公聴会が開催されるようだ。

 Hearing on video games and protection of minors
 Brussels, 8 July 2009
 http://ec.europa.eu/avpolicy/reg/minors/video/hearing/index_en.htm

日本では,この手の議論は低調かもしれない。むしろ,無神経または無感覚と言ってもよいかもしれない。このまま放置した場合,日本のゲーム業界が海外でとんでもないペナルティを喰らう時代が来るかもしれないから,今の段階から自主的なガイドラインなどを策定し遵守するようにしておいたほうが結果としてベターなのではないかと思う。

ちなみに,日本がこのように不感症のような状態になっていたのは,テレビなどで無節操で差別的で暴力的な「おわらい」が横行しており,社会全体に重大な悪影響を与え続けているというのに,何も効果的な方策を策定・実施してこなかった担当官庁にも相当の責任があると考えている。関西では「どついて」も別にどうということはないのかもしれないが(←私は東北地方出身であり,関西地方のごく一部に流通しているものと一般に理解されている非常にローカルで粗暴な文化を基本的に理解できないし,自分の中に取り入れようとも思っていないので,関西地方ではどこでも一般的に,「どついて」も特に問題とならないという認識は,もしかすると間違った認識かもしれない。なお,個人的には,映画作品などで喧嘩のシーンを撮影する場合など特別な場合を除き,仮にそれが冗談であったとしても,一切「どついて」はならないと考えている。基本的に下品だ。ちなみに,関西地方の某地域に存在すると一般に認識されている「いけず」という非常にローカルな文化も何となく私にとっては人間のもつ陰険さ,凶暴性,攻撃的性向といった要素を露骨に示すもののように思われ,到底受け入れがたいものの一つだ。これまた生まれ育った環境の違いに起因する感性の相違なのだろうと思う。しかし,私のほうが一方的に妥協し,屈従しなければならない理由は一切ない。お互いにそれぞれローカルな文化を背景にしながら生きているので,私の中にビルトインされている非常にローカルな文化的背景と関係のない感性というものは,私の心の中では成立しがたいものだろうと思う。)。そのような無節操なテレビ番組を見て育った世代が無節操なビデオ作品をつくってしまうのは当然の成り行きというものだろう。

日本国は,行政主導国家として監督官庁がきちんととりしきるという前提で運営されてきているのに,実際には担当官庁や警察が何もしないというのでは,無政府状態であるのとあまり変わらない。

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中国政府のフィルタリングソフト強制政策はビジネスの上でも深刻な事態を招くとの懸念

下記の記事が出ている。

 US raises China filter amid business concern: official
 Yahoo (AFP): Jun 22, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/afp/20090622/tc_afp/chinausitcomputerinternetcensorship

フィルタリングソフトまたはフィルタリングサービスを利用者が自分の意志で選択し,利用することは全く問題を生じさせない。例えば,情報セキュリティのための各種ソフトにはフィルタリングの機能もあるが,どの会社の製品を利用し,フィルタリングを実行するかどうかは利用者の判断に任されている。

今回の中国政府によるフィルタリング強制が世界の理解を得られないのは,ソフトそれ自体にバグがあって情報セキュリティ上深刻な問題を発生させる危険性があることが既に判明していること,ソフトが中国政府によってコントロールされており,バックドアのようなものがあるのではないかという疑念を払拭することができないこと,それゆえに当該ソフトを組み込んだPCの安全性などを保障することが不可能となる結果,PCの製造者等にとっては製造物責任のリスクが発生することなどの非常にまともな批判だけではなく,ソフトの強制によって他社のソフトが自動的に排除されてしまうという情報セキュリティ上及び独占禁止法上の重大な問題があるからだ。

今回,中国政府が実施すべきであったことは,完全なスペックを示し,そのスペックを満たす機能を有するソフトのインストールやそのようなスペックを満たすサービスの提供を求めることだったのではないかと思う。ただし,その結果として,米国製のソフトやサービスが圧倒的なシェアを有することになるかもしれないが,それはそれで我慢しなければならないことだろうと思う。世界的な批判を受けるよりはマシなことだ。

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Googleが中国語で書かれたポルノサイト等の検索結果をカットする方針

Googleは,中国語で書かれたポルノサイトや暴力的サイトの検索結果を自動的にカットする方針を定めたようだ。

 Google to cut China porn results
 BBC: 22 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8112971.stm

私の推測では,通常の米国人は日本語と中国語とを正確に識別することができない。これは,通常の日本人がロシア語とポーランド語を正確に識別することができないのと全く同じことだ。また,日本のサイトの中でも中国語で書かれたものがある。それゆえ,日本のサイトであっても,Googleの新方針によって検索結果からカットされてしまうところが出てくる可能性がある。

ソフトウェアによる識別能力は,まだそれほど高いレベルには達していない。とりわけ,状況という要素,文脈という要素を判断することは困難であり,かつ,文字で書かれていない背景事情などを推測したり想像したりする機能をコンピュータに持たせることは不可能だ。この能力は,かなり優秀な人間であっても十分であるとは言えないことが圧倒的に多い。ゆえに,コンピュータによる完全な自動識別は,少なくとも近い将来においては,実現不可能ということになる。

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2009年6月22日 (月曜日)

総務省が「ストリートビューは違法ではない」との検討結果をまとめたらしい

総務省の検討部会は,ストリートビューの問題について,「ぼかし処理などが行われている限り、大部分はプライバシーや肖像権との関係で違法とならない」との見解をまとめたとの報道がある。ただし,どのレベルでの見解なのかははっきりしない。

 グーグル・ストリートビュー「違法でない」…総務省部会
 Yomiuri Online: 2009年6月22日
 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090622-OYT1T00865.htm

仮に総務省の検討部会が上記のような見解をまとめたということが事実だったと仮定した場合,次の報道記事はどのように理解したらよいのだろうか?(爆笑)

 ストリートビューお手柄、強盗を特定 オランダ
 AFP: 2009年06月20日
 http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2613215/4286433


[追記:2009年6月23日]

下記のような詳報がでていた。

ストリートビューの法的問題を整理、総務省の研究会
「違法ではない」が、より一層の対策を求める
Internet Watch: 2009/6/23
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090623_296049.html

これは報道記事なので正確であるとは限らないし,報告書(案)そのもののを読んだ上での感想ではないのだが,はっきり言って根本から間違った結論だろうと思う。Googleのビジネスの本質を全く理解していない。
Googleのビジネスの本質は,「データ」の自由自在な自動リンクにある。だから,個々のパーツだけ見ていたのではだめで,全体としてどうなるのかを常に考察しなければならない。
そのような観点からすると,個々のナンバープレート等の情報がそれ自体としては「個人情報」に該当しない場合であっても,データのリンクにより個人識別性を付与されてしまうことが非常に多いと推定される。すなわち,ストリートビューの映像の中には,ミクロ的考察の下においては「個人情報」に該当しなくても,データの自動リンクを本質とするGoogleという環境を念頭においたマクロ的考察の下においては「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの」となる場合が多く含まれていると考えるのが正しい。つまり,ビジネスモデルそれ自体が最初から個人情報侵害的であり,それなしには成立し得ないビジネスモデルなのだ。

この検討委員会の委員には非常に優れた人が何人か含まれているのだけれども,結果としてミクロ的考察をつぎはぎしたようなあまりにも姑息な議論しか許されないところをみると,立場上,政治的圧力に屈しなければならない何らかの背景事情があるのだろうと疑いたくなる。

ちなみに,議論が複雑になっている理論上の原因としては,日本国の個人情報保護法がオプトアウトを基本としているということがある。もし日本国の個人情報保護法がオプトインを基本とする法制であったとすれば,議論はもっと単純であり,全く別の結論が出ただろうと思う。

というわけで,この私としては,自由な発想と自由な思考と自由な表現を守り続けるために,どんなに辛く,他人から蔑まれるようなことがあったとしても,黙々と孤独な道を歩み続けることにする。

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サイバー戦争とサイバー兵器

サイバー戦争(Cyberwar)では,ウイルスやワームなどが国防のための兵器として用いられることになる。その手の話題は,昔からSF小説の中にはいくらでもあったのだが,かなり現実的な話題となってきているようだ。下記の記事が出ていた。

 Cyberwar: Is Offense the New Defense?
 CSO: June 21, 2009
 http://www.csoonline.com/article/495520/Cyberwar_Is_Offense_the_New_Defense_

さて,他方では,情報セキュリティの向上が叫ばれている。可能な限り完璧に近くウイルスやワームなどをブロックしなければならない。

すると,中国の古典的な「なぞなぞ」の世界にたちどころに突入してしまうことになる。すなわち,「矛盾」の話だ。どんな盾でも貫くことのできる「矛」と,どんなに鋭利な矛からの攻撃でも防いでしまう「盾」が共存することはできない。これを「矛盾」という。

というわけで,一体どういうことになってしまうのか・・・

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カナダ:警察に対し裁判所の令状なしにISPの顧客データやファイルにアクセスする権限を与える新法に批判

カナダでは,警察に対し,裁判所の令状なしにISPの顧客名や住所等の個人情報,ISP内にあるファイルやデータなどへのアクセスの権限を認める2つの法案について大きな批判が起きているようだ。

 New Canadian laws would kill all internet privacy
 national union: 22 June 2009
 http://www.nupge.ca/node/2375

これらの法案は,サイバー犯罪条約との関係で日本でも議論された「ISPが保有するデータの一時的な保全」という枠組みを大きくはみ出るものだ。

批判の要点は,「インターネットからプライバシーがなくなる」ということに尽きる。

しかし,「インターネット上には本当にプライバシーが存在し得るのか」という根源的な問題は一応措くとしても,インターネットではない現実世界においても,民間企業が管理している帳簿や台帳等に対して警察が令状なしにアクセスすることは原則として許されていないわけだから,そのこととどのようにしてバランスをとるかが最も大事なことではないかと思われる。

「インターネットだから」という点だけに注目し,それにこだわっていたのでは問題の本質が見えてこない。


[関連記事]

 Government of Canada Introduces Legislation to Fight Crime in the 21st Century
 marketwire: Jun 18, 2009
 http://www.marketwatch.com/story/government-of-canada-introduces-legislation-to-fight-crime-in-the-21st-century-20096181130330

 Government Introduces Bill To Require Surveillance Capabilities, Mandated Subscriber Disclosure
 Michael Geist: June 18, 2009
 http://www.michaelgeist.ca/content/view/4069/125/

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スパムメールの7割に中国の事業者等が関係しているらしいという調査結果

下記の記事が出ている。

 スパムの大部分は中国関連、米研究者が集計
 スパムドメインの7割は「.cn」のURLを利用し、中国でホスティングされているという。
 IT Media: 2009年06月22日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/22/news017.html

スパムメールの送信者が中国人であるかどうかは別として,ホスティングするところがなければメールの送信もできないわけだから,問題は問題だ。

ただし,意図的にスパムメールの送信をホスティングしている事業者だけではなく,ボットによりスパム送信マシーンと化したPCが信じられないほど大量に存在するのではないかという推測もなり立ち得るのではないかと考えられる。特に,違法コピーしたOSやアプリケーションが大量に使用されているところでは,その可能性が格段に高いだろうと推定しても間違いないだろう。

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中国:黄河支流のダムに決壊の危険性あり

Record Chinaの報道によれば,黄河支流に建設されたダムの中には決壊の危険性のあるものがあり,既に決壊事故が多数発生しているらしい。これは,手抜き工事によるものとのことだ。

 黄河支流のダム、多くが決壊の危険=原因は手抜き工事か-中国
 中国ニュース通信社(Record China): 2009年6月21日
 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=32642

ダムが決壊した場合,そのダムの下流にある都市などが水害に襲われる危険性があるだけではなく,ダム決壊後には,貯水の消滅により,飲料水や空調用や下水用などの水が失われ,また,電力発電も大幅にダウンする結果,近隣都市の機能が崩壊してしまう危険性がある。それらのことが現実に起きれば,(大人しい家畜のような日本人とは異なり)中国の人民が黙っているはずがないので,当然,暴動や略奪が発生することになるだろう。

中国には原子力発電所や火力発電所もあるが,ダムと同じように手抜き工事によって崩壊する危険性のあるものが当然含まれているはずだ。

中国に進出している日本企業は,そこらへんのことも全部計算に入れた上で危機管理計画を策定し直すべきだろうと思う。また,中国から部品等を輸入している日本のIT企業等は,ダムの決壊による部品供給ストップの確率を正確に測定した上で,適切な危機管理計画を策定すべきだろうと思う。

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FTCが一般のブログ記事に注目

FTCは,インターネット上にあまたあるブログ記事の真の重要性に気付いたようだ。日本の経済産業省と総務省がこのことに気付いているかどうかは判らない。もしかすると既に気付いているのかもしれないが・・・

 FTC plans to monitor blogs for claims, payments
 Yahoo (AFP): Jun 21, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/ap/20090621/ap_on_hi_te/us_tec_bloggers_freebie_disclosures

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2009年6月21日 (日曜日)

英国:児童ポルノサイトは10パーセント減少したが,内容が過激化

ある調査結果によれば,英国における児童ポルノ配信サイトの数は10パーセント減少したけれども,その内容が過激化の一途を辿っているとのことだ。おそらく,同じ傾向がどの国にでもあるだろうから,日本でも同様の傾向があるのではないかと推測する。

 UK Internet watchdog: number of child pornography sites drops but sexual images more violent
 Examiner: 06/20/09
 http://www.washingtonexaminer.com/world/ap/48689632.html

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英国:母がその未成年の子とのライブセックスをインターネットで放映

30歳の母親がその息子とのライブセックスをインターネット上で放映したことが児童虐待の罪にあたるとして逮捕されたようだ。大西洋をまたがる大捜査の結果,この母親が犯人だと特定されたとのこと。それにしても,何ともひどい事件だ。世も末だ・・・

 Mum held over live child sex abuse on internet
 Mirror: 16/06/2009
 http://www.mirror.co.uk/news/top-stories/2009/06/16/mum-held-over-live-child-sex-abuse-on-internet-115875-21444537/


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ニュージーランド:著作権法をつくりなおしか?

改正されたばかりのニュージーランドの著作権法は,一応施行されはしたものの,現実には議論と批判を呼ぶだけの法律になってしまっていたようだ。ニュージーランド政府は,問題のある条項をつくりなおす方向へと動いている模様。

 NZ copyright bill reborn?
 stuff.co.nz: 15/06/2009
 http://www.stuff.co.nz/technology/2500808/NZ-copyright-bill-reborn

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経営破綻したNortelが,その資産の大半をNokiaに売却する

経営破綻していたNortelが,その資産の大半をNokiaに売却することになったようだ。通信会社にとっても大変な時代になったものだと思う。

 Telecoms firm Nortel to sell assets to Nokia
 Yahoo (AFP): Sat Jun 20
 http://news.yahoo.com/s/afp/20090620/bs_afp/canadatelecombankruptcynortel

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勃起不全治療薬の模造薬をヤフーオークションで販売していた者に対する損害賠償請求が認容された事例(大阪地方裁判所平成20年(ワ)6081号)

リリーアイコスLLCが販売する「シアリス」という勃起不全治療薬の模造薬を製造し,ヤフーオークションで販売していた者に対する損害賠償請求事件で,原告の請求を一部認容する判決がなされた。

 大阪地方裁判所平成21年5月21日判決(平成20年(ワ)6081号)
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090526151319.pdf

インターネット上のオークションサイトでは,様々な「まがいもの」が売りに出されることがしばしばあるけれども,加害者に対して損害賠償請求がなされ,請求認容判決にまで至り,しかもその判決が公刊されることは意外と少ないかもしれない。

この種事案について考える上で参考になる判決例ではないかと思う。

なお,この事件は,インターネット上のオークションサイトを舞台とするものだった。しかし,偽薬は,オークションサイトだけではなく,それ以外の様々な経路でも販売され流通している可能性がある。あくまでも机上の推測としては,病院や薬局などでも偽薬が流通している可能性が絶対にないとは言い切れない。それゆえ,例えば,もし病院で勃起不全治療薬を処方されたのに何の効果もなかった場合には,もしかすると,場合によっては医師や薬剤師もそれと知らずに医師が偽薬を処方してしまっていることがあるかもしれないし,また,詐欺の目的で意図的に偽薬を処方していていることもあるかもしれない(←北海道において医師が関与した障害者給付関連の詐欺事犯その他類似の詐欺事犯が現実に存在するので,医師,薬剤師,ドラッグストアやコンビニエンスストア経営者等による詐欺事犯が絶対にないという保障はない。)。

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ドイツ:新たな児童ポルノ対策法を可決

ドイツ議会では,非常に強力な児童ポルノ禁止法案が可決されたようだ。

 Bundestag verabschiedet Gesetz für Web-Sperren
 heise online: 18.06.2009
 http://www.heise.de/newsticker/Bundestag-verabschiedet-Gesetz-fuer-Web-Sperren--/meldung/140746

日本国における立法動向は極めて散漫かつ低調なままだ。


[関連記事]

 Blocking access to child porn doesn't help victims, expert says
 DW-WORLD.DE: 08.06.2009
 http://www.dw-world.de/dw/article/0,,4311505,00.html

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日本の個人データ保護法制あれこれ-結局,どうにもならないか・・・

久しぶりに高木浩光さんのサイトを訪問してみた。6月14日の記事には,プライバシーコミッショナー制度について書いてあった。

 情報ネットワーク法学会特別講演会を聴講してきた
 http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090614.html#p01

 ビデオ版「日本のインターネットが終了する日」
 http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090614.html#p02

日本にはプライバシーコミッショナー制度はない。案はあったのだけれど,関係各庁及びそれを支持する御用学者らの猛烈な反対により簡単に潰されてしまった。それだけでも,EUの個人データ保護指令の適合性(十分性)要件の充足の有無に関してひどい疑念が生ずるわけだが,ほかにもいろいろあって,とにもかくにもひどい法制だと言える。というわけで,従来から現行法の廃止とやり直しを提言してきた。

高木浩光さんの記事では,プライバシーコミッショナー制度がないことによってどんな弊害があるのかが判りやすく指摘されている。間接的であるにせよ,私の見解の支持者がまた一人増えたと思うと,何となく嬉しい。

ちなみに,もし仮に日本国の個人情報保護法制の中にプライバシーコミッショナー制度を導入するとなると,現行の個人情報保護法の一部改正だけではすまないことになることは自明のことであり,この点に関するいかなる種類の反論も単なる詭弁に過ぎないと考えている。現行法を廃止し,立法をやり直すことが必然的に必要となるのだ。それのみならず,日本国の省庁制度を半分破壊するくらいの根本的な改革が必要になってくる。

とは言うものの,誰も自分の既得権益を差し出してまで「正義」の実現を求めたりはしない。それは,ごく普通の平均的な人間としては,あまりにも普通でわかりやすい思考と行動だろうと思う。そして,政治家や官僚や企業経営者や大学教授や法律家などを含め,世の中の大半の人々はあまりにも普通の人によって占められているから,結局,いつまでたっても何も改善されないことになる。おそらく,今後もずっとそのままだろうと推測している。

そして,政府組織に関して言えば,末期における徳川幕府の官僚団と同じような運命をたどることになるだろうし,また,企業に関して言えば,企業それ自体の破綻と消滅をもたらすことになるだろうと想像している。

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NERCのサイバーセキュリティ標準改訂版が公表される

North American Electric Reliability Corporation (NERC)は,サイバーセキュリティ標準(Revised Cyber Security Standards)の改訂版を公表した。日本でも無視することはできない。

 NERC: Revised Cyber Security Standards
 http://www.nerc.com/docs/standards/sar/CIP_Standards_Redline_to_last_posting_2009Feb24.zip

 North American Electric Reliability Corporation (NERC)
 http://www.nerc.com/

[関連報道]

 Smart Grid Security Frenzy: Cyber War Games, Worms and Spies, Oh My!
 REUTERS: Jun 18, 2009
 http://www.reuters.com/article/earth2Tech/idUS76486882920090618

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GoogleはHTTPSをデフォルトにする模様

Googleが提供する各種サービスには,様々な情報セキュリティ上の問題点があるということが世界中の数多くの専門家から指摘されてきた。このような批判を受け,Googleは,やっと真面目に情報セキュリティと取り組みはじめたようだ。どうやら,Webベースでの通信については,HTTPSによる暗号化通信をデフォルトにするとのことらしい。

 Google、GmailのHTTPS暗号化通信をデフォルトへ - 専門家らの指摘受け
 マイコミジャーナル: 2009/06/17
 http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/17/072/

 Google Considering More HTTPS, Other Services to Follow?
 EFF: June 18th, 2009
 http://www.eff.org/deeplinks/2009/06/more-https-from-google-others

 Google tackled on e-mail security
 BBC: 19 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8107556.stm

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IPA:平成21年度秋期の情報処理関係試験受験申込みの受付

IPAのサイトで,2009年秋に実施される情報処理関係の試験の実施要領及び受付が公表されている。

 平成21年度秋期試験受験申込みの受付について
 IPA:2009年6月19日
 http://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20090619_uketsuke.html

ところで,これはあくまでも余談なのだが,今回のイメージキャラクタには「多部未華子」さんという女性が採用されたようだ。実は,私は,この女性のことをぜんぜん知らないし,おそらく他の女性タレントや女優とこの女性とを識別することが全くできない。若い女性タレントや女優等を識別できなくなると,要するに男性としては老化したという証明になるのだそうだということを耳にしたことがある。仮にこの説が正しいとすれば,私は老人になったということなのだろう。

ちなみに,大学の学生と会話しているときに「キャンディーズ」や「ゴールデンハーフ」などいった名前を出しても全く通用しなくなってしまった。女優では,「吉永小百合」さんはまだ完全に通じるけど(←TVコマーシャルなどに現役出演しているためだろうと推測する。しかし,吉永小百合さんの若いときのことを話題にしてもぜんぜん通じない。),「八千草薫」さんだと判らない学生がかなり多く,「由美かおる」さんは若干微妙じゃないかと思う。「原 節子」さんや「花柳小菊」さんとなると,知っている学生は皆無に近い。世代が違うのでしょうがないと言えばしょうがないのだが,ちょっと残念・・・(笑)

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無線キーボードが狙われている?

シマンテックによれば,無線キーボードとPC本体との間の無線通信をターゲットにして,新手のキーロガーなどの手法を用いた攻撃があるようだ。

 Symantec warns of wireless keyboard security threat
 Tech Central: 15 Jun 2009
 http://www.techcentral.ie/article.aspx?id=13540

今回脆弱性が指摘されているのは無線キーボードだけだが,理論的には,全てのタイプの無線デバイスにおける無線通信について,同じ類型または近縁する類型に属する脆弱性が発生する可能性はあると考えている。過去に現実に発生した実例としては,無線LAN用のルータの脆弱性の例などがある。

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華為(ファーウエイ)のシステムに関する懸念

華為(Huawei)は,世界各国の主要な通信設備のバックボーンを担うだけの国際的な大企業に成長している。それと同時に,同社が提供・設置するシステムには,ある種のバックドアのようなものが存在するとのことで,国防や国家レベルでの情報セキュリティの面での懸念があるようだ。

 Chinese firm hits back at cyberspy claims
 Huawei welcomes UK.gov backdoor probe
 Register: 12th June 2009
 http://www.theregister.co.uk/2009/06/12/cybersecurity_huawei/

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英国:米国政府と同様のサイバーセキュリティセンターを設置

オバマ大統領は,情報セキュリティ分野の予算を増額し,サイバーテロに対応するための専門セクションを設けた。英国でもこれに習う動きがあり,英国政府は,サイバーセキュリティセンターを設置することを決めたようだ。

 UK to get national cybersecurity centre
 ComputerWeekly: 15 Jun 2009
 http://www.computerweekly.com/Articles/2009/06/15/236421/uk-to-get-national-cybersecurity-centre.htm

 Who should be Britain's cyber security czar?
 IT Pro: 19 Jun 2009
 http://www.itpro.co.uk/611848/who-should-be-britain-s-cyber-security-czar

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配送状況確認サービスの個人情報

ネット通販などで購入した商品の配送状況を調べることのできるサービスは,海外でも日本でも提供されており,非常に便利なサービスの一つだ。しかし,その安全性確保が十分ではない場合,個人情報(個人データ)保護の観点からすると問題のあるケースが存在するようだ。

 Personal data exposed on website
 BBC: 19 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8107737.stm

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2009年6月20日 (土曜日)

英国:British Libraryが19世紀の新聞をインターネット上で公開

British Libraryは,19世紀に英国で発行された200万ページ分に及ぶ新聞記事をインターネット上で公開したようだ。日本の明治期の新聞等も全てインターネットで自由に閲覧できるようにしてもらいたいものだと思う。

 大英図書館、19世紀の新聞200万ページ分をネットで公開
 Internet Watch: 2009/6/19
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090619_294964.html

 British Library (大英図書館)
 http://www.bl.uk/aboutus/quickinfo/intvisitors/japanese.pdf

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総務省:携帯電話の契約者の本人確認義務を怠った事業者に対する行政処分

総務省は,有限会社ミニマックスが契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に定める本人確認義務を怠ったとして行政処分を行ったようだ。

 携帯電話不正利用防止法違反事案に対する措置
 総務省:平成21年6月19日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban08_000017.html

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総務省: 「通信・放送の総合的な法体系の在り方<平成20年諮問第14号>答申(案)」に対するパブリックコメントの募集

総務省のサイトで,下記のパブリックコメントの募集が始まっている。締め切りは,2009年7月21日とのこと。

 「通信・放送の総合的な法体系の在り方<平成20年諮問第14号>答申(案)」に対する意見募集
 総務省:平成21年6月19日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin01_000021.html

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2009年6月19日 (金曜日)

韓国:大学生にも情報倫理教育

韓国では,大学生に対しても情報倫理教育を実施することになったようだ。逆から言うと,これまでは野放しだったということになる。ネット上の過激な言論がひどすぎるということもあるのだろうけれど,何となく政治的な臭いのする動きではある。

 大学生にもインターネット倫理教育を実施
 朝鮮日報:2009/06/19
 http://www.chosunonline.com/news/20090619000003

ところで,私自身は,「情報倫理」というコトバを余り好きになれない。いかに自分に都合よく考えてみても,私自身が「倫理的な人間」であるとは全く思えないということもあるが,それ以上に,「情報倫理」を口にする者が「極めて倫理的な存在である」として尊敬できたことが過去にただの一度もないからだ。一般に,自分自身について「誰からみても極めて倫理的な存在である」という事実についての明確な証明ができていないのに,他人に対して「倫理」を押し付けたり倫理教育をしたりする資格など絶対にあろうはずがない。

というわけで,私自身は,「倫理」というコトバを可能な限り使わないで,より適切なコトバで表現するようにしている。適法・違法の問題であればコンプライアンスで説明したほうが適切であるし,内部ルールの問題であればルール適合性として説明したほうが判りやすい。それ以上の内心の自由や表現の自由などの精神的自由権の範囲内にあることがらについては,誰も口をさしはさんではならない。

情報倫理を教える立場の教員の大半は,実は資格と能力を有する法律家ではない。それゆえ,コンプライアンスの問題とそれ以外の問題とをきちんと識別することさえできていない者が決して少なくない。そんなあやふやな状態で「情報倫理」を論ずることは,極めて危ないことであり,まかり間違えば自分自身の命取りにもなりかねないことだと深く自覚すべきだろうと常に思っている。

ちなみに,英語の「ethics」をどう訳すかという問題は残る。私は,原則として,「原文のままで理解しなさい。日本語で考えないように。」と指導するようにしている。しかし,英語を理解できない者が少なからず存在することは事実だ。そこで,「倫理」というコトバを使わずにethicsを説明するために,「英語のエシックスとは部分社会においてのみ事実上の強制力または社会的な強制力を有する社会規範または行動規範の一種だ。ただし,その内容は,部分的に法律上の義務と重複することがあるし,また,反対に,単に理念または実現すべき理想形のようなものを描いているだけであり,何らの拘束力もない場合もある。そして,社会規範または行動規範の一種である以上,それを運営する者自身がその規範に適合しているかどうかとは無関係にその規範の客観性が維持されることになる。そのような意味を有するものとしてエシックスというコトバを使うことにする」と前置きして授業等を実施するようにしている。

このように説明すれば,ある特定のethicsという名の規範に従うことを命ずる上司が少しも倫理的でないばかりか反倫理的な者であったとしても,そのethicsという名の規範は有効であり得るということになる。

逆に,「これが倫理だ!」と口にすることは危険だ。倫理的であるとはいえない者または反倫理的な者が「倫理」を口にすることは極めておこがましいことであり,禁反言の法理などからしても決して許されることではない。

あくまでも,そのような名前のついた規範の一種であること,そして,その違反がある場合にはどのような社会的サンクションがあるかを客観的に教えるのが正しい。学生の内心・内面に立ち入ってはならない。あえて立ち入れば,精神的自由権の侵害ともなり得る。

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EU:次世代インターネットの開発に意欲

インターネットが開発された当時,通信可能なデータは,基本的には限定された符号コード(アルファベット+数字+いくつかの制御コード)だけだった。今日,インターネットに接続されているデバイスの種類はあまりにも豊富・多様であり,インターネットが媒介するデータの種類も多様化している。そのため,現在のインターネットの基本要素の中の幾つかは,現代の状況に全く適合しないものとなってしまっている。

このような状況の中で,EUは,次世代のインターネットの開発に向け,主導権を握るという基本方針を固めたようだ。EU政府による下記の広報がある。

 When your yogurt pots start talking to you: Europe prepares for the internet revolution
 europa: Brussels, 18 June 2009
 http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/09/952

インターネットの最初の目的は,軍事及び科学技術上の利用だった。そして,インターネットが商業利用のためにも開放されて以来,主に米国が主導権を握りつつ,今日までのインターネットの発展があったということができるだろう。

しかし,例えば個人データ(プライバシー)の保護の問題一つをとってみても,米国と欧州とでは対応の仕方が大きく異なっている。

今後,欧州がインターネットの主導権を握るとなると,その中に適用される各種ポリシーの基本的枠組みも大きく変化する可能性がある。その意味で,法律家はすべて,インターネットの未来について,無関心でいることが絶対に許されない。

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EU:RFIDタグを用いたセンサーベースのネットワークにおけるプライバシーと個人データ保護のためのガイドライン

RFIDタグとセンサーなどの装置を用い,個々のセンサーで受信した信号をネットワーク上で集中管理して利用するような仕組みをセンサーベースのネットワーク(Sensor-based Networks)と呼ぶらしい。日本で一般に考えられているユビキタスネットワークのようなものは,まさにこのセンサーベースのネットワークの代表例または典型例と考えて良いだろう。

このセンサーベースのネットワークについては,以前から非常に大きな批判が世界的に存在している。あまねく(ユビキタスに)センサーを設置し,それらのセンサーをネットワーク化して管理することは,結果的に,情報の超集中をもたらす。その情報が個人同一性識別情報である場合には,そのネットワークの管理主体による超監視社会が実現してしまうことになる。このようなあまりにも単純で明白・自明な原理が問題のすべての根本にある。

そのような中で,ECの委員会は,センサーベースのネットワークに関する勧告としてガイドラインの一種を公表した。RFIDタグと関連する法律問題を考える上では,必読の文献の一つというべきだろう。

 COMMISSION RECOMMENDATION of 12.5.2009 on the implementation of privacy and data protection principles in applications supported by radio-frequency identification (C(2009) 3200 final)
 Brussels, 12.5.2009
 http://ec.europa.eu/information_society/policy/rfid/documents/recommendationonrfid2009.pdf

なお,この問題については,OECDの専門家会合でも討議がなされた模様だ。

 CSISAC Report: OECD Event on Sensor-based Networks
 http://csisac.org/2009/06/csisac_oecd_rfid.php

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IPA:「iPhone OS」におけるセキュリティ上の弱点(脆弱性)の注意喚起

iPhon OSに脆弱性が発見されたらしい。下記の注意喚起が出ている。

 「iPhone OS」におけるセキュリティ上の弱点(脆弱性)の注意喚起
 IPA:2009年6月18日
 http://www.ipa.go.jp/security/vuln/documents/2009/200906_iphone.html

電話が,IP電話へと移行するということは,それと同時に,小型のPCであるIP電話装置に対するありとあらゆる攻撃がなされ得るということを意味する。このことは,どんなに頭の悪い人でも容易に理解できることだろうと思う。

私はIP電話絶対反対論者でずっと通してきたのだが,(いつものことながら)ひどい少数説だった。そして,日本国がその国策としてIP電話の普及推進を強力に実施してきたため,もはや後戻りできない状態になっているのではないかと思う。国がそのような政策を推進してきたことは,結果として,憂慮すべき事態の発生をも推進してきたことになる。そうである以上,国(及びこのような政策推進の実質的な担い手となってきた企業等)は責任をもって事態に対処すべき義務があるだろうと思う。

基本原理は非常に簡単だ。

 「何でもかんでもインターネットに依存してはらない」

今からでも遅くない。冷静に考えた上で,方向転換を考えるべき時期にきているのではないだろうか。

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イランではサイバー戦争(Cyberwar)が勃発?

下記の記事が出ている。選挙結果に納得できない人々の行動ということなのだが,この先,どういうことになっていくのだろうか?

 Iranian Protests Becoming Crowd-Sourced Cyber War
 Fast Company: Jun 17, 2009
 http://www.fastcompany.com/blog/kit-eaton/technomix/iranian-protests-becoming-crowd-sourced-cyber-war-sorts

 Briton's software a surprise weapon in Iran cyberwar
 CNN: June 17, 2009
 http://www.cnn.com/2009/WORLD/meast/06/17/iran.elections.hackers/

 Who's winning Iran's cyber-war?
 Channel 4: 16 June 2009
 http://www.channel4.com/news/articles/politics/international_politics/whoaposs+winning+iranaposs+cyberwar/3214857

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2009年6月18日 (木曜日)

ドイツ:児童ポルノサイトの監視と遮断をめぐる議論

世界の趨勢は,児童ポルノ配信サイトやスパム配信サイトなどの違法サイトをネットから遮断してしまうという方向に動いているようだ。そのような動きに対しては,当然のことながら,批判も出てくる。フランスの3ストライク法が頓挫してしまったことは既にこのブログでも紹介しているところなのだが,ドイツでもかなり厳しい議論があるようだ。

 The dawning of Internet censorship in Germany
 EDRI: 17 June, 2009
 http://www.edri.org/edri-gram/number7.12/germany-internet-censorship

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警察庁が児童ポルノ撲滅のために積極姿勢

警察庁は,児童ポルノ対策のための重点プログラムを明らかにした。現行法上,様々な問題があり,日本国の対応の甘さが世界各国から批判の的になっているのだが,「法は法」なので仕方がない。現行法の許す範囲内で,可能な対応を尽くすしかないだろうと思う。

 児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの策定について
 警察庁:平成21年6月18日
 http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/shiryou.pdf

 児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム~インターネットを利用した児童ポルノの拡散防止を焦点に~
 警察庁:平成21年6月18日
 http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/tsuutatsu.pdf

[関連報道]

 警察庁、ネット上の児童ポルノ対策で重点プログラムを策定
 Internet Watch: 2009/6/18
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090618_294679.html

 児童ポルノ対策:画像特定に専門班 ネット遮断にも協力--警察庁
 毎日jp: 2009年6月18日
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090618dde041040013000c.html

 画像分析で製作者捕まえろ 警察庁、児童ポルノ根絶作戦
 asahi.com: 2009年6月18日
 http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY200906180132.html

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Gene Patents and Collaborative Licensing Models: Patent Pools, Clearinghouses, Open Source Models and Liability Regimes

最近,非常に面白い書籍の出版が相次いでいる。例えば,下記の新刊書は,昨年秋に開催された法とコンピュータ学会の研究会におけるコンラッド氏(カナダ)の講演のメインテーマでもあったパテントプールとコラボレイティブ・ライセンシングについてとてもわかりやすく書いてある本で,その可能性と課題とをより鮮明に認識・理解・把握することができると思う。とは言っても,これは海外の出版物の話題だ。

 Geertrui Van Overwalle (ed.)
 Gene Patents and Collaborative Licensing Models:
 Patent Pools, Clearinghouses, Open Source Models and Liability Regimes
 (Cambridge Intellectual Property and Information Law)
 Cambridge University Press (2009/6/11)
 ISBN-13: 978-0521896733

日本の出版状況は,依然として低調のままだ。もちろん,新刊書の出版点数は数え切れないほど多い。しかし,ごく一部の例外を除いては,どれもこれもほとんど内容がない。書籍として刊行されたものだけではなく,最近発表された学術論文等を読み漁っていても,その感が強まるばかりだ。ある種の自己閉塞状況のようなものがあるのではないかとさえ思ってしまうくらいだ。

日本の若手研究者や若手法曹は,カビが生えたように膠着してしまっている「通説・判例」の世界から一旦視線を移し,ちょっと異なった視点から書かれている海外の書籍を夢中になって読みまくってほしいものだと思う。そして,そこから刺激を受けて,新しい発想で新しい法理論と法律実務をどんどん構築していってほしいものだと切に願う。

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経済産業省:日シンガポール特許庁間における特許審査ハイウェイの試行開始の合意

世界の主要各国は,特許審査の迅速化をはかるため,他国における特許審査結果等を相互参照する国際的な仕組みを構築している(特許審査ハイウェイ(PPH))。日本国は,既に多くの国との間でPPHのための協定をしてきたが,シンガポールとの間でも協定が成立したようだ。下記の文書が公開されている。

 日シンガポール特許庁間における特許審査ハイウェイの試行開始の合意について
 経済産業省:平成21年6月16日
 http://www.meti.go.jp/press/20090616006/20090616006.html

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中国のブロードバンド利用者数は8800万人

Record Chinaによれば,中国のブロードバンド利用者数は8800万人なのだそうだ。とてつもない利用者数になる。もちろん世界最多だ。

 中国のブロードバンド利用者、8800万人で世界最多-中国
 中国ニュース通信社(Record China): 2009年6月17日
 http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=32542&

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ITUのサイバー犯罪法制ツールキット

インターネット空間は世界中につながっているので,自国の法律だけではなく外国の法律が適用されることになる場合がある。そして,自国において適法な行為でも別の国では違法行為となり処罰されてしまうこともある。ところが,言語が異なる国の法制を理解することは,そもそも「文字」のレベルで相当の困難が伴う。

ITUでは,このような困難を解消するため,サイバー犯罪法制ツールキット(Toolkit for Cybercrime Legislation)なるものを公表している。

 ITU Toolkit for Cybercrime Legislation
 http://www.itu.int/ITU-D/cyb/cybersecurity/projects/cyberlaw.html

しかし,問題はある。

一つは,アクセス先のコンピュータシステムに対してどの国の法律が適用されるのかがわかりにくい場合があり,そのために,どの国の法律が適用されるのか判断に苦しむ場合があるということだ。クラウドコンピューティングでは,このようなタイプの困難性が極度に増大する。したがって,このツールキットが国別に法制を説明しているのは良いのだが,結局,どの国の法制を前提に行動したりコンプライアンスを考えたりしたらよいのか,よく判らない場合が多々あるという問題がある。

もう一つは,このツールキットは一般向け(素人向け)につくられているものであり,おそらく作成者自身もサイバー法及び比較法の専門家であるとは言えない人だと考えられることだ。要するに,精度が粗すぎる。従って,法学研究者にとっては(レベルが低すぎて)全く役にたたないものであることは当然のこととして,弁護士,検察官,警察官が利用するのも非常に危険だ。問題に対処するためには,その分野の専門家として,きちんと自分で法制調査を尽くさなければならないという問題がある。

このツールキットには,その他いろいろと重大かつ致命的な問題点があるが,まあここらへんでやめておくことにする。

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マイクロソフトのBingがGoogleとYahooに打ち勝つ

ある調査結果によると,マイクロソフトのBingのシェアはGoogleとYahooに打ち勝ったということだ。それが事実なのかどうか,そして,仮に事実であるとして,どうしてそういうことになったのかについて,興味が沸いてきた。

 Microsoft makes gains with Bing, clashes with Google
 Yahoo (AFP): Jun 17, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/nm/20090617/tc_nm/us_usa_summit_microsoft

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米国:携帯電話とケーブルTVの利用者が減少し,ブロードバンドに移行か?

米国での調査結果によると,携帯電話やケーブルTVの利用者が減少し,ブロードバンドの利用者が急増しているという。一時的な現象かどうかはわからないが,恒常的な現象であるとすれば,日本でも同様のことが起きる可能性はある。

 US broadband usage rises sharply
 BBC: 17 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8105726.stm

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ミクシを悪用したネット詐欺

電子掲示板に虚偽内容の書き込みをし,その内容を信じた被害者から代金や物品を騙し取るというタイプの詐欺事犯は,いまや古典的手法の一つだと言って良い。対面の場合には,五感の作用によって相手を評価・判断できるのに対し,電子掲示板等の場合には書き込み内容という文字情報や写真情報などの視覚情報しか存在しないため,判断材料が乏しく,そこにこの種の詐欺が成立する一つの要因がある。報道によれば,日本のSNSであるミクシでもこの種の詐欺事犯が発生したようだ。

 ミクシィ悪用しチケット代詐欺、容疑の24歳男を逮捕
 Yomiuri Online: 2009年6月17日
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090617-OYT1T00851.htm

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EU:サイバー犯罪に対する罰則強化へ

EU政府は,サイバー犯罪に対する刑罰(法定刑)を重くし,処罰を強化する方向に動いている模様だ。下記の記事が出ている。

 Europe looks to step up fight against cybercrime
 TechWorld: 11/06/2009
 http://www.techworld.com.au/article/307003/europe_looks_step_up_fight_against_cybercrime

 ISACA commends EC plans for tougher cybercrime legislation
 Help Net Security: 16 June 2009
 http://www.net-security.org/secworld.php?id=7631

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クラウドコンピューティングは情報セキュリティの基本原則に反する可能性がある

クラウドコンピューティングの問題性については何度も触れてきた。最近,この問題を扱うWeb上の記事が増えてきたので,ようやく世界規模で関心が高まってきたということなのかもしれない。

様々な観点からの議論が存在するが,情報セキュリティ上の問題点を指摘するものも少なくない。情報セキュリティの基本原則であるCIAの中のC(Confidentiality 機密性)に関して問題があるということを指摘する記事を見つけた。

 Into the Cloud we go. have we thought about the security issues?
 NCC: 17 June, 2009
 http://www.nccmembership.co.uk/pooled/articles/BF_WEBART/view.asp?Q=BF_WEBART_313071

この記事に書いてあるのと同じような内容のことは既にこのブログの中でも書いたことがある。クラウドコンピューティングでは避けて通ることのできない問題だろうと思う。より根本的には,仮にユーザがISMSの認証を受けていたとしても,クラウドコンピューティングのりようを始めたとたんに,ユーザー自身が管理主体として情報セキュリティのマネジメントを実施することが不可能となるだけではなく,監査をすることも不可能となってしまうので,原則としてISMSの認証を取り消さなければならないという結論にならざるを得ない。同様の理由で,クラウドコンピューティングを利用する企業等については,不正競争防止法の定める営業秘密の管理が適正でないという推定を与えることになるだろうと思う。何しろ,クラウドコンピューティングサービスの提供・運営主体は,ユーザである企業等ではなく,当該クラウドコンピューティングサービスのプロバイダなのだから。これは,論理必然的なことであり,屁理屈以外の反論が成立する余地はない。


[関連記事]

 利便性に潜む落とし穴:クラウド事業者に聞くべき15の質問――MS幹部がセキュリティ課題を指摘
 IT Media: 2009年6月16日
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090616-00000007-zdn_ep-sci


[追記:2009年7月6日]

関連記事を追加する。

 Forrester: A Close Look At Cloud Computing Security Issues
 CSO Data Protection: July 01, 2009
 http://www.csoonline.com/article/496388/Forrester_A_Close_Look_At_Cloud_Computing_Security_Issues

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中国政府がインストールを義務付けたフィルタリングソフトに脆弱性

中国政府は,青少年を守るためという理由でフィルタリングソフトのインストールを義務付けている。ところが,このフィルタリングソフトに脆弱性があり,PCのコントロールを奪われてしまう危険性があるということが判明したようだ。

 中国政府指定の検閲ソフトにセキュリティ脆弱性--米大学研究チームが警告
 CNET: 2009/06/15
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20394933,00.htm

 China's computers at hacking risk
 BBC: 10 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8094026.stm

中国政府は,監視を強化するためにこのソフトのインストールを強制しているのだろうと思う。しかし,ソフトをインストールしたPCが,その脆弱性のゆえに,中国政府にとって好ましくない人々に支配されるようになってしまったとしたら,笑うに笑えない笑い話になってしまうことだろう。

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総務省:IPネットワーク設備委員会報告(案)に対するパブリックコメントの募集

総務省のサイトで,下記のパブリックコメントの募集が開始されている。期限は2009年7月17日とのこと。

 IPネットワーク設備委員会報告(案)に対する意見募集
 ~電気通信事故等に関する事項~
 総務省:平成21年6月17日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban05_000020.html

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2009年6月17日 (水曜日)

教育システム情報学会2009年度第2回研究会:e-Learningの実践と学習支援システム

下記の学会が開催される。

 2009年度第2回研究会2009年度第2回研究会
 テーマ:e-Learningの実践と学習支援システム
 日 時:2009年7月4日(土)午前9時〜午後5時55分
 場 所:北海道大学情報教育館3Fスタジオ型多目的中会議室
 http://www.jsise.org/studygroupcommittee/2009/2009-02pro.html

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クラウドコンピューティングのリスク

クラウドコンピューティングについては,昨年,Gartnerが詳細な調査レポート上で様々な問題の存在を指摘しているのをはじめ,私を含めて数多くの専門家が厳しい指摘をしてきた。指摘されているリスクには,様々なタイプのリスクが含まれるが,証拠法上のリスクもある。とりわけ,e-Discoveryとの関係では深刻が問題が発生することが100パーセント確実だ。

 Three cloud computing risks to consider
 Search Security.com: Jun 4, 2009
 http://searchsecurity.techtarget.com/magazineFeature/0,296894,sid14_gci1357850,00.html

 Crypto pioneers differ on cloud-computing risks
 CNET: April 21, 2009
 http://news.cnet.com/8301-1009_3-10224190-83.html

 Cloud Computing Poses E-Discovery, Legal Risks
 Internet.com: April 10, 2009
 http://www.enterprisestorageforum.com/continuity/news/article.php/3814821

 Gartner: Seven cloud-computing security risks
 Infoworld: July 02, 2008
 http://www.infoworld.com/d/security-central/gartner-seven-cloud-computing-security-risks-853

そうした問題の発生を避けるためには,現時点では,クラウドコンピューティングの利用を回避することしか選択肢がないかないかもしれない。

もちろん,問題を解決するための技術的な解決策は幾つかあり得る。しかし,私が想定している限りでは,もしクラウドコンピュータに効果的な技術的解決策を導入するとすれば,それは既に「クラウドコンピュータ」と呼ぶべきものではなくなっていることだろうと言いたい。

なお,同じような種類のリスクは,(当然のことながら)日本のデータセンター等の多くにも存在する。しかし,私が調査した限りでは,日本における問題状況に関して,まともな調査・検討結果を示すような資料や報告書は一つも見つけられなかった(形式的には各種報告書が存在するけれども,無内容のものまたは詐欺的なものまたはWeb上の記事をパクってつぎはぎしたものばかりで,読むに耐えなかった。)。問題の本質を洞察し,技術的問題についてもきちんと理解できる法律家がほとんどおらず,かたや詐欺的な自称「シンクタンク」や自称「コンサルタント」等が依然として幅を利かせているという日本国の現状では,やむを得ない結果なのかもしれないのだが・・・

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米国:10週間の集中取締りの結果,サイバー犯罪者77人が逮捕される

フロリダ州では,10週間にわたる集中的な取締り・捜査の結果,児童ポルノ犯罪などの罪により77人の男性が逮捕されたらしい。

 STATEWIDE OPERATION NETS 77 CYBERCRIME ARRESTS
 Gazette: 2009-06-16
 http://www.srpressgazette.com/news/governor-7412-enforcement-walsh.html

フロリダ州の総人口は日本国の約10分の1だから,日本で同じような集中取締りを実施すれば,単純計算で700人以上を逮捕できることになりそうだ。この計算はあまりにも単純過ぎるので,その半分以下とみても300人逮捕は硬いと推計できる。しかし,現実に逮捕されている者の数は問題にならないくらい少ない。このようなことでは,日本の警察の能力がフロリダ州の警察よりも劣っているか,または,公務員として職務を遂行する気が全然ないのかのいずれかだろうと批判されても仕方がないのではないかと思う。日本の警察は,もっとしっかりやってほしい。

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IPA:セキュリティ&プログラミングキャンプ2009

IPA(運営:セキュリティ&プログラミングキャンプ・コンソーシアム(財団法人 日本情報処理開発協会(JIPDEC),NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA))は,22歳以下の学生・生徒を対象に,「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009を開催する。詳細は,下記のとおり。

 「セキュリティ&プログラミングキャンプ2009」の開催について
 IPA: 2009年6月15日
 http://www.ipa.go.jp/about/press/20090615-3.html

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Yahoo Japanを装ったフィッシングサイト

Yahoo Japanのサイトを装い,個人情報などを奪おうとするフィッシングサイトがあるようだ。下記の記事が出ていた。

 Yahoo! JAPANかたるフィッシングに注意、偽サイトは現在も稼働中
 Internet Watch: 2009/6/16
 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20090616_294278.html

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2009年6月16日 (火曜日)

総務省:IPネットワーク設備委員会報告(案)に対するパブリックコメントの募集

総務省のサイトで,下記のパブリックコメントの募集が開始されている。2009年7月15日限りとのこと。

 IPネットワーク設備委員会報告(案)に対する意見募集
 -IP電話端末等に関する技術的条件-
 総務省:平成21年6月15日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban05_000019.html

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米国:ロシア及び中国からのサイバー攻撃能力向上に対する対抗策

下記の記事が出ている。

 中国、ロシアのサイバー攻撃能力に警鐘 米軍内に専門組織立ち上げ
 産経ニュース: 2009.6.16
 http://sankei.jp.msn.com/world/china/090616/chn0906161106002-n1.htm

このブログでも何回か書いたし,明治大学法科大学院における「サイバー法」の授業の中では常に強調していることの一つなのだが,情報セキュリティの世界は,新たな次元に入ってしまっている。攻撃元が国家とは無関係な個人または組織である場合と,攻撃元が国またはその機関である場合とでは,全く異なる政治的判断と対応が求められるのだ。

現在の情報セキュリティの理論,教育及びその実務は,このような前提では組み立てられていない。情報セキュリティ教育に限定して言うとすれば,教育システムの総入れ替えが必要になっているかもしれない。少なくとも,これまでの教育方法だけでは必要なことの半分以下のことしか教えていないことになるだろう。

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米国:中国のファイルタリングソフト強制に対し訴訟の気配

中国政府は,青少年を有害サイトから守るためという理由で,7月1日以降に中国内で販売されるすべてのPCについて,特定のフィルタリングソフトをインストールすることを義務付けた。このような中国政府の政策に対しては国際的な批判がある。米国では,訴訟が提起されそうな気配だ。

 US PC makers in 'stolen code' row
 BBC: 15 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8101978.stm

なお,中国政府が強制するフィルタリングソフトウェアがどのような機能を有するものであるのか,中国政府によってリモートで操作可能なタイプのものなのかは明確でない部分がある。しかし,もし中国政府によってリモートで操作可能なものである場合,中国で製造され,中国以外の国(日本を含む。)に輸出されるPCにはこのソフトウェアが既にインストールされている可能性があり,それはそれで別の問題を発生させるかもしれない。完成品及び部品の輸出入を扱う企業は,中国からPCやその部品を輸入する場合には,問題となっているソフトウェアを含め,中国からリモートで操作可能なソフトウェアやファームウェア,あるいは,中国政府にとって都合の悪いサイトへのアクセスを抑制する機能を有するソフトウェアやファームウェアなどが製造段階で既に組み込まれていないかどうかについて,慎重かつ徹底的に点検をすべき注意義務及びもしそのようなものが発見された場合には速やかに除去すべき注意義務があると考える。

ちなみに,中国政府は,問題となっているフィルタリングソフトウェアだけではなく,インターネット上のありとあらゆる部分に対して監視を強化している。このことは「中国:無線通信会社が共同して,スパムメールをフィルタリング」でも書いたとおりだ。問題となっているフィルタリングソフトウェアだけにとらわれてはいけない。

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YouTubeにも商業宣伝広告オプション

Googleは,YouTubeに商業宣伝広告のオプションを追加するための実験を開始したようだ。

 YouTube testing video ad viewing options
 Yahoo (AFP): Jun 15, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/afp/20090615/tc_afp/usitinternetadvertisecompanyyoutube

ところで,一般に,ネットで商業宣伝広告をしたり,それによって利益をあげたりすることについては,ビジネスモデルとしてはよく理解しているつもりだ。しかし,少なくとも素人が何も努力しないで利益をあげるのは無理で,自分自身が広告代理店になって代理店収入をあげることに全力を注ぐくらいのつもりがないと駄目だ。

おそらく,現実に一定の利益をあげているのは,例えば,アフェリエイトに限定して言うと,アフェリエイトの管理サイトを運営する企業やそれと関連するコンサルタントだけなのではないかと推定している。なお,個人で大きな利益をあげたと自称する者の中に,いわゆる「サクラ」が多数混じっているという噂があるが,その噂の真偽のほどは判らない。

ともあれ,ネット上の商業宣伝という簡単なモデルによって「素人でも利益をあげることができる」という誤解を与えるものであるとすれば,それが欺瞞的な表示として関連業法違反行為になるだろうという結論を得つつある。

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Virginの新しいビジネスモデル

音楽ファイルのファイルシェアリングは,音楽産業にとっては非常に頭の痛い問題の一つだ。P2Pサイトを含め,フリーのサイトでファイルがシェアされてしまうと,課金のしようがなくなってしまう。だから,神経を尖らせることになる。

ヴァージンは,ヴァージンのブロードバンド利用者に対し,月額の固定料金を支払えば,いくらでも自由にダウンロードできるというサービスの提供を始めたようだ。このような月額固定料金というモデルは,それ自体としては目新しいビジネスモデルであるとは言えない。しかし,音楽産業がそれを採用したということに注目すべきだろう。

 Anti-piracy music deal for Virgin
 BBC: 15 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8100394.stm

ちなみに,様々な文書を読んでいると,ファイルシェアによって失われたと推定される逸失利益の額について,かなり過大な推計をしているものが多いように思う。それでなくても,音楽や映画などのコンテンツそのものに対する需要が基本的に激減しており,市場全体が急激に規模縮小しているはずなので,推計の基礎が間違っているのだ。最も愚かなものでは,音楽の愛好家が24時間音楽を聴取し続けることを前提にしても成立しそうにない数値をあげているものがあった。そんなことは絶対にあり得ない。全人口の中のせいぜい数パーセントの人が一日1時間くらい聴取するということ,そして,普段は既に購入したCDやLPを聴取したりテレビやラジオの放送を聴取したりするのが一般的なので,新たにお金を払って購入するCDやDVDの数は最初からかなり少ないということを前提にするのであれば,そのような前提で推計された数字を信じても良い。

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2009年6月15日 (月曜日)

児童ポルノの収集・投稿で保育園長が逮捕

児童ポルノを交換する目的で児童ポルノを収集・投稿していた保育園長が逮捕された模様だ。「英国:保育所に勤務する39歳の女性が小児を撮影した児童ポルノ罪で逮捕」で書いたように,日本でも類似事件が潜在的には多数存在しているのではないかと疑いたくなる。

 保育園園長が児童ポルノ収集=携帯に投稿で逮捕-神奈川県警
 時事通信: 2009/06/15
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009061500305

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クレジットカードのセキュリティ基準の低さが犯罪を誘発している?

日本のクレジットカードの安全性を確保するための基準が世界的にみて低いものであることはよく知られている。しかし,最も高いレベルにあると思われている米国でも,セキュリティのレベルが低いことが犯罪を誘発しているという批判があるようだ。

 AP IMPACT: Weak security enables credit card hacks
 Yahoo (AP): Jun 14, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/ap/20090615/ap_on_hi_te/us_tec_shoppers__gamble

どこまで行ってもキリのない問題なのかもしれない。しかし,だからと言って,脆弱なままで放置して良いということにはならない。

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中国:無線通信会社が共同して,スパムメールをフィルタリング

中国では,無線通信会社各社が共同して,スパムメールのフィルタリングを開始するようだ。もちろん,無線通信会社の大半は事実上の国有企業であるか,中国共産党または公安当局と密接な関係があると推定して良いから,中国内において携帯電話やモバイルPCなどを使用すると,基本的には全部モニターされているかもしれないという可能性を常に想定したほうが良さそうだ。

 Chinese Telecoms To Cooperate On Spam Messages
 China CSR: June 15, 2009
 http://www.chinacsr.com/en/2009/06/15/5462-chinese-telecoms-to-cooperate-on-spam-messages/

しかし,これではプライバシーはもちろんのこと,重要な企業秘密や国家機密などを守ることは不可能だ。

従って,例えば,中国内に事業所を置いている企業 は,どの通信内容も常に公安当局や通信会社等によってモニタされている可能性があるという意味で,日本国の不正競争防止法の適用上では「営業秘密」を適正 に管理していないと推定されてしまってもやむを得ないということになるかもしれない。


[このサイト内の関連記事]

 中国:電子商取引に対する政府による監視を強化か?
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-198f.html

 中国のフィルタリング政策に非難の嵐
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-906a.html

 中国:7月1日以降に中国国内で販売されるPCには特定のサイトをブロックするソフトウェアの装備が求められる
 http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/71-65e9.html

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クラウド・コンピューティングとオープンソース

クラウド・コンピューティングは必ずしも低コストではないし安全でもない。このことは既に常識のレベルに達しているだろうと理解している。また,事業継続性の観点からすると,システムのコンセプトそれ自体に非常に大きな脆弱性が内在されていることは既に何度も指摘したとおりだ。

では,どうしたらよいのか?

ある意見によれば,プロバイダとユーザーとがリスクを共有すべきだとしているのだが,これほど身勝手で無責任な意見はないと言える。もしそのようなポリシーを積極的に評価するとすれば,経営者としては失格というべきだろうし,もしそれで押し切ろうとするのであれば,欺瞞的な商売として違法行為となる可能性がある。賢い経営者であるならば,そのことを即座に見抜くことができるだろう。

他方で,オープンソースの活用を提唱する者もあるが,その未来はやはり「クラウディ」かもしれない。

下記の興味深い記事をみつけた。

 Cloud computing and open source face-off
 ZD Net: June 14th, 2009
 http://blogs.zdnet.com/Hinchcliffe/?p=543

 Cloud computing security to grow in 2009
 ZD Net: June 14th, 2009
 http://blogs.zdnet.com/Greenfield/?p=395

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米国:連邦政府のサイバーセキュリティ政策に関するGreg Garciaのインタビュー

米国連邦政策が「サイバーセキュリティ」のために大規模な予算を投じることになったことは既に何度か記事に書いた。この政策に関するインタビュー記事が出ていた。

 Greg Garcia: White House Staying the Cybersecurity Course
 ExecutiveBiz: June 12th, 2009
 http://blog.executivebiz.com/greg-garcia-white-house-staying-the-cybersecurity-course/2713

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2009年6月14日 (日曜日)

情報セキュリティ対プライバシー保護(Security vs. Privacy)

9.11以降,米国を含め,西側各国政府はテロリストに対する防衛のために何でもかんでもOKのようなオールマイティな状況になっていた。そのため,9.11の直前までは世界各国の国際会議などでも盛んにとりあげられていた「情報セキュリティ上の必要性とプライバシー保護とのバランスをどのようにしてとるか?」という議論はすこぶる低調なものとならざるを得ないような感じになってしまっていた。いわば,9.11の結果,世界中のプライバシーとその保護のための議論が根底から破壊されてしまったかのような感がある。

しかし,米国の大統領が交代し,少しはまともなことを議論できるような状況が生まれつつあるようになってきたような気がする。ブッシュ政権下では,テロリストに対抗するための情報セキュリティについて米国政府担当官が何かを語るときにはプライバシー保護についても触れることはまずなかったのだが,最近では,どうもそうではないようだ。下記の記事が出ていた。

 US grapples with how to retaliate in cyber attacks
 AP: Jun 2, 2009
 http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5gG3ZlgWgkjmKBbstJvW356aCZCLwD98IQCFG0


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オーストラリア:児童によるSextingをハラスメントの一種として排除の方向へ

児童が自分の裸体写真等を携帯電話を使ってやり取りする行為のことをセクスティング(Sexting)と呼ぶらしい。これは,携帯電話で文字を送信する行為のことを意味するテキスティング(texting)をもじってつくられた造語とのことだ。日本においてセクスティングがどれくらいあるのかは知らないが,世界各国では結構社会問題になっているようだ。

このセクスティングについて,児童ポルノに該当するかどうかがまず問題となるだろうと思われるが,該当しないという考えもある。

 セクスティングは現代の「お医者さんごっこ」、カナダの研究者
 AFP: 2009年05月27日
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2606062/4193694

児童ポルノに該当するかどうかは別として,ハラスメントという側面からの検討もなされている。その本人が写真を送信する場合であっても,他人が勝手に送信する場合であっても,確かにハラスメントという状況が発生することはあり得る。

日本の教育界においてこのことが議論されているのかどうかは全く知らない。児童ポルノ罪や強制わいせつ罪等で逮捕される教職員や警察官(←稀な例と思いたいが,裁判官や検察官が強制わいせつ罪等で逮捕された例もある。),自分の子供の裸体写真を撮影してネットで売りさばくような親などがあとをたたないという日本の嘆かわしい現状を考えると,(少なくともそのようなタイプの者にとっては)この問題についてまじめに検討するような雰囲気ではなくなってしまっているのかもしれないけれど,よく判らない。可能性の問題または予測としては,日本ではTV業界,マスコミ,アパレル業界などが女性の裸体を公衆の面前に晒すことについて非常に肯定的な態度をとり続けてきており,テレビコマーシャルの中には露出度が異状に高いものがあるし,ジーンズのデザインでは股上が短か過ぎるものしか売られていないという状況で,ファッション業界が女性に対して身体の一部を露出するように強制しているのではないかと疑いたくなるようなすこぶる嘆かわしい状況が続いている(←自分から進んで身体を露出したいと思う女性も存在するかもしれないが,現実には,そのようなファッションが良く似合う女性と全然似合わない女性とが一定割合で存在することは一応措くとしても,単に周囲に対して迷惑や嫌悪感をまきちらしているだけということが決して少なくないのではないかと疑いたくなることがある。)。このような状況の下においては,児童が自分の身体の全部または一部を外部に晒すことについての抵抗感がどんどん低下してしまうことは避けられないのではないかという仮説が一応成立するだろうと思われる。

しかし,そのどちらにしても,その写真の被写体となっている児童の将来にとってプラスとなることはあまりないだろうと思われる。

この問題に関して,オーストラリアの教育関係者は,「セクスティングはハラスメントの一種である」として,教育現場からそれを排除する方向へ動くことになったようだ。

 Schools move to prevent 'sexting'
 Daily Examiner: 11th June 2009
 http://www.dailyexaminer.com.au/story/2009/06/11/schools-move-to-prevent-sexting/

セクスティングは,事案によってはネット上の児童の安全(Net Safe)の問題とも関連してくる。児童の裸体写真が一般的に流通するようになれば,当然,暴力団などの犯罪者も資金源として目をつけることになってくるだろうと予測される。

日本でも実態調査を踏まえた上で,何らかの検討が必要になるかもしれない。

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FTCによる接続遮断措置に対するPricewert(3FN)の公式声明

Pricewert(=3FNまたはAPS Telecomという名を用いることもある。)がFTCによりインターネットへの接続を遮断されたことは,既に「FTCの要請に基づく裁判所の命令により,スパムやマルウェアなどを配信するサイトへの接続が遮断される」で書いた。

これに対し,3FNは,公式声明を公表しているらしい。下記の記事が出ていた。

 An Official Announcement Regarding 3FN.NET, Pricewert LLC  Shut Down Issue
 eMediaWire: June 10, 2009
 http://www.emediawire.com/releases/2009/6/prweb2509704.htm

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2009年6月13日 (土曜日)

World Library and Information Congress: 75th IFLA General Conference and Assembly

下記の会議が開催される。

  World Library and Information Congress: 75th IFLA General Conference and Assembly
 "Libraries create futures: Building on cultural heritage"
 23-27 August 2009
 Milan, Italy
 http://www.ifla.org/annual-conference/ifla75/

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Lex Informatica 2009: “Practical application of Cyberlaw in different environments”

下記の会議が開催される。

 Lex Informatica 2009: “Practical application of Cyberlaw in different environments”
 July 22-24
 Birchwood Conference Centre & Hotel
 Viewpoint Street, Bartlett, Boksburg, 1459
 Johannesburg, 0001, South Africa
 http://www.hg.org/legal-events.asp?action=page&pcomp=3115
 http://www.lex-informatica.org/

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ITスキル標準プロフェッショナルコミュニティフォーラム2009(IPCF2009)

下記の講演会が開催される。

 ITスキル標準プロフェッショナルコミュニティフォーラム2009(IPCF2009)
 日時:2009年7月3日(金)13:00~17:45
 場所:明治記念館(東京都港区元赤坂2-2-23)
 主催:IPA
 後援:経済産業省ほか
 http://www.ipa.go.jp/jinzai/itss/news/ipcf2009/index.html

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ドイツ:電話会社は就職を希望する者の私的な性生活をスパイしている?

ドイツテレコムなどの電話会社が,そこへの就職を希望する者について,性生活を含む私生活の情報をモニターしているという疑いが持ち上がっているようだ。もちろん,ドイツテレコムの担当者はその疑惑を否定している。真偽のほどは判らない。

 Deutsche Telecom investigating the sexual life of job applicants
 EDRI: 3 June 2009
 http://www.edri.org/edri-gram/number7.11/dt-spying-employees

このようなことができてしまうのは,まさに通信会社だからだ。通信会社以外の普通の企業が就職希望者の私生活に関する通信内容を傍受しようとすれば,通信会社全部と共謀しなければならないだろう。しかし,通信会社は,通信内容を常に知ることができる。知らなければ通信役務の提供をすることができない。通信役務を提供する通信会社が通信内容を知ることは通信役務の本質的内容となっているので,「知ってはならない」とすることは原理的に不可能だ。それゆえに,例えば日本の電気通信事業法では「秘密を守る義務」すなわち守秘義務を定めている。しかし,「電気通信を取扱い中に知った他人の秘密を無限定で社内利用しても守秘義務違反にはならない」と考える者が絶対にいないという保障は何もない。

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仕事中の電子メール送受信は高くつく

ビジネス上の会議や打ち合わせなどの仕事中に携帯電話を使ってこっそり電子メールのやりとりをするビジネスマンは決して少なくないだろうと思う。しかし,ある調査結果によれば,結局,仕事上のミスを誘発するなどして,仕事の能率を下げることになるし,全体として高いツケを支払わされることになるということだ。

 Bad text messaging, e-mailing manners can be costly
 REUTERS: Jun 11, 2009
 http://www.reuters.com/article/technologyNews/idUSTRE55A6XZ20090612

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Winny事件控訴審第2回公判

Winny事件の控訴審第2回公判で,証人尋問が行われた模様だ。

 Winny開発者の控訴審、検察側・弁護側双方が証人尋問
 Internet Watch: 2009/06/12
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/12/23768.html

まだまだ続きそうだ。

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著作権法改正法が可決される

著作権法改正法が可決された。改正された著作権法は,2010年に施行される。

 改正著作権法が成立、裁定緩和や検索サイトのキャッシュ生成など実現
 IT Pro: 2009年06月12日
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090612/331858/

 著作権法の一部を改正する法律案
 http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/171/meisai/m17103171054.htm

改正の内容は盛りだくさんなのだが,改正された条文を読んでみても,「何が改正になったのか」が判り難いものが圧倒的に多い。著作権法改正の経緯などの詳細を知っている人でないと,「何が改正されたのか」を即座に説明することは基本的に無理。おそらく,国会議員の中でもそれを理解できた人はごく少数だったのに違いない。この改正著作権法は,紛れもなく典型的な悪法の一つとして評価されることになるだろうと思う。

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Mac OSをターゲットにして,ポルノサイトから感染するトロイの木馬攻撃

Macユーザはコンピュータウイルスの被害を受けにくいという神話のようなものがある。しかし,神話だったらしい。ポルノサイトからポルノビデオなどを閲覧するためのモジュールをダウンロードすると感染するトロイの木馬が発見されたようだ。

 Experts warn of porn Mac attacks
 BBC: 12 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8096822.stm

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2009年6月12日 (金曜日)

携帯電話の通話履歴に基づいて超過勤務時間を認定した事例(大阪高裁平成20年10月30日判決・労働判例977号42頁)

判例地方自治誌に連載している労災関係の判例紹介の原稿を書くため調べていたら,面白い判決を見つけた。

事案は,国立病院の脳神経外科に勤務する看護師がくも膜下出血を発症させて死亡したという事案について,過重労働による公務災害であるか否かが争われたというものだ。

脳神経外科勤務というだけでかなりハードな仕事だろうということは容易に推測できると思うが,細かいところでは超過勤務の総時間がどれくらいだったのかも事実認定上重要な事項の一つとなっていた。

大阪高裁は,死亡した看護師が日常的に使用していた携帯電話の利用履歴に基づき,勤務時間を推定し,超過勤務の総時間を算定している。

携帯電話の通話履歴というと通常は犯罪捜査のための証拠として用いられることが多いかもしれないが,民事訴訟や行政訴訟においても証拠として機能することがあるということを示すとともに,その証拠としての評価の手法を理解する上でも貴重な事例の一つかもしれない。

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米国:電子投票システムのための技術標準が改訂

米国における電子投票システムの技術標準(2005 Voluntary Voting System Guidelines)が改訂される模様。2009年6月1日から120日間,パブリックコメントが募集される。

 120-Day Public Comment Period for VVSG 1.1 Begins Today
 United States Election Assistance Commission: 06/01/2009
 http://www.eac.gov/News/press/120-day-public-comment-period-for-vvsg-1-1-begins-today/base_view

 US issues revised e-voting standards
 Register: 3rd June 2009
 http://www.theregister.co.uk/2009/06/03/revised_evoting_standards/


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英国:政府によるテロリスト容疑者に対する監視は人権侵害?

下記の記事が出ている。非常に興味深い。

 U.K.: Secret Evidence Violates Human Rights, Law Lords Say
 Security Management: 06/11/2009
 http://www.securitymanagement.com/news/uk-secret-evidence-violates-human-rights-law-lords-say-005753

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中国:電子商取引に対する政府による監視を強化か?

人民網(People's Daily Online)は,電子商取引について監視を強化すべきだとの社説を出している。おそらく,中国政府の方針を示すものだろうと推測される。またまた議論を呼びそうだ。

 Online shopping requires effective supervision
 人民網(People's Daily Online): June 08, 2009
 http://english.people.com.cn/90001/90778/90857/90860/6674152.html

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中国のフィルタリング政策に非難の嵐

中国:7月1日以降に中国国内で販売されるPCには特定のサイトをブロックするソフトウェアの装備が求められる」の記事の中で紹介した中国政府の新フィルタリング政策に対し,非難が続いているようだ。

 China Faces Criticism Over New Software Censor
 New York Times: June 10, 2009
 http://www.nytimes.com/2009/06/11/world/asia/11censor.html

 China Internet Filtering Plan Spurs Backlash From Human Rights Groups
 Channel Web: June 11, 2009
 http://www.crn.com/software/217800834;jsessionid=POEB4V2GUI0LOQSNDLPSKH0CJUNN2JVN

さて,日本の場合には,どうなるのだろうか?

たぶん,何も起きない。

不思議と言えば不思議なことだ・・・と思う。


[追記:2009年6月13日]

関連記事を追加する。

 China Internet filter challenged in rights uproar
 Washington Post: June 11, 2009
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/06/11/AR2009061100148.html

 OpenNet Initiative releases "China’s Green Dam: The implications of government control encroaching on the home PC"
 Berkman Center: June 12, 2009
 http://cyber.law.harvard.edu/node/5443


[追記:2009年6月18日]

関連記事を追加する。

 China clarifies web filter plans
 BBC: 18 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8106526.stm


[追記:2009年6月22日]

関連記事を追加する。

 Internet boycott calls to mark China filter debut
 Yahoo (AP): Jun 22, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/nm/20090622/wr_nm/us_china_internet_censorship

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マイクロソフトは,欧州ではInternet ExplorerなしのWindows 7を販売する見込み。

下記の記事が出ている。欧州で独占禁止法違反として扱われることを避けるための措置だろうと思われる。日本の公正取引委員会は何もしないのだろうか?

 Microsoft removes Internet Explorer from European Windows 7
 Seattle Times: June 12, 2009
 http://seattletimes.nwsource.com/html/businesstechnology/2009330100_windowseuro12.html


[追記:2009年6月13日]

関連記事を追加する。

 No IE onboard Windows 7 in Europe
 BBC: 12 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8096701.stm

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総務省:情報通信審議会情報通信政策部会インターネット基盤委員会(第16回)

総務省のサイトで,この4月に開催された情報通信審議会情報通信政策部会インターネット基盤委員会(第16回)の議事要旨及び報告書案等の配布資料が公表されている。

 情報通信審議会 情報通信政策部会 インターネット基盤委員会(第16回)議事概要
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/denki_bukai/14499_08.html

 情報通信政策部会 インターネット基盤委員会 (第16回) 配付資料
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/joho_bukai/14499_03.html

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フィリピンのサイバー犯罪禁止法案

フィリピンでは,サイバー犯罪禁止法(Anti-Cyber Crime Act of 2008)という法案が提案されている。現在まだ委員会審議の段階にあり,可決には至っていない。

 ANTI-CYBER CRIME ACT OF 2008
 http://www.senate.gov.ph/lis/bill_res.aspx?congress=14&q=SBN-2347

ところが,フィリピンの女性団体は,女性に対する性的いやがらせなどの撲滅のため,この法案の可決を促進させるべく運動しているという報道があった。

 Women groups in Philippines fight to expedite passage of anti-cyber crime bill
 channelnewsasia.com: 10 June 2009
 http://www.channelnewsasia.com/stories/southeastasia/view/434894/1/.html

日本でもこの報道に見られるようなビデオ映像などがビデオサイトなどで配信されてしまうことがしばしばあり,事案によっては名誉毀損罪を構成するような悪質な事例もある。

さて,フィリピンの「サイバー犯罪禁止法」は可決までたどりつくことができるだろうか?

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異なるサイトで同一のIDやパスワードを用いる利用者が大多数との調査結果

インターネット上のウェブサイトなどでは,IDとパスワードの入力を求めるところがある。それもかなり多数ある。理想的には,全て異なるIDとパスワードにしてしまったほうが良いことは誰でも理解できることだ。しかし,実行容易なことと困難なこととがある。異なるIDやパスワードを多数記憶しておくという仕事は,あまり人間向きの仕事ではない。ここにIDとパスワードという手法の原理的な限界がある。

 9割以上がID・パスワードを複数サイトで併用、野村総研調べ
 Internet Watch: 2009/06/11
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/11/23760.html

そこで,そろそろ別の方法も考えてみるべき時代になったのではないだろうか?

例えば,USBコネクタに差し込んで使う機械式のID識別装置(ドングルのようなもの)といったような非常に古典的な手法が意外と便利かもしれない。この装置には,利用者が自分でパスワードを記録しておき,サイト側では装置のメモリに記録されているパスワードとその装置のチップに付されている固有のシリアルナンバーとを確認するような仕組みにしておけば,仮にパスワードが盗まれてしまったとしても,その装置を持っていなければログオンできないわけなので,パスワード方式の欠点を補うことができそうだ。

当然,そのような装置が普及すると,装置の盗難事故や不正な貸し借りなども起きるだろう。それはそれで対応策を考えればよい。なにしろ,普通のパスワード方式が主流となっている現在だって,ボット,スパイウェア,フィッシングなどによってパスワードが盛んに盗まれているわけだし,パスワードの不正な貸し借りだって結構たくさんあるのじゃないかと思っている。

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2009年6月11日 (木曜日)

Cyber Fraud: Tactics, Techniques and Procedures

アマゾンに注文していたCyber Fraudという新刊書が届いたので,早速読んでみた。とても面白い。

 Kellie Bryan, James Graham, Rick Howard, Ralph Thomas, Steve Winterfeld
 Cyber Fraud: Tactics, Techniques and Procedures
 Auerbach Pub. (2009/4/23)
 ISBN-13 978-1420091274

日本にも類書がないわけではないが,どうしても技術面に偏りすぎたり(←論者が自然科学系の者であるためと思われる。),妙な文化論でおしまいになってしまっていたり(←論者が法律家ではないためと思われる。),刑法解釈論としてはどうしても納得できないものであったり(←おそらく,論者自身がインターネットやそれを構成する技術について無知のためと思われる。),あるいは,単なるジャーナリズムに過ぎないものであったりという具合で,満足できる書籍が滅多にない。

今回読んでみたCyber Fraudは,米国の法制を念頭に置いているものなので,米国連邦及び各州のComputer fraudの罪について正確な認識・理解をもたず,日本国の刑法に関する理解だけを前提に読むとミスリードしてしまうかもしれないという危険性はあるが,そういう部分があるということを考慮しても,それでもなお面白い。

法科大学院のサイバー法の授業で学生に紹介できる参考書が1冊増えた。

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IPA: 「情報システム等の脆弱性情報の取扱いに関する研究会」報告書などを公開

IPAのサイトで,下記の報告書等が公開されている。

 「ウェブサイト構築事業者のための脆弱性対応ガイド」などを公開
 IPA: 2009年6月8日
 http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/vuln_handling/index.html

 「情報システム等の脆弱性情報の取扱いに関する研究会」2008年度報告書 本編
 http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/vuln_handling/0_honpen.pdf

 ウェブサイト構築事業者のための脆弱性対応ガイド
 http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/vuln_sier_guide.pdf

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総務省:「ICTビジョン懇談会報告書-スマート・ユビキタスネット社会実現戦略-」の公表

総務省のサイトで,下記の報告書が公表されているのをうっかり見落としていた。

 「ICTビジョン懇談会報告書-スマート・ユビキタスネット社会実現戦略-」の公表
 総務省:平成21年6月5日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin01_000017.html

「ユビキタス」の本質とその問題性については既に何度も述べてきたので繰り返さない。

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IPA:「IC旅券用プロテクションプロファイル」に関する調査報告書

IPAのサイトで,下記の報告書が公開されている。

 「IC旅券用プロテクションプロファイル」に関する調査報告書
 IPA: 2009年6月8日
 http://www.ipa.go.jp/security/fy20/reports/epassport/index.html

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カナダ:スパム対策法が強化される見込み

スパムメールは,単に「迷惑だ」というだけではなく,それが経済活動全体に与える重大な悪影響及び経済的損失の大きさが世界各国に認識され始めている。カナダにおいても,スパム対応法制を強化する動きがあるようだ。

 Clement urges committee to delete spam quickly
 Calgary Herald: June 9, 2009
 http://www.calgaryherald.com/Technology/Clement+urges+committee+delete+spam+quickly/1679228/story.html

ちなみに,日本国における関連法制は(最近の法改正を踏まえてもなお)不十分なままだ。私は,基本的に,「電子メールを用いた商業宣伝広告行為は,受信者の事前の同意がない限り,一切違法行為として処罰対象にすべきだ」ということを常に主張してきた。つまり,受信者の事前の同意がない限り,電子メールを用いた商業活動をしてはならないと考える。

また,これまで私は,最初から詐欺の手段として電子メールを送信する行為の場合には,その電子メールの送信行為は商業活動ではないので,商業行為であることを前提とする通常の迷惑メール対応のための法律の適用対象とはならないということを述べてきた。それは,詐欺行為の一部として明確に理解しなければならないと考える。したがって,詐欺の手段としての電子メール送信に冠しては,別途,詐欺罪(未遂罪及び準備罪)としての摘発を強化できるような方策を考えなければならない。同様に,商業活動としてではなく,恐喝,脅迫,名誉毀損,業務妨害などの目的で電子メール送信がなされる場合,それらの行為は,それぞれの犯罪の実行行為の一部であるか,または,そのための準備行為の一部を構成するものと理解すべきであり,通常の迷惑メール対応の枠外のものだと考える。このような明確な犯罪行為の手段として電子メールが用いられる場合については,明らかに警察マターなのであって情報通信政策及び情報産業政策上の問題ではないということを明確に認識し,そのような前提で法制整備が推進されるべきだろう。

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米国:連邦政府が,オンラインポーカーのための資金移動を凍結する命令

米国では,違法なオンライン賭博による金銭の移動のために銀行口座などを利用することを禁止する法律が2006年に制定されているが,これまで実効性のある運用がなされたことがなかったため,事実上,オンラインポーカーなどのネット賭博が自由になされているような状況にあった。ところが,最近,ネット賭博と関連する銀行の資金移動を凍結する命令がいくつか出された。違法なネット賭博に対して,連邦政府が強い姿勢を示し始めたことになると思われる。

 Feds Freeze Accounts Holding Online Poker Winnings
 Electronic Commerce Times: 06/10/2009
 http://www.ecommercetimes.com/story/Feds-Freeze-Accounts-Holding-Online-Poker-Winnings-67299.html

おそらく,日本でも米国と同じような違法なネット賭博が存在しているだろうと推測される。それを摘発することは容易ではないだろうと思われるが,ネット賭博と関連する資金の移動を止めることはもっと難しいかもしれない。日本では,刑法中に「賭博罪」が存在しており,特別法によって合法化されている公営競馬などを除いては賭博行為全部が違法行為であって処罰対象とされることから,逆に,賭博罪についてきちんと検討されたことがなかった。もし賭博罪という罪が存在しなければ,その制定のために様々な検討がなされたのだろうと思おうのだが,「法律条文が既に存在しているから」という理由で,あまりまじめな検討がなされてこなかったのだ。しかし,賭博罪の実行犯を処罰するだけでは駄目で,賭博に加担しても何の利益も得られない状況を作り出さない限り,違法な賭博がなくなることはない。なお,日本には「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が存在するが,この法律は,マネーロンダリングの阻止を目的とする法律であり,賭博利益の取得阻止という目的のために効果的に機能する法律であるわけではない。


[追記:2009年6月12日]

関連記事を追加する。

 EU Urges US To Drop Ban On Online Gambling
 Information Week: June 11, 2009
 http://www.informationweek.com/news/government/policy/showArticle.jhtml?articleID=217800779

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2009年6月10日 (水曜日)

無償で機器を配布するだけではインターネット利用が増加するわけではない

一般に,「情報格差」と呼ばれる現象があるとされており,この情報格差を解消しなければならないと考える人々が多数存在する。そして,国によっては,情報弱者とされる老人などに無償でPC等の機器が配布されることもある。しかし,それだけではインターネット利用が増加するわけではないという調査結果が発表されたようだ。

 Free broadband won't entice all
 BBC: 10 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8091398.stm

インターネットアクセスを含め,情報へのアクセスができることが「基本的人権」の一部だと考える人々にとっては,さらに頭の痛い問題が明るみになったことになる。

しかし,よく考え直してみなければならないこともある。

果たして,人は「情報にアクセスしなければならない」のだろうか?

私は,「デジタル情報化されない権利」こそが現代において最も重要な基本的人権のひとつだと主張し続けてきた。最近,やっと賛同者が現れ始めている。そして,この「デジタル情報化されない権利」と同様,「情報から離れている自由」もまた基本的人権のひとつだと主張することとしたい。

「情報格差」は悪いことだと考えることは自由だ。情報にアクセスしたいのに経済的理由でアクセスできない人々については,確かに「情報格差」は存在する。

しかし,だからといって,あたかも強迫神経症患者の如く「情報にアクセスしなければならない」という考えにとらわれてしまうことはもっと悪いことだと信じる。

すべからく人は「自由」を求める。そして,その自由の中には,「インターネットからの自由」も当然に含まれる。

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英国:保育所に勤務する39歳の女性が小児を撮影した児童ポルノ罪で逮捕

イギリスのLittle Ted's nurseryという保育所に勤務する39歳の女性が児童ポルノを作成、所持、配布した罪の容疑で逮捕されたようだ。あってはならないことだが、現実に事件は発生してしまった。

 Child porn probe woman in custody
 BBC: 9 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/devon/8092144.stm

保育所を信頼して自分の子供を預けている親の精神的ショックには計り知れないものがあるに違いない。

日本でも同種事案がないとは言えない。警察当局は、保育所、幼稚園、小児病院、小学校など児童を預かる施設がまさに犯罪の温床となり、児童ポルノの製造工場になってしまわないよう、警戒を強めるべきだと考える。


[追記:2009年6月11日]

日本では,母親が自分の娘(2歳)を被写体にして児童ポルノを製造したとして逮捕される事件があったようだ。世も末だ。

 児童ポルノ禁止法:2歳娘のわいせつ画像製造容疑で逮捕
 毎日jp: 2009年6月10日
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090610k0000e040042000c.html

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総務省:IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会(第4回)

総務省で「IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会(第4回)」が開催される。6月15日までに申込をすれば,一般の人も傍聴することができるようだ。

 IPv6によるインターネットの利用高度化に関する研究会(第4回)
 日時: 平成21年6月16日(火)10時00分~
 場所: 中央合同庁舎第2号館(総務省) 5階第4特別会議室
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6_internet/14542.html

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EU:インターネットアクセスは基本的人権の一種?

世界各国で,違法サイトへの接続遮断のための法制化が進められており,実際に遮断実例も増加しつつある。これは,主にスパムやボットなどを発信するためのサイトや著作権侵害のためのサイトなどの違法サイトに対してなされるものなのだが,このことに関して様々な議論が起きているようだ。

 Council Of Europe: Access To Internet Is A Fundamental Right
 Intellectual Property Watch: 8 June 2009
 http://www.ip-watch.org/weblog/2009/06/08/council-of-europe-access-to-internet-is-a-fundamental-right/

 French Minister Says HADOPI Law A 21st Century Reality
 Intellectual Property Watch: 10 June 2009
 http://www.ip-watch.org/weblog/2009/06/10/french-minister-says-hadopi-law-a-21st-century-reality/

フィルタは,サイトそれ自体を接続遮断したり消滅させたりするものではなく,サイトへのアクセスを管理するだけだが,特定のサイトがインターネットに接続できないようにしたり,特性のサイトそれ自体を消滅させるとなると,より大きな社会問題となることは当然のなりゆきだろう。しかし,インターネットが無法地帯であってよいはずはない。例えば,フランスの大臣は,「海賊行為はパラサイト経済だ」と言っているが,確かにそのような評価は可能であり,投資をした者が利益を回収することができない社会になれば,地球全体の経済がおかしくなってしまうことを避けることができない。その一方で,「インターネット上のコンテンツは無料で入手して使うものだ」と信じているような世代が世界中でどんどん増えてしまっているのも事実だと言える。ここらへんにこの問題の本質があるのではないかと思う。

今後,この関連の議論の動向をきちんと観察し続ける必要がある。


[追記:2009年6月12日]

関連記事を追加する。

 ネット接続遮断は人権侵害――仏憲法評議会、違法ダウンロード規制法で違憲判断
 Yomiuri Online: 2009年6月12日
 http://www.yomiuri.co.jp/net/news/cnet/20090612-OYT8T00677.htm

 HADOPI's had it: French overturn three-strike piracy law
 CNET uk: 11 June 2009
 http://crave.cnet.co.uk/software/0,39029471,49302595,00.htm

 Internet access is a fundamental human right, rules French court
 Daily Nail: 12th June 2009
 http://www.dailymail.co.uk/news/worldnews/article-1192359/Internet-access-fundamental-human-right-rules-French-court.html

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2009年6月 8日 (月曜日)

米国:空港での全身X線検査は中止になるか?

9.11以降,ホームランド・セキュリティの目的で,空港では旅行客の全身についてX線検査が実施されてきた。この検査装置を用いると,衣服を身につけていても裸同然の画像を得ることができるとされており,そのことがプライバシー保護団体などから強い批判を浴びてきた。ブッシュ政権が終り,オバマ政権となったいま,連邦下院では,このような検査を中止するための法案が可決されたらしい。

 米下院、空港検問での全身画像撮影を制限する法案を可決
 CNET Japan: 2009/06/08
 http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20394523,00.htm

私のような老人に近い中年オジサンであれば,その裸の画像に価値があるとは全く考えられないが,女性の場合は別だろうと思う。仮に検査官が特定の女性の画像に対して何らの興味・関心も抱かなかったとしても,そのような画像をモニタで確認できるということを当該女性が知ったならば,きっと憤慨するだろうと思う。

さて,日本の空港ではどうなっているのだろうか・・・?

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中国:7月1日以降に中国国内で販売されるPCには特定のサイトをブロックするソフトウェアの装備が求められる

中国政府は,2009年7月1日以降に国内で販売される全てのPCについて,特定のウェブサイトへのアクセスを遮断する機能を有するソフトウェアを装備するように要求しているらしい。その理由は,青少年を「危険なサイト」から守るためというのだが・・・

 China to require PCs with software to block sites: report
 REUTERS: Sun Jun 7, 2009
 http://www.reuters.com/article/technologyNews/idUSTRE5570DF20090608

[追記:2009年6月10日]

関連記事を追加する。

 China defends Web filter mandate amid Microsoft concerns
 Taipei Times: Jun 10, 2009
 http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2009/06/10/2003445809

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テレビ番組の放送について,著作権法77条の正当な利益を有する「第三者」に該当するかどうかが争われた事例(東京地裁平成20年(ワ)3036号損害賠償請求事件)

著作権法77条は,著作権の移転及び著作物への担保権設定について,登録をその対抗要件として定めている。

**********

第77条(著作権の登録)
 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
一  著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)又は処分の制限
二  著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限

**********

この第77条に定める「第三者」とは,民法上の不動産物権変動における対抗要件の「第三者」と同様,およそ全ての第三者ではなく,対抗要件欠缺を主張する「正当な利益」を有する第三者であると解されている。

この対抗要件の「正当な利益」の有無が争われた事例がどれだけあるのかの詳細については知らないが,東京地裁において,まさにこの点が争点となった事例についての判決がなされた。

 東京地裁平成21年04月30日判決(平成20年(ワ)3036号損害賠償請求事件)
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090511103346.pdf

この事件は,中国の法人である北京華録百納影視有限公司(北京華録)及び世紀英雄電影投資有限公司によって共同で撮影制作された映画の著作物であり,北京華録が単独で著作権を有するTVドラマが放映されたところ,このTV番組のCSデジタル放送としての放映は北京華録の許諾に基づくものではなく,公衆送信権の侵害に該当するとして,TV番組の著作権譲渡を受けたと主張する北京赤東文化伝播有限公司(原告)が,北京華録から日本国における放送権を譲渡する契約を締結して放送権(公衆送信権)を取得した湖南広播影視集団との間での契約に基づき放送権(公衆送信権)を取得したと主張する亜太メディアジャパン株式会社及び亜太メディアジャパン株式会社から業務委託を受けてCS放送を実施したスカパーに対し,損害賠償の支払いを求め,東京地方裁判所に訴えを提起したというものだ。

被告亜太メディアジャパン株式会社は,北京華録から原告に対する著作権譲渡については,著作権法77条に定める「登録」がないから,被告亜太メディアジャパン株式会社に対して著作権を有することを対抗できないと主張した。つまり,この主張のとおりであるとすれば,本件は,北京華録から著作権の二重譲渡を受けた原告と被告亜太メディアジャパン株式会社との間の争いであり,著作権法77条所定の対抗要件によって決すべき事案となり得る。

東京地方裁判所は,北京華録から原告へは本件TV番組の著作権が譲渡されていることを前提にした上で,本件TV番組の日本国における放送権(公衆送信権)に関しては,北京華録から著作権の譲渡を受けたとする湖南広播影視集団と被告亜太メディアジャパン株式会社との間の契約の解釈上では,被告亜太メディアジャパン株式会社に移転することはなく,著作権法77条の「第三者」に該当しないとの判断をした。ちなみに,この判決では,対抗要件欠缺の主張を「抗弁」として位置付けているが,おそらく「権利抗弁説」に立脚するものだろうと思われる。

この判決によれば,本件TV番組の日本国における放送権(公衆送信権)に関しては,原告と被告亜太メディアジャパン株式会社との間で二重譲渡の関係が成立しないことになり,したがって,著作権法77条所定の対抗要件によって決すべき問題とはならないことになる。

なお,被告スカパーに関しては,被告亜太メディアジャパン株式会社から送信されてくる信号を機械的にCSチャネルを通じて送信しただけであり,電気通信事業法上,コンテンツの内容を事前に検閲することが許されていないことから何ら過失はないとの理由で,原告から被告スカパーに対する損害賠償請求は請求棄却となっている。

本件は,著作権法77条の「第三者」の意義が直接に問題となっているという点で興味深い事例であるだけではなく,電気通信事業者の義務,公衆送信の意義など,よく考えてみると非常に多くの論点が含まれていると思われる。また,ビジネスという観点からしても,外国において著作権の二重譲渡がなされている場合を想定した対応を十分にしておかなければならないという意味で極めて深刻な警鐘を鳴らしている事案の一つなのではないかと思われる。したがって,本件は,今後様々な議論を呼ぶ判決になりそうな気がする。

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IBMがフィリピン政府を提訴

フィリピン政府が,IBMとは関係のない地元企業からIBM製ソフトウェアを購入したことにより損害を受けたとして,IBMは,フィリピン政府を被告として訴訟を提起した模様だ。

 IBM trades legal suits with Philippine govt agency
 Yahoo (AFP): Jun 5, 2009
 http://tech.yahoo.com/news/afp/20090605/tc_afp/philippinesitjusticeibm

日本政府(及びその機関)では,そういうことはないだろうと思うが・・・

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OCNのフィルタリングサービスに関する英語版プレスリリースに対する反応

OCNでは,キッズケアという個人ユーザ向けのフィルタリングサービスを提供している。

 キッズケア
 http://kidscare.ocn.ne.jp/

 NTTコム、子供のインターネット利用を管理できる「OCNキッズケア」を提供開始
 Trendy Net: 2009年05月29日
 http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20090529/1026606/

このサービスに関しては,英語版プレスリリースもある。

 New Service from OCN Provides Children with Safer Internet
 NTT Communications: May 28, 2009
 http://www.ntt.com/aboutus_e/news/data/20090528.html

 OCN provides children with safer Internet
 Japan Today: Monday 08th June
 http://www.japantoday.com/category/technology/view/ocn-provides-children-with-safer-internet

ここまでは比較的普通の話題。

ところが,別のことで調べものをしていたら,たまたま,この英語版プレスリリースに注目する人が海外にもいるようだ。あちこちの海外サイトにリンクがあることに気付いた。

一般に,英語版サイトや英語コンテンツを作成しても外国人に読まれることはないのではないかと思い込みがちだが,必ずしもそうではないという事例の一つということができるかもしれない。要するに,見栄えではなく,内容的にみて関心や好奇心を喚起するものを作成すれば,日本人や日本の企業が作成した英語文でも読まれる可能性が高まるということになるのだろう。

これまでのインターネット上のコンテンツ産業では,とかく「見栄え」や表面的な「面白さ」重視といったような傾向があったことは否定できない。しかし,厚化粧はもうやめにすべきだ。素顔のままでも,その内容で勝負をすべきだし,そうしなければ勝ち残ることのできない時代になったということができるかもしれない。

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2009年6月 7日 (日曜日)

不正アクセスにより入手した企業秘密を第三者に開示した行為について不正競争防止法違反で立件

不正アクセスにより入手した企業機密情報を第三者に開示した行為が不正競争防止法に違反するとして,宮城県警は,不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕していた者を不正競争防止法違反の容疑で再逮捕したらしい。全国発のケースとのこと。

 不正アクセス:不正競争防止法違反容疑で立件--全国初 /宮城
 毎日jp: 2009年6月4日
 http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20090604ddlk04040079000c.html

ところで,これまで何度も指摘してきたことなのだが,日本国の法制は,全体として,明治時代の「富国強兵」の枠組みから一歩も出ていない。企業や組織の利益を守るためであれば,不正競争防止法を含め様々な法令の適用が検討可能となっているのに対し,一般市民の機密情報が第三者に開示された場合などに加害者を処罰可能とするための法令はほとんどないのに等しい(単に秘密の情報が第三者に開示されたというだけでは足りず,名誉毀損などの他の法益侵害の発生を待たなければ加害者を処罰できないことが多い。例外は,個人の秘密情報それ自体が著作物となっており,その第三者に対する開示行為が複製権侵害等として著作権法違反となると解することが可能な場合だけだと言っても過言ではない。)。これでは,明らかにバランスを欠いている。

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特定の商標の周知性についてインターネット上のブログ記事の記載により事実認定をした事例

商標権関連の紛争に限らず,一般に,ある事柄が「周知されている」または「公知である」という事実を証明することは,必ずしも容易でない場合がある。「インターネット上で広く知られている」という主張をしたとしても,その証明手段がほとんどない。ある商標権関連の判決を読んでいたら,たまたまインターネット上のブログ記事の記載に基づいて事実認定をしている判決を見つけた。

 知的財産高等裁判所平成21年05月28日審決取消請求事件判決(平成20(行ケ)10439号)
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090528161150.pdf

一般に,ブログに書かれている記事が,どの時点で,誰によって書かれたものであり,当該訴訟等の提起の時点の前後で内容的に変動がないかどうかなどの点については一応措くとしても,ブログ記事の読者がどれだけ存在するのかを実際に証明することもまた必ずしも容易ではない。アクセスカウンタが付けられていても,そのブログ記事を掲載した者本人が何度もアクセスして閲覧すればカウンタの数字を膨らませることができるから,アクセスカウンタの数字はほとんど何の証明力ももっていないことがある。なかなか難しい問題だと思った。

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2009年6月 6日 (土曜日)

足利事件の元捜査幹部のブログが炎上し消滅

再審で無罪となることがほぼ確実となっている足利事件の捜査を担当した元警察幹部のブログに非難のコメントが殺到し,その結果,このブログが消滅してしまったらしい。

 「足利事件」捜査の元県警幹部ブログが炎上 「謝罪しろ」コメント殺到
 IT Media: 2009年06月05日
 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/05/news097.html

この炎上が発生した原因は,「捜査は適正だった」という趣旨のブログ記事が掲載されたことにあったようだ。このブログ記事に対する賛否はともかくとして,いわゆる「炎上」が生ずると,個人では対応しきれなくなってしまうことは当然のことだ。こういうことが続くと,普通の人であれば,(その意見が内容的にみて妥当であるかどうかは全く別として)自分の意見を正直に開陳することそれ自体が非常に難しくなってしまい,結果的に「言論の自由」が奪われてしまいかねない。もちろん,批判や反論の自由はある。しかし,大勢対一個人という図式の中で,適正に言論対言論による解決(対抗言論)が機能するかと問われれば,それは否だと考えるしかないのではないかと思う。

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Safer Internet Forum 2009

2009年10月22日にルクセンブルグでSafer Internet Forum 2009という会合が開催されるようだ。詳細は下記のとおり。

 Safer Internet Forum 2009
 http://ec.europa.eu/information_society/activities/sip/events/forum/forum_oct_2009/index_en.htm

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フランス:政府による通信傍受とそれに対する批判

フランスでは,犯罪の容疑者のPCに警察がスパイウェアをインストールし,または,スパイウエアをインストールしたUSBを装着することが認められているようなのだが,当然のことながら,批判がある。

 The French Government wants to spy on electronic communications
 EDRI: 3 June, 2009
 http://www.edri.org/edri-gram/number7.11/france-law-on-spying

日本国で警察が同じようなことをしようとする場合,現行の通信傍受法の法解釈だけでは対応できない部分があるのではないかと思う。

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マイクロソフトが批判を受けて動画検索エンジンの一部を修正

マイクロソフトは,動画検索エンジンがアダルトコンテンツを拾ってしまうことに対する批判を受け,その検索の仕組みを一部修正した模様だ。実際には,利用者の中には非常に多数のアダルトコンテンツの需要者が含まれていると推定されることから,今後,どういう具合になっていくのかを注目したい。

 MS、アダルト動画表示への批判を受けて「Bing」の検索フィルターを強化
 CNET Japan: 2009/06/05
 http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20394456,00.htm

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2009年6月 5日 (金曜日)

個人情報の紛失,盗難,流出事故

相変わらず多数の事件が報道されている。

 ダイエー、9万人分の会員アドレス一時閲覧可能に
 Nikkei Net: 2009年6月5日
 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090605AT1G0500R05062009.html

 個人情報:患者349人分を紛失 国立生育医療センター
 毎日jp: 2009年6月5日
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090605k0000e040060000c.html

 個人情報:小学教諭、メモリー紛失 児童のテスト結果入れる--会津若松 /福島
 毎日jp: 2009年6月5日
 http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20090605ddlk07040138000c.html

 愛南町情報流出で再委託先に913万賠償命令
 愛媛新聞社: 2009年06月05日
 http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20090605/news20090605567.html

 入試結果など個人情報含む資料が車上荒らし被害に - 川崎医療福祉大
 Security NEXT: 2009/06/04
 http://www.security-next.com/010588.html

 個人情報:押収資料を紛失 介護記録15人・8カ月分--県監査指導室 /大分
 毎日jp: 2009年6月4日
 http://mainichi.jp/area/oita/news/20090604ddlk44040532000c.html

 代理店で顧客リストが車上荒らし被害 - 富士火災
 Security NEXT: 2009/06/04
 http://www.security-next.com/010584.html

 KDDI、キャンペーンの案内メールでメールアドレスを流出--送信操作の不手際が原因
 CNET Japan: 2009/06/03
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20394271,00.htm

 個人情報:生徒の情報記載メモリー紛失--城東区の菫中学校 /大阪
 毎日jp: 2009年6月3日
 http://mainichi.jp/area/osaka/news/20090603ddlk27040442000c.html

 個人情報:エキストラ109人分のアドレスが流出--前橋市 /群馬
 毎日jp: 2009年6月3日
 http://mainichi.jp/area/gunma/news/20090603ddlk10040182000c.html

 行政苦情110番で個人情報流出
 産経関西: 2009年6月 2日
 http://www.sankei-kansai.com/2009/06/02/20090602-010556.php

 個人情報:高島屋、19人分の顧客情報を紛失--東京店
 毎日jp: 2009年6月2日
 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090602ddm012040096000c.html

 滞納額など記載した国民健康保険料催告書の誤送付など個人情報関連事故3件を公表 - 横浜市
 Security NEXT: 2009/06/01
 http://www.security-next.com/010561.html

 メーリングリストへ誤送信、返信で顧客情報がリストへ流出
 Security NEXT: 2009/05/29
 http://www.security-next.com/010556.html

 患者32人の個人情報を紛失 京都府立医大病院
 産経ニュース: 2009.5.28
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090528/crm0905282147044-n1.htm

 楽天、「個人情報をダウンロード販売」報道を否定
 Internet Watch: 2009/05/28
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/05/28/23591.html

 携帯紛失やメール誤送信など個人情報関連事故を公表 - 有楽土地子会社
 Security NEXT: 2009/05/27
 http://www.security-next.com/010531.html

 個人情報:容疑者の情報、職員が誤送信--法テラス三重 /三重
 毎日jp: 2009年5月27日
 http://mainichi.jp/area/mie/news/20090527ddlk24040228000c.html

 個人情報:飯塚のプロパンガス会社、顧客情報7948件流出 /福岡
 毎日jp: 2009年5月26日
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20090526ddlk40040450000c.html

 個人情報:戸籍届け出書紛失、盗難の可能性も 神山町長陳謝 /徳島
 毎日jp: 2009年5月26日
 http://mainichi.jp/area/tokushima/news/20090526ddlk36040797000c.html

 個人情報含む文書2910件流出 大牟田市消防署
 西日本新聞: 2009年5月26日
 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/98108

 県総務事務センター 職員の個人情報紛失 同市在住の974人分
 東京新聞: 2009年5月26日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20090526/CK2009052602000117.html

 個人情報:県の非常勤職員、建設業者2社の申請書を紛失 /福岡
 毎日jp: 2009年5月26日
 http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20090526ddlk40040423000c.html

 個人情報:中高制服123人分の注文伝票を紛失--高島屋横浜店 /神奈川
 毎日jp: 2009年5月23日
 http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090523ddlk14040302000c.html

 顧客の個人情報を別の顧客へ誤送付 - 住友信託銀行グループ会社
 Security NEXT: 2009/05/22
 http://www.security-next.com/010514.html

 個人情報ずさん管理 21機関で無断持ち出し 青森県
 河北新聞: 2009年05月22日
 http://www.kahoku.co.jp/news/2009/05/20090522t23025.htm

 慶応大教員が個人情報紛失、学生の成績評価も
 産経ニュース: 2009.5.22
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090522/crm0905221149022-n1.htm

 個人情報:県東播磨生活創造センター、登録者名など誤送信--メルマガ配信で /兵庫
 毎日jp: 2009年5月22日
 http://mainichi.jp/area/hyogo/news/20090522ddlk28040448000c.html

 個人情報:生徒の氏名入りパソコン盗難--多治見北高の教諭 /岐阜
 毎日jp: 2009年5月21日
 http://mainichi.jp/area/gifu/news/20090521ddlk21040030000c.html

 強風により個人情報記載した書類が飛散 - 仙台市
 Security NEXT: 2009/05/20
 http://www.security-next.com/010494.html

 トランスコスモス、2万6000件の個人情報入りUSBメモリーを一時紛失
 IT Pro: 2009/05/20
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090521/330381/

 窃盗:PC3台が盗難 個人情報記録も--横浜の障害者施設 /神奈川
 毎日jp: 2009年5月19日
 http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090519ddlk14040241000c.html

 熊本の児童自立支援施設で個人情報紛失
 日刊スポーツ: 2009年5月15日
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20090515-494689.html

 個人情報:100人分情報入りパソコン盗難 名大男性研究員、食事中に車から /愛知
 毎日jp: 2009年5月15日
 http://mainichi.jp/area/aichi/news/20090515ddlk23040252000c.html

 郵便物抜き取り個人情報入手 カード詐欺容疑男逮捕
 東京新聞: 2009年5月15日
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009051502000225.html

 個人情報:女性保育士の車から、園児9人の情報盗難--四日市市立内部保育園 /三重
 毎日jp: 2009年5月15日
 http://mainichi.jp/area/mie/news/20090515ddlk24040218000c.html

 個人情報:顧客6人分、ネット流出--大分信用金庫 /大分
 毎日jp: 2009年5月14日
 http://mainichi.jp/area/oita/news/20090514ddlk44040547000c.html

 個人情報:静岡市立中男性教諭、生徒108人分の情報入りUSBメモリー紛失 /静岡
 毎日jp: 2009年5月13日
 http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20090513ddlk22040218000c.html

 個人情報:4人分、野田市が漏えい 文書をメモ用紙に /千葉
 毎日jp: 2009年5月13日
 http://mainichi.jp/area/chiba/news/20090513ddlk12040235000c.html

 県職員会館で利用者の個人情報含むPC紛失、盗難の可能性 - 栃木県
 Security NEXT: 2009/05/12
 http://www.security-next.com/010437.html

 個人情報:507世帯分の住所記載シール紛失--東京ガス関連会社 /神奈川
 毎日jp: 2009年5月12日
 http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090512ddlk14040281000c.html

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英国:海賊版抑止の最終兵器は,警告と接続遮断

著作権のあるコンテンツの海賊版は数え切れないほど存在し,権利者は毎日のように怒りの声をあげている。ネットの技術を普及させ,ネット上で自由にコンテンツのやりとりをするのが当たり前という文化を醸成させてしまった以上,最初から予想された事態であるとはいえ,権利者にとっては我慢のならない状態にあることは言うまでもない。

とりわけ海賊版に対しては様々な法的対応が試みられてきたけれども,必ずしも成功しているとは言えない。BBCによれば,英国政府は,海賊版対策として,「警告と接続遮断」というアプローチを検討しているようだ。

 'Slow lane' for copyright thieves
 BBC: 4 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8083866.stm

このアプローチは,ISPによる帯域制限を含む技術的措置を中心的な内容とするもののようなのだが,確かに一定程度の効果を見込むことは可能だろう。しかし,電子技術の進歩によって,帯域制限をしても全く何らの抑制にもならないくらい超高速度で大容量の通信システムがいずれ登場するだろうから,このアプローチもまた,結局は,いずれ意味のないものとなっていくのではないかと思われる。

[追記:2009年6月10日]

関連記事を追加する。

 Pirates 'ignore' warning letters
 BBC: 10 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8091107.stm

いずれにせよ,今後,「国によるISPの管理」のようなことがどんどん進むことになるだろう。ISPの経営者は,少し先の未来をよく考えておく必要がある。

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総務省:ICTビジョン懇談会(第4回)議事要旨

総務省のサイトで,ICTビジョン懇談会(第4回)の議事要旨が公表されている。

 ICTビジョン懇談会(第4回)議事要旨
 総務省:平成21年6月4日
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/ict_vision/14218.html

ざっと目を通していたら,「「スマート・ユビキタスネット社会」は、これまで推進しきたユビキタスネット社会の実現を一歩先に進めて、知識・情報立国とユビキタスネット社会をつなぐためのものとして提起されていると認識している。しかしながら、これまでの取り組みによって、アクセスは遍在されたものの、利用成果は遍在していない。 ICTの利用機会の遍在性に加えて、利用成果の普遍性を実現することが大きな施策の目標と考えられるので、ユビキタスをユニバーサルの形で、その利用成果が遍在するような方向に施策全体を誘導する考え方が必要ではないか。」との発言要旨が記載されている部分があった。

利用環境がどんなに整備されても,利用実績が向上しないのは当然のことで,驚くには値しない。これを自動車の比喩で言うとすれば,時速300キロ以上の速度で走行可能なスポーツカーと専用のサーキットを国民に提供したとしても,実際に300キロ以上の速度で安全に走行させることのできる者は存在しないとは言わないが,滅多にいないはずだ。これは天賦の才能とでもいうべきもので,普通の人間の能力では無理。

インターネットの利用も全く同じなので,環境だけつくっても万人にとって利益となるような結果を生じさせることは絶対かつ永久にできない。

しかし,環境整備は進められるべきだろう。それは,ごく少数の者にとってのみ利益のあることなのだが,別にそれで構わないだろうと思う。もともと,万人にとって利益のある税金の使い方など最初から存在するはずがない。

ただし,その少数の者の利益のために大多数の者の何らかの利益が根こそぎにされてしまうのであれば,そのような利益配分が許されなくなってしまうことがある。

国としては,そのような意味での利益考量を大所高所から考えるのが本来の仕事というべきなのだろうと思う。

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FTCの要請に基づく裁判所の命令により,スパムやマルウェアなどを配信するサイトへの接続が遮断される

Pricewert(=3FNまたはAPS Telecomという名で登場することもあるらしい。)というISPがあり,そこでは,スパムメールの配信,フィッシュング詐欺,マルウェアや児童ポルノの配布などが実行されていたという。米国のFTCは裁判所に対して接続遮断命令を発布するように求め,裁判所の命令に基づいて接続遮断の措置がとられたようだ。

 FTC Shuts Down Notorious Rogue Internet Service Provider, 3FN Service Specializes in Hosting Spam-Spewing Botnets, Phishing Web sites, Child Pornography, and Other Illegal, Malicious Web Content
 FTC: 06/04/2009
 http://www.ftc.gov/opa/2009/06/3fn.shtm

 Suspected Malware/Spam/Child Porn Hub Taken Down
 dark READING: Jun 4, 2009
 http://www.darkreading.com/blog/archives/2009/06/suspected_malwa.html

日本国内にも主に犯罪行為を実行するために存在しているサイトがインターネット上にある。その多くは詐欺を実行するためのサイトなのだが,それ以外の犯罪のためのサイトもある。しかし,日本ではこうした法的な仕組みがきちんと整備されているとは言えない状況にあり,アドホックな対応をとらざるを得ないことが珍しくない。また,行政庁として行動する場合には何らかの行政処分が可能なことが全くないわけではないが,そうでない場合には,実際には何もできないことが非常に多い。

[追記:2009年6月10日]

関連記事を追加する。

 Report: Spam reduced following Pricewert shutdown
 CNET: June 9, 2009
 http://news.cnet.com/8301-1009_3-10260338-83.html

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児童ポルノ関連の摘発が続く

警察庁は,児童ポルノに対して厳しい姿勢を示しており,摘発強化の方針を明らかにしたばかりなのだが,このところ,現実に摘発が続いているようだ。児童ポルノのどこが面白いのか,私は少しも判らないけれど,世の中に需要者が存在する限り,警察の摘発が終わることはないだろう。ネット上のオークションサイトなどを利用した児童ポルノの販売が難しい状況になると,素人がこの種の犯罪に手を染める機会は減少するだろうと思われるが,おそらく暴力団などの犯罪組織による児童ポルノの販売が相対的に増加し,かつ,地下に潜って闇取引をするといった事例が増える結果,摘発の困難性が増すことになるだろうと推測される。

 児童ポルノ販売容疑で逮捕 ネットオークションでDVD販売
 産経ニュース:2009.6.4
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090604/crm0906041909028-n1.htm

 会社PCに中3女子の画像送信させる 容疑の男逮捕
 産経ニュース: 2009.6.2
 http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/090602/stm0906021938014-n1.htm

 児童ポルノDVD販売でサイト管理会社社長を書類送検 全国初
 産経ニュース:2009.6.1
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090601/crm0906010130001-n1.htm

 児童ポルノ:サイト開設・投稿ほう助、3容疑者逮捕--県警 /神奈川
 毎日jp: 2009年5月30日
 http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090530ddlk14040314000c.html

 児童ポルノDVD販売目的の3人を逮捕
 日刊スポーツ: 2009年5月20日
 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20090520-496672.html

 児童ポルノなど2万枚押収=わいせつDVD販売、男を逮捕-埼玉県警
 時事通信: 2009/05/12
 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200905/2009051200635

また,日本のアニメやコミックの中には,海外では児童ポルノとして評価される可能性のあるものが少なからず含まれている。一般に,ロリコン系のものではその危険性が相対的に高いといえるだろう。児童ポルノ撲滅のための国際協力が進むとすれば,「表現の自由」の限界との関連を含め,その分野でも様々な議論が生ずる可能性があり得る。加えて,性教育のあり方を含め,青少年が性情報を適正に取得しながら成長しなければ,生殖不能な者として成長してしまうか,あるいは,かえって歪んだ性的感性を強く持つ者として成長してしまう危険性がないとはいえない。「性」は人間の本能に根ざすものであり,生物としての「ヒト(ホモ・サピエンス)」が生殖し繁殖するために存在しているという側面を否定することは不可能なので,あまり「きれいごと」ばかり言っていると,人間社会それ自体が根底から崩壊してしまうという大きな危険性がある。私は,頭が悪いわけでもないのに「きれいごと」ばかり述べている者については,偽善者またはそれに類する者として評価することにしている。

 日本のマンガを集めていた米国人、児童ポルノ禁止法違反で有罪に
 WIRED: 2009年5月29日
 http://wiredvision.jp/news/200905/2009052923.html

 アマゾンが販売自粛 少女の過激水着DVD
 産経ニュース: 2009.5.18
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090518/crm0905180136001-n1.htm

 性暴力ゲーム、規制議論を
 Yomiuri Online: 2009年5月13日
 http://www.yomiuri.co.jp/net/security/s-news/20090513-OYT8T00357.htm

 セクスティングは現代の「お医者さんごっこ」、カナダの研究者
 AFP: 2009年05月27日
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2606062/4193694

 「児童ポルノ流通防止協議会」発足、ヤフーやグーグル、MSも参加
 Internet Watch: 2009/06/02
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/02/23642.html

 児童ポルノがネットの急成長ビジネスに、業界協同で対策を
 Internet Watch: 2009/06/02
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2009/06/02/23651.html

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RIAAは,ISPに対して著作権侵害摘発の戦列に加わるよう求めたが・・・

RIAA(Recording Industry Association of America)は,著作権のあるコンテンツの海賊版やファイルシェアリングなどに対して情け容赦のない訴訟を積み重ねてきた。その大半はRIAAの勝訴に終わっている。明確な著作権侵害行為に対しては,RIAAの行動は当然のことだと評価すべきだろう。問題は,ネット上の様々な新しいサービスや利用形態について,各国の著作権法や関連条約の法解釈上必ずしも著作権侵害となるかどうか明らかでない場合においても強引に訴訟を提起してきたことだろう。主要な批判の多くは,このような場合に関するものだと分類可能だ。そして,ネット上の新たな形態のサービス提供は,いうまでもなくISPによってなされることが多い。そのため,RIAAは,ISPに対してもRIAAの側にたって行動するように強く求めてきた。RIAAが望んでいるのは,裁判所から仮処分命令などの命令がない場合であっても,RIAAが望む場合にはサービス提供の停止などが直ちに行われるような状況を形成することだった。しかし,当然の結果とはいえ,必ずしもうまくいっているとは言えないようだ。下記の記事が出ていた。

 Six months later, no ISPs joining RIAA piracy fight
 CNET: June 3, 2009
 http://news.cnet.com/8301-1023_3-10256481-93.html


[関連記事]

 RIAA Says Lawsuits Against File-Sharers “Not About the Money”
Zeropint: 01 June 2009
 http://www.zeropaid.com/news/86340/riaa-says-lawsuits-against-file-sharers-not-about-the-money/

 Creative Commons fights for new copyright
 Japan Times: 02 June 2009
 http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nc20090603a1.html

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米国:ブッシュ政権下で捜査令状なしの通信傍受を実施した通信会社が訴訟に直面

ブッシュ政権下では,ホームランドセキュリティのためという名目で,ほぼ完全に無制限な通信傍受がなされ続けていたし,そのような行為に対する訴訟は事実上停止されてきたのだが,ここにきて少し風向きが違ってきたようだ。下記の記事が出ていた。

 U.S. court dismisses suits in warrantless wiretaps
 REUTERS: Wed Jun 3, 2009
 http://www.reuters.com/article/technologyNews/idUSTRE55308Q20090604

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2009年6月 4日 (木曜日)

安心・安全なインターネット環境整備に関する戦略対話 議長報告及び東京声明

2009年6月2日と3日の両日にわたり開催された「安心・安全なインターネット環境整備に関する戦略対話」というシンポジウムにおいて,議長報告及び東京声明が発表された。その内容が総務省のサイトで公表されている。

 「安心・安全なインターネット環境整備に関する戦略対話」の結果
 総務省:平成21年6月3日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin07_000002.html

 ITUと総務省が「東京声明」、安全なネット環境整備を呼び掛け
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/04/23683.html

インターネットは,現在,非常に難しい状況の中にある。

インターネットの「安全・安心」が国内問題だけで構成されている場合,その解決は,日本国の主権の範囲内の事項として処理可能かもしれない。しかし,例えば,インターネットの安全を脅かしている主体がどこかの国家である場合(サイバー戦争など)には,もちろん日本国の主権の範囲外の出来事が大きく作用しており,日本国の努力だけで解決できる問題はほとんどないと言って良い。

要するに,インターネットの安全・安心の原因となっている事項の圧倒的多数は,バーチャルな問題なのではなく,まさに現実の人間や国家間の問題であり,それを解決することなしにはインターネット上の安全・安心が確保されることなど絶対にないということを強く銘記すべきだろうと思う。

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インフルエンザの流行に乗じたコンピュータウイルス

インフルエンザは,いうまでもなくインフルエンザ・ウイルスの感染によって発症する。そのインフルエンザの流行に乗じて,インフルエンザの情報提供をしているサイトを検索すると,コンピュータ・ウイルスに感染るように仕組まれたサイトに誘導するように検索結果を表示させる手口が発見されたらしい。

 新型インフルエンザに乗じたウイルス感染メールに注意--IPAが警告
 CNET Japan: 2009/06/04
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20394342,00.htm

 新型インフルエンザの注意喚起に便乗したコンピュータウイルスに注意!
 IPA: 2009年 6月 3日
 http://www.ipa.go.jp/security/txt/2009/06outline.html

「本物のウイルスの流行を利用したコンピュータ・ウイルス」ということになるが,駄洒落どころではない何とも悪質な行為だということができる。

ちなみに,コンピュータウイルスによって業務妨害の結果が発生した場合には業務妨害罪となるほか,電磁的記録が破壊された場合にも犯罪となることがあるなど一定の場合には犯罪行為として処罰可能なのだが,総論的に言えば,日本国の刑事法ではコンピュータ・ウイルスと関連する法制整備が十分ではなく,世界的にみてかなり立ち遅れた法システムとなってしまっている。

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2009年6月 3日 (水曜日)

米国:インターネット上で商業宣伝広告の目的で収集される顧客情報について規制強化の見込み

米国のオバマ大統領は,インターネット上で商業宣伝目的でなされる顧客情報の収集について,問題があるとして規制強化の方向で検討を行う模様だ。

 White House Aide Warns Online Advertisers To Be Monitored
 Wall Street Journal: JUNE 2, 2009
 http://online.wsj.com/article/BT-CO-20090602-708994.html

顧客情報の収集はインターネット上のいたるところでなされている。検索エンジンの中にもそのような仕組みが組み込まれているし,インターネット上のホームページを閲覧しただけでアクセスした者の情報が収集されてしまうこともしばしばある。

そのようにして収集された情報が本当に本来の目的のために利用されているのかどうかは判らない。おそらく,実際にはそうではない。仮にそうしようと思っていても,保有する個人情報等があまりにも膨大であるため処理しきれなくなってしまっているのが実情というものではないかと推測される。仮にそうである場合,客観的に管理不能な状態で個人情報が収集され個人データが保有されていることになるので,そのようなシステムを運用しているということだけで明らかに個人情報保護法に定める事業者としての義務に違反していることになる。管理不能なことはしてはならない。というわけで,現行の日本法の適用を考えるだけであるとしても,米国と同様,日本においても監督官庁(主務大臣)がなすべきことは山ほどあるはずなのだか,日本の動きは(ごく一部の例外を除いては)非常に緩慢だと評価するしかない。

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不動産登記の登記事項証明書等の様式が順次変更される予定

法務省によれば,不動産登記情報システムの更新に伴い,システムが更新された地方法務局から順次,不動産登記の登記事項証明書,閉鎖登記事項証明書及び登記事項要約書の様式の一部が変更される予定とのことだ。

 (お知らせ)不動産登記の登記事項証明書等の様式が変更されます!
 法務省:平成21年5月29日
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji162.html

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総務省:Siena Beautyに対する措置命令

特定電子メール適正化法違反行為があったとして,総務省は,Siena Beautyに対し,同法に基づき措置命令を実施した。

 特定電子メール法違反者に対する措置命令の実施
 総務省:平成21年6月2日
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban08_000016.html

消費者を保護するための法令は結構たくさん存在しているが,その実効性というと疑問を否定できない場合が多く,更に,実効性に疑問が生ずる原因としては,監督官庁の怠慢が最も大きな原因となっていることも否定できない。

今回の措置を含め,監督官庁は,どんどん行政指導を実施すべきだ。もしそれによってビジネスができなくなってしまうところが出てきてしまったとしても,それは,最初から適法性の観点から問題のあるビジネスモデルを採用していることに起因する自業自得というべきものであるので,自分を責めるべき問題だろうと思う。

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英国:BBCブロードバンドにおける帯域制限に対する批判

BBCが提供しているブロードバンドサービスでは,そのピーク時において,YouTubeのようなビデオコンテンツをダウンロードするための通信速度を大幅にカットして制限しているために,ダウンロード速度が著しく低下し,ビデオコンテンツの品質も大幅に劣化するような結果となっている。そのような制限が利用者に対して事前に知らされることなく実施されていることについて,批判があるようだ。

 BT accused of iPlayer throttling
 BBC: 1 June 2009
 http://news.bbc.co.uk/2/hi/technology/8077839.stm

同様の帯域制限は,日本国のISPでも存在している。

 帯域制限の実施に関するガイドライン
 http://www.jaipa.or.jp/other/bandwidth/guidelines.pdf

帯域制限が実施されることそれ自体は,違法なことではなく,ISPの業務遂行上やむを得ない場合には実施されるべきことだろうと考える。

しかし,問題は,帯域制限を実施するISPがどのような商業宣伝広告を実施しているかに存在している。もし,当該ISPが「常にハイスピードで高品質の映像を楽しむことができる」という趣旨の商業宣言広告をしているのであれば,仮に約款の片隅に帯域制限が実施されることがあることが規定されていたとしても,消費者保護の観点からは違法行為になることがあり得る。そのような意味での違法を避けるためには,当該ISPは,「常に高速の通信が保障されている」と誤解されるような文言を一切使用すべきではなく,逆に「通信速度は一切保障されていない」ということを全ての利用者がすぐに理解できるように周知し,ホームページ上でも明記する必要があると思われる。常に高速通信を利用できるかのように商業宣伝広告をして顧客を集めておきながら実際には制限をするというのでは,詐欺とまでは言わないにしても消費者に対し誤解を与える行為であることは否定しようがない。このことは,帯域制限の実施が何らかの違法性阻却事由によって法的に肯定される場合であっても同じだと考える。

要するに,インターネット上のサービスを提供するプロバイダは,「利用者が常に快適にインターネットを利用できる」という趣旨の宣言広告をしてはならない。

とりわけ,一方では大きなサイズのディスクの利用サービスを提供しておりながら(←この場合,当該ディスクの利用者が大きなサイズのコンテンツのアップロードをするのは当然のことだ。),他方では帯域制限を実施することにより大きなサイズのディスクの利用が十分できないような結果を招いている場合には,不当な顧客の誘引行為となることがあり得ると考えられる。したがって,帯域制限を実施するISPは,データセンター業務を含め,大きなサイズのディスクの利用サービスを無限定の状態で提供すべきではない。もしそのようなサービスを提供する場合には,「帯域制限が実施されることがあるため,通信速度が著しく低下することがあり,ディスクの利用上重大な支障が発生することがある」ということを明記した上で提供するサービスについて契約を締結すべきだろうし,利用料金は,最も低速度である場合を前提とする低料金とするのでなければ,違法行為となる可能性がある。


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2009年6月 2日 (火曜日)

Gumblarのサイトが閉鎖されても,更に攻撃が続いている

CNETに下記の記事が出ていた。

 「Gumblar」攻撃、いまだに沈静化せず--ScanSafe報告
 CNET Japan: 2009/06/01
 http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20394092,00.htm

問題のサイトは既に閉鎖されているようなのだが,より悪質な手口に変化しながら攻撃が続いているようだ。企業ユーザや個人ユーザの大半は情報セキュリティに無関心だし,まさか自分のPCがボットに侵略されているとは思わないだろうから,この攻撃を効果的に阻止することは難しいかもしれない。

このような攻撃を効果的に阻止するための方法として,シンクライアントマシンとクラウドコンピューティングの導入が提案されることがあると提唱されている。確かに,技術的にはそうだろうと思うし,理論どおりにきちんと運用されるのであれば,一定の効果をあげることができるかもしれない。しかし,問題は,クラウドコンピューティングサービスの物理層を構成する個々のマシンの管理がちゃんとできているかどうかにある。例えば,安易にグリッドを応用した場合には,現在の状況よりも逆に悲惨な状況が発生することがあり得る。また,サービス提供者のセキュリティレベルが低い場合や,規模が大きすぎて従業員の中に犯罪者の手先が混じりこんでしまうことを検知し難い状況になってしまっていると,そのクラウド・コンピュータ全体が一瞬にして犯罪用マシンに変化してしまうことがあり得る。

したがって,セキュリティを集中化するという手法は,ある部分では正解であるかもしれないけれど,逆に,「人間とは何か?」ということを知らない馬鹿な人たちがそれを担う場合には,とんでもなく愚劣な手法になってしまうことになることは疑うべき余地がない。

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個人や企業の人気や信頼を悪用したマルウェアが増加

Internet Watchに下記の記事が出ていた。

 セレブを悪用するオンライン犯罪が急増、エフセキュアが警告
 Internet Watch: 2009/06/01
 http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/06/01/23624.html

同じような攻撃の最初期の先例としては,「アンナ・クロニコワ・ウイルス」がある。

結局,同じような手法の応用・発展と考えることができるが,それにひっかかる人間のほうは,何らの進歩もないどころか,もしかすると劣化が著しいかもしれない。

ちなみに,上記の記事にある「セレブ」についていえば,どう考えても「セレブ」とは言えないタレントやモデルなどを「セレブ」ともてはやすマスコミの姿勢が問題であることは否定できない。税引き後個人所得が月額1億円未満であれば財産的・経済的にセレブでありようがない。優れた頭脳をもっており磨かれた社交術をもっているのでなければセレブの文化圏で生きていくことができないし,セレブの価値観を共有することができない。つまり,この世には,「セレブ」などほとんど存在せず,とりわけ日本では税の収奪が異状に厳しいし,文化的背景が異なるので,セレブが発生する余地は非常に小さい。とはいえ,だからこそ,庶民は「セレブ」という言葉にすぐに騙されてしまうのかもしれない。つまり,本物の「セレブ」を知らないから,ある特定の者がセレブであるかどうか判定しようがないということになるのだろうし,また,根拠のない「セレブ」への憧れのようなものが発生しやすいのだろう(←実現可能性がゼロの幻想に過ぎない。)。そのような無知・虚妄につけこむのは犯罪者の常套手段であり,何千年も前から犯罪者達はそうやって利益をあげてきたのだ。

では,この私はどうかというと,普通の庶民の一員であり,セレブとは無関係だし,そのような社交界に加わる気も全然ない。齢を重ねたせいか,他人の栄華を羨むような気持もなくなってしまった。いずれ,人知れず朽ち果てて終りになるのだろう。


[追記:2009年6月17日]

関連記事を追加する。

 ニュース装い…実はウイルス 「偽」のメールやウェブ
 産経ニュース: 2009.6.16
 http://sankei.jp.msn.com/economy/it/090616/its0906160822000-n1.htm

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公的個人認証サービス普及拡大検討会 第1回会合

総務省のサイトで,2009年4月21日に開催された公的個人認証サービス普及拡大検討会第1回会合の擬似概要等が公表されている。

 公的個人認証サービス普及拡大検討会 第1回会合 議事次第
 総務省: 2009年6月1日
 http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/whatsnew/index.html

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2009年6月 1日 (月曜日)

Sonia Sotomayor氏の連邦最高裁判事任命をめぐる議論

米国発のヒスパニック系女性判事として話題を呼んでいるSonia Sotomayor氏について,様々な見解があり,連邦議会で承認を得られるかどうか疑問視する声もないではないが,それは,Sonia Sotomayor氏がヒスパニック系であることや女性であることに起因するものではなく,どうやら法律家としての見解に疑問をもたれることがあるからということらしい。知的財産権に関する同氏の見解についても,議論があるようだ。

 Another Hot Issue: Intellectual Property
 Wall Street Journal: May 29, 2009
 http://online.wsj.com/article/SB124355939097064981.html

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